小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

クリント・イーストウッド礼賛

クリント・イーストウッドを語り始めると、長くなる。 何回かに分けてやります。 なぜ急にイーストウッドか? 最近イライラすることや理不尽な人ばかりに出会うので、虚構の世界に自分のまともな方の魂を逃避させないと、正気ではいられないから。 アホくさくてバカげた現実の世界には、出来損ないの、いい加減な方の魂を置いておけばいいや。

さてイーストウッド。 最近の作品もむろん素晴らしいのだが、やはり楽しいのは髪の毛がフサフサしていた頃の作品。 ダーティハリー Dirty Harry シリーズなど。 最近では、共和党大会での独り芝居が、まるで耄碌(もうろく)したじいさんのようだ、と酷評されたりしているが、そんなことではイーストウッドファンは減らない。 ジジイになってもカッコ良い男って、そうはいませんね。 日本だと、タメはれるのは高倉健笠智衆くらいなもんか(タイプ違いすぎか(笑))。

カッコいい台詞は山ほどあるが、私にとってのピカイチはこれかな。 警察組織のはみ出しモノ、イーストウッド演じるハリー・キャラハンが、例のしかめっ面で、お役所組織のアホ上司(ここでは市長)を一蹴する様は、いつ観てもすっきりする。 予算要求時期に、財務省の暗い廊下で積算根拠の資料なんぞを持って、何時間も待たされたことのある役所の方々(含む自分)や、深夜の病院の真っ暗な廊下で(意地悪して)会ってくれない医師や治験事務局職員を待ち続けた経験のあるМRさんやモニターさんなら、この台詞に快哉を叫びたくなるよね。

ダーティハリー Dirty Harry(1971) 市長室にて:

市長: じゃあ聴こうじゃないか。
ハリー: 聴くって何を?
市長: 君の報告だよ。 今まで何をしてたんだ?
ハリー: はぁ、今まで45分ほど、このオフィスの外で自分のケツの上に座って、あんたから呼ばれるのをじっと待ってましたよ。

Mayor: All right, let's have it.
Harry Callahan: Have what?
Mayor: Your report. What have you been doing?
Harry Callahan: Oh, well for the past three quarters of an hour, I have been sitting on my ass in your outer office, waiting on you.

ダーティハリーの二作目では、腐敗したキチガイ警察官グループ(つまりハリーの同僚ね)と対立して、命を狙われるという状況に置かれるのだが(我々のまわりでも、こういう状況ってよく起きるよね ・・・ ん、そんな経験ない? そりゃあんた、運が良かったか、あるいは、何も仕事をしてないってことだよ(笑))、一人また一人と悪い警官を退治し、ラスボスとして最後に出てきた警察の上司を、文字どおり木端微塵にしてくれる。 その時の台詞。

その上司は暴力嫌いのインテリ野郎で、普段から自分に従わない頑固で粗暴な部下であるハリーに嫌味のオンパレードを浴びせていたから、次の台詞が生きるわけだ。 知りもしないことを知ってるような顔をしてエラそうにしてる(という自覚のある)ニッポンの上司の皆さんは、少しドキドキしましょうね。 部下は、あなたの能力レベル、しっかり見抜いてますよ。

ハリー: (爆発した車に向かって) 慣れないことをするから、こうなるんだ ・・・(注)

Harry: A man has got to know his limitations ....

(注) 「ツキってやつは、いつかは落ちるもんさ」 という翻訳もある。

これらよりも、もっと有名なのがダーティハリー(1作目)のこの台詞だが、有名になりすぎたので、紹介だけ。 YouTubeにあがっているから、見たことのない方はぜひどうぞ。 しびれます。

(撃たれて倒れているが、まだ諦めていない黒人の銀行強盗犯に44マグナムの銃口を向けて)

ハリー: お前が何を考えてるか当ててやろうか。 「こいつが撃ったのは5発か6発か?」だろ? 俺も銃撃戦で興奮しすぎて、何発撃ったか忘れちまった。 この銃は44マグナムっていう世界で一番強力な銃だから、お前の頭をきれいに一瞬でブッ飛ばしてくれるぜ。 だから、お前が自分に問うべきなのは「俺って苦しまずに死ねてラッキーか?」だ。 さあどうする、クソ野郎?

Harry Callahan: I know what you're thinking. Did he fire six shots or only five? Well, to tell you the truth, in all this excitement, I've kinda lost track myself. But being as this is a .44 Magnum, the most powerful handgun in the world, and would blow your head clean off, you've got to ask yourself one question: 'Do I feel lucky?' Well, do ya punk?

Dirty Harry: Do I feel lucky?

今後、「この阿呆どもと仕事なんぞやってられるか!」という感じのイライラ状況に陥ったら、今日のブログを思い出して、上の YouTube をクリックすると良いですね。