小さなチーム、大きな仕事: 37シグナルズ成功の法則で学んだ逆転のビジネス習慣

経営学の本ってだいたい大きな起業に焦点を置いたものが多いですが、
この本はスタートアップ直後のお話をまとめています。

ミクロな視点で書かれてあるので、参考になりました。


本を読むときは、ブックカバーを捨てて、付箋するのが面倒なので勉強になったポイントはドッグイアしています。
今回はけっこう大量に折っています。
面白いエピソードが満載な本は好きです。そこからいろいろ自分のビジネスに通じるか具体的に考えられますし。



ドッグイアポイント13個

1.業界で使われているプロジェクト管理ソフトに不満を感じたので、自分たち用にソフトを作った。

起業パターンですね。僕の親戚にも起業した人がいますが(正確には社長ではなく役員)、このパターンでした。勤めている企業から何人かが抜けて起業しています。

自分たち用のソフトを作り、顧客や同僚にも見せると、みんな「うちにもこれが必要だ。」と言い、このソフトを売ることになったと。


2.「失敗から学ぶこと」は過大評価されている。

一度成功した起業家が次に成功する確率は34%。しかし、最初に失敗した起業家が次に成功する確率は23%。
初めて起業した人は成功する確率は23%。(ハーバードビジネスルクールの調査より)
まったく同じですね。

たしかに失敗から学ぶ事はあります。ですが、成功から学べるのは、次の手段を与えてくれること。成功したらまたそれをもう一度出来る。


3.「起業家」はもうたくさん

起業家(アントプレナー)という言葉が敷居を上げている。メンバー制クラブの臭いがぷんぷんする。
誰でも自分のビジネスを始める事が推奨されるような言葉、この本書ではスターターを進めている。

きちんとした言葉は時に縛っているかもしれません。
テレビや雑誌で特集されたりして、一部のすごい人って印象ありますよね。

自分の友達がけっこう起業していたりしたら、別に特別すごいとは思いませんね。
開成高校の生徒たちが東大に入る先輩を見て、「あの先輩が入れるなら俺たちも入れるんじゃね?」っていうのありますし。その先輩のいい加減な所とか短所とか知っているからこそ、自分たちもやれると。


4.あなたに必要なものを作る

一番シンプルで単純な方法。あなたが使いたいものを作ること。

発明家のジェームズ・ダイソンは自分の問題を解決した。自宅を掃除機で掃除しているとき、紙パック式の掃除機がどんどんパワーを失っていることに気付いた。(僕は掃除しているときにまったくそんなことに気付きませんでした。せいぜい、掃除機のうしろから汚い空気がでて嫌だなぁ程度。空気清浄機と香水と掃除機を合体させたら面白そう!)
ゴミが紙の微細な穴をふさぎ、空気の流れを妨げていた。そこで、世界初の紙パックのないサイクロン式掃除機を作った。

ティンパニ奏者のヴィク・フォースはもっと良いドラムスティックを作る事を演奏中に思いついた。彼は、ドラムスティックを自分で作って自宅から売り始めた。たくさんのスティックを床に落としてしまったとき、スティックがそれぞれ異なるピッチの音をたてることに気付いた。それ以来、スティックの水分含有量、重さ、密度、ピッチに合わせて、まったく同一のペアを作るようにした。


5.たられば

「イーベイと同じことを考えていたんだ。やっていれば億万長者だったのになぁ。」と言っている友人が一人はいるだろう。
イーベイのアイディアと実際にイーベイを作り上げることは何の関係もない。
スタンリー・キューブリックは、映画の卵たちに「カメラとフィルムを持ち出して、なんでもいいから映画を撮れ」とアドバイスしている。一番重要なのは、始めることだ。

経済を学びたかったら、株やFXをやれってことですね。自分のお金でやるからこそ本気でニュースやその相関を考えようとする。僕は今月からFXをやっています。人の発言だけでこんなに為替が動くとは思ってもいませんでした。


6.顧客の意見はいいことばかりではない

多くの人が、僕たちの製品は競合他社より機能がすくないといって嫌っている。彼らのお気に入りの機能を入れるのを拒否すると、侮辱されたと思う、しかし、自社の製品がやっていないことを、やっていることと同じぐらい誇りに思っている。
多くのソフトウェアは、機能が多すぎ、ボタンが多すぎ、あいまいで、複雑すぎる。だから正反対のソフトウェアを作った。自分の作ったものがすべての人に合っていなくてもいい。残りのみんなが僕たちの製品を大好きになってくれるなら、進んで顧客の一部をすてる覚悟を持っている。

シカゴのオフィスの通りの近くにあるヴィニーズ・サブ・ショップは、自家製のバジルオイルをサンドイッチにかけてくれる。でも早めにいったほうがいい。閉店時間をきけば、カウンターの女性は「パンが売切れたら閉店です。」と答えるだろう。そして「通りの近くにベーカリーから朝早く焼きたてのパンを買ってきます。パンが売切れてしまうと、これはだいたい2,3時ですが、店を閉めます。午後にパンを仕入れることも出来るのですが、朝の焼き立てのパンのようにおいしくありません。パンがよくなければ、少しばかり余分にサンドイッチを売っても意味がありません。少しのお金は、自慢出来ない食べ物を売ることの埋め合わせになりません。」
普通のチェーン店より、こうゆうところで食べたいと思わないだろうか?


思います。

日本の企業は、よく売り切れないように商品を提供しなければだめだという固定概念があると思う。
最近になって品切れ商法を見かけるが、原理はこうゆう所にあるんでしょうね。


7.芯から始める

ホットドッグの屋台を始めるなら、香辛料、カート、名前、デコレーションといろいろ心配することがあるだろう。しかし、まず第一に考えるべきことはホットドッグだろう。ホットドッグこそ芯の部分。他の部分は後で考えればいい。
芯の部分を見つけるには、「もし、これを手放しても、自分が売るものはまだ残っているか?」と自身に問いかける事だ。
ホットドッグ屋はホットドッグがなくては、ホットドッグ屋台ではない。玉ねぎや調味料、からしは取り除くことができる。


8.音は自分の指の中に

エディー・ヴァン・ヘイレンと同じギターや、エフェクト・ペダル、アンプをそろえてみても、いざ演奏すると、あなた独特の音になる。
同じように、質屋で手に入れた質のよくないギターセットをつかってエディーが演奏してもその音を聞けば、エディーが演奏しているとわかるはずだ。高級なギターは演奏の助けになるかもしれないが、結局は音は自身の中からしか出てこないのだ。
ツールに没頭するあまり、やるべきことを忘れてしまうことがある。変わった書体や高価なフォトショップの特殊効果を駆使しながらも、伝えるものが何もないデザイナー。
多くのアマチュアのゴルファーは、高価なクラブが必要だと思っている。だが、大切なのはクラブではなく、スイングだ。

このブログをやるときに、FC2がいいかアメブロがいいのか自作がいいのかといろいろ悩んでました。
結局は自分の頭にいかに整理して浸透させるかが大事で、なんでもいいから始めようと思ったのがきっかけです。はてなは好きなのでそこから始めてみました。


9.副産物を売る

何かを作るときに、実は何か別のものも生まれてくる。どんなものにも副産物がある。すぐれた洞察力を備え、創造的なビジネス・マインドを持った人は、こうした副産物に注目し、チャンスを見出す。
材木業界は、かつて捨てるだけだったおがくずや、チップ、細かな木々を売り、かなりの収益を上げている。こうした副産物は、暖炉の丸木や、コンクリート、接ぎ木、パーティクルボードや燃料など、様々な所に見られる。
ロックバンドのウィルコは、レコーディングの段階で価値ある副産物を見つけた。彼らは、アルバム政策を映像に残し、ウィルコ・フィルムというドキュメンタリーをリリースした。バンドの製作過程と葛藤があますところなく映し出されていた。収益を得ただけでなく、その映像がさらに多くのファンを獲得する布石となったのだ。
ヘンリー・フォードは、T型自動車の製造に使った木の切れ端を再利用して豆炭を生産するプロセスを開発した。彼は、炭の向上を建設し、フォード・チャコール社が誕生した。

僕のブログでも紹介した社長のテスト(http://d.hatena.ne.jp/burimimi/20130116/1358344881)にもこうゆうエピソードがありました。
13.仕事は部分最適をして無駄をなくす。
この本では、データセンターから出る熱を冷却するのか、その熱を利用して別のビジネスを開拓するのかという話があります。自分の仕事で置き換えると、新たな付加価値をお客さんに提供できそうですし、別のお客さんに向けて何か出来そうで、良い発想でした。

今CD業界も新しい売り方で利益を上げています。賛否両論あると思いますが、CDをいかに売るかに着目すれば、正攻法だと思います。以前購入した「グレイトフル・デッドマーケティングを学ぶ」にもいろんな学びがあります。(いつか感想を書く予定)


10.書類上の合意は幻想

ビジネスの世界には、役にたたないどころか自分たちの時間を無駄にする用済みの書類が散乱している。誰も読まないレポート、誰も見ない図案、完成品と全く似つかない仕様書。これらの書類を作成するには果てしなく時間がかかるが、忘れるのには数秒しかかからない。
何かを説明する必要があるときは、形にしてみよう。それがどのように見えるかを説明する代わりに、その絵を描こう。それがどのように聴こえるかを説明するかわりに鼻歌を歌おう。同じ本を読んでも、ひとりひとり頭の中に異なった登場人物を思い描く。でも僕たちが実際に人を見るとき、彼らがどんな姿なのかはだれの目にも明らかだ。
アラスカ航空が新しい「未来の空港」建設しようとしたとき、設計図とスケッチには頼らなかった。アラスカ航空は倉庫を用意して、段ボールでチケットカウンター、売店、ベルトコンベアーの原寸模型を作った。それから実際の乗客と従業員でシステムをテストをするため、アンカレッジに小さなプロトタイプを建造した。この形にしてみるプロセスから出てきたデザインは、乗客の待ち時間を著しく削減し、従業員の生産性を高めたのだ。

プログラムを作成するときにも言える事ですが、本を見たりヘルプを見たり、実際に自分で動かしていくと理解が深まりますよね。
そのときに、作りたいプログラムよりも簡素なプログラムをまず作って、そこから応用をきかせていました。
今の仕事でマクロ組むときでもその経験は活きています。


11.競合相手以下のことしかしない

競合相手を打ち負かすには、相手よりも一つ上を行かなければいけないという決まり文句がある。もし相手が四つの特徴をもっていたとしたら、あなたは五つ必要だ。もし相手が二万ドル費やしているなら、三万ドル費やさなければいけない。しかし、このようなひとつ上を行くという冷戦のような考え方は行き詰る。
かわりに何をしたらいいのだろうか?競合相手を打ち負かすには、何事も相手よりも「少なく」しかないのだ。簡単な問題を解決して、競合相手には、危険で難しくて扱いにくい問題を残す。

昔、何年にもわたって有名な自転車ブランドは最新のハイテク装備に注力していた。サスペンションを強力なディスクブレーキ付きのマウンテンバイクか、何もかもカーボンファイバーの軽量なチタンのロードレーサー。そして自転車には3、10、21といった多段ギアが必要だと考えられていた。
しかし、最近では、かぎりなくローテクな固定ギアの自転車が広く人気を呼ぶようになっている。いくつかのモデルは、ブレーキさえない。利点はより単純で、より軽く、より安く、メンテナンスがあまり必要ではないということだ。

家電業界などに見られる多機能に同じことが言えそうです。今使っているスマホも機能減らして、電池の持ちを良くしてほしい・・・!!


12.ドラッグの売人の方法は正しい

ドラッグの売人は、抜け目のないビジネスマンだ。彼らは、自分の商品が素晴らしいことを知っているので、先に少量を無料で提供する。あとで初期投資以上のものが戻ってくるとわかっているのだ。
ベーカリーやレストラン、アイスクリーム店は、この仕組みをうまく使っている。車のディーラーは、車を買う前に試乗させてくれる。ソフトウェア会社も、無料トライアルや、機能制限版を用意している。

最近ネットサーフィンしていると、最初の一カ月賃貸料タダなどを見かけるけど、ついに不動産業界にもそうゆうのが来たのかもしれない。
少し前だとアパートのデザインをお洒落にして集客効果を集めていたけど、あれだと難しいのかな?


13.大げさに反応しない

まずいことが起こると、新しい規則を作りたくなくかもしれない。「誰かが短パンをはいてきた?服装規定が必要じゃないか!」いや、そうではなくて、短パンをはいてきたやつに忠告すればいいだけの話だ。
規則とはそんなに起こらない状況に会社が大げさに反応した傷痕だ。一人の間違いに対するみんなへの罰だ。こうやって官僚制度は生まれる。誰かがそれを望んだわけではないが、いつの間にか社の一部となっている。ひとつひとつの傷跡とともに。

工場の労災にも言えることですね。実にくだらない労災とかあります。階段で足をくじいたとか、変な体勢をしたら落っこちたとか。そんなくだらない所に変なルールを決めようとするから膨大なルールが生まれて、本当に大事なルールが隠れてしまう。まさに木を隠すなら森の中。どんどん労災がうまれるでしょう。