2011-01-11
小書店員の2010年コミックベストセレクト
2010年に単行本が刊行された作品の中で、読んでおすすめできるものを、いくつかのカテゴリに分けて各5作ずつ(+補足3作)ピックアップします。記述は作品名50音順にしてあります。順位はありません。等しくおすすめです。
過去2年のベストセレクトに入っている作品は基本的に外しています。併せてお読みいただけると幸いです。
前年と同じ言い訳ですが、積読が多いので、あくまで「読んだ中ではベスト」ということになります。ご了承下さい。
単巻作品(1冊完結・連作短篇)
戸田誠二『スキエンティア』
スキエンティア (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
- 作者: 戸田誠二
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/01/29
- メディア: コミック
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短篇の名手・戸田誠二らしいSF作品集。どの話も、不透明な未来に薄い光が射し一歩を踏み出す力をくれるような仕上がり。科学の女神・スキエンティアは街の中心で微笑む。
柴本翔『ツノウサギ』
- 作者: 柴本翔
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/12/08
- メディア: 単行本
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カブト虫のように立派なツノを授かったウサギのジャッカ。それはきっと、特別な力の証。まっすぐで勇敢なジャッカの「ヒーロー」たる姿にに心が躍り、胸が締め付けられるファンタジー。「王道」というか、一本強い芯の通った作品を描ける人という印象を受けました。次作も楽しみです。これまでの「IKKI COMIXrare」の中で1番好きな作品になりましたが、通常よりも取扱店が限られてしまいやすいレーベルなのが少しもったいない。初回配本がなくても補充注文で入れることができるので、扱ったことのないお店は是非お試しを(面陳or平積み推奨)。
- 作者: 山川直人
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2010/01/07
- メディア: コミック
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どこにでもありそうな平凡な町の、そこにしかない日常。「漫画界の吟遊詩人」の筆致はいつものように冴え、人と人のつながりを、そして町の呼吸をあたたかく描きます。『ハモニカ文庫』のタイトルからもうかがえる通り、本が物語を演出してくれる場面も随所に。時々、町の人々へ思いを馳せたくなるような、上質の連作短篇集です。
ビューティフルピープル・パーフェクトワールド (IKKI COMIX)
- 作者: 坂井恵理
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/11/30
- メディア: コミック
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「イキマン 単行本描きおろし部門」の初受賞作。美容整形の技術が発達し、誰もが美しさ・見た目の若さを簡単に手に入れられるようになった近未来の日本。しかし、整形は「美しくなるため」だけのものではない。……まず何よりも設定が面白い。私はあまり整形について考えたことはありませんが、これは「読んだ人みんなで語って盛り上がれる」タイプの設定ですよね。この単行本では、それを連作短篇の形でエピソードを重ねて生かし、深みのあるドラマに仕上げています。人に薦めて感想を訊いてみたくなる漫画です。
真造圭伍『森山中教習所』
- 作者: 真造圭伍
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/08/30
- メディア: コミック
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何事にも無関心・無感動のように見えるぼんやり系青年・佐藤くんが、恋をしたり旧交を温めたりしながら、一風変わった教習所で車の免許を取る話。普段映画はほとんど観ないのですが、よくできた映画を観た気分になりました。シーンの切りとり方が上手いのでしょうか。2作目3作目と描くほど面白いものが出てきそうで、今後が楽しみです。
勢いがあった『Fellows!』勢の中では、きれいに全1巻をまとめ上げた天乃タカ『誰が為に鋼は鳴る』(asin:4047267147)もおすすめ。プロローグ&第1話の構成で引き込まれました。装丁も佇まいが良くて好み。
2010年に刊行が始まった新レーベル「IKKI COMIX rare」。上に挙げた『ツノウサギ』が出るまで一押しだったのが、内山博司『とんがりタナトス』(asin:4091791085)でした。「タナトス」とは、ある日突然できた頭のコブのこと。そのコブの具合が少し異色ですが、基本はまっすぐで爽やかな青春もの。コブの行方は自分次第、なのです。
有田直央『ぼくらは4月を夢見てる』(asin:4088656113)も良作。神様と女の子の話なのですが、神様の設定が秀逸でした。近いようで遠い、哀しい距離。終盤の見開きページでの涙を見せるシーンが特に良かったです。
短篇集
安堂維子里『世界の合言葉は水』
- 作者: 安堂維子里(あんどういこり)
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2010/03/15
- メディア: コミック
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高品質のSFテイスト短篇集。キーワードは「水」、大きなテーマは「人生」でしょうか。世界の描写に無二の魅力があります。
太田基之『高梨さん』
- 作者: 太田基之
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/05/28
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無邪気で無敵な高梨さんの活躍。おばさんの鑑だと思います。高梨さんが作った豚汁を食べてみたい。連載再開をお祝い申し上げます。
- 作者: 売野機子
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2010/03/26
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愛と人生の短篇集。初単行本とは思えない作品のクオリティ。特に表題作は『楽園』での初読時に衝撃を受けました。八朔と点子の言葉と対話のリズムがたまらない。薔薇いっぱいの装丁も素晴らしい。
中野シズカ『星匠』
- 作者: 中野シズカ
- 出版社/メーカー: 青林工藝舎
- 発売日: 2010/06/30
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眼福。というのは、画像からもうかがえる表紙の美しさだけでなく、作品全編を通して駆使されたスクリーントーン。そのトーンワークによる「視えない世界」の表現に惚れ惚れします。一見の価値あり。
小坂俊史『わびれもの』
わびれもの (バンブー・コミックス MOMO SELECTION)
- 作者: 小坂俊史
- 出版社/メーカー: 竹書房
- 発売日: 2010/05/27
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4コマ王子・小坂俊史が「わびれ(わび+さびれ)」スポットを巡るエッセイコミック(非4コマ)。いわゆる「ブラコサカ」。装丁の仕上がりが見事で、旅行ガイドの棚との相性もなかなかです(実際に置いてみたら売れました)。
松本次郎『善良なる異端の街』(asin:4766334868)は、主にケータイで発表された作品群の単行本化。たくさんの引き出しを開けてそこに著者のエッセンスをぐいぐいと詰め込んだような感じですが、それらをキッチリと読ませるあたりに漫画の上手さを感じます。あと、扉絵が好きです。画集出ないかなあ。
西村ツチカ『なかよし団の冒険』(asin:4199502149)は、まさに「異才」という印象。振り回されたり突き放されたりしながらも、結局はこの世界の虜。ちょっと変わった漫画を読みたい人に。
久しぶりの作品集、いましろたかし『引き潮』(asin:404726671X)。『引き潮』というタイトルがあまりにも絶妙(読めば、きっとわかります)。
新人作品(2010年中に初単行本が刊行された著者の作品)
- 作者: カレー沢薫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/06/23
- メディア: コミック
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フリーダムすぎる3匹のロシアンブルー。その名は関羽。基本的なノリは、1人+3匹の漫才。好き嫌いはあるかもしれませんが、私にはストライクでした。低目に決まるチェンジアップのような(?)。座右に置いて、ちょっと気分を変えたい時に手にとっている1冊です。
中村尚儁『1/11』
- 作者: 中村尚儁
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2010/12/03
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「中心にサッカーがある青春」を連作短編形式で描く。収録された3編に共通しているのは「もう後悔したくない」という想いで、そのまっすぐさが胸を打ちます。読む前にTwitterで評判を見ていましたが、その通り、第1話は読切として完成された出来。私はマネージャーを描いた第2話が好きです。サッカーは1人でやるものじゃなく、また、11人だけでやるものでもない。広くおすすめできますが、特に中高生に読んで欲しい作品です。
手原和憲『ミル』
- 作者: 手原和憲
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/04/28
- メディア: コミック
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見た目は16歳の女子高生、頭脳は大正生まれ86歳、しかしその正体は昔飼っていたネコ(化けネコ)! 大胆な導入ですが、不思議なくらいすぐに馴染みます。ほのぼのしてとても和む。「誓いの言葉」は何度読んでも泣けます……。
あさのゆきこ『夕焼けロケットペンシル』
夕焼けロケットペンシル 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
- 作者: あさのゆきこ
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2010/09/22
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舞台は町の文房具屋。働かない父親の代わりに店を切り盛りすることに決めた小学生のサトミ。お客さんの要望をかなえるために走り回ったり、新しい問屋との取引も始めたり、小学生なりに奮闘する姿が微笑ましくも切ない。そんなサトミの笑顔には微妙な感情が表れていて、時に強く印象に残ります。両親に関してはまだ謎が多いので、今後の展開に期待。注目の1作です。
冨明仁『玲瓏館健在なりや』
- 作者: 冨明仁
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2010/07/15
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学生寮・玲瓏館。贅を尽くして建てられた洋館、しかし1年後には閉館される。その、最期の1年間を描く。着替えシーンが妙に多く、それがまた脳裏に焼き付きそうなほど印象的。背中と、腰から下を描いたカット多数で、著者のこだわりを感じます。やたらと艶っぽい。第7話の盛り上がり方は異常。
「新感覚メカニカルホラー」・鯛夢『機巧童子』(asin:4821170116)。人の心が具象化されるからくり世界。「陰」の描きかたが面白いです。
『Fellows!』は次々と有望な新人・新作が出てきますが、笠井スイ『ジゼル・アラン』(asin:4047266280)もその1つ。無邪気さ・幼さの中に時折艶やかな雰囲気を見せるジゼルがなんとも可愛い。空気も濃密で、しっかり世界に浸れます。
本山理咲『ハッピーエンドではじめよう』(asin:4832268880)は、著者デビュー20年目の初単行本。天国に行く前にもらえる、猫として過ごす最後の7日間。その時間で、どう人生を締めくくるか。1話1話が短いので話作りに多少強引なところも見られますが、そんな些細なことを飛び越えてジンときます。いい作品集です。
第1巻(2010年に第1巻が刊行された作品)
白井弓子『WOMBS』
- 作者: 白井弓子
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/01/29
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移民同士の戦い、妊娠した女性だけが身につけられる「転送能力」。設定に力の入りようがうかがえるSF作品。軍隊での訓練描写が丁寧で、読み進めるほど物語の安定感と先の展開への期待が増していきます。
- 作者: 石田敦子
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2010/08/23
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つらい現実を励ます野球愛、いやカープ愛漫画。応援したい気持ち、好きな気持ちが力になる。読むと気分が盛り上がります。
木葉功一『セツ』
- 作者: 木葉功一
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2010/09/29
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久々の単行本! いかにも「木葉功一×マンサン」っぽくていい。陸上短距離メダリスト→刑事の主人公・セツは天然というか直感の塊で、キャラクターとしてとても魅力的。走り出したら止まらない。
片山ユキヲ『花もて語れ』
花もて語れ 1 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
- 作者: 片山ユキオ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/09/30
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あまりにも熱い朗読漫画。「視点の転換」、丁寧な理解と表現。初読時、「朗読」によるイメージの広がりに感動し、ぞくぞくしました。新しい世界が開ける読書は素晴らしい。快作です。
秋★枝『煩悩寺』
- 作者: 秋★枝
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2010/08/23
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悶絶しそうなくらいにキュートなラブコメ。いい大人なのに妙に初々しいのは、「煩悩寺」という空間のせいでしょうか。
カザマアヤミ『はつきあい』(asin:4757529813)は、いくつかの「はじめてのおつきあい」を描いた作品集。ささやかなことで戸惑ったり喜んだり、あまりにも初々しくてかわいらしいのです。
福本伸行/前田治郎『HERO -逆境の闘牌-』(asin:4812472881)は、著者の傑作『天』で1番読者に近い存在だったひろが主人公ということで読んでみましたが、期待以上に濃密で面白かったです。この後の展開も楽しみな、熱いスピンオフ。是非、『天』を読んでからどうぞ(ちなみに『天』は1・2巻辺りがやや退屈なのでご注意下さい)。
上季一郎/青木朋『幇間探偵しゃろく』(asin:4091832199)は、丁寧な話づくりで昭和最初期の空気がよく出ています。癖のあるキャラクターも魅力的。総じてとても好みでした。
完結作品(2010年内に完結巻が刊行された作品)
- 作者: いしぜきひでゆき,藤栄道彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/12/09
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涼子のここまでの集大成、そして最後に起きた「奇跡」。涼子の目覚ましい成長を追っているのが楽しい終盤でしたが、やはりこの作品の核は最上だったと思います。他のコンシェルジュ達はもちろん、有明先生や松岡社長など脇のキャラクターも魅力的でした。様々な「サービス」が参考になるとともに、漫画として大いに楽しませてもらいました。
- 作者: 小林尽
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2010/11/22
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最初に少し読んだ時は「タイムリープを素材に使ったラブコメなのかな」という印象でしたが、「戦争」という全然予想外の方向へ、しかし想像以上に重みと厚みのある物語へと膨らんでいきました。「戦争を知らない世代」なりに真摯に、大胆に、そして丁寧に為された描写は、思わず息をのむほどに壮絶。躍動感あふれるキャラクターたちも物語を大いに盛り上げ、青春ものとしても破格の出来。読んで良かったと思える傑作でした。
- 作者: 荒川弘
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2010/11/22
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この作品の完結は外せません。最後まで勢いが緩むことなく決着しました。とてもいい少年漫画だったと思います。
ウィスット・ポンニミット『ブランコ』
- 作者: ウィスット・ポンニミット
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/09/30
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何気ない言葉が、しぐさが、表情が、時に目映く、そして強く胸に迫る物語。読めば読むほど惹きつけられ、時間をおいて読めばまた別のものが見えてきます。じっくりと何度でも読みたい作品。
なぐも。『ラジオでGO!』
- 作者: なぐも。
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2010/07/27
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ラジオ4コマ。パーソナリティが声優なのでアニラジ寄りですが、そんなに気にせずに楽しめると思います。10年以上前にアニラジ視聴者だった私は、鞄にべルをつけていたのを懐かしく思い出しました。
咲香里『スマッシュ!』(asin:4063842975)はバドミントン愛にあふれた作品という印象でした。少年誌連載ということもありラブ要素も多めでしたがそれも楽しかったです。特に亜南と美和が。
ばたばたっと畳んだ感じで全2巻で完結してしまった御徒町鳩『みどりのまきば』(asin:4403619762)は、とても面白かっただけに少し残念でした。あと1巻くらい読みたかった。大人びた女子と、伸び盛りの男子。よろこびと葛藤に満ちた小学生ライフが、特徴的な線で丁寧に描かれています。表紙を見て「楽しそう」「面白そう」と思えたら、買って損のない作品だと思います。
「あと1巻くらい読みたかった」作品といえば、TOBI『銘高祭!』(asin:4832278886)。テーマは「一生忘れない文化祭」。その企画→開催→閉幕までを、実行委員の姿を中心に描いています。文化祭の終了とほぼ同時に作品も終わってしまうので、過程で見えた人間関係のその後が気になる、という意味で「あと1巻くらい」と思うわけですが、その辺は想像に任せるのが良いのかもしれません。
少年(少年誌連載作品)
ヒラマツ・ミノル『アサギロ』
- 作者: ヒラマツ・ミノル
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/07/12
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昨年も推しましたが、再度。2巻はとにかく表紙の沖田の表情が見事でした。実にこの作品らしい。面子も少しずつ揃ってきて、ますます楽しみな新撰組漫画です。
- 作者: 石井あゆみ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/03/12
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こちらも再プッシュ。新刊が出るたびに必ず大きな驚きがある異色信長漫画。3巻のラストは本当に「やってくれた!」と思いました。 http://d.hatena.ne.jp/bookseller56/20100815/1281876947
佐藤タカヒロ『バチバチ』
- 作者: 佐藤タカヒロ
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2010/01/08
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1巻の表紙が学ランなので不良漫画っぽいのですが、相撲漫画です。これが、異様に熱い。関取になる前に燃え尽きてしまうんじゃないか、と思ってしまうほど。相撲豆知識を織り交ぜつつ、肝心な勝負は思いっきり見せてくれます。テンションが落ちません。
- 作者: 佐渡川準
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2010/05/07
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スピード感と熱気があって読むのが楽しい空手道漫画。時に懐かしさを感じるほど展開はあまりにも「王道」ですが、それでも描き切ればこれだけ面白いのだ、ということを見せてくれています。
- 作者: 羅川真里茂
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/10/15
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津軽三味線青春ストーリー。序盤は少し乗れない展開でしたが、本格的に東京で暮らすことになったあたりから物語が安定してきて「音」が聴こえてくるような感じになりました。その描写には苦慮しているようですが、嵌まってきているように思います。3巻以降への期待がますます高まります。
新井隆広『ARAGO』(asin:4091222285)は、物語の焦点が定まってきた感じで堅実に面白くなっています。絵にも力があるので、楽しめる少年漫画になりそう。
2010年最大の話題作、諌山創『進撃の巨人』(asin:4063842762)。荒削りで拙いところも多いのですが、些細なことが気にならなくなるぐらいの凄まじさがあります。特に巨人の圧倒的な存在感と、それによって生まれる絶望の描写が素晴らしい。ただ、3巻の帯で「21世紀の王道少年漫画」と書かれたのが妙に引っかかって、評価しづらくなってしまいました。それさえも「些細なこと」と吹き飛ばしてくれるような展開を4巻以降に期待しています。
勝木光『ベイビーステップ』(asin:4063843815)は変わらず絶好調。主人公が加速度的に成長するタイプの作品が長く続くためには、どこかで躓いたり挫折したりする経験が必要になってきますが、この作品はそれも巧みです。
青年(青年誌連載作品)
SP(エスピー)警視庁警備部警護課第四係 1 (ビッグコミックススペシャル)
- 作者: 金城一紀,灰原薬,灰原薬(漫画)
- 出版社/メーカー: 小学館
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ドラマ未見ですが、原作者付きの漫画としてかなり面白いです。スピリッツでいつも楽しみにしている作品の1つ。
堀尾省太『刻刻』
- 作者: 堀尾省太
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/08/23
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森羅万象が止まった世界「止界」。かなり設定が作り込まれている印象。時が止まったはずの世界で、緊迫した時が流れる。一気読み推奨のサスペンス。
柳原望『高杉さん家のおべんとう』
- 作者: 柳原望
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
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30歳男と12歳少女(いとこ同士)が同居をきっかけに「おべんとう」に目覚めるハートフルコメディ。女性陣が総じて魅力的。もふもふしてます。名古屋が舞台なのもポイント。
- 作者: 今野敏,渡辺保裕
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2010/11/29
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ヤクザが潰れかけの出版社を立て直そうとする話で、中身は見た目以上にコミカルでまとも。結構本質を突いてます。阿岐本組の代貸・日村誠司(主人公)が見せる矜持がとてもカッコいい。魅力的なキャラクターです。
- 作者: 小川一水,みずきたつ
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
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小川一水の傑作を漫画化。原作を再読したくなる申し分ない仕上がりで満足しました。世界観の解説も付されており、原作未読者にもやさしい。政治など様々なテーマが絡む“震災復興ドラマ”を堪能できる作品なので、SFという括りにとらわれず幅広く読まれて欲しい作品です。
地味ですが、今1番楽しみにして読んでいる自転車漫画が玉井雪雄『かもめ☆チャンス』(asin:4091834841)。乗っているのが皆いい年した大人たちで、それぞれ色々な事情を抱えていることもあり、内容的にも(一般の)大人向けです。しかし、彼らの立てた目標は大きい。
毎巻、漫画離れしたテキスト量にめまいのようなものを覚えつつも、結局はそれをしっかり堪能している武富健治『鈴木先生』(asin:4575942928)。本誌ではどうやら最終回を迎えたようなので、「ひかりごけ」が集大成になるということでしょうか。読むのが楽しみです。
笠辺哲『ももきや』(asin:476633521X)は全2巻完結。癖はあるけど憎めないキャラクター達が繰り広げる軽妙なSF(すこし・ふしぎ)コメディ。IKKI新人賞「イキマン」でデビューした時から好きな作家。愉快&痛快な面白さです。
少女・女性(少女・女性誌連載作品)
アキヤマ香『アスコーマーチ!』
- 作者: アキヤマ香
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2010/09/24
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クラスに女子はたった1人、個性的なキャラクターが集まった工業高校漫画。美形に偏っていないのが好印象。「しあわせは歩いてこない だから歩いてゆくんだね」という『三百六十五歩のマーチ』の一節が良く似合います。
入江喜和『おかめ日和』
- 作者: 入江喜和
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/09/13
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面白そうor売れているらしい→棚に揃えてみる→しかし、思ったほど動かない→せっかくなので買ってみる→「面白いじゃないか!」→結局、また仕入れて棚に並べる……というのは本屋で棚を管理していると時々あるパターン。この作品も、そのパターンでした。読むと幸せな気分になれる、味わい深いいいドラマ。
池谷理香子『シックスハーフ』
シックス ハーフ 1 (りぼんマスコットコミックス クッキー)
- 作者: 池谷理香子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2010/06/15
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導入を読んで、一瞬ありがちな記憶喪失ものなのかなと思いましたが、そんなことはありませんでした。記憶を失ったことで、恋人や友人だけでなく家族との関係も不確かな感じになってしまう、そして歩いてきた道・残してきた足跡が見えなくなってしまう。現在の自分を保証するはずのものが失われてしまった不安が上手く描かれていると思います。
- 作者: 磯谷友紀
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/11/12
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恋愛ものとして、本屋を舞台にした仕事ものとして、それぞれに充実してぐんぐん面白くなっています。特に恋愛模様は泥沼気味。緑くんがんばれ。私が1番気になるのは、個人書店出身の田才さんです。
小山田容子『ワーキングピュア』
- 作者: 小山田容子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/07/13
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ある銀行を舞台にした仕事漫画。面白い面もシビアな面もキッチリと描かれて、1話1話が誠実な仕上がり。折に触れて読み返したくなる好オムニバスです。女性向けレーベルですが男性にもおすすめします。
志村志保子『女の子の食卓』(asin:4088670779)は「食卓」をテーマにした作品集で佳編揃い。もっと支持されていいシリーズだと思います。
水城せとな『失恋ショコラティエ』(asin:4091334644)も絶好調。それぞれの思惑がいろんな角度で交錯して、読む方は思わず笑みがこぼれます。いいぞもっとやれ。
タアモ『たいようのいえ』(asin:4063656225)は著者初の巻数もの。赤面がたいへんかわいらしいです。
4コマ漫画
矢直ちなみ『一緒にかえろう』
- 作者: 矢直ちなみ
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2010/05/07
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再会した幼なじみ・春と詩緒を中心とした友情&不器用な片恋の緩やかな進展が読んでいて心地よい作品。前作『乙姫各駅散歩』もそうでしたが、繊細な表情の描き方が魅力的です。
水谷フーカ『うのはな3姉妹』
- 作者: 水谷フーカ
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2010/10/12
- メディア: コミック
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商店街でも評判の美人3姉妹と豆腐屋の親父。帯の「朝ドラ風4コマ」は実に的確。三女の同級生・南田くんの、涙を誘うほどの奮闘ぶりも見もの。
- 作者: 長崎ライチ
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2010/11/15
- メディア: コミック
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「待って 目にゴミを入れちゃった」「入れたの!? わざわざ!?」という表紙のやりとりにクスリときたらおすすめ。ボケる阿呆にツッコむ阿呆、残念さがあまりにも愉快な姉妹4コマ。
山口舞子『ふたりぽっぽ』
- 作者: 山口舞子
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2010/07/07
- メディア: コミック
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幼馴染の女の子2人がツンしたりデレたりする4コマ。というか、正確にはその想いは一方通行気味なのだけど、近づいたり離れたりする2人の距離感が絶妙。その2人にツッコミを入れる役回りのもーちゃんのキャラクターも良い。
佐藤両々『わさんぼん』
- 作者: 佐藤両々
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2010/08/07
- メディア: コミック
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和菓子4コマ。主人公(表紙・皿の上)は基本的にアホですが向上心が高くて仕事ぶりも真面目で、ヒロインを始めとする女性陣は美しく強い亰女。4コマとしても職人ものとしてもキッチリ仕上がっていて楽しく読めます。
胡桃ちの『ギフコン』(asin:4832268317)はデパートのギフトコンシェルジュ(=ギフコン)を描いたお仕事4コマ。この方のお仕事ものは、いろんなアイデアがあって面白い(素敵宿の素敵接客を描く『パパロバ』もおすすめ。この作品は2巻になるとより良さが出そう)。本の贈り物関連のアイデアは特に興味深かったです。
後藤羽矢子『シスコなふたり』(asin:4575942685)は超シスコン姉妹2人とおつきあいする泥沼ラブコメ4コマ。もつれております。
昨年セレクトした碓井尻尾『店長の憂鬱』(asin:481247437X)は2巻も絶好調。曲者社長登場で憂鬱が加速する店長に激しく同情&共感。アユカワの「ギリギリアウト」感にも磨きがかかってます。
小書店員の定番作品12選
石塚真一『岳』
原泰久『キングダム』
枠を2つ増やしました。完結した『コンシェルジュ』と2010年に単行本が発売されなかった『BLACK LAGOON』が外れ、『ラストイニング』が復帰、『君に届け』『ちはやふる』『バーテンダー』が定番入り。
もし順位をつけるなら…
1位:乃木坂太郎『医龍』
いよいよクライマックス。敵役も全員魅力的。
2位:石井あゆみ『信長協奏曲』
2011年ブレイク予定(願望)。
3位:小山宙哉『宇宙兄弟』
今までにこれほど「兄弟」が羨ましいと思った作品はありません。
4位:片山ユキヲ『花もて語れ』
もっともっと驚かせてくれるはず。
5位:いしぜきひでゆき/藤栄道彦『コンシェルジュ』
ゼノンの「プラチナム」にも期待しています。


