☆不安定な時間を読む

bqsfgame2016-06-12

サンリオSF文庫です。
フランスSFです。
ディックの「ユービック」の影響下にあると解説されていますが、なるほどと思います。
時間溶解剤を飲んで時間感覚が失われ、無限に繰り返す状況から抜けだせなくなる内世界。
しかし、その繰り返しの中で、少しずつ毎回状況が変化していき、それは主人公を内世界から救出しようとするガリシャンカール病院と、主人公を捕らえて利用しようとするHKH工業帝国の確執だという。
不安定な印象が良く表現されているが、それでいてストーリーの破綻などはなく無事に終結する。その意味で完成度も申し分ないと思う。
20年以上も経っての再読だが、今もなお新鮮さは薄れていない。ちなみに本作は四部作の第一部だそうで、「熱い太陽、深海魚」が第三部だそうだ。そうだったのか。