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2007-03-02

[] 50万冊捨てたわけ


昨日、アベブのブログに載ってた「50万冊の本を捨てちゃって、みんなから攻められてる市政府」てのを紹介したけど、ちょっと思うところあって、も少し詳しく伝えておくね。


これは、捨てられちゃった本をバックに(記念)撮影してる元持ち主(経営してた古本屋が倒産しちゃった人ね)。*1

http://www.cyberpresse.ca/article/20070213/CPACTUALITES/702130568/より拝借



復習しておくけど、話としては、

古本屋が家賃払えなくて追い出された。そんとき、残された50万冊の本を市が回収して、一時保管してたんだけど、引き取ってくれそーな人がいないので、捨てた。そしたら、環境団体が「なんで、リサイクルに回さないんだ!」って怒ったらしい。他にも、「学校とかに寄付しろよ」とか文句言われてるらしい。

ということ。


どんくらい怒ってるかっていうと、http://carolebeaudoin.net/?2007/02/13/535-500-000-livres-jetes-aux-orduresに行って、Commentaires(コメント欄)ってところをみてみて。たーくさんの書き込みあるでしょ。訳そうと思ったけど、あまりにも「感情的」な言葉が多くて、怖くてやめた。中には、市長のメールアドレスを載せて、「こいつに怒りのほどをぶつけてやれ!」ってな書き込みまである。


もう少し冷静な意見として、

http://www.lapresseaffaires.com/article/20070214/CPARTS02/702140818/5756/CPARTSでNathalie Petrowskiさんが書いてる。

全体的に「怒り」より「悲しさ」を訴えて、最後に、

Espérons que cette triste histoire leur servira de leçon et leur fera comprendre que qui aime les livres les donne au suivant.

というわけで、「今回の悲しい出来事が、せめて教訓となってくれて、本というのは、次から次へと愛読家の手を渡っていくものなんだってことを、お役人さんたちが理解してくれることを願うわ」って言ってる。


怒ってる人も、悲しんでる人も、その気持ちは分かる。確かに、写真を見る限り、ひどいよね。

でも、http://www.cyberpresse.ca/article/20070213/CPACTUALITES/702130568/を読む限り、市にも言い分があるらしいよ。(念のため、断っておくけど、ネットで状況を読んでるだけなので、どの情報が正しいのかとかよー分からん。だから、こんな間接情報じゃ、どっちの味方もできんけどね。)


市の言い分として、一番説得力があるのは、50万冊の本を保管するコストね。倉庫代だけで、1ヶ月40万円するんだって。11月に回収して、一時的にあずかってたでしょ。だから、(捨てようって決心した)1月末の時点で、すでに120万円くらいを使ってるわけ。もちろん、このほかに運送費用とかもかかるんだよ。


そんで11月に回収した時点で、その古本屋経営者に、3ヶ月の猶予をやるから、売る先・あげる先・保管場所とかを探しておいで、って言ったんだって。そんで、3ヶ月たっても、本を引き取る先が見つからんかったし、放っておけば、毎月40万円がなくなるし、ってなわけで、捨てちゃったらしい。


というわけで、結局何が言いたいのかっていうと、「市に対して怒ったり、悲しんでたりしてっけど、そんな単純な話じゃないと思うよ。3ヶ月たっても、引き取り先が見つからなかった、ってのを、もう少し冷静に受け止めたほうが良いんじゃない。50万冊もあると、それを運ぶのにもお金かかるし、それを仕分けすんのもお金かかるし、保管だってお金かかるよ。さらに古本だから、維持管理にも相当のお金かかんよ。間接情報だから、どっちを味方しようかなんて、真剣に考えるほどのことでもないけど、でも似たようなことが身近で起こったとき、私財なげうってでも、古本を守れるかどうか、自問してみよー」ってこと。

*1:なんか、よーくみないと、本なのか、ただのゴミなのか、わからんけど

noroneko7noroneko7 2007/03/02 12:22 こんにちは。
国内で野菜が供給過剰になって捨てられてしまう話と似ていますね。何をするにもお金はかかるし、それを誰が負担するのかという問題はついて回るのですねえ。

bookscannerbookscanner 2007/03/03 03:02 noeoneko7さん、はじめまして。そうですね。こういう問題というのは、形を変えて、あちこちで発生するんだと思います。そのときに、バランスを欠いた批判ばかりでなく、「本当に困りましたね」という感じで、みんなで考えなくてはいけないですよね。

elmikaminoelmikamino 2007/03/03 11:55 写真が悲観的すべき現実と元持ち主さんの心情を雄弁に物語っているようですね。不謹慎かもしれませんが、見事な写真だと思いました。そして、bookscannerさんの真に前向きの姿勢に共感します。

elmikaminoelmikamino 2007/03/04 00:27 bookscannerさん、ひとつ思いつきました。今度大量の本を捨てざるを得なくなった人がいたら、アーティストに片っ端からコールド・コールして、インスタレーション作品かなにかにしてくれないか頼むんです。巧くいけば、死にかけた本も別の生を授かることができるかもしれない。あまりに現実味がないかな。

bookscannerbookscanner 2007/03/04 12:31 三上さん、おっしゃるとおり、いざとなったら、本来の使い道とはちがうことも考慮しないといけないかもしれませんね。ただ、相変わらず、運送費とかかかるので、アーティストにちゃんと理解してもらわないといけませんね。(笑)ちなみに、6メートルくらいの長さのコンテナに、2万冊くらい詰めることができる、というのが相場です。
どんくらい大量の本を捨てないといけない状況か、ということによりそうですね。ちなみに、http://www.sapporo-u.ac.jp/g-school/index2.htmlによると、札幌大学の図書館は、65万冊くらい持ってるそうですよ。

CroCro 2007/03/04 15:46 キャベツや白菜の現地廃棄を彷彿とさせますね。

elmikaminoelmikamino 2007/03/04 18:36 理解のあるパトロンが必要ですね。それとはまた別ですが、HASHIさんクラスのアーティストになれば、「本の未来の風景」のような写真展につなげられるかもしれませんね。筋違いのコメントですみません。

fuzzy2fuzzy2 2007/03/04 19:09 建てた後にあまり利用されてない文化会館や美術館に置く手もあるのになあと思いますけどね(苦笑)。

uraurauraurauraura 2007/03/05 08:21 少数ならば誰も文句は言わないでしょう。
例え小さくとも社会的影響が出るほどの多数だから文句が出たと考えます。
社会的影響が出るほど多数の場合は、その旨を社会に伝えるのです。
個人への影響が大きいことは個人に対応させる、社会への影響が大きいことは社会に対応させる。
『なぜ社会から文句が出るのかと言えば、それは社会が介入すべきだったことを当事者達が勝手に済ませてしまったからです。』
本にはかなりの社会的名誉があるのですから、個人が所有できなくなった時点で特定の団体が保存、輸送の責務の全てを負うのではなく、その一部を社会の方に負わせてしまえば良かったと思います。
あれだけの莫大な数の本の集団には、それだけのことをする価値があったと思います。

7474 2007/03/05 10:12 書籍購入予算を用意せずに図書館を作ったどこぞの自治体に話を持っていけば、きっと喜んで引き取ってくれただろうに。

fuzzy2fuzzy2 2007/03/05 10:17 今回の件はたまたま50万冊を一度に廃棄したから目についたのだと思いますが、確か国内の図書館でも保管費用を捻出できないために毎年図書の廃棄をしているのではないですか? 図書の寄付(受け取り)を断る理由も同様のはずです。だから、図書館に引き取り先の役割を期待するのは現状では間違いでしょう。