「神秘家列伝」のコナン・ドイル
本日は一日雨。
気温はそれほど低くは無い。
気温が高いせいか紅葉も僅かしか進んでいないようである。
念の為、昨年のブログを読みなおすと11月16日頃には紅葉のピークを迎えていたようである。
夕方、駅の傍の喫茶店で友人に逢う。
友人がコナン・ドイルを愛読していたことが分かって話が弾んだ。
シャーロック・ホームズの冒険―新訳シャーロック・ホームズ全集 (光文社文庫)
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コナン・ドイルのシャーロック・ホームズは小中学生の頃愛読した。
「失われた世界」「マラコット深海」のようなSFもかなり気に入っていた。
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家に帰ってから「神秘家列伝」の2、3巻を中古書店にて購入していたことを思いだした。
2巻の内容は安部晴明、長南年恵、コナン・ドイル、宮武外骨らの列伝である。
仕事を終えてから2巻を読了。
中でもコナン・ドイルが興味深かった。
本書ではドイルの家庭の不遇や不幸といった生涯の負の部分にも眼を向けている。
ドイルはシャーロック・ホームズの作者として著名だが、後年、心霊主義に傾倒し「スピリチュアリズムのパウロ」と呼ばれたことはあまり知られていない。
ドイルにとって小説は生活の糧であり、後半生は心霊主義の普及こそが人生の目的であったようだ。
様々な家庭の不幸や寂しさといったものがやがて心霊主義というこの世ならぬものの存在を堅く信じるようになる素地であったように思われる。
(もっともイギリスにはこうした神秘や超常の世界を真面目に研究するという不思議な気風があって、ドイルもその流れの中にあるのだろう。)
本業と為すはずであった歴史小説で大成できず、余技の探偵小説で時代の寵児となったことへの葛藤のようなものもあったのかもしれない。
ドイルの生涯に対する作者の眼差しには常に温かい。
家族の別離や不遇についての記述を読むと水木氏自身が家族を大切に思う温かな心の持ち主であることが伝わってくる。
この世ならぬものを信じた先人への敬意や共感というのが「神秘家列伝」の背景にあることはいうまでもない。
この世界には広くて、深い。
人間の小さな智慧など及びもつかないものが存在しているという…水木氏の主張は魅力的である。
「神秘家列伝」は秋の夜長に読むにはぴったりではないだろうか。
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