実験の腕を上げる学生たち

冬休みまであと二週間。年が明けると、期末試験や卒業研究関係の行事が本格的に動き始めます。そのため、実験カリキュラムの大部分は年内に完了します。

本日は、資源分析化学科と有機テクノロジー学科の一年生が定量分析実験に臨みました。一年生の実験は二時間目から始まり、お昼休みを挟んで三、四時間目に続きます。昼食が終わって少し早めに実験室に戻って談笑する様子を一枚。すっかりリラックスしているKくん(左)とTくん(右)です。

私の担当する実験は「キレート滴定」といって、サンプル水溶液の中にどの程度の金属が溶けているかを測定する技術です。ただ、目的は違えど、滴定操作そのものは、一年生が春から実験で何度も取り組んでいるものです。入学してから約八ヶ月が経ち、彼らは手慣れた様子で実験を進めます。Kくんの滴定の様子はこんな感じです(動きが速くて写真がブレています…)。


定量分析実験は、夏休み明けの九月から始まっていますが、三ヶ月後の今の方が誰もが目に見えて腕を上げています。また、実験の段取りや動きも、三ヶ月前とは比べようもないくらいスムーズで積極的になっています。聞くところによると、本校を訪問される方の多くは、学生が何事にも自主的に取り組む様子を見て感心されるそうです。その背景には、彼らが自分の成長を実感し、自信を深めているという要素があるのかもしれませんね。

可能性を広げる本校の卒業生

さて、今日は卒業生の一人が本校を訪れてくれました。約十年前に本校を卒業した韓国出身の留学生です。今は大学のMBAのコースに通っていますが、何でもご家族の経営する化学会社の後を継ぐため、化学だけでなく経営学も勉強しているとのことです。研究は日本で、製造は韓国で、市場は中国と韓国で、といった将来の会社の青写真をにこやかに語ってくれました。また、日本で化学の資格をもっと取るための相談を、本校の教員に持ちかけたそうです。

卒業して十年経っても、こんな形で学校とつながりがあるのは、素晴らしいことですね。今、滴定実験をしている学生たちの十年後。可能性は果てしなく広がっています。私たち教員が少しでもその支えになるよう、改めて気を引き締めた一日になりました。


by しめじ