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小野俊介 サル的日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2017-11-13

祖師ヶ谷大蔵にニポンの未来を見た

すまん、すまん。 日々の生活に疲れ果てて、ブログを書くのを忘れていた。 いや、リア充というわけではなく、その正反対なのでご安心ください。 皆さんはお元気? 急に寒くなって、暑かった頃がなんだか懐かしい。

先週、とある用事があって祖師ヶ谷大蔵 (そしがやおおくら) に行ったのである。 祖師ヶ谷大蔵って言っても、東京の住人以外にはピンとこないと思うのでザックリ説明しておくと、要は都会の住宅街である。 小田急線沿線で都心にも近い。 隣の駅が成城学園であることから分かるように地価は相当に高い。が、まわりの街に比べたら庶民的で住みやすいと言われる。 昔からの商店街 (ウルトラマン商店街ってヤツが有名です) や、ちょっと歩くと畑・農地もあったりして。 そんな街である。

午前11時。 用務先に直接行くには早すぎたので、ドトールでちょっと時間を潰すことにする。 かなり大きなドトールのお店が駅に隣接してる。 都心にある店舗と違って座席の間隔が広くて良いなぁ、などと思いながら店内を見渡していたのだが ・・・ なんか雰囲気がよその店と違うことに気づいたのである。 何が引っかかるのかが分からないが、何かが引っかかる。 なぜだろう?と思ってさらに店内を注視したら ・・・ 気付きましたよ。

定年退職者のおっさん・おじいさんの比率がとても高い ことに。

会社を定年退職したと思しき風体のおっさん・おじいさんたちだらけ。 数えたら、店内の客の35人中12人がそうであった。 3分の1。 彼らは読んでいるのが本か新聞という特徴がある。 誰一人スマホを見ている人がいないのね。 多くは老眼鏡をかけて、下を向きながら、活字を追っている。

うーむ。 これはいろいろ考えさせてくれる光景である。

おそらくこの人たちは皆、それなりに健康で、お金もそれなりにある恵まれた人たちなのである。 健康でないとコーヒー飲む気にもならんだろうし。 本当に貧乏なら喫茶店でコーヒーなんか飲めないだろうし (もし毎日ドトールに行く余裕があるのなら、時々飲むファミマの100円コーヒーが唯一の楽しみの僕よりも確実に豊かである)。 いやそんなことより、何と言っても、あのおじいさんたちは祖師谷大蔵界隈の住人なのだ。 その時点で僕よりは数十倍は経済的に豊かに決まってる。

でもね、このおっさんたち、なんか楽しそうじゃない。 みんな苦虫かみつぶしたような顔をしてる。(注 1)

(注 1) どんな顔していようと余計なお世話ではある。顔はあんな顔でも、実はとても充実感あふれる幸せな老後を送っているのかもしれない。 もしそうだったら、ごめんなさいね。

一組だけ店内にいるおばあさん二人組は好対照。 おばあちゃんたちは、ぺちゃくちゃぺちゃくちゃと話し、ケラケラケラケラと笑う。 アイスティーと思しき飲み物はとっくに空っぽだけど、そんなことはどうでもいいのね。

再び、うーむ。 自分も苦虫かみつぶしオヤジたちと年はそう大して離れていないのだ。 年齢的には彼らに仲間入りするのはもうすぐ。 でも、このドトールおっさんたちに仲間入りするのは、なんだか相当に抵抗感がある。 もっとも、僕の場合は金がないから、ドトール仲間にはそもそもなれないだろうけど。 毎朝、開館と同時に図書館で新聞の争奪戦をするおっさん・じいさんの仲間入りか。 制度崩壊が誰の目にも明らかな年金暮らしだと、新聞代も払えなくなるだろうからな。

いずれにせよ、抵抗しても無駄なのである。 それが加齢。 生命の、テロメアの、真理だもの。

それにしても、ニポンのおっさん・おじいさんって、どうしてあんな怖い顔してるのかね。 もう少しにこやかな顔ができんものか、とは思うぞ。 円満でやさしい顔をしたジジイがニポンにはほとんどいないのは異常である。 あれでは奥さん・子供が寄ってこなくなって当然。 もっと笑おうよ。 フフフ、とかさ。 面白いこととか、ギャグとか、もっとどんどん言えばいいのよ。 サル的なヒトなんか、頭に思い浮かんだことがあまりに面白すぎて、他人にそれを話す前に一人でムフフ化してしまう、という困った癖があるのだが、そんなふうな妄想自家発電してもいいのよ。(注 2)

(注 2) 長年にわたり、くだらないギャグをしつこく言い過ぎたため、近頃は家人も秘書のおねいさんも僕の言うことをまったく聞いてくれず、現実逃避としての自家発電を余儀なくされているだけ、とも言われている。 ムキ−

・・・ というような話を秘書のおねいさんたちにしたら、「あのね、センセー。 おばちゃん・おばあさんたちは、お友だちと女同士で、もっとおしゃれなお店で、もっと楽しくおランチしてますから、ご心配なく」 とのこと。 そうだよなぁ。 男って、威張るし、怒鳴るし、汚いし、臭いし、粗暴だし、顔が怖いし、会社の肩書の話しかしないし。 そんな不愉快な生き物に付き合う義理はまったくない。 

*****

ブレードランナー2049」。 見てきましたよ。 レイトショー、7割がた外人さんで埋まった渋谷で。 隣の席では、刺青が入った背の高い白人の兄ちゃんが、けばいニポン人のねーちゃんを連れてイチャイチャしてやがる。 なんと、持ち込んだチューハイをこっそり飲んでるぞ、こいつ。 お、おまいら ・・・ 実にいい感じじゃないか! 一億点だ! ブレードランナーの世界観を渋谷で忠実に再現するなんて、あんたたち、サイコーだぜ! 

そして至福の160分。

雪が舞うエンディング。 こ、これは、35年前のロイの最期への答えだ ・・・

感動のあまり席が立てない ・・・ 
な、涙が (´;д;`)ブワッ 


映画の中身については何も語るまい。 語れるものなら何時間でも、いや、何十時間でも語りたいのだけれど、あえて何も語るまい。 本当はあの名作 「メッセージ」 も監督したドゥニ・ヴィルヌーヴのことや、めまいがするほど美しかった(過去形) レイチェルのことを語りたいのだが、心に留めおこう。

今はただ、僕らとともに時代を歩んだ、この素晴らしいおとぎ話に感謝するのみ。

あと35年もしたら、僕らはみんな tears in the rain。

2017-10-28

走れ サル的なヒト

先週は海外出張オスロへ行ってました。 北欧の国々は結構好きなのである。 おもちゃのようなかわいい街並み。 日本のようにコンビニやパチンコ屋の小汚い灯りがないから、夜は真っ暗になるのが良い。 パツキンの美人のおねいさんが街中にウジャウジャといるのも素晴らしい。

しかし今回の出張では、往路・復路共に相当な苦闘があったのである。 よくあることと言えばよくあることだが、往きも帰りも天候トラブルっていうのは結構珍しいかも。

*****

往きのトラブルは、もちろん、あの台風である。 私のフライトは、あの超大型台風が関東を直撃したまさにその朝。 前日から数時間ごとにフライト情報をずーっと見続けていたが、夜中になっても何の変更も掲示されない。 そんなわきゃないだろ。 関東直撃だぜ。

問題はフライトだけじゃない。 むしろ裏ボスは成田 である(笑)。 皆さんもご存知のとおり、あそこ、陸の孤島である。(注 1) 台風が来ると、都内から成田にたどり着くすべがなくなるのだ。 予約していた成田エクスプレスは前日の早い段階で運休が決まった。 おおっ、これが昔から有名なJRの根性の無さだ(笑)。 根性無しのJRは総武線在来線もすぐに止めてしまう。 となると、残された選択肢は、比較的根性があるといわれる京急スカイライナーか? でも朝暗いうちから日暮里までたどり着くこと自体にリスクがある。 山手線も時々止まるんだもん。 

(注 1) だから慎重な人は、フライト前日に成田入りして、成田泊するんだよね。 でもそれって外人さんには理解してもらいにくい状況だ。 今回の悪戦苦闘をオスロの友人たちに説明したが、ほぼまったく理解してもらえんかった。 「Narita って Tokyo なんだろ?」 と誰もが言う。 いや、成田東京じゃないのよ。

台風がうるさくてほとんど眠れない。 朝4時に起き出して航空会社のHPを見たら 「出発時間 2時間遅延」 がやっと出た。 あいやー。 予定していたアムステルダムからの連絡便は完全にアウト。 メールが届き、コペンハーゲンを経由した別ルートが提示されている。 それだとオスロ着は夜中の12時過ぎ。 ふぅ。 だが、着くだけマシか。

でも悲しんでる場合じゃない。 こっちの状況はそれどころじゃないのだ。 とにかく陸の孤島成田に到着せねば。 台風がまさに直撃しているこの状況で、家を出て、空港に向かわねば。

結局、渋谷からリムジンバスという経路を選ぶことにする。 まだ真っ暗。 大雨・強風の中、びしょ濡れになりながら渋谷のバス乗り場に到着。 チケット売場のおにいちゃんに 「成田にちゃんと着きますかね?」 と尋ねたら、「途中で運航を停止するかもしれませんので、それを承知でご乗車ください」。 「何時間かかりますか?」 と尋ねても、「通常は1.5時間、としか申し上げられません」。 

運を天に任せるとはこのことだが、もう知ったことか。 フライトに乗り遅れたら、「台風のせいで東京で船が難破したんですぅ」 とでも釈明すればよかろう。

・・・ という感じの往路だったのである。 結局、成田空港には無事到着したし、フライトにも間に合ったのだが、もうヘロヘロ。 成田空港北ウィングには人がまばらにしかいませんでしたよ。 機中では疲れすぎて、映画を3本しか見れなかったのであった。

*****

帰りのトラブルもまたお天気がらみ。 朝、オスロ市内から空港に鉄道で向かったのである。 市内は晴れ。 「今日は快適なフライトだね」 と思いながら、郊外の美しい光景を眺めていた。 ところが、空港到着まであと10分くらいになって、なんだか外の景色が見えにくいことに気づく。 

こ、これは ・・・ 霧である。 すごく濃い霧で、外の景色が見えない。 隣のホームの列車が見えないのだ。 うつ病患者には決して見せてはいけない映画 「ミスト」 の世界そのもの。

オスロ空港に着いたら、案の定、どうにもならなくなっていた。 次から次に、欠航、欠航 ・・・ たまに飛ぶ便があるが、前日に機体がオスロ空港に到着していた便らしい。 そう、ここ霧のオスロ空港は、離陸はできるが着陸はできない片道空港と化しているのである。 うーむ。 どうにもならん。

そうこうしてるうちに、私の乗る便も 「出発予定 25分遅れ」 と掲示が出る。 あ、やばい。 機体が着かないんだ。 もともとコネクションの時間が1時間しかなくて、大丈夫かよ、と思ってたのに、さらに状況は悪化。 35分でスキポール空港アムステルダム) でのコネクションに挑むのか? 自分。 それって引田天功並みの荒業だぞ。

ゲートのおねえさんが、追い打ちをかけるようにアナウンスで 「さらに1時間遅れる可能性もあります」 だって。 はぁー。 もう諦めよう。 期待するから悲しくなるのだ。 なーに、アムステルダムに追加で一泊するだけの話だ。 アムステルダムって、うちの学生のF君の故郷だし、ある意味素晴らしいじゃないか。 男性用の小便器の位置が高すぎるのが気に入らないが、そんな小さなことを気にしてる場合じゃないよ、サル的なヒト。

などと絶望的な気分になりながら、未だ真っ白な霧に包まれたゲートの外を見ていたのである。 そしたら、なんと、やって来たのですよ。 ゲートに来てくれたのですよ。 KLM の空色の機体が、ずんずんと。 うれしくて、じんわり目に涙が。 えらいぞ、KLM。 あんたはやればできる子だと前から思ってたよ。

12時15分、離陸。 空の上から空港を見たら、空港の周囲数キロはすべて真っ白な霧で覆われていて何も見えない。 この霧の景色、何かに似てるな ・・・ そうだ、カプチーノの泡だ! カプチーノの白い泡が空港をすっぽり覆っているのよ。 しかしまぁ、地上がまったく見えん白い泡の中に機長はよくぞ突っ込んできてくれたもんだ。 腕とシステムに自信があるからこそ、だろう。 JRの奴らに爪の垢を煎じて飲ませるべきかもしれん。(注 2)

(注 2) 後で調べてみたら、オスロ空港ってやはり昔から霧や雪の問題で困っているんだって。

2時間後にスキポール空港着。 連絡時間はわずか35分。 走る。 ただひたすら、走る。 これも皆さんご存知だと思うが、スキポール空港って相当にでかいのである。 おまけに途中でパスポートコントロールもある。 目を血走らして 「こ、こねくしょんがやばいんだぁ!」 と叫んで、fast-lane に入れてもらったのだが、そこでも長い列ができている。

後ろから割り込んできたおじさんが前の方でもめている。 「お、俺のパスポートを嫁さん・子供が持っていってしまったんだぁ! 母親の旧姓 (Maiden name) は言えるから、通してくれー!」 などと喚いて、オフィサーに連れていかれる(笑)。 うー、あんたも大変みたいだが、こっちも大変なんだ。 これ以上もめないでくれよぉ ・・・

パスポートコントロールを抜けて、さらに走る、走る。

・・・ 通路を行く人を押しのけ、跳はねとばし、サル的なヒトは黒い風のように走った。 ゲート前のバーで酒宴の、その宴席のまっただ中を駈け抜け、酒宴の人たちを仰天させ、犬を蹴けとばし、動く歩道を飛び越え、少しずつ沈んでゆく太陽の、十倍も早く走った。 一団の旅人と颯さっとすれちがった瞬間、不吉な会話を小耳にはさんだ。 「いまごろは、あの日本行きのフライトも、飛び立っているよ。」 ああ、そのフライト、その便のために私は、いまこんなに走っているのだ。 そのフライトを行かせてはならない。

急げ、サル的なヒト。 おくれてはならぬ。 愛と誠の力を、いまこそ知らせてやるがよい。 風態なんかは、どうでもいい。 サル的なヒトは、いまは、ほとんど全裸体であった。 呼吸も出来ず、二度、三度、口から血が噴き出た ・・・
(駄在治. 「走れサル的なヒト」 より)


ほぼすべての乗客が乗り終えたゲートに到着したときには息が切れて口がきけない状況。 でも、カウンターのおねえさんが、やさしく待っていてくれました。 ふぅ。

*****

というわけで、往きも帰りも大変な旅であった。 あまりに疲れすぎて風邪をひいてしまい、寝込んでしまった。 公開中のブレードランナー 2049 をまだ見ていないという体たらくである。 もう見たという人、ネタバレ厳禁でお願いしますよ。

D

2017-10-17

女性の言うことは、たいてい、正しい

女性の言うことは、たいてい、正しい。 52年の人生で学んだ貴重な教訓である。

*****

月曜日の朝。 雨がしとしとと降っている。 出勤しようとする玄関で家人が 「雨、結構降ってるから、防水靴にした方がいいよ」 と言う。 でも家にある防水靴って、実はごっつい雪用のブーツなのだ。 おまけにサイズが僕の足のサイズより2センチくらい大きいのである。 サイズが根本的に合っていないもんだから、履くと必ず足が痛くなる。 が、むろん貧乏人は、足に靴を合わせるのではなく、靴に足を合わせるが基本だから、足が痛くなろうとなんだろうと、我慢して履く。 でも、できることなら履きたくない(笑)。 そんな複雑な防水靴なのだ。

というわけで、家人が防水靴を勧めたにもかかわらず、ふだんのウォーキング靴で 「いってきまーす」 と出かけたのである。 なんとかなるさ、と愚かにも思ったのである。

が、家から50メートルも歩かぬうちに、つま先が冷たくなってきた。 さらに100メートルくらい歩いたら、靴底全体がねっとりと冷たくなって、さらに100メートルくらい歩いたら靴の中がガッポンガッポンの水浸しに。 あーあ。 絶望的に気持ち悪い。

このブログの熱心な読者ならご存知かと思うが、私が買う普段履きの靴は、例外なく、ほんの少しの雨でもなぜか盛大に水が入ってくるのである。 何回買い替えても、水が入ってくる不良品の靴しか入手できないのだ。 「10センチ防水」 とか銘打っているのに、である。 前世で靴職人に相当に根深い恨みを買っているのだろうな、自分。 すまんかったな、前世の靴職人さん。

大学のオフィスに到着。 べしょべしょに濡れた靴下を干す。 泥水まみれで、腐ったドブのような臭いがする。 この水分には、犬のおしっこやおっさんの吐いた痰の成分なんかがたっぷり含まれているのだろう。 異臭を感じて、秘書のおねいさま方は近寄って来ない。 靴にはティッシュを詰めたが、なかなか乾かない。

こともあろうに、月曜日には3つも講義を抱えているサル的なヒト。 講義中は靴を履かねばならぬ。 そんな規則はないけど、サンダル履きでの講義は自分の美学が許さんからな。

そうすると、必然的に次のような地獄の足臭サイクルに突入するのである。

(1) まだ腐った臭いのする湿った靴下をはき、まだ濡れている靴を履き、一コマ目の薬事関係法規の講義 (105分) をする。 靴下が再び水を吸ってビショビショになる。 足が異様に臭い。
   ↓
(2) オフィスに戻って、濡れた靴下を干す。 でも乾かない。
   ↓
(3) 45分後、再びまだ腐った臭いのする靴下をはき、濡れた靴を履き、二コマ目の大学院の講義 (105分) をする。 靴下が再び水を吸ってビショビショになる。 足が異様に臭い。
   ↓
(4) オフィスに戻って、濡れた靴下を干す。 でも乾かない。
   ↓
(5) 30分後、再びまだ腐った臭いのする靴下をはき、濡れた靴を履き、三コマ目の社会人向け講義 (180分) に参加する。 靴下が再び水を吸ってビショビショになる。 足が異様に臭い。
   ↓
(6) なんか薄ら哀しくて、目から悔し涙がこぼれ落ちる。

今回のRCのディスカッションでは、私からの批判的な突っ込みが妙に少なかったという印象を受講生の皆さんに与えたかもしれん。 その原因の一つが
「靴下がビショビショで、足が臭くて、なんだかとても哀しい気持ちになってしまっていたこと」
であったとしても、怒らないでいただきたい。 すべては、今朝、嫁さんの言うことをちゃんと聞かなかった私が悪いのだから。

*****

本の自炊を継続中。 昔ほどの勢いはなくなったが、それでも少しずつは本や資料をバラバラにして、pdf にして、本・資料をゴミ箱に捨てていく、という作業をコツコツと継続しているのである。 自宅の本棚も、大学のオフィスの本棚も、最近少しずつ空きスペースができた。 精神衛生上まことにすばらしい。

夢も希望もない真っ暗闇のこのご時世で、自分の夢を語るのはバカげてはいるのだが、実はサル的なヒトには壮大な夢があるのだ。 それは、こうやってすべての本を毎日少しずつ処分し、最後は自分の大好きな本1冊だけを枕元に置いて、死ぬこと。 「あぁ、とうとう俊介おじいちゃん死んじゃったね。 1冊の本だけを残して。 最後まで残したこの本には、いったい何が書いてあるのかしら?」 なんて遺族は深い思いを抱いたりするわけである。

あぁ、なんと素晴らしい死に方だろう。 方丈記鴨長明もかくあらんという日本人の最期の姿である。 断捨離の究極とも言える日本の美である。

・・・ という夢を、秘書のおねいさんに切々とドヤ顔で語ったのである。 そしたら、モノの道理というものが私よりもはるかによく分かっているその秘書さんは、深くため息をつきながら、こうおっしゃった。

「あのね、センセ。 毎日セコセコと大量の文書を32ギガのUSBメモリーに取り込んでサルのようにニヤニヤしている鴨長明がいったいどこにいるっていうんですか。 センセのやってることって、方丈記とか徒然草のココロとは真逆だってことに、もしかしてまだ気づいてないんですか?
┐(´ー`)┌ フッ 

・・・

・・・

・・・ ほらね。 女性の言うことは、たいてい、正しい。

2017-10-03

逃げよう。 社会の同調圧力から

またも不愉快な選挙の季節が来ましたね。 少し前にも書いたが (これね → ついでにベーコンもくれよ - 小野俊介 サル的日記 )、勝った、負けたと運動会の幼稚園児そっくりになるんだよな、ニポン人。 国民を煽ってメシを食うTVキャスターは興奮し、盛大に唾を飛ばす。 アンタの口、臭うぜ。 Your mouthwash ain't making it. (注 1)

(注 1) 言わずと知れた Dirty Harry の名台詞。

政治家のレベルは、その国の国民のレベルと同じ。 僕たちはあの程度のサルなのだという厳然たる事実を目の前で見せつけられると、情けなくて涙が出る ・・・ あ、オレはサルだから泣くことないのだった (笑)。 それにしても、なんだよ、「改革保守」 って。 豊洲から噴出するガスで頭がボーっとしちゃったのだろうね。 かわいそうに。 もはや失笑する気も起きない。

右を見ても左を見ても、日本全国津々浦々、「かいかく」 を唱える改革バカばっかり。 「古い体制をリセットします!」 と叫ぶリセットバカも目につきますね。 リセットしてどうすんだよ。 自分たちと同程度のミジンコあたりから進化をやり直すつもりだろうか。

こういう人々って、新薬1個出すだけで 「いのべーしょん」、病院をネットワークでつないだだけで 「くりにかる いのべーしょん」 などと、イノベーションの価値をダダ下げている医薬品業界人 (産官学すべて) と同じ臭いがする。 最近の政府方針にやたらと出てくる 「真に有効な医薬品」 といった意味不明の表現も同類ですね。

むろん皆さん気づいているだろうが、ここ数十年のお役所・お役人も、今の政治家と同じレベルの改革好きである。 お役所のポンチ絵を思い出してごらんなさいな。 ここ数十年のどんなポンチ絵にもすべて、「現状はダメで、それを改革するために新政策が必要」 って必ず書いてあるでしょ? そんなわきゃーない (笑)。 油断してると、私たちの歴史も、文化も、財産も、健康も、みーんな改革と称して粛清され、更地にされ、おまけにそれらがどこかの企業や学部新設を狙う大学に売り渡されかねない気配。

政治家の皆さん。 あんたたちは改革なんかしなくていいから。 なにもするな。 な。 北朝鮮からのミサイルを迎撃するシステムの予算をつけてくれさえすれば、あとはうたた寝したり、文春砲の的になってくれていれば、それでいいから。

お役所の皆さん。 会社の皆さん。 個人事業主の皆さん。 すべての働く皆さん。 こんなご時世だからしっかり頼みますよ。 ふらつかないでね。

*****

少し前のハフポストにとても素晴らしい記事が。

「逃げよう。自分を縛り付けるものから」が新しい地図。私たちにとっても。

タコ部屋から解放された元SMAP の3人の笑顔を見ていると、少しワクワクしてくる。

そうなのよ。 人生において大切なのは、すべての人にやさしく尽くすこと、そのためには イヤなことから、そして、イヤな奴らからは逃げること。 イヤなヤツらを攻撃したら、自分がイヤなヤツになってしまう。 そうならぬように、逃げる。

精神論において、だけではない。 物理的にも逃げることは大切だ。

私は、街中でイヤな奴が向こうから来るのに気づいたら、クルッと進行方向を変えて、顔を合わせない方向に逃げる。 進行方向前方にイヤな奴の後ろ姿を見つけたら、別の路地に入って違うルートを選ぶ。 それが一番。 だって、その手のイヤな奴らって、こちらがいくらニコニコと 「こんにちは!」 って挨拶して下手 (したて) に出ても、増長するばかりでまともなヒトになんかなりはしないんだもの。

業界の集会や学会の会場でもそうですね。 そういう会場って不愉快な威張りん坊ジジイの巣窟。 せっかくの楽しい気分・向学心が、威張りん坊ジジイ・ババアと会うと台無しになる。 だから顔を合わせないようにするのが一番。 逃げよう。 ただ、警戒していても、トイレの出口なんかでばったり出会ったりするんだよなぁ。

こっちが逃げていても、イヤな奴らの方から接近して絡んでくることもある。 下手に出ることが分かっているヒト、目下、格下、若手、部下に嫌味 (本人はアドバイスという) を言って、いい気分になろうとするおっさん・じじいたち。 奴らの本能みたいなもの。 僕自身にもそうした性向があることは自覚してるが、それって死なない限り治らない。 だから逃げよう。 僕のことが嫌いな人たちは、僕からちゃんと逃げてね。 追いかけないから安心して (笑)。

会議なんかの、逃げようにも逃げられない場での陰湿な嫌味攻撃はもうサイテーである。 「小野センセーの言うことは難しすぎて私どもには分からない」 「小野さんのご高説はともかくとして・・・」 だのとヘラヘラと愛想笑いをしながら、お前は黙っておれ、という圧力をかけてくる。(注 2) 私に発言させたくないのなら、そもそも会議に呼ばなきゃいいのに、きっちり会議への招集はかかるのが機能不全のニポン社会そのもの。 こりゃ戦争には勝てんわな。

(注 2) 発言を封殺されるのは、怖い顔で恫喝されるとすぐ涙目になる私のような弱気なサルだけね。 お役人様、大御所のじいさん、すぐに頭に血が上って怒鳴り声になるおっさんたちの口をふさぐほどの度胸はなかったりするのが情けないぞ、ニポン人(笑)。

そういうわけで、とりあえず、逃げよう。 不愉快なおっさんとは顔を合わすな、口をきくな。 ニポンの会議の99%は出る必要がないので、テキトーな理由で欠席しよう。 イヤなヤツからのメールは 「ゴミ箱に直行」 という設定に。 職場の話、仕事の話、出世の話しかしないおっさん連中の飲み会には出てはいけない。

このくらいの防御策をとって、心の平静がやっと少し保たれるのが今のニポン社会。

*****

もっとも、改革バカを毛嫌いするあまり、昔はよかった病にかかってしまってはいけない。

会社苦いかしょっぱいか: 社長と社員の日本文化史

会社苦いかしょっぱいか: 社長と社員の日本文化史

サラリーマンうつ病にかかっているのは大正時代から変わらない、とか、他社の情報を盗んで捕まっても 『運が悪かったね』 で済ますニポン文化は昔から変わらないことなど、「昔はよかった」 を話の前提にするユルい方々には目からうろこエピソード満載。 おすすめです。

2017-09-20

残暑

夏の終わりである。 おっさん、おばさんも、おセンチになってよいのである。


ずっと あなたの声が 去年の恋が
うたいながら 光りながら 耳をかすめた

ペダルをこいで 並んだなら
しばらくそばにいて

・・・ 昭和のおっさん、おばさんたちよ。 ほれ、泣きなされ。 思う存分、泣きなされ。 過ぎていった若き日の恋を思って、泣きなされ。 遠慮することない。 ここはサル的な国。

D


あなたの声に 去年の恋に
立ち止まって 涙ぐんで 季節を知るの

そんな暦を ありがとうと いつしか伝えたい

・・・ あーあ。 今年の夏も終わったのだ。

*****

どうも最近、よく眠れない。 よく眠れないという表現は生やさしいな。 状況ははるかに悪い。

悪夢を見る。 いろんなパターンがあるのだが、一番多いのはゾンビが出てくるヤツ。 外はゾンビで溢れかえった世界。 僕は部屋の中にいるのだが、なぜかそういうときに限って部屋の窓のカギがかかってないのよ(笑)。 「なんでカギをかけていないんだよ、もうっ!」 と怒りつつ、カギをかけようと窓に近づくと ・・・ バンッ!! と窓が開いて、青白いゾンビさんがこんにちは。 「う、うわぁ!」 と大声をあげて目を覚ますわけである。 全身がイヤーな寝汗でぐっしょり。

皆さんさ、頼むから夢の中の世界でもドアや窓の戸締りはきちんとしてくれよな。 おまいらがちゃんと戸締りしないから、俺が夢の世界で苦労するのだ。

でも先日見た夢では、なぜか部屋の鍵が部屋の外についていたっけ。 「一体それで、カギがカギの役割を果たしているのか?」 などと冷静に突っ込まないでほしい。 夢の中ではそうだったんだから仕方ないのだ。 その時も 「もう、こんな非常時にドアのカギをかけないとは何事だ!」 と、恐る恐る部屋を出てドアに南京錠をかけようとしたその時、バンッ!! と出てきましたね。 ゾンビさん。 例によって 「う、うわぁ!」 と自分の悲鳴で目を覚ましたのだが、 「南京錠でドアにカギをかけた後、どうやって部屋の中に戻るつもりだったのか、自分?」 は、永遠の謎のまま話は終わってしまった。

部屋に入ってきた小さなチビゾンビをプラスチック製の塵取りで必死で押し返した夢も見たなぁ。 あのときの感触は今も右手に残っている。

・・・ とまぁ、こんな地獄絵図に毎晩のように出会っているサル的なヒト。 52歳、男性。 どう? タダで映画が毎晩見れるのだから、うらやましい? ストレスチェックという子供だましのテストを受けると、毎回 「アンタ、お医者さんに行きなさい」 という診断が下されるが、診断・治療を受けたところでストレスの原因たる環境はなーんにも変わらないだろうが。 けっ、くだらねぇ。

*****

しかし、そんな私にも救いの神は存在するのだ。 それはラジオ深夜便。 そう、天下のNHKが誇るニポン最強の深夜放送である。 なんたって、一年365日毎晩、夜11時頃から朝の5時まで、途切れることなくラジオから生放送 (部分部分はもちろん録音だけど) でアナウンサーのおじさん・おばさんの声が聴けるのである。(注 1) 明石勇アナ、森田美由紀アナといった錚々たる顔ぶれのアナウンサーが、眠りが浅い高齢者にも、悪夢にうなされて悲鳴を上げて全身汗ぐっしょりで飛び起きたサル (52歳) にも、淡々としたあのNHKボイスで 「明日のお天気概況です」 と生で語りかけてくれるのである。 「まぁアンタ、落ち着きなさいよ。 ゾンビはこの世界にはいないみたいだから安心して」 と語りかけてくれる。 これを天の恵み angel of mercy と呼ばずして何と呼ぶ。

ビバ、NHK! 受信料バンザイ! とここに断言しておこう。

(注 1) 民放はダメである。 あいつら、日曜日の夜とか、放送止めちゃうんだから。 ゾンビが最も出やすい時間帯なのにね。

ところが先日。 いつものように悪夢にうなされて目を覚ました午前3時50分。 当然まだ真っ暗である。 ドキドキが止まらない。 なんかの発作が起きそうな予感。 や、やばいぞ、これは ・・・ と思って、あわててラジオ深夜便をつける。 いつものように女性アナウンサーの落ち着いた声が聞こえてきた。 ホッ。 少し安心して番組に耳を傾けていたのだが ・・・ むむ? 何やら様子がおかしい。 なんなんだ、この番組の息苦しさは? 気持ちが全然楽にならん。 ただひたすらに胸が苦しくて、放送内容がまったく頭に入ってこない。

脂汗流しながらじっと我慢して聞いていたら、女性アナウンサーから番組の締めが。

「えー、この時間は 『自殺は罪?』 というテーマで自死遺族会の○○代表にお話をうかがいました」

・・・

・・・

じ、時間帯を考えてくれませんか、NHKさん。 受信料もう少したくさん払いますから ・・・

*****

とかなんとか言いながら、馬鹿ザルは相変わらず悪夢を追い続けるのだ。 それもとびっきりの悪夢を。 まったく懲りていないぞ。 リドリー・スコットの最新作 「Alien Covenant」。

D

見終わった後の後味の悪さはエイリアンシリーズの中でも本作がNo.1かもしれん。 さすがはスコットじいさん (80歳)、夢も希望もないエンディングはもう最高である。 今後この続編が何作か登場するそうなので期待できるよね。

つまりは、おすすめです。 点数は5億2千万点かな。 見るべし。