ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

山田玲司『美大受験戦記 アリエネ』第20話――《真実の確信/True Conviction》


(第19話の感想はこちら)
 第20話「個人授業」(3月12日発売ビッグコミックスピリッツ掲載)。もう彼女がヒロインでいいんじゃないかな。戸口で見守るお父さんに介入する余地が無い……多分来週が、ファイナルターン


「誰でも一発で女の体を描ける…スーパーテクニックよ…」

「技術はアートのすべてじゃないけど・・・
この通り……技術は武器になる・・・」

「別に・・・
予備校()の中じゃ・・・あんたが一番マシだからよ……」

「「君」が「見えた」から……僕はもう「描ける」・・・」

「できたよ・・・
これが・・・君だ・・・」


―――推定第2巻分クライマックスに至って、父親より娘の方がよほど存在感影響力のある先生であるこの頃。前回から尾を引いてるのか、『絶望に効くクスリ』では見覚えの無い画風が散見するな、とも。


 登場以来いまだ大ゴマの無い月岡父は娘が下着姿で何をしているのかと訝ったものの、絵を教えていると知って陰から静かに見守る。だが娘が本気でになろうとする段になって、流石に乱入……するよりも早く有が彼女を止めて、服を着させた。

 人物画、全存在を描くのに十分なほど、歌川有は月岡弥生を感じた。知らず、父親(人物画の大家)の前でそう言ってのけていた。この辺の度胸は明確な長所かも。
 土壇場の巨匠モード発動というか、同年代異性の肌を前に混乱が臨界というか……ただ、勢いだけでなく、彼にとっての彼女の全てをキャンバスに叩き込んでいた。極太マジックで。

 自分を認めてくれた人のことを、自分を信じてくれた人のことを。人を信じられる人のことを。
 描き抜いた絵がどんなものになっているか、父娘にそれはどう伝わるか……根本的に初心者である事実は否めないのでオチがつく可能性も多々あるが。


 そんなこんなで、次回はカラー。自分を信じる心が折れ、しかし誰かを信じ、誰かが信じてくれて……結論は「俺が信じるお前でもない、お前が信じる俺でもない。お前が信じる、お前を信じろ!!」 だったら笑う。泣き笑う。いやあグレンラガンは傑作でしたね……。

(後日付記:第21話感想はこちら)