Hatena::ブログ(Diary)

モスクワ、クバルチーラの窓辺

2012-02-24

スーパーでの会話

モスクワにある大型スーパーは、

値段が手ごろで、品ぞろえも多いのでよく買い物に行く。

そこで果物を見ていたら、めずらしいものを見つけた。

名札を見るとリイチと書いてある。

よ〜く考えて、観察して、ライチだとわかった。

ライチを私はまだ食べたことがなかったので、

味を知らない。

山積みになっているライチ

ビニール袋に大量に詰め込んでいる女性に

どんな味なのかきこうかな〜っと思った途端、

横から大きな声で私の知りたかったことをきいた人がいる。

「ねえ、これはどんな味なのかしらね。

 これは果物なの?野菜なの?美味しいの?

              どんな味なの?」

臆することもなく、

ロシアの人たちはききたいことがあれば

そばにいる人になんでも直に質問する。

質問された方も気おくれせずに、はっきりと答える。

「これは果物よ。

 ブドウみたいなものでほんのり甘くて美味しいの。

 うちの子なんか大好きで

 1日で3キロ食べちゃうんだから。」

こんな風に会話が始まり、

「あらそうなの。そんなに美味しいの。

 で、どうやって食べるのよ。」

ときき返す。

すると、きかれた女性はライチを1つつまんで、

爪でペロッと皮をむいて見せた。

そして、

「ほら。こうして食べるのよ。」

と言って口に入れた。

「あら、じゃ私も味見してみるわ。」

質問した女性も、興味津々で、1つつまんで口に入れた。

こんな風にスーパーで味見をするのは禁止されている。

でもロシアの人たちは、

市場でするように味見してから買うという習慣を

スーパーにもそのまま持ち込んでいる人が多い。

だからこういうことを悪いこととは感じていない。

勿論、店員に見つかれば

きつく注意されるのはわかっているはずだが、

そんなことを恐がっているようじゃロシア人ではない。

注意されれば言い返し、すぐに謝らないのがロシア人だ。

私が、干した棗にシロップのかかったものを選んでいた時には、

「ねえ、いったいどういうところを見れば

         美味しい棗を選べるの?」

と、突然きかれた。

私は、

「ただシロップがあまり多くかかっていないのを

 選んでいただけですが。」

と答えると、

「なぁんだ。ずいぶん熱心に選んでいるから、

 選び方を知っているのかと思ったじゃないの。」

とがっかりした顔をされてしまった。

私がもやしを手に取ってかごに入れた時は、

「これ、美味しいのかしら?」

と2人か3人がきくから。

「美味しいですよ。身体にもいいし。」

と答えると。

「どうやって料理するの?あなた中国人ベトナム人?」

ときかれて、

「日本人です。」

ときっぱり言うと、

「あら。ま。」

と言ったまま3人とも言葉を発しなくなった。

「どうしてなのか」を考えるのも嫌なので、

私はその場を離れた。

次にお菓子のある棚から、

ハート型でシナモンとお砂糖のかかったパイの袋を取って

3袋かごに入れた。

その途端、

「それ、美味しいの?」

とまたきく人がいる。

「ええ、美味しいですよ。」

と笑顔で言うと、

その人はちょっと疑わしそうにパイの袋を手に取って、

袋の絵などをようく観察してから1つだけかごに入れた。

こうして場所を移動するたびに何かを質問される買い物は、

いいかげん神経が疲れる。

私自身がロシア人のように、

他人に質問しながら買い物をするようになるには、

ここであと何年修業しないといけないのかなと思った。

2012-01-26

ロシア語について(ある日のこと)

もう昔のことになるが、

先を急いで歩いていた時、

前を歩いている女性を追い抜こうとした。

だが、私が行こうとする方向へ

前の女性も移動するのでなかなか追い越せず、

右へ左へとうろうろすることがあった。

そんなことをしているうち、

前を歩いていた女性が急に後ろを振り返り、

ヒステリックに叫んだ。

「あなたっ!いったい何がしたいのよ!」

私は一瞬あっけにとられてしまったが、

「急いでいるんですけど。」

と静かに答えた。

すると女性は、

「それならさっさと先へ行ったらいいじゃないの!」

と叫んで私を睨みつけながら道を開けてくれた。

ロシアの女性はときどきひどくヒステリックになる。

たぶん私がアジア人で、身なりもよく見えなかったから、

彼女のバックをひったくろうとしているとでも思ったのだろう。

そのことを主人に話すと。

そういう時は、大きな声で、トーンを荒げて、

「通り抜けたいのよ!」と言わなくちゃ。

と教えてくれた。

このようにロシア語では、声のトーンが物事を決める。

どんなに丁寧な言い回しでも、

声のトーンによっては受け取り方も違ってくる。

日本で習ったロシア語では、丁寧な言い回しばかりを教わった。

モスクワに住むようになって、

丁寧な言い回しばかりではやっていけないことがわかった。

ときには必要な単語と動詞だけで、

すごみをきかせて答えることも覚えたほうがよい。

自分の主張をはっきりさせないと、

ここロシアでは嫌な思いをすることになる。

そう思っていたある日、

今は亡き主人の母を車いすに乗せて

主人と3人で近くの役場へ出かけた。

役場では、主人が母の年金のことで書類を調べている間、

私たちは外で待っていた。

するとやはり誰かを外で待っていた裕福そうなロシア人女性が

私に笑顔で話しかけてきた。

「あなたどこから手伝いに来ているの?

車いすの老人の面倒を見るのは一体いくらかかるのかしら?」

ときかれた。

女性は私のことを

中央アジアから来たお手伝いさんと思ったのだ。

私は思わずムッとして、

「日本から来た嫁だ。」

とぶすっとして答えた。

女性の態度は突然変わって、困ったような笑顔で、

「まぁ日本・・から・・

 お母様を面倒見てらっしゃるの。大変ね〜。」

と、しどろもどろにお世辞らしきことを言った。

私は口の端でヘッと笑って、

「失礼します。」

と言って母の車いすを押しながら彼女から遠のいた。

いつものように

日本人と思われなかったことは腹立たしかったのだが、

礼儀知らずの女性に、

一言すごみを効かすことができたのが

何だかものすごく嬉しかった。

2012-01-19

新年の贈り物

ロシアでは、新年に、家族や親戚、友達の近しい者同士で

小さなプレゼントをする。

“小さな”というのは、高いものではなくて、

心のこもったちょっとしたものという意味だ。

私は今年、親戚のオレッグの4歳の娘ダーシャに、

自分で創作したものをプレゼントした。

かなり上手く出来たと思ったので、

きっとダーシャは喜んでくれると思っていた。

それがこれ!

f:id:bukaashuka:20120120063951j:imagef:id:bukaashuka:20120120063949j:image

日本のダイソーで買ったバックに、

いろんなものを縫って刺繍し、デザインしたものだ。

バックの内側もきれいに布を縫い付けて・・・

と言いたいところだが、ちょっと失敗。

中に縫い付けた布が足りなくなって、

そこのところに赤トウガラシを作って縫い付けた。

いよいよ私がダーシャにプレゼントを渡したとき、

ダーシャの母親エリーナも、彼女の姉からの贈り物である

ぬり絵のサンタクロースの人形をダーシャに手渡した。

ダーシャはそのサンタクロースにくぎ付けになり、

歓喜の声をあげながら、踊り上がった。

くっ・・やっぱり、市販のおもちゃにはかなわなかった。

私の作ったバックはテーブルの上に忘れられ、

翌朝まで放っておかれてしまった。

裁縫の下手な私が無理をして、

かなり時間をかけて仕上げたものだったから、

がっかりしたが、

4歳の子に、

この創作を受け入れてもらおう

と思う方が無理だったのだとあきらめた。

翌朝、ダーシャはかなり上機嫌で私のところへやってきた。

おや・・・私の作ったバックを下げている!

ダーシャ: 「ね、このバック、私のために作ってくれたの?」

私:  「そうよ。」

ダーシャ: 「すごい!」

抱きついて離れなくなった。

あ〜

苦労して作ってよかったと思った。

f:id:bukaashuka:20120120063948j:image

今週のお題「20歳」

今週のお題「20歳」

今週のお題が「20歳」ということなので、

本棚から主人の昔のアルバムを引っ張り出した。

このアルバムは、

亡くなった主人のお母さんが、息子のために残したものだ。

一枚一枚の写真に丁寧な字で説明が書いてある。

あ〜これが主人の20歳の頃の写真!

眼差しが清らかで、希望に満ちている。

いい笑顔だ。

さっそくコピーして部屋に飾った。

うっとりして、何度も何度も見てしまう。

ついでに自分の古いアルバムも引っ張り出した。

鏡に映った今の自分とつい比べてしまう。

年をとったものだ・・・。

写真の20歳の私も、何か希望に満ちたものを感じさせる。

希望は、いくつになっても持っていたいものだ。

時は、あっという間に過ぎてゆくけれど、

あの頃できると思っていたことは、

今でもほとんどできていない。

今という時を大切に、

やれるときにやれることをしていきたい。

つい先日、主人が最近の私の写真を見て

「君はあまり幸せな顔をしていないけど、なぜ?」

ときいた。

「えっ。

 ただ年とって疲れた顔なだけだろう。」と答えたら、

「こうやって一緒に暮らしていけることを幸せだと思っているかい。」

と言われた。

「そうか。」

幸せってそういうことだな。とあらためて思った。

20歳という年、

主人も私もいったい何を考えていたのだろう。

長い長い年月が過ぎたけれど、

またあの頃のように希望をもって

毎日を大切に生きていきたいと思う。

こんなことを書いていたら、主人が、

「なんで僕の昔の写真を張ってあるの?」

ときいた。

「え・・っと、笑顔がいいからね。」

と言っておいたが、

「また昔のようになってほしいから」なんて、

ひどいことは言えなかった。

f:id:bukaashuka:20120119224556j:image

2012-01-18

モスクワ郊外の家で迎えた新年

f:id:bukaashuka:20120118231454j:image

ロシアでは、新年にモミの木(ロシア語でヨールカ)を飾る。

なぜかといえば、1月7日がロシア正教クリスマスだからだ。

1月7日は祝日で、当然皆がアルコールでお祝いする。

それで翌日はみんな2日酔いで仕事にならないから、

8日もたいていお休み。

今年は7日の祝日が土曜日だったので、

9日の月曜日まで休日だった。

モスクワ郊外にある家には親戚が集まって、

様々な料理とシャンパン、ワインでお祝いした。

1日は、私が巻き寿司を作り、

7日の日は親戚のオレッグがガチョウを買ってきて、

酢漬けのキャベツをそのお腹につめ、

オーブンで焼いて御馳走を作った。

f:id:bukaashuka:20120118231453j:image

飾られたモミの木にはろうそくを立てて火を灯した。

モミの木に飾られた飾りは、ほとんどが手作りで、

私の主人と親戚のオレッグが子供のころに作った飾りも

大切に保管されていて、毎年モミの木に飾られる。

郊外の家は、主人のお祖父さんが建てたもので、

すでに築90年になる丸木の大きな家だ。

お祖父さんの5人娘の末っ子、

オレッグのお母さんでもあるベラお婆ちゃんも

今年90歳を迎える。

様々な歴史を持ったこの家に、

それぞれの思い出を持った飾りがモミの木に飾られて、

灯されたろうそくのあかりの中で浮かび上がる。

外は凍った雪景色。

道のあちらこちらで打ち上げ花火が上がっていた。

f:id:bukaashuka:20120118231451j:image

2012-01-16

今週のお題「寒さに負けない方法」(ロシア)

f:id:bukaashuka:20120117062636j:imagef:id:bukaashuka:20120117061900j:image今週のお題「寒さに負けない方法」

新年の朝、主人は雪で身体を清める。

というか・・・雪の上でパンツ一丁で転げまわる。

初めてそれを見たときは、いわゆるロシアンジョークだと思ったが、

ロシアでは、真冬に凍った河や湖で、

わざわざ氷を割って泳ぐ人たちがいることもわかった。

ロシアの冬はマイナス何十度の世界だから、

外に出ただけで鼻の穴がシュワっと凍る。

私には到底できないことだ。

身体に良いとは思えないけれど、非常にロシア的な健康法だ。

この他に、ロシアの「寒さに負けない方法」と思われることがもう一つある。

それは、外で、歩きながらも始終食べること。

ロシアでは、道で歩きながら口をもぐもぐさせている人をよく見かける。

何を食べているかと言うと、ヒマワリの種を食べている人が多い。

片手で種をポケットからつまみだして、

口の端でカリッとかじって中の種だけを上手に食べる。

残った皮は片側の口の端で道にペッと吐き捨てる。

とても器用に皮をペッと吐くから、見ていて面白い。

女性でこんな食べ方をする人は少ないけれど、

ヒマワリの種は脂肪を多く含んでいるから、

寒さをしのぐのにはいいのかもしれない。

確かに、寒いときにお腹がすいていると身体が凍える。

だからロシアでは、歩きながらもよく食べる。

そんな素朴で飾りっ気のない人たちのいる風景が、ロシアの魅力でもあると思う。