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女性交流室の本棚

2010-04-23

「サヨナラ、学校化社会」

12:12

「サヨナラ、学校化社会」 上野千鶴子 ちくま文庫

 親として「子どもを東大に入れたいか?」と聞かれれば、「入れたい!」と答える人のほうが多いのではないかと思う。東大を頂点とした学歴信仰はまだまだ根強い。しかし、上野先生は、その学校へ通っている学生自らが言う“偏差値4流校”から“東大”まで様々な大学で教えた体験をもとに、「(今の教育は)偏差値競争の勝者も敗者もどちらも幸せにしないシステム」(後書きより)と喝破する。学校とは何か、学校的価値への適応の仕方にはジェンダーによって違いがあることなど、学校を相対化して見る視点を得ることができる。やみくもに子どもを競争に追い立てる前に、自分の価値観を振り返るためにも是非この本を読んでほしい。

 実例をもとに非常にわかりやすく、おもしろく書いてあるので読みやすい。学校化社会の呪縛から逃れるための処方箋は読んでのお楽しみ。

サヨナラ、学校化社会 (ちくま文庫)

サヨナラ、学校化社会 (ちくま文庫)

「タンタンタンゴはパパふたり」

12:08

「タンタンタンゴはパパふたり」 J.リチャードソン&P.パーネル ポット出版

 女の子ペンギン・タンゴには、お父さんがふたりいる。ロイとシロという男同士のカップルだ。

他のカップルが産んで放っておいた卵をロイとシロが暖めて、タンゴが生まれたのだ。

 小学生の息子たちに、この絵本の読み聞かせをすると、「あり得ない!」と一言。「男と男のカップルなんて」と言うので、「男同士が結婚できる国もあるんだよ」と言うと、「でも、じゃあ子どもはどうするの?」ときた。「子どもがいなくても家族でしょう。おじちゃんとおばちゃんに子どもはいなくても、二人は家族でしょう」と言ったら、まだ納得いかない様子で黙り込んだ。子どもたちがもっと小さいときに、この絵本と出会えればよかった。親として子どもには、自分と違う家族の形を認めない大人にはなってほしくないと思う。

 タンゴの話は実際にあったことで、タンゴ、ロイ、シロはセントラル・パークの中の動物園の人気者とのこと。タンゴやロイ、シロに歓声を上げる子どもたちは、家族にもいろんな形があるのだということを自然に学ぶのかもしれない。

「物は言いよう」

12:06

「物は言いよう」 斉藤美奈子 平凡社

 斉藤美奈子さんの書くものはいつも、切れ味抜群、目からうろこの発想がたくさんでおもしろい。この本では、言動がセクハラや性差別にならないかどうかを検討するため、「フェミコード(FC)」という基準を作り、新聞や雑誌などの発言や言説から事例をあげ、検討している。「なんか女性を差別しているような気がするけれど、その発言のどこが問題かをうまく言えない」ことってない? これを読めば、その発言のどこが問題かがはっきりわかる。FC的に問題のある発言はちっとも減っていない現状があるけれど、これを読んで他の人の発言をチェックし(指摘するかどうかはご自分で判断を)、せめて自分はそういう発言をしないようにするだけでも状況は変わっていく?かもしれない。

物は言いよう

物は言いよう

「マンガ子ども虐待出口あり」

11:58

「マンガ子ども虐待出口あり」信田さよ子 講談社

 この本は子どもの頃に親による虐待を受けたイラストレーターのイラ姫さんと、カウンセラーの信田さよ子さんによる虐待をめぐる対談である。虐待という深刻な話だが、イラ姫さんのマンガ&イラストと2人の漫才のようなやりとりがおもしろい。

 子どもの虐待のニュースについて、「親がそんなことするなんて、信じられない」と思う人は多いだろう。だが、この本を読むと「親だからこそ」子どもを虐待してしまう心理がわかる。「普通ヨソの子は虐待しない。自分が産んだ<自分のもの>だから虐待する。虐待って私物化だから」という信田さんの発言に納得。ヨソの子にやったら犯罪となるようなことに対しても、虐待されている子どもを親から保護することがなかなかできないのは、周囲にも「子どもは親のもの」という意識があるからではないだろうか。

 ある意味とても過激で、家族についての世間の常識をひっくりかえしてしまう本だが、さまざまな家族をめぐるイデオロギーから自由にならないと虐待防止の出口は見えてこないことを教えてくれる。

マンガ 子ども虐待出口あり

マンガ 子ども虐待出口あり

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