雨の団体参拝

burogubou2008-06-19

10日近く乾天が続いたが、今日は朝から小雨である。

本日は団体参拝の日である。
お坊さん用語では「団参」という。お寺が壇信徒を連れてお寺まいりに行くことを指す。総勢42名である。引率は住職夫婦と私である。

檀家さんには農家の方が多いせいか、雨を喜んでいる雰囲気もあるところが、町中の団参と違うところだろう。
 バスの中でマイクを持って挨拶した住職が開口一番に「本日は雨で外の仕事はできませんから、ゆっくりお寺参りをしてください」と言った。モノは言いようである(笑)

 最初は綾部の楞厳寺である。
 明治期屈指の画家によるカラスの襖絵が有名で、カラス寺の異名を持つお寺である。高野山の本山布教師であるご住職のお話は薀蓄にあふれてよどみが無い。

 次はアジサイ寺として知られる福知山の観音寺。
 ご住職は詩画にも堪能で、また説法の名手でもある。本堂で楽しく、ためになるお話を伺うことができた。また大勢の檀家さんが、お寺の仕事を一生懸命手伝っておられるのが感じられ、とても雰囲気の良いお寺だった。
 アジサイは七分咲きとのことだが、昨日までは萎れていたアジサイが雨で生き生きと甦り、小雨に洗われた1万株のアジサイは見事と言うほかなかった。

 そのあとこの地方屈指の禅寺である長安寺、天寧寺にも参拝した。
 いずれのお寺も霊場会の関係でお付き合いがあり、それぞれに工夫を凝らし聞き答えのあるお話をして下さった。
 お付き合いのあるお寺に行くと、決め細やかな心配りを感じて有難く思う。

 不思議なことにバスに乗っている間は雨が降り、お寺に着けば止むという天候で、涼しく、爽やかな空気の中でとても気持ちの良いお参りができた。

 最後に大江町の名所「日本の鬼の交流博物館」を見学した。
 ここでも館長氏自ら丁寧な解説をしてくださり、今回、行く先々で温かいもてなしを受けたことを改めて実感できた。

 やはり、お寺で聞く説法というのはとても味わいのあるものだと思った。
 自分自身もお参りに来られた方にはできるだけお話をしたいと思った。もっとも、これからは外での仕事が多くなりお寺に居たくても居られないのがネックではある。かといっていつ来られるか分からないお参りの方を待ち続けるわけにも行かない。
 作務と接待をどう両立するかは今後の課題だろう。

 鬼の交流博物館は数百の鬼にまつわる品々が展示されていたが、今日の団参にぴったりの俳句も記されていた。

   大江町 鬼の角から しぐれけり   正岡子規