「ウェブ進化論」は、なぜ今読まれているのか


ウェブ進化論ーー本当の大変化はこれから始まる」梅田望夫著 ちくま新書 を読みました。
私が購入したのは第7刷で今年3月30日発行、
第1刷が2月10日発行となっているから、
この種の本としてはたいへんな売れ行きでしょう。
どうしてこの「ウエブ進化論」が、今読まれているのだろうか…。


「インターネットが登場して10年…
ネット社会が地殻変動を起こし、リアル世界との関係にも大きな変化が生じている。
……ブログ、ロングテールWeb2.0などの新現象を読み解きながら、
大変化の本質をとらえ、
変化に創造的・積極的に対処する知恵を説く、待望の書」
とカバーには書かれている。フムフム。
何を求めて、ひとはこの本を手に取るのだろう?
そこにどんな「夢」があるのだろう?



(たいていの場合)ひとは、「自分をわかって欲しい」という願望を深く抱えている。
私自身たしかにそうした1人でもあり、
HP、掲示板、複数のブログ、mixiメールマガジン、複数のメーリングリストを駆使して、創造的で開かれた「場」を作ろうとしている。
でも正直、正のフィードバックが豊かに生まれて「うまく機能している」
とは言い難い状態です。トホホホ…。


インターネットは、ひとに「夢」を見させる。
それは、「自分をわかって欲しい」という願望を、
「ここで現実化できるのでは…」と期待させるから、ではないだろうか。
思い起こせば、ネットはその草創期、
いやアラン・ケイの「ダイナブック」というパーソナル・コンピュータの起源から、
そうしたものではなかったか。


ここで大切なのはむしろ、
「自分をわかって欲しい」というこの気持ちそのものを、じっくり洞察すること
ーーと私には思えます。
それはまったく自然なことです。
ひとはどうして、この気持ちを抱えて生きているのだろうか?



「ウエブ進化論』のあとがきには、こう書かれているーー
「私はシリコンバレーで、人生の先輩達が示すおっちょこちょいで楽天的なビジョンと明るい励ましに、助けられ、救われ、育てられてきた。
……全く新しい事象を前にして、いくつになっても前向きにそれを面白がり、
積極的に未来志向で考え、
何か挑戦したいと思う若い世代を明るく励ます。
それがシリコンバレーの『大人の流儀』たるオプティミズムである。」p245


ウ〜ン、さすがに大人の余裕ですね。
もっとも必要なのは、
「大人の流儀」としてのオプティミズム(楽観主義)ということ。


「自分をわかって欲しい」ーーという面でも、
楽観主義がきっと救いになるでしょう。
100%完全に、わかってもらえなくても良いかもしれない…。
「誤解」や「スレ違い」も、面白がれる楽観性を持つこと。
すると……内面に爽やかな風が、吹き始める。


「個」から大きくひろがって、遍く存在する意識
ーーそれが、「わかって欲しい」という夢の起源に、
もしかしたらあるのかもしれない。
これがひとに、ウエブへの「夢」を繰り返し見させている。


ここに「『個=エゴ』にとどまろう、しがみつこうとする」人と、
軽やかに「個」を越えて、グローバルに展開できる人と、
2つの方向に分かれてしまうのも、
仕方ないかもしれない。
ひとの内には、「広がる・展開する・はき出す」ベクトルと、
「集中する・吸い込む」ベクトルと、
両方があるものだから。


願わくば、「個にとどまってしまう」個性も大切にしつつ、
「遍く存在する意識」とコンタクトし、実践する方法・システムを、
どうにかして産み出せたら……
とこれは、私自身の役割・ミッションとも結び付いていることに、
気づかされました。
ナ〜ルホド。


いかがでしょうか?
皆さんのコメントをぜひお寄せ下さい。


●参考
著者 梅田望夫氏のブログ「My lif Between Silicon Valley and Japan」
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/

「ネットコミュニケーションの視点」
http://blog.tokuriki.com/

「シゴタノ! 仕事を楽しくする研究日誌」
http://cyblog.jp/