ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

『美大受験戦記 アリエネ』第65話――《シヴのオアシス/Shivan Oasis》

「つか・・・お前ら つきあってんの?
お前が好きな女って……月岡弥生なのかよ?」

(第64話の感想はこちら)

 第65話「砂漠の女神」(3月25日発売ビッグコミックスピリッツ掲載)。嗚呼、やっぱり不憫な弥生さん。

「やめてっ。バカバカしいからもうやめてよ。あたし別にそうゆうんじゃないし。
何も食べないで補習デッサンやってるやつがいたから、差し入れしただけっ。
うち近いからっ。じゃあねっ」

「ようするにみんなは・・・俺を信じてないんだよ……いくら努力したって・・・お前の夢は叶うわけないって思ってるんだ・・・」
(あのひと)は……僕を・・・信じてくれたんだ・・・だから……僕たちは絶対に合格する……
僕は・・・夢が好きだ・・・」

 
―――お互いを認め合うという線なら、月岡弥生と重ねた時間だってフラグだって、葛飾夢にそう劣るものじゃあない。ただ最初に有が夢に一目惚れてデッサンの時に彼女に声をかけられなかったら、弥生と出会う事も無かったかもしれない。全部が全部でもないが、夢に恋したが故の行動や努力を弥生に助けられる事も幾度か……寧ろ今しがたまで現在進行形でそうだった。
 はたして弥生は立ち去ったと見せて有と光河の会話を、想い人が誰を、どれほど好きかという告白を聞いてしまった。聞かれた事を男二人はまだ知らないが……今後、彼女は有に対しどう振舞うだろうか? 彼女の受験動機は些かロックな部類で、初恋中の今重要なのは未来より現在の予備校生活とも言える。その中心でさえある部分に揺らぎが生じたら……?
 他方、己の苦学事情を有に知られつつ、夢への想いを聞かされた光河。写真を消すの消さないので勢い、コンペで勝負だとか言い出したが、本当にやるのかね。あるいは、夢の方に? はてさて恋愛事情はどう転ぶやらね。