014:煮
融点をたずねる前に煮込まれてふつふつ流れもうもどれない(松原なぎ)
補欠:やさしさについて考えあきたので煮られるための豆をばらまく(松原なぎ)
煮詰まりつつも今回気になったお歌たちです。
取り上げさせていただきましたらTBでご報告、でなければコメントか伝書鳩か気合いでお伝えいたします。
受け取っていただけたならうれしいです。
敬称略しますことどうぞ、あしからず。
■生きている歴史が教科書のなかで 煮つまっていく 腐敗していく (うたまろ)
15の夜みたいですねー。
■憧れを煮詰めすぎたら恋になりちょっと後悔しているのです (星野ぐりこ)
よくありますね、コミカルに言ってますけど、嬉しかったり、こんなはずじゃなかったりであわわ、なかんじがよくわかります。
甘ければなんとか…なりませんかねぇ?
■肉じゃががなすすべもなく煮くずれる立つべきでないキッチンにいて (月下燕)
立つべきでない??
予定不調和二連発ですね、ぐにゃりとリノリウムがゆがみそうです。
男性は台所に立つべきではないってお歳のかたでもないので
うーんうーん、仕事をずる休みした日のこととかかなぁ?
なんだかざわざわしますね。
■思うこと叶わずひとりひたすらに ジャムを煮ている土曜日の午後 (はこべ)
思うこと、願いや祈りや片思いとかではなくて
ささやかな、でもとても大切なことがかなわなかったんでしょうか。
ジャムにこぼれる涙もきっと隠し味になりますよ。
■りんご煮るきみのおしりにふれていて三島由紀夫の最期をおもう (柚木 良)
やわらかい「りんごの匂い」「きみのおしり」ちょっと硬いこととして「三島由紀夫の最期」の対比がすばらしい。
まさかこれから憂国論をぶつわけではなさそうな現代ちっくないちゃいちゃが魅力的です。
■放課後に突然好きって言われたい 煮ても焼いても食える顔で (さかいたつろう)
すんごい好きなんですね。
おいしい妄想、ごちそうさまです。
■愛ということばのあとで煮詰まったホワイトシチュウを食べさせている (わたつみいさな)
あわ、わ。
最後の「食べさせている」がなんとなくこわいです。
しょっぱな「浮気がばれてちょーおこられている男性象」がうかんだんですけども
何度か読むと「すごいラブラブなふたり」にも読めてきました。
ふむ、いいお歌ですね、
■煮くずれるかぼちゃの音に目を閉ざし形なきまま祈り捧げる (海里)
オレンジがぱっとうかんで下の句すてきですねぇ。
読み手のわたしも共感してふわふわ、かたちのないものになれそうです。
■納得を待つ間中うろうろと高野豆腐は煮含められて (中村成志)
祖母がよくやってました、
せつないかなしいことがあると煮物つくるの。
そうやってできる高野豆腐はだいたいしょっぱい。
■煮詰まらぬ関係にあり あのひとの泣き顔をまだ僕は知らない (TIARA)
うん、これくらいのやきもきもたのしいですよね。
でもやっぱり自分のなかでは泣いてほしいんでしょうか。
■上質な煮干しを水に放ったら銀のかけらが泳ぎはじめる (振戸りく)
きらきら。
またやってしまった気がします
すいません、日記の設定を変えたところ今までいただいたコメントとは別のところにコメント欄が発生しました(-"-)
わかりづらくなっちゃってすいません。
コメント欄を別にしたかっただけなのですが…