2012-01-29
カンフー
目覚めてまだ間に合う!と気付いた時には食パンをくわえて身支度に取り掛かっていました。15分で駅のホームに辿り着き、電車を1本逃したもののギリギリセーフで道場に到着。息切れと興奮のどちらとも判断出来ない浮いた体で階段を上ると、左の障子の間から白い光が見えたので、反射的にそちらを向くと彼がいたのでした。
朝の冷たい光に溶け込むように見えたのは彼の稽古着が白かったからでは勿論なく、彼はとてもいい何かを持っているからだと感じました。それは多分嫉妬すら出来ない程いいものです。それでいて多大な忍耐と努力は必要だけれど欲し続ければ必ず得られるのだ、自分次第なんだという妙な安心感を含んだ面白いものでした。
・・・そんなわけで音楽家であり、武道家のフランソワ・デュ・ボワさんとの出会いはとてもドラマチックなもので、もう今日一日は何があってもへっちゃらだ!などと思っていたのです。しかし気持ちは弾むも、不意打ちにあった(というのも、多忙な彼の代わりに別の先生がいると思っていたので)ことにひるみ、早速足の指が攣り、ふと足下に目をやると靴下に大きな穴が開いていました。緊張度が限界に達したぼくにデュ・ボワ先生は緊張をほぐそうと話しかけて下さいましたが、足元が気になってぼくはちっとも集中できず、悔しい思いをするのでした。
2012-01-04
ロフトにモノポリーを買いに行く
今日は甥っ子のトシマサとランチバイキングへ。お子様用の椅子に座り、2本の乳歯でパンを頬張りたいけれどお尻が滑って上手く食べられない。父親の溺愛ぶりに、終始眉間にシワを寄せて嫌がる姿に日常を垣間見た気持ちがしました。
2012-01-03
慶春
大晦日の夕方、スーパー正面の酒屋に集合との連絡を受け、ぼくは犬のバチャを連れて、文字通り急ぎ足で駆けつけました。諸々を買い込み自宅へ戻ります。お土産に頂いたスモークサーモンの美味しいこと。年越しそばまでまだ時間があったのでみんなでUNO。やっぱりカードゲームはいいねぇなどと言いながら最近スピードというゲームをやって何度やっても同点になる話をする。え、あり得ないよ、じゃ、ちょっとやってみて。というわけで、カードを分けて、ゲームが始まりました。開始早々、いや、それは駄目でしょっと突っ込みが頭上に刺さる。山積みされたカードの数字と同じ数字を置くことができるルールだと同点になってしまいます。除夜の鐘と共にそばをすすり新年を迎えました。
そして次の日は、合同のお誕生日会がありました。美味しい黒毛和牛のしゃぶしゃぶとお酒をたっぷり頂く。肉が口の中で溶ける!苺に囲まれた生クリームのヨークシャテリア・ミニケーキは最後のお楽しみです。カラフルな蝋燭を立てて部屋を暗くしたらピアノが聞こえてきました。お誕生日がふたり居るから歌もちゃんと二度歌います。大のおとな達が照れながら歌うハッピーバースデイ合唱だ。思い出すと本当に可愛くて、胸に仕舞うとその恥ずかしい気持ちと嬉しい気持ちでとんでもない贈り物を貰えたことに気が付きました。そしてその頃、犬のバチャも友人宅玄関でストーブ付き、という高待遇を受け、硬くなった肉球を暖めながらうたた寝していたのでした。
2011-12-01
いなせ
寒さしのぎに入ったお店で生成りのブラウスを見つけ、そのいなせなスタイルに惹かれて買って帰りました。
明日来て歩くのが楽しみです。
数日前に見たときからまた付け足された歌詞を貰って、音源も同封されていたので急いでスタジオへ走ります。楽しみで仕方がない。いつもそうです。新曲を聴く時は、新しい友人が出来たときのような感覚。初めてのお茶は何時間でも話が続いてしまう。
「うっとりとした家を建てて ぼくは 一編の羽ばたきをベッドの下に隠して」
2011-11-12
ガラスの向こうの職人
あらかじめ送ってもらっていたメールを頼りに店に辿り着くと、ガラス張りの厨房から彼女の姿が見えました。ぼくは、少し緊張しながらガラス窓へそろそろと向います。
一心にクリームを塗る彼女に、ガラスを人差し指でコツコツ叩きますが、その時に見えた彼女の顔があまりに満足そうにほころんでいたので一旦ノックを止めてその表情にみとれていました。
作業がおわり、ケーキが冷蔵庫に仕舞われたので早速声を掛けます。
少し挨拶を交わし、ぼくはケーキを買って、近くの夜空へ。
スポンジがとっても美味しい。
以前プレゼントしてもらったシフォンケーキを思い出します。
人を幸せにする人はいる。
ぼくたちが気付かないだけかもしれません。
2011-11-05
小さな旅と、本堂
モヤモヤした数日間に休止符を打つべく旅を思いつき、何の計画もなしに新宿の夜行バスターミナルに
駈けて行ったのが昨夜。日曜日に予定が入っていたので、あまり遠方にも行けない。(本当は鹿児島に行きたかったです)でもぐっすり眠っているうちに何処か知らない土地に運ばれて、ただ歩いて帰るというささやかな旅がしたい。幸運にもキャンセルが・・・出るはずもなく、結局しょんぼり肩を落としながら家路に着いたのでした。
そして朝、公民館の小さな練習部屋で急に鎌倉へ行こう!と決めて、あと1時間も残っている利用時間をそっちのけにして、自転車で駅へ向いました。
駅に隣接しているパン屋でいくつかのパンを買い込み、揺られること1時間30分。
藤沢へ着いたら、大好きな江ノ島線に乗り込みます。この電車の床と椅子の肘掛は木製で出来ていて、ちんちん電車のごとく街中を横断したり、なんといっても海を眺めながら乗車する事が出来るのです。昼間の車内は電気が点いておらず、外の明るさが反射して中に居る僕たち乗客は一つの静かな灰色の影になれます。途中下車、大仏見学、未踏の小道を漂っている内に、それが海へと続いていたのでした。海では犬が沢山遊びに来ていて、そのうちの一匹と友人になりました。砂浜や波を裸足で楽しみ、帰るつもりが、あれよと江ノ島へ行く事に。
江の島大師の本堂へ。
考えなしに入ってみただけなのに、ここに来たかったのだと直感しました。
導かれるという感覚は、ぼくはあまり信じないけれど、まさにこの表現がしっくりときた。
妙な安心感に満たされながら本堂を回ります。
地下へ降りる階段の壁には目を見張るほどの作品。繁々と見つめます。
密集してひとつの意味となっているこの塊の個々の線がとても細い事に思い当たりました。
そして次の瞬間、背中がぞわっとして、なぜこんなに繊細に見えたのかがわかったのです。
それらは絵ではなく、刺繍だったのです。
控えめに開いている窓を大胆に開けると、天井に整列して吊るされた提灯の、白いお札が急にその口を開いてペラペラと喋りだすので、少し恐ろしくなって慌てて窓を閉めたのでした。
2011-10-30
ブラインド
最近知ったCaetano Velosoの歌を何度も聴いています。
時折垣間見られる彼の奇妙なオリジナルダンスは彼の魅力をいっそう際立たせています。
一週間分の洗濯を済ませて、買っておいたブラインドを窓に設置することにしました。
図を頼りに組み立て始める。
思いの他大変な作業・・・汗をかいたので窓を開ける。
数分後、愛猫が前の遊歩道を通行人のごとく通り過ぎる。
その数分後、
隣に住む親子も向こうからやって来て、小休憩。
3歳の少年と猫についてしばし話し込む。
貰ったどんぐりは拾ったばかりなので土の匂いがして気持ちがいい。
楽しい気持ちになり、また作業開始。
そうこうしている内にようやく設置し終え、早速紐を引いてみる。
スルスルスル・・・あっという間に窓が真っ白に。真新しさに息を呑む。
16時頃、肌寒くなってきたので窓を閉めようと窓辺に。
閉めようとして、窓を右に引いた時に気付いたのです。
ブラインドが引っかかって窓が閉められない!








