助産師として、いいお産のためにできること

「2時くらいから、陣痛が5分間隔くらいで来るようになって…」と奥さんに付き添って、疲労困憊といった様子のご主人。
「だんだん、また陣痛が強くなってきたんですね。私が腰をマッサージしますから、だんな様は少しお休みになってください。」
陣痛に合わせて腰をさすったり、押したり、産婦さんに「ゆっくり、優しく吐いて〜赤ちゃんに酸素をあげるよ〜」と声をかけたり、時々赤ちゃんの心拍を確認したり…
かれこれ、1時間半くらい付き添っていると、陣痛が3分おきくらいに来るようになってきました。ちょっとまだ発作時間が短いですが、少し進んだようです。
それから、また30分後、「いきみたい!」と産婦さんが叫びました。そこで内診すると、もう子宮口全開していて、赤ちゃんの頭もいい感じに降りてきて、すぐそこです。
「分娩室に行きましょう!頑張って歩いてね、そうすると、また赤ちゃんが降りてくるからね。」と陣痛の時に腰をさすったり、肛門のあたりを押さえたりしながら、お手伝いします。
たった10メートルくらいのことですが、分娩台に到着するころには、赤ちゃんの頭がのぞいてるかしら…?と思うくらい、なかなかベッドから降りるのが大変です。
ところが…陣痛室のドアを出ると、陣痛の合間にスタスタとびっくりするくらいスムーズに歩いて分娩室に歩いていきました。
分娩台に横になってもらって、肛門のあたりを押さえつつ、産婦さんに呼吸をしっかりするように声をかけつつ、CTGを着け、点滴を始めます。
医師も到着して、本格的にいきみはじめます。身長も高い方だし、赤ちゃんも普通の大きさだし、すぐに降りてくるかな〜
と思いきや、なかなか降りてきません。赤ちゃんの心拍は、陣痛室で心配したときよりも良いくらい、元気な状態です。
ご主人は、産婦さんの手を握ってもらったり、水分補給をしてもらったり、汗を拭いてもらったりしてもらいます。陣痛のときには、ぎゅ〜〜〜っっと手を握られ、「いたたた・・・!!」と悲鳴をあげていらっしゃいました。お産のときの力って、ものすごいですよね。
陣痛も1回1回が短いし、赤ちゃんの下がりも良くないし…座ってもらったり、立ってもらったりした方がいいかしら?と思いましたが、医師が吸引器(赤ちゃんの頭にカップをつけて引っ張る器械)で、吸引すると判断しました。
陣痛に合わせて引っ張るのですが、やっぱりなかなか降りてきません。少し、お腹の上から押してお手伝いをすると、やっと降りてきました。
あとは、産婦さんに上手にいきんでもらいながら、赤ちゃんが出てくるお手伝いをして、無事、元気な赤ちゃんが生まれました〜・・・良かった・・・
3キロくらいの、平均の大きさの赤ちゃんでしたが、臍帯が首と肩と腕と…3回ほどグルグルと巻きついていました。
ご主人は、感動して泣いていらっしゃいました。「立ち会いして良かった!本当に良かった!皆にぜひ立ち会いするべきだよ!って言ってやるよ。」とおっしゃっていました。
傷も、切開した傷だけで済みましたし、胎盤も無事に出て、出血もそれほど多くなくて、本当に良かったです。

母子ともに元気で本当に良かった、と思うのですが、私の中に何かがしこりになって残っていて、気になります。
なんだろう…助産師として、もっと、いいケアがしたかったのかな…そういうのって、結局、自己満足の世界なんでしょうけれど。
何かが引っかかっています。