東京brary日乗

旧はてなダイアリー「東京brary日乗」から移行しました。2019/2/28

未来の東京

しばらく前、必要があって丸の内の丸善に行ったら、東京駅はどこかわからないほど変わっていた。東京都心はオリンピックに向けて長らく工事をしていた。

丸の内口を出ようと思ったのに、知らない未来的な駅になっていて、人がまばらなので外国の再開発都市のようである。

そのあと頭痛の薬をもらうために銀座に行くと、銀座の地下も知らない未来的な駅になっていた。観光の人がたくさんくれば機能した何かが、機能していない。銀座とはもうだいぶ長くつきあってきたが、引っ越したのとコロナとオリンピックが一度にきて、風景は絶たれている。未来はないのに未来的である。ほかの選択肢はノスタルジーしかない。

前のオリンピックのとき、人は何を思ったのか考える。

 

 

 

 

Goodby、Ponta

村上"ポンタ”秀一、2021年3月9日逝去。

 

再掲「猫の夜会ライブラリー」

AUTHOR: brary
TITLE: 自暴自伝/村上ポンタ秀一/文藝春秋
CATEGORY: texted by brary
CATEGORY: 書籍・雑誌

DATE: 01/12/2005 08:14:40 PM
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私も若い時分、人並に「音楽こそ人生」のときがありました。僅かな小遣いですから、LPやコンサートは大イベントで、毎日エアチェック。しまいには蓋がしまらなくなってしまったラジカセをセロテープで固定して。そんな私の日々が、村上ポンタの『自暴自伝』の中にありました。興奮のあまり、3時間で読破。極私的な喜びですので、興味のない方には全然ないと思いますが。(続き、読まなくていいです。)
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村上ポンタは日本を代表するドラマーです。活動範囲は広く、ジャズから歌謡曲まで物凄い数をこなしています。
ボーカリスト、ギタリストなど、好きなミュージシャンは何人かいた(いる)のですが、同じ人を最初から最後まで好きとは限らない。この人はこの時代がよかった、というような評価が私の中にある。それがポンタとドンピシャだった、というのが最大に興奮した理由です。

五輪真弓なら70年代前半。
山下達郎は「It's a poppin' time」から「Ride on time」まで。(Ride on~以降と以前がある。)
山本潤子は別格。
吉田美奈子。デビューからずっと同じ姿勢で唄いつづける、日本最高の女性ボーカリスト
深町純は凄いけど硬い。
○高中はだるい。
高橋幸宏はドラマーとしては「テケテケ」だが、「サラヴァ!」はいい。
渡辺香津美「マーメイド・ブールヴァード」の新しさ。KYLYNとカクトウギ・セッションのこと。
佐藤博のアレンジ。
大村憲司

1970年代の終わりごろから1980年に入る頃まで。フュージョンがジャンルになってしまう前の、本当の意味での「クロスオーバー」が行われている頃の音楽シーンは、ドキドキするぐらいエキサイティングでした。アメリカのミュージシャンと日本のミュージシャンが当たり前みたいにセッションを始めたのもこの頃。この辺の流れ、佐野史郎が詳しいんだけど。(多分一晩語り明かせると思います。)

読み終えて思ったのは、思えばいつもポンタがいた、ということ。シュガーベイブが好きで香津美が好きで、アルバムは当然フィーチャーされるミュージシャンのものだけど、変遷を辿れば変わらずいるのはポンタだった。私はもしかしたら、村上ポンタ秀一のファンだったのかもしれないと思うのでした。ホントごめんなさい、極私的で。でもどうして文春から出たのかなあ。しかもA5ハードカバーの1800円。(texted by brary)
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島津山の図書館

故あって、清泉女子大学図書館に行く。

清泉女子大は島津山の島津家屋敷跡地にある。公爵邸だから、エントランスは緑に囲まれた美しいカーブのアプローチになっていて、外から建物はみえない。守衛所で自転車を止める場所を尋ねたら、入ったところにもあるしその辺でもいい、ととても鷹揚だった。

キャンパスは非常にこぢんまりしており、案内図上で一番奥にある図書館は目の前にあった。清泉女子大の学生は1800人ぐらいしかいない。しかし、ほかにあまり所蔵していない私家版の資料があるのは、その本に関わりのある先生が在籍していたからである(推定)。

一台しかないコピー機で資料をコピーして帰ろうとすると、利用は午前と午後に分かれていて、午後に又来るか尋ねられた。きょうは来ないが、あまり使われていない小さな図書館は、かつて愛していた越中島の図書館に似ていて、また来るかもしれないのだった。

 

 

さらばアルマックスG

この冬、愛車ミヤタアルマックスGに別れを告げたのである。

今の家に越してきて、屋内駐輪場ができたのはよいが、隣り合う大型自転車群の圧に負けて泥除けが歪み、ついにはブレーキが怪しくなった。かつてなら迷わず修理したが、考えたらもう13年も乗っている。よる年波で、足をのばすとつることもあり、思い切って買い替えることにした。ミヤタ自転車はもうずいぶん前に、アルマックスの製造を中止して、いまはステンマックスに変更している。

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新車はブリジストンのベガスである。

そしてミヤタアルマックスGと別れる前の日、林の森に行って写真を撮った。ミヤタアルマックスとともにあった日々は、最良の日々であった。

ありがとう、アルマックスG。

 

ひばスプレー

これを開いて気がついたが、今日は祖父の命日である。ということは、明日は義父の命日である。
敷き詰めになっている部屋のカーペットをすこしさっぱりしたいと思い、クリーナーの類を調べたらあまりいいのがなかった。ねこがいるので、あぶないものは使えない。雑巾で拭くことにして、精製水とキレイキレイを半分ずつに、最近300円ぐらいで購入した「ひば油」を2,3滴おとしたのをスプレーにした。「ひば油」は虫除けになるらしい。たたみと床も同じので拭くと、全体的にさっぱりした。

NHKの橋本さん

わたしの好きな池田達郎アナウンサーは、この春から名古屋に行ってしまったのであるが、しばらく前から首都圏ネットワーク橋本奈穂子さんを楽しみにしている。橋本さんは、コンビになっている若い男子アナウンサーが何か読んでいる間、粗相をしないかどうかいつも厳しく見張っている。そして青年がやりおおせたあと「よし」と頷く。毎日やっている「ストップ詐欺被害 私は騙されない」のコーナーでは、こわい顔のままなのが効果的である。天気の檜山さんとのやりとりでは、おっちょこちょいなところを発揮している。最後に「ニュースを短くお伝えします」と言うときの「短く」には、ちょっとウインクをしているような感じがある。
橋本さんは、はなやかな美人である。

箱根の出来事

祖父の代からある箱根の土地(のうち郊外の主の分)を、いろいろあって私が相続したのである。今般、測量会社から境界を確認するので立ち会ってほしいと連絡があった。筆頭名義人である伯母はたいへん美人で元気だが、91歳なのでよしたほうがよい。今一人の叔母は関西にいてあまり歩けないから、私が出向くことになった。

東京駅から東海道線で小田原に行くと、北条早雲銅像の前で測量会社の人が待っていた。測量会社の人とは何度も連絡をとって、気心が知れた感じになっていたのであるが、会うと四十代後半(推定)の、とても話の上手なキビキビした人であった。なかなかの二枚目で、濃い青のつなぎがイカしている。
キビキビした測量会社の人の車に乗って、世間話をしながら湯本から箱根山をくねくねとゆく。心配した台風はそれて、思いがけないリゾートの気分となり、さらには元フェラーリの貸ガレージであったところのイタリア料理店で昼をご馳走してもらったので、自分の服装がリゾート向きでないのがつまらない気になった。箱根は噴火騒ぎで人もまばらである。

食事を終えて現地に行くと、思いのほか区画はきちんとしていたが、土地というより藪である。もう何かわからない木々が鬱蒼と茂っており、イノシシが出る。今回の測量は、隣接する土地を持つフルタさん(仮名)がそこを売るにあたり、古い境界線のままでは売れないので線を確定するためであった。したがって、私はやや厚遇されているのであった。フルタさんとの待ち合わせにはまだ三十分もあり、測量会社の人はしきりに恐縮したが、間もなくフルタさんとおぼしき60代ぐらいの方がリュックを背負って歩いてくるのがみえて、測量会社の人も初めてなので、全員で互いに挨拶をした。
フルタさんによると、このあたりの土地は「千円別荘」といって、千円で売り出されたのらしい。フルタ家ではおじいさんが周りを買い足して大きくした。フルタさんは子どもの頃いつも遊びに来たが、おじいさんが亡くなってからは廃屋のようになってしまった云々。

測量会社の人があらかじめ用意してくれたゴム長をはき、フルタさんの土地から境界をみた。ゴム長でないと入れなかったから、やはりリゾートの服装でなくてよかった。検分は20分足らずで終わり、しばらくいるというフルタさんに別れを告げて、また測量会社の人のワゴン車に乗る。養老孟司先生のすてきな別荘の前も通る。三時間にわたり、測量会社のキビキビした人と話し続けていて、何を話したのかよく覚えていないが実に楽しく時間がすぎた。話し上手、聞き上手とはそういうものである。小田原駅で、外郎家のお菓子のういろう(茶)を買って帰る。