ソマリアの海賊をソロプレイする

「北米の決断」に続いてソロプレイしてみました。これで、今年の洋雑誌の付録ゲームのプレイ個数が二桁に届きました。我ながらビックリです。年末休暇中にもう1個くらい消化できないかと野望を燃やしていますが、それはまた別の話し。
ソロプレイした感想として、非常に独創性が高くて最初は何をして良いのか判らないゲームと思いました。
ゲームは圧倒的な最新鋭兵力を有する多国籍軍と、海賊との戦いです。
ですので、通常のウォーゲームのような戦い方はしませんし、そういう判断基準で勝敗を争うのも適切ではありません。で、登場したのが新概念であるネットウォーポイントです。a−gameさんの和訳で一部ネットワークポイントと誤訳されていますが同じものです。
ネットウォーポイントは、非正規戦争での戦争の成果を測る概念として定義されたものです。具体的には何を表すかと言うと難しく、ざっくり言って戦果を表します。
当然のことですが、海賊の目的は多国籍軍と正面切って戦うことではありません。海賊は、地元に勢力圏を存続させることと、海賊行為を働くことでネットウォーポイントを獲得します。
他方、多国籍軍は海賊活動地域であるマップの拠点を占拠すること、海賊部隊を撃破することでネットウォーポイントを獲得します。
まともな戦闘になってしまえば多国籍軍は圧倒的に強いのは自明です。しかし、海賊は一般漁民に混ざって活動しており、それを識別することが問題になります。このため、ゲームマップの各エリアにはそれぞれに潜伏ボックスがあり、海賊はもっぱら潜伏ボックスで雌伏することになります。この潜伏ボックス内を通常部隊で通常攻撃するには、専用のチットを消費する必要があります。
ネットウォーポイントは勝利得点になっていると同時に、部隊の増援や再編、チットの購入などの通貨になっています。このため、収支バランス、相手とのバランスを睨みながら使い方を考えることが必要です。その意味で、メタゲーミングのマイクロシリーズに良くあったお買い物ゲーム的な色彩が強くなっています。お買い物ゲームは、作戦の幅が広く、実際にプレイして面白い物が多いのですが、そういう意味で本作もなかなか興味深くできています。ただ、初見だと相場観が見えないので、何をして良いのか非常に難しいです。
また、多国籍軍は名前の通りに多国籍ですが、異なる国籍では共同移動や共同攻撃が原則としてできません。このため、ポイントに任せて各国をどんどん動員しても使い勝手があまり良くありません。必然的に米国中心になりますが、なんと米国海軍と米国空軍は別組織扱いになっていたりします。他にはNATO、中国あたりが有力です。
海賊側としては潜伏していれば安全ですが、ネットウォーポイントを取るには拠点支配するためにオープン状態に出て支配しなければならず、海賊行為を働けば必然的にオープン状態になります。とは言え、ネットウォーポイントがないと増援も得られませんし、そもそもゲームに勝てません。ですので、どこでどの程度のリスクを許容してアクションを実施するかが悩み所です。もちろん多国籍軍は海賊のアクションを厳しく追及すると同時に、ポイントに余裕があればチットを購入して、必要なチットが得られれば海賊のサンクチュアリを強襲することも視野に入れます。
旅団長さんの所で本作を褒めていましたが、なるほど興味深い作品です。ディスタントプレインもそうですが、現代非正規戦の最前線に位置する新システムの作品で、この後にデシジョンイラクホーリーランドと同システムの発展形が続いているのも頷けます。