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ペーパーライセンスボクサーの司法試験日記

2011-03-17

補足:原発訴訟の法的な意味

18:46

昨日付けの日記の補足を少し。

 
あの文章だけを読むと、
単純に原発を廃止すべしという意見の持ち主に、
少なくとも今はなっているように読めそうなので。

まあ、正直、原発というものにヘキヘキしてる面はないではないけど、
基本がヘタレなので「もう全部やめよう」とまで踏み切るほど、
自分の生き方に自信があるわけじゃない。

 

とりあえず押さえておきたいのは、

原発訴訟自体は「反原発」の立場の是非を争う訴訟ではないこと。

 
「原子炉設置許可処分」などに対して、
違法な行政処分として取消訴訟をを提起した、
というのが基本的な姿ということになってる。

「違法」ってのはどういうことかというと、

原子炉を設置し動かすためには、
当然国の許可が必要なわけだけれど、
その許可をすることができることと、
どういうときに許可ができるかということを決めた法律があって、

その法律に反してないかどうかというのが、
違法かどうかの問題ということになる。

その許可基準を本当に満たしているのかどうか、
といったことを問題にするものであると。

そういう法律にはたとえば1条に「目的規定」があって、
「徹底的に安全管理をさせた上で原子炉を使わせる」
みたいなことが書いてある。
その上で、どういう基準を満たさないといけないかということが、
専門家が集まった委員会なんかで決められたりするんだろう。

 
つまり、原発を作ることは前提になっている。

 
そういう法律に照らし違法だと主張することは、

たとえば、
原発のような危険なものを作る法律は憲法に違反しているから、
原子炉設置許可処分は許されない、
みたいな主張をすることとは異なる。

 
もちろん、原告になってる人には、それなりの割合で、
原発そのものをやめろという思想の人が含まれるだろう。

その思想を実現するために裁判制度を利用してる面は、
まあ、あるだろうと思う。

ただ、裁判自体はその思想を実現するものとは必ずしもいえない。

 
僕が昨日書いた「もう少し何かできなかったか」というのは、
あくまで、そういう訴訟の枠内で行えたことはなかったか、
ということ。

もっと安全性を高める結果を裁判で導けなかったか。
もっと妥当な人の体制を構築することを求められなかったか。

 

この時期に原発判例を読むと泣きそうになる

05:43

えらいことになった。
増え続ける死者に予断を許さない放射能被害。

つい先週まで人生最高レベルのクライシスだった
司法試験の日程が迫っている」という事実が
むしろ安全なものにさえ感じられる。

つうかこの状態で本当に試験を予定通りするのか?

 

他に何もできないので勉強は続けてる。

 

今は行政法判例を追っかけたり。
そうすると、原発判例にぶつかる。
泣きそうになる。

 
もんじゅ訴訟の高裁判決なんか、

原子炉から20km以上離れた周辺住民には
原告適格(訴える資格)がない


として却下(門前払い)判決をしたりしてる。

 
18年前にこの判決を書いた裁判官は、
今この状況を見て何を思ってるだろうか。

 
さすがにそんな無茶苦茶な判決は
最高裁でひっくり返されている。

「事故があれば大変なことになるだろ」と、
炉から58km離れたところに住む住民にも原告適格を認めた

 
でも争う資格を認めただけで、
別に原告を勝たせるわけじゃない。

今まさに問題になっている福島第二とかも、
原子炉設置許可処分の取消訴訟が提起されたけど、
結局アレである。

 

最高裁判決の基本の理屈は

1 エネルギー政策は民主的な政治の場で決めるべき
2 高度な専門的科学知識をもつ専門家の判断は尊重する
3 裁判所は「あるべき判断」を下すことはできない
4 出された結論に「不合理」があれば違法にする

というもので、

要するに、
「そんなむつかしくて責任重大なこと、
 よう判断せんわ、
 わしらに期待せんでくれ」
ということだ。

裁判官として裁判を投げ出しはしないけど、
そこでいう「不合理」というのは、
実際には「誰が見ても判る大間違い」くらいの意味だろう。

 
法律家の限界か、
文系の限界か、

事故なんて起こらないでほしいよね、という意味の、
他人任せの楽観論か。

 

僕もそれ以上の理屈なんて思いつかない。
それ未満の存在だから。

だけど、だけど、
もう少し何かできなかったのか。
法ができたことは何かなかったのか。

 

もし「この先」が幸運にも残されているなら、
考え続けなきゃいけないと思う。

 

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