真言宗とスピリチュアル

 私の宗旨は真言宗です。真言宗弘法大師空海が開祖ですが、その教えの根本は即身成仏です。この身このまま仏になるという平安時代においては画期的な教えであり、真言宗の登場によって哲学的な仏教が実践的な仏教に転換され、鎌倉仏教へとつながっていきます。真言宗においては三密という修行によって仏様と一体になった境地を悟りと考えます。仏様と一体になるとは、この宇宙と一体となる、すべてがひとつとなる境地のことです。


 現在のスピリチュアル的な世界においても、ひとつとなる境地が唱えられています。その境地とは真言宗と同じものなのか分かりかねますが、現代のこの世界はあまりにも区別がいき過ぎているように感じられます。たとえば自分の敷地のゴミは拾っても、それとつながる道路のゴミは拾わない。家族であってもそれぞれのプライベートを優先して遠慮してしまう。自分の子供は可愛がっても、隣の家の子供には興味がない。社会問題には興味がないのに、いざ自分が被害者なれば黙っていられない。


 この世界と一体となって生きるということは難しいと思います。ですが、行き過ぎた分離を反省して、自分のことばかりではなく、相手のことや社会のことも自分のことのように考えられるようになれれば素晴らしいと思います。人間は一人で生きているわけではありません。この社会のなかで共存していくためには、お互いの距離感が大切だと思うのです。一体とまではいかなくとも、緊張や不安ではなく、親しみを持てる関係性を上手に築いていけたらと思います。




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