うえお久光 悪魔のミカタ666

 スコーピオンデスロックの時から感想を書いていなかったみたいですが、一応読んでいました。そういえば感想は書いたのですがパソコンがちょうど停止してしまって書く気がなくなったことを思い出しました。
 一応場面は最終局面を迎えたと思っていいのでしょうか。スコルピオンデスロックの時にある程度の場面が終わった気がしていたので、次もまたタイトルが変わってもおかしくはないかな、と思いましたが666はかわらずです。イハナとサクラ、そのほか大勢の女性が登場している作品ですが、結末は決まっているのかもしれません。予想をすれば日奈が甦ることはなくて、コウは人ではない存在として道具にかかわるようになるのではないかと思います。それは何のためか、そうなってどうなるのかも一応想像はしているのですが、今ここに書くのはやめておきます。あたったからといって嬉しいものでもないですし。好きで読んでいるのでかまわないのですが、ライトノベルと呼ばれるレーベルから出版されるものは物語を楽しむものではなくてキャラクタを楽しむ作品になってしまっているなと感じます。物語を楽しむためにはある程度以上の長さが必要ですし、その長さを描ききれるほどの人気や筆力が保障されるものではないというか、そこまで出版社ががんばれないとか、作者が消費される時代になっているからかもしれません。京極堂などはキャラクタ小説といってもいいけれど、キャラクタだけではない楽しみもあるので、ライトノベルにも道はあるような気がするのですが、具体的にどうすればいいかは思いつかないし、それほど考えてもいません。だからといってどうなってもいいと思っているわけでもないのですが、本好きが思うこれからと、広く受け入れられる土壌を作ることは方向性が違うものであり、媒体は変わったとしても本が、誰かが紡ぐ物語がこれからも残るためには後者を優先するべきなのかな、と思っています。

多崎 礼 本の姫は謳う

“本の姫”は謳う〈1〉 (C・NOVELSファンタジア)

“本の姫”は謳う〈1〉 (C・NOVELSファンタジア)

まだ新人のようですが、十分面白い作品でした。もちろん業界では先輩後輩、売れ行きの違いなどで待遇などの違いがあるにしても、読者からすれば新人であろうが面白いものは面白く読めるのが本のいいところ。特にまだ名前も知らない作家で面白い作品に当たるととてもラッキィな感じがします。
物語は世界中に散らばった「文字」を集める「本に封印された姫」とそれに伴って旅をする青年が主人公です。この物語で言う「本」は今ここにある本とは違ったもので、その設定は読んでからのお楽しみということで書きませんが、なかなか面白い。違う世界の物語なので好き勝手にして欲しいし、多少の違和があってもそれが気にならないほどのテンポの良さなので今後もこの感じを進めてほしい。
二つ以上の物語が平行して進む作品はいくつかあるものの、一つ一つの間隔が短くて、前の話を忘れないうちにつながっていくのも良い。かといってぶつ切れしてしまうわけでもなく、そのバランスがとても良い。脇役の魅力がもう一息あればよかったかな、と思う部分もありますが、今後が期待できる作品です。全4巻だそうですのでまとまりもよさそう。