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2012-09-01

マンスリー・ブリコメンド(2012年9月前半)


マンスリー・ブリコメンド、9月前半です(コンセプトはこちら)。今回から第2期のスタートということで、なんと新しいメンバーが加わってくれることになりました。ひとまずは、落雅季子さんと、関西の拠点を置く西尾孔志さんです。よろしくお願いします! 
なお、今回から公演名を、関東ローカルなものは「青」、関西ローカルなものは「ピンク」、それ以外の地域を含むものは「紫」で表記することにしました。Q


▼第1期からのメンバー▼

藤原ちから/プルサーマル・フジコ

1977年生まれ。編集者、フリーランサー。BricolaQ主宰。高知市に生まれる。12歳で単身上京し、東京で一人暮らしを始める。立教大学法学部政治学科卒業。以後転々とし、出版社勤務の後、フリーに。雑誌「エクス・ポ」、フリーペーパー「路字」、武蔵野美術大学広報誌「mau leaf」などの編集を担当。プルサーマル・フジコ名義で劇評等も書く。共編著に『〈建築〉としてのブックガイド』(明月堂書店)。たまにトークイベント「スナックちから」(@清澄白河SNAC)もやってます。「CoRich舞台芸術まつり!2012春」審査員。@

【今回のブリコメンド】
■マームとジプシー『ワタシんち、通過。のち、ダイジェスト。』
■快快『りんご』


日夏ユタカ(ひなつ・ゆたか)

東京都出身。日大芸術学部卒。日本で唯一の競馬予想職人を名乗るも、一般的にはフリーライター。80年代小劇場ブームを観客&劇団制作として体感。21世紀になってからふたたび演劇の魅力を再発見した、出戻り組。10月25日に『サラブレッド穴ゴリズム』 (競馬ベスト新書)を刊行。http://amzn.to/qOBCmC @

【今回のブリコメンド】
■快快『りんご』


鈴木励滋(すずき・れいじ)

1973年3月群馬県高崎市生まれ。地域作業所カプカプ(http://kapukapu.org/hikarigaoka/)所長を務めつつ、演劇やダンスの批評も書く。『生きるための試行 エイブル・アートの実験』(フィルムアート社)や劇団ハイバイのツアーパンフに寄稿。@

【今回のブリコメンド】
■東京芸術劇場リニューアル記念 東京福袋<パフォーマンス>袋


カトリヒデトシ

1960年、神奈川県川崎市生まれ。大学卒業後、公立高校に勤務し、家業を継ぎ独立。現在は、企画制作(株)エムマッティーナを設立し、代表取締役。カトリ企画UR主宰。「演劇サイトPULL」編集メンバー。個人HPは「カトリヒデトシ.com」@

【今回のブリコメンド】
■ホチキス『クライシス百万馬力』


徳永京子(とくなが・きょうこ)

1962年、東京都生まれ。演劇ジャーナリスト。小劇場から大劇場まで幅広く足を運び、朝日新聞劇評のほか、「シアターガイド」「花椿」「Choice!」などの雑誌、公演パンフレットを中心に原稿を執筆。東京芸術劇場運営委員および企画選考委員。@

【今回のブリコメンド】



▼第2期から参加のメンバー▼

西尾孔志

1974年生まれ。映画監督、大学・専門学校講師。10代から京都の撮影所で働き、自主制作映画『ナショナルアンセム』を監督。関西に映画を作る場が必要と考え、CO2の運営ディレクターを4年間務める。触媒的に他ジャンルの人間を交わらせたがる悪癖を持つ。監督作『ソウルフラワートレイン』(原作:ロビン西、主演:平田満、音楽:少年ナイフ)が公開待機中。映画や音楽についてはこちらでリコメンド→http://qnicc.jp/column/2012/07/01-000000.php
@

【今回のブリコメンド】
■バンタムクラスステージ『ルルドの森』
■北京蝶々『都道府県パズル』
■dracom『弱法師』
■contact Gonzo『Abstract Life《世界の仕組み/肉体の条件》』
■男肉 du soleil『団長のビバリーヒルズコップ』


落雅季子

1983年生まれ東京育ち。一橋大学法学部卒。中高では英語演劇部、大学時代は上智大の劇研で過ごす。その後は意志を持って観客役に専念し、ワークショップ参加を機に、2009年ごろより演劇・ダンス評を書き始める。職業はシステムエンジニア。@

【今回のブリコメンド】
■イデビアン・クルー『涙目コーデュロイ
■マームとジプシー『ワタシんち、通過。のち、ダイジェスト。』
■快快『りんご』




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イデビアン・クルー『涙目コーデュロイ』

9月1日(土)〜29日(土)@十六夜吉田町スタジオ(関内・馬車道
http://www.idevian.com/ja/index.htm

毎年、イデビアン・クルーの本公演チラシを見かけると、もう秋だな、と思うのは私だけでしょうか。東京事変バックダンサーとか、胃薬のCM出演とか、いろんなところで名前は拝見していたものの、一年ぶりのカンパニー新作公演が見られるのはやはり嬉しいものです。
今回は、十六夜吉田町スタジオというスペースのオープニング公演とのこと。極めて小さな空間に、井手茂太と斉藤美音子、中村達哉のトリオというスタイル、そして1か月のロングラン日程。珍しいことずくめの本公演は、前半日程でぜひ一度。そしてお気に召したら、もう一度。1か月のあいだ少しずつ変化してゆくイデビアン・クルーを、こんな近くで感じられる機会はもうないかもしれないから。(落)




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東京芸術劇場リニューアル記念 東京福袋<パフォーマンス>袋

9月2日(日)17:00 昨日の祝賀会、酒井幸菜、鉄割アルバトロスケット、中野成樹+フランケンズ
9月3日(月)19:00 柿喰う客、劇団コープス(カナダ)、東京デスロック、珍しいキノコ舞踊団
9月4日(火)19:00 アマヤドリ、表現・さわやか、冨士山アネット、モモンガ・コンプレックス
9月5日(水)19:00 近藤良平、3軒茶屋婦人会、吹越満、山田広野
9月6日(木)19:00 田上パル、範宙遊泳、モダンスイマーズ、ロロ
9月7日(金)19:00 サスペンデッズ、ジエン社、DAZZLE、はえぎわ
@東京芸術劇場 シアターウエスト(池袋)

http://www.geigeki.jp/performance/theater006/

昨年春から改修工事に入っていた東京芸術劇場の、待ちに待ったリニューアルのお披露目にふさわしい目出度い企画ですね。
どれとは言わないが、どの日にもとても好きなのがあって、どれとは言えないが、どの日にもちょっと避けてきたものが入っている。これはただごとではないですよ。看板にイツワリないじゃありませんか。「福袋」って好きなものが入っている予感があるから買うんでしょうが、自分ではゼッタイ選ばないものも入っているだろう予感も半ばあって、それはそれで変身への期待ともいえて、「福袋に入ってたから」というのが、実はいつか着てみたかった原色のシャツに袖を通す言い訳にもなっちゃう。まさに毎日の番組がヴァラエティに富んでいるこの企画は「福袋」と呼ぶにふさわしい! どの日に行ったとしても必ずだれでもお気に入りを見つけられると断言できるほ どの多種多様さなのです。
通し券がないのが不満ですが、毎日通おうなんてのは常人の発想ではないということですかね…あーそうですか、そうですねっ。でもでも、舞台芸術と親しみがなかった方がこの「東京福袋」に毎日通ったら、ものすごい出会いとなるって、本気で思ってます。
それから、舞台のあとは「ふくろ」つながりで、朝7時からやっている「酒場 ふくろ」に立ち寄られてみてはいかがでしょうか? こちらもヴァラエティ豊かな人々が大いに語らっています。(励滋)
http://www.izakaya-fukuro.net/index.html




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バンタムクラスステージ『ルルドの森』


9月7日(金)〜9月9日(日)@イーストステージ・いけぶくろ(池袋)
http://bantamclass.com/info.html

公開中の映画『苦役列車』の山下敦弘や、ぴあフィルム・フェスティバルで物議をかもした学生映画『鬼畜大宴会』の熊切和嘉ら、大阪芸術大学の映画学科出身者と言えば、映画の世界で活躍する者がほとんどだが、音と空間のアーティスト・梅田哲也や、パンクバンド《オシリペンペンズ》の石井モタコなど、極稀に他分野で活躍する人間がいる。《バンタムクラスステージ》の作・演出を務める細川博司も、演劇に転向した同学の映画学科出身者だ。バンタムはその出自から、サイコサスペンスやマフィアの抗争などハリウッドの硬派な娯楽映画のような題材を好み、素早い舞台転換とキレの良い台詞回しによるアクション映画のカット割りのような演出がカッコいいエンタメ劇団だ。だが彼らも関西の演劇界の悩みである役者の層の薄さという問題を抱え、東京進出する事で補いたいのだと思う。今回は代表作の再演なので、まずはその名を知る機会として是非。(西尾)




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北京蝶々『都道府県パズル』

【関西】9月7日(金)〜9月9日(日)@芸術創造館(千林大宮
http://pekinchocho.com/

僕の映画のプロデューサーがこの劇団に惚れ込んでいて、「観ろ観ろ」と薦めてくるので今回初めて観ることにした。この劇団について知っている情報は、早稲田の演劇研究会出身の劇団である事と、今我々が直面している様々な社会問題を戯曲に盛り込みつつ(今作の場合は道州制導入の是非)、描かれる舞台は近未来の日常風景(今作の場合は「フェス」の企画会議室)。つまり風刺的SF作品が得意であるという事だ。とにかくホンがよく出来ている、と前述のプロデューサーはしきりに褒める。そして見せ方が鮮やかなのだそうだ。じゃあこれ以上は予備知識を持たずに観た方が良さそうだ。そして、ちょっと挑む気持ちで楽しもうと思っている。(西尾)



dracom『弱法師』

【関西】9月7日(金)〜9月9日(日)@京都芸術センター(烏丸)
http://dracom-pag.org/

作・演出の筒井さんとは何度かお酒を同席したことはあるが、その舞台を観るのは初めて。ちょっと暗いトーンで毒とユーモアを吐き出すその話し振りから、この人は面白い人だと思っていた。《dracom》は2010年のフェスティバル/トーキョー公募プログラムにも参加した大阪芸大発足の劇団。いや、当人たちは劇団と名乗っていない。元々は『劇団ドラマティック・カンパニー』として1992年に始まったのだから活動歴20年になる中堅劇団である。あ、劇団じゃなかった。彼らは舞台芸術を追求するうちに、『ドラマティック』である事を止め、『劇団』と名乗る事を止めたのだ。それはきっとここ20年の日本の演劇史から見て正しい。しかし、エンタメ重視の関西演劇史からは浮いている。その辺の齟齬との戦いも感じに行きたい。(西尾)


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マームとジプシー『ワタシんち、通過。のち、ダイジェスト。』

【東京公演】9月7日(金)〜9月17日(月)@三鷹市芸術劇場星のホール(三鷹)
【北九州公演】9月28日(金)〜30日(日)@北九州芸術劇場(小倉、西小倉)

http://mum-gypsy.com/

岸田國士戯曲賞受賞後初の、新作長編。「家(建物)」が持つ100年の物語を描くとのことだが、家族や故郷というモチーフは、2011年から通して、藤田貴大の根底にあるものだ。それに加えて、ここのところ藤田に萌している”少女性”を見つめる眼差しの変化が、長編作品にどう影響するのかが知りたい。これまで、マームとジプシーの作品は、“少女個人”の中に広がる闇や危うさを源泉にして、ある種のノスタルジーを形成してきたように思う。でも最近の小品では、”少女たち”の得体の知れなさそのものに切り込む覚悟みたいなものが透けているように思えて、それが彼にとって、かなり大きな変化のような気がしている。
100年という、追憶と想像が手を伸ばしあう距離のスケールが舞台上でどう展開されるのか。個人的には、星のホールのあの広さを10人の俳優でどう支配するか、演出家としての藤田のガバナンス手腕にも興味がある。(落)

マームとジプシーはわたしにとって抜き差しならない存在であり、どのような距離があるにせよ、彼らとどう併走するかということは常に考えてしまうカンパニー。そういった作り手が同時代に存在するのは幸福だと思う。
今回はひさしぶりの新作長編。マームとジプシーは以前から過去の記憶や喪失感をその根っこに抱えてはきたけれど、そのスケールはどんどん膨らんでいきつつあり、次第に、何かまがまがしい大きなものを呼び込むようになった。それはかつての様々な作家たちが挑んできた、闇であり、楽園でもあるような世界。今回の作品もまたおそらく未踏の地に踏み込んでいくだろう。その歩みを可能にしてきたのは、彼らが繊細なだけではなく――――――ガッツがあるから、な気がする。ガッツは大事だよ。
この作品は、東京・三鷹での上演のあと、北九州へも移動して上演されることになっています。できうることならば(そしてたぶんそうなるけど)、多くの新しい観客たちが、マームとジプシーの作品世界に遭遇することを望みます。(フジコ)




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快快『りんご』

9月13日(木)〜9月16日(日)@神奈川芸術劇場(日本大通り元町・中華街、関内)
http://faifai.tv/

9月いっぱい、9つのカンパニーが横浜に集うイベント、KAFE9参加作品。創立メンバー全員で作る最後の公演とのことで、いったんの終着点になるか大きな分岐点になるかは分からないけど、とにかく力強い作品になると私は信じてます。
快快を最初に見たときは、メンバーみんなと一緒にわーってなる場の空気をうまく楽しめなくて、この人たちとは絶対仲良くなれないって思った。でも本当は、篠田さんや梨乃ちゃんや天野君が私の友達になってくれたらどんなに世界が違って見えるだろうと思ったら、あまりにまぶしくて、寂しくなってしまったのだ。彼らは決して奔放に振る舞ってるわけじゃなく、誰より純粋に、観客との対話に期待している。対話を前提に爆発を仕掛けてくることもあるけど、怖がらないで、楽しんで。だって『りんご』製作に向けた梨乃ちゃんの声明文が、とにかくかっこよかったから。観る前に、ぜひ読んでほしいな。(落)
http://faifaijapan.blogspot.jp/2012/08/blog-post_19.html

今さっき、4年前の夏に快快・篠田千明から初めてもらったメールを発掘した。とんだ勘違いから始まったこの1通のメールによって(どんな勘違いだったかはまたの機会に!)、我々は大井競馬場に遊びに行き、へべれけになるまで(主にシノダが)飲んで意気投合したのだった。彼女の思想や方法論は刺激的だった。それはわたしが我を忘れて演劇にのめり込んでいくきっかけとなり、あの夜を境に、わたしの人生は大きく変わってしまった。そのシノダがバンコクに移住してしまうのはやはり少し寂しくはある。日本は彼女にはちょっと狭すぎたのかもしれない。だけどポジティブに捉えれば、新しい東アジアのフィールドがひらけて、いよいよ新世紀がやってくるのかなーとも思う。
さて、上で落雅季子さんも引用している大道寺梨乃による声明文。わたしもとても感動しました。ひっかかりを感じるところも含めて、とても勇気ある文章だと思う。特にねずみのくだりが好き。大学のゼミで「後の時代のほうが、歴史の蓄積があるから人間は賢くなるはず」などと迂闊な発言をして、ふだん温厚な先生に大激怒されたことを思い出した……。チュー……。
新作『りんご』への意気込みは、作:北川陽子(@yonktg)や演出:篠田千明(@shinoda_inBKK)のツイッターからも伺える。単純に、こんなに気合いの入った快快の新作が見れると思うだけで嬉しい。現メンバーでのひとまずのファイナル。できるだけいろんな人を誘って観にいきたい。動物も火星人も近所のおばさんも。快快にはたくさんの贈り物をもらってきたから、いつか何かプレゼントのお返しをしたいな、と思ってます。できるかなー?(フジコ)

ロンドン・オリンピックでアーチェリー女子団体の日本チーム(銅メダル獲得)の闘う姿をみていて、快快のことを思った。矢を射るときの真剣な集中に対しての、成功しても失敗しても、合間に繰りひろげられる仲間同士の弾けまくった楽しそうなハイタッチや笑顔。もちろんそれはほんとうに楽しいわけではたぶんなく、重圧などによる圧倒的な苦しさをチームの結束力で乗りこえようとする“智慧”なのだろうけど、似たようなものは競泳の団体戦の雰囲気にも感じたし、女子サッカーの表彰式にも近いものはあったと思う。それを称賛する声とともに、一部では反発すら生まれるという図式も、けっこう快快と重なる。
でも、しょうがないよね、時代を変えようとしているのだから。
それだけの信頼感が、多摩美を中心にして築かれ、多くの人々を巻きこみながらの集団制作というスタイルで作品を発表しつづけてきた快快には、ある。告白すれば、数年前から自分がふたたび小劇場の演劇にのめりこんでいったのも、はたまた、いまこういう場でお薦めをしているのも、そんな彼女/彼らを通して得た新しい視野によるものがとめどなく大きかったことも記しておきたい。
それゆえ、今回の新作公演を最後に、メンバーから篠田千明と中林舞が脱退し、天野史朗と大道寺梨乃が休止するという発表には正直、残念な気持ち戸惑いの念は強い。快快は奇跡のような存在であり、それは簡単に様式化・伝統化されるはずもなく、そうなる瞬間をつねにずっとおそるおそる予見していても、なお! もちろん、それ以外のメンバーでの快快は続行されるし、再演などの場合にはまた集結することになるのでこれはけっして終わりではなく、ひとつの区切でしかないとしても。
だからあえて、封印していた言葉を吐く。1年以上、お薦めをつづけていて一度も書いたことのなかった言葉を、あえて吐く。
必見である、と。
この『りんご』を口にすると楽園を追放されてしまうのかもしれないけれど、それはまた人類としての新しい旅立ちのとき。大道寺梨乃による声明文では「2000年後の生命にも届くことを祈って」と書かれていたが、一体、今回はどんな作品/世界と出会えるのだろうか。禁断の“智慧”の実を食べることでまた、幸福な未来が拓けることも超期待している。(ひなつ)




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ホチキス『クライシス百万馬力』

9月13日(木)〜16日(日)@シアタートラム(三軒茶屋)
http://www.hotchkiss.jp/next.html

私が「を」派と呼ぶ、テキストをきちんとつくりそれを上演するというスタイルの作品はここブリコメではほとんど取り上げられない。
それはブリコメンダーの偏りでもあるわけだが、「0」のつく10年間を通しての演劇シーン(そんなものがあるかどうかというのも議論の対象ではありますが)での趨勢でもあったかと思う。
でも、まぁ、それだけじゃしかたなかろうという気がする私はあいかわらず「を」の人も紹介します。異論は歓迎する。今回からの書き手の拡充でラインナップが拡大するとよいと思っている。
もちろんこっちが力瘤はいるような熱狂をもたらしてくれる作品ならなんでもいいわけで、また個々人がどこに価値を見いだすかというのはそれぞれではあるが、「物語」の力は変質していっても、なくならないとアニメやライトノベルの隆盛を横目で見ていて思う(このへんこころあまりてことばたらず)。あと3年くらいでまた物語にウェイトをおく「戯曲」が重用される時がくるのではと思ってます。
ただ言っておかなきゃならないのは、演劇で物語を上演する場合、そのストーリー、筋運びのおもしろさ(巧みさだったり痛快だったり感動だったりとか)と同じくらいにその描写力、語り口が重要になる。
ホチキス作演出の主宰米山和仁はその多彩な題材の選択と自在なスタイルの語り口で作品毎にいろいろ愉しませてくれる、サービス精神が横溢する生粋のエンターテイナーである。物語で勝負する劇作家はどうしても作品毎の「はっきりいって出来不出来」に苦しむわけだが、その波をあまり感じさせない米山の筆力は大したもんだと思っている。
今回、役者も劇団員の加藤敦、小玉久仁子、村上直子という怪優たちに加え、ザンヨウコ、齋藤陽介、神戸アキコ(ぬいぐるみハンター)という破壊力抜群な、こっちは怪「獣」優とも呼ぶべきメンバー。
今回は告知を見る限りハメットばりのハードボイルドらしい。
でかいトラムで縦横無尽、楽しみだなぁ。(カトリ)



contact Gonzo『Abstract Life《世界の仕組み/肉体の条件》』

【関西】9月13日(木)〜9月16日(日)@アイホール(伊丹)
http://www.aihall.com/lineup/gekidan13.html

殴り合いとダンスの境界を取っ払った(そんな境界があったのかは知らないが)パフォーミング・アーツで知られるcontact Gonzo。ゴンゾの根っこにはヒップホップなどのストリート・カルチャーの感性があると思うが、それは遊びの中にも「本気でふざける」覚悟であり、「人を喰う」ハンターのような鋭利さである。
さて、伊丹アイホールでの2度目の単独公演。前回は男女20人入り乱れての大掛かりな戦争ごっこを、参加せずに椅子に座っている我々は馬鹿なんじゃないのかと思いながら観たのだが、今回は舞台上にパフォーマーが一切登場せず、音と仕掛けで表現されたパフォーマーの身体を舞台上に感じるという、さらに人の喰いっぷりに拍車がかかっている。喜んで喰われに行こう。(西尾)




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男肉 du soleil『団長のビバリーヒルズコップ』

【関西】9月14日(金)〜9月17日(月)@インディペンデントシアター1st(恵美須町
http://oniku-du-soleil.boy.jp/

ゴンゾが不良の身体なら、オニクはオタクの身体によるパフォーミング・アーツである。オニクのメンバーが並んで踊ってる姿を観て、「文系の筋肉質ってあるよな」と笑ってしまった。ダンサーの引き締まった身体というより、家でプロテイン飲んで筋トレした、なんだかエッジがぼやぼやした身体。その身体がアニソンやJ-POPに合わせてオタ芸風に踊りまくる。そして繰り広げられるのは既成の物語(アニメ、映画、テレビetc.)の膨大な寄せ集めで、はっきり言えば、頭の悪い中学生の同人誌マンガみたいなのだが、その喩えに乗るなら男肉は「筆圧が凄い」のである。ところどころ筆圧が強過ぎて紙が破れる瞬間すらある。そしてそこで何故か妙に感動してしまうのだ。(西尾)








 

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