小野俊介 サル的日記

いや、その、サル的なヒトだから・・・

役得なんて、クソくらえ

♪ 東京駅に着いたその日は わたしおさげの少女だったの
胸ポケットに膨らむ夢に わたし買ったの 赤いハイヒール
・・・
アラン・ドロンと僕をくらべて 陽気に笑う君が好きだよー ♪

最近、通勤時には昔のいわゆる歌謡曲フォークソングを聴くことが多いのだ。 近頃のどーでもいいようなにぃちゃん・ねぇちゃんが歌っている曲はまったく心に届かないもので。 一言でいえば老化ですね。

で、今朝は太田裕美である。 「木綿のハンカチーフ」、「雨だれ」、「9月の雨」、「南風」、そしてこの 「赤いハイヒール」。 うーむ、懐かしくてジーンとくる。 しかし、冒頭の歌詞を呟きながら、アレ? と思ったのである。 

この曲を最初に聴いたのはたぶん40年くらい前。 その時からずっと、(この純朴な女の子を好きな) 男が「アラン・ドロンと僕をくらべてよ! ねぇ、どっちがイイ男?」 なんて冗談を言って、元気を無くした女の子を笑わせている光景だと思い込んでいた。 が、今朝になってふと、その解釈は間違いだと気付いたのである。 「アラン・ドロンと僕をくらべて」 いるのは、女の子の方なのね。 女の子が、男をからかって冗談を言いながら笑っていて、それが男から見ると 「かわいいなぁ」 という光景。

あいやー。 40年モノの思い違いだ。 僕らの人生、何事につけ、こんな思い違いばかりなのであろうな。 まぁいいさ。 ほとんどの思い違いは、解消されないまま記憶の澱みに沈み、最後は焼却炉で白い煙になる。

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舛添先生が盛大に攻撃されている。 どうやら日本人はみんな舛添先生が嫌いらしいな。 私にとって、舛添先生は国際政治学の講義を受けた尊敬する大先生であり、何が起ころうとも学問の師であることに変わりはない。

1980年代、ミッテランが政権をとった頃だった。 フランスという国の政治はとても難しい。 ステレオタイプな 「左と右の対立」 といった単純な構図で説明するのは危険で、歴史・文化、そして経済 (当時もグローバル化の問題が影を落としていた) のあらゆる側面を踏まえないといけないよ、というような講義であった。 「フランス人って相当にタフでややこしい奴らだぞ」 ということ。 ♪ オー、シャンゼリゼ― ♪ などと歌っている場合でないことは、バカ学生だった私にも十分理解できた。 政治学という学問の奥深さを垣間見せてくれた素晴らしい講義であった。

最近の舛添問題を論じるテレビを見ていて驚いたことがある。 それは、僕とは全然違う人たちだと思っていたニポンの皆さんの多くが、僕ととても似ていたこと。 ほとんどのニポン人は、清廉潔白で、金銭的に潔癖で、アンフェアな役得を良しとしない、反腐敗の人たちなのね。 なーんだ、知らなかったよ。 僕なんかアホだから、いわゆる役得 (ふんぞり返ってエラそうにできることを含む) がほとほと嫌になって自分から役人を辞めてしまった口だし、今だって100%ボランティアの 「完全無料出張講義」 なんてものが楽しくて仕方ない変人なので、そんな自分と同じ価値観を持ったニポン人がこれほど多いとは新鮮な驚きなのである。

気に入ったぞ、汚い役得嫌いのニポン人たちよ! 嬉しいから、そんなニポン人たちに、これまでずっと隠蔽されてきた極秘ネタをリークしてあげよう。 しーっ、公安に聴かれると危ないから、小さな声で言うよ。 それは 「日当」 ってやつだ。 「にっとー」 と読むらしい。 

どうやらニポンでは、公務員や企業のサラリーマン連中が出張のたびに、給料とは別に 「日当」 という金をコソーリと封筒でもらって、ポケットに入れてるらしいぞ。 知らなかったでしょ? なんでも、出張した旅先では、ふだん家で食べるよりもメシに金がかかるから、その分を役所や会社が補填するという屁理屈らしい。

おまえら、自分ちの田畑に自分の肥を撒いて作った麦と大根を食ってた江戸時代の住人かよ。 大笑い。

今時、コンビニで弁当買えば日本全国どこでも同じ金でメシなんぞ食える。 東京人は知らんだろうから教えてやるが、うちの四国の田舎のスーパーで惣菜・弁当買うと、東京よりもずっと安くてうまいぞ。 逆にお金が浮くほどだ。 「新幹線の弁当は高い」 だって? アホか。 新幹線乗る前にコンビニでおにぎり買えよ。 「現地でのバス代なんかも含まれている」? そんなの実費精算すればいいじゃないか。 都内ではそうしてるでしょ?

いや、それ以前にだな、サラリーマンのあんたたちさ、メシとクソは日本中どこにいてもする だろうが。 なんで余計な金をもらわなきゃいかんのよ。
 
汚い役得や余禄を嫌うニポン人の同士たちよ。 ニポンのサラリーマンたちをこのまま放っておくと、そのうち調子にのって、「旅先の慣れない便器でウンコすると、お尻に負担がかかって切れ痔になりやすいのよ。 その分の追加の医療費ってことで、日当くれよ」 とか、「出張先で排便すると、ふだん使ってない紙で拭くから、パンツに汚れが付きやすいのよ。 洗濯代、補填してよ」 とか言い出しかねないよ。 いや、マジで。 忌々しき事態だとは思いませんか。

そもそも多くの日本人サラリーマンにとって、出張にいけること自体が役得なんだもんね。 海外出張はなおさらだ。 たとえば ICH だの DIA だので、税金や手数料や会社の金で海外出張に行けて、いいホテルに泊まって、豪華なタダメシにありつけるのは、誰がどう見ても完全に役得の世界である。 海外出張に行けない同僚たちが、心の中で 「けっ、あいつら何が 『もう海外は疲れた』 だ。 あいつらばっかり楽しい思いしやがって」 と妬むのは至極当然のこと。 さらに加えて日当を払うなんて、泥棒に追い銭とはこのことだ。

ほれ、みんな、舛添先生をいじめてる場合じゃない。 明日から 「日当」 撲滅キャンペーン始めよう! あんな不当な汚い金をもらっている特権階級の連中をつるし上げようぢゃあないか! ・・・ あ、あれ? みんなどうしたの? 顔色が悪いよ? どうして腰が引けてるの? 僕と同じ、反腐敗の闘士ぢゃあなかったの? 変だなぁ (棒)。

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映画 「オデッセイ」。 細菌がいない、死んだ火星の土を、農耕可能な生きた土に変えるのに、主役のマット・デイモンが鼻に耳栓を差し込んで、廃棄されていた同僚のウンコを撒くシーンが印象的。 なんてったって、監督があのリドリー・スコットだもの。 目をつぶってでもおすすめですよ。

なんか今日の記事はやたらとウンコだったな。 正直すまんかった(笑)