BNPパリバ『サブサハラアフリカにおけるファイナンシャルインクルージョン』

BNPパリバ(フランス本国)のシニアエコノミストの方による文献をご紹介いたします。


L’inclusion financière en Afrique Sub-Saharienne(PDFファイル)


サブサハラアフリカ(ASS: l'Afrique Sub-Saharienne)の活発な成長のためには、輸出や公的投資よりも、その域内市場(le marché intérieur)を発展させることが望ましいという認識のもと、ファイナンシャルインクルージョンに光が当てられています。


送金・預金・与信・保険からなる基礎的な金融サービスへのアクセスは、多くの人々を対象とする経済的・社会的インクルージョンを実現するための鍵として期待されております。

その一方で、農村部の人口が大規模に散在していることや、形式的な本人確認の手段が不十分であることが原因で、銀行が提供するサービスの利用は限定的なものに留まっているのが現状であり、女性・貧困層・若年層に加え、農村部の人々や教育を十分に受けていない人々のあいだでこの傾向は顕著であるようです。

このように、伝統的な銀行の支店(les succursales bancaires classiques)が利用しづらいところで、インフォーマルな金融を利用せざるをえなかった貧困層や低所得層にサービスを提供するものとして、マイクロファイナンスとモバイルバンクが取りあげられています。



現行のファイナンシャルインクルージョンの水準は、マクロ経済上の結果を生むにはまだ弱いものの、ミクロ経済上の結果に関しては実証的(positifs)であるとのべられています(p. 20)。

旧来の銀行サービスを代替するものとして、マイクロファイナンスとモバイルバンクが同列にあつかわれているところには疑問も感じますが、開発業界の方ではなく、銀行のエコノミストという立場の方がファイナンシャルインクルージョンに着目した論考として、興味深く読むことができました。

2014年8月に著された文書であり、著者の動向には今後も注視していきたいと思います。