2012-02-10
地域を支える地場建設業が死にかけている
岩見沢だけじゃなく、空知北部や道北方面でも豪雪が大変なことになっているが、除排雪が遅れているのは、単に役所や除雪業者の対応が鈍いということではない。除雪専門業者というのはおらず、多くは地元の建設業者が除排雪作業(道路維持作業)を請け負っているわけだが、コイズミ改革以降の公共事業削減で、建設業者が抱える重機オペレーターも減っているほか、排雪に使うダンプも減らしている。減らした分はリースで対応しているわけだが、リース・レンタル業者も経費削減のため在庫を減らしている。加えて、東日本大震災の瓦礫処理のために余分なダンプは被災地に貸し出しており、ギリギリの台数しか残っていない。つまり、建設業者にもリース業者にも、臨時に人員を増やしたりダンプを増やしたりする余裕がないのだ。今朝の新聞によれば、通常1日2万円台のダンプレンタル料金が被災地では6万円台に急騰しているという。リース業者にすれば、北海道で除雪に貸し出すより、東北に送った方が儲かるということだ。
“建設業者は談合でつるんで税金を食い物にする悪い奴ら”みたいなイメージが、93年のゼネコン疑惑以来、定着しており、市民オンブズマンなる団体が「落札率(落札金額/予定価格)が90%以上の入札は談合の疑惑アリ」などと根拠もなく宣伝したことや、公取が(アメリカの意向を受けて)談合取締りに躍起になったこともあって、近ごろでは公共工事が激減しただけでなく、落札率も80%前後、最低制限価格ギリギリまで落ちており、受注した建設業者は「ほとんど利益がないか、あっても雀の涙」と話す。建設業者だって利益を追求する私企業だから、赤字になるわけにもいかず、勢いシワ寄せは下請業者に集まるわけで、それが末端の作業員の給料に跳ね返っている(札幌市長の上田文雄は、公契約条例を作って札幌市発注工事における作業員の最低賃金を定めようとしているが、その背景には、安い日当に甘んじている作業員が“官製ワーキングプア”になりかねない実情があるわけだ)。
「談合は悪」というのは仕方がない。違法なんだから。だが、競争原理をすべてに優先させるのもどうかと思う。普通に考えて、予定価格は発注側が妥当と認めた価格なのだから、それより安く発注すれば十分なわけで、2割減でなければダメだ、という話にはならないだろう。それとも建設業は利益をあげてはいけないとでも言いたいのだろうか。
それはともかく、つい最近まで、建設業者、特に地域に根差した地場建設業は、地域を縁の下で支える役割を担ってきた。例えば一昨年だったか、集中豪雨で忠別川沿いを走る道道天人峡美瑛線が流され、天人峡温泉に温泉客や従業員が取り残されたことがあった。客・従業員はヘリで救出されたが、道路が復旧しなければ、夏の観光ハイシーズンを棒にふってしまう。道道を管理する道の上川振興局と地場建設業者・下請業者らは突貫で工事を進め、4日後には仮道路を開通させた。
この災害では、寸断した道路から川にクルマが転落し、亡くなった方がいたし、降雨計が働いていなかったりしたこともあって、道に非難が集中した。その批判は甘んじて受けるべきかもしれないが、その陰で、道路を復旧させるために身を粉にして働いている人たちがいたのである。メディアは道庁を批判するのに一所懸命だったが、現場で雨に濡れながら働いている建設業にスポットを当てることはほとんどない。
洪水被害を防ぐために、決壊しそうな堤防に土嚢を積んだりするのも建設業者の役割である。地場の建設業者は、建設協会として自治体と防災協定を結び、いざというときに備えている。要請があれば短時間で土嚢、土、スコップなどと作業員を現場に派遣し、作業に当てることになっている。彼らがいなければ、土嚢一つ積めないのである。
公共事業の大幅な削減は、そうした建設業を倒産・廃業に追い込み、生き残っている業者もやせ細らせてしまっている。「公共事業費削減」「コンクリートから人へ」は、キャッチフレーズとしては受けがいいかもしれないが、その結果、地域の基盤が弱ってしまったのだ。
豪雪対応が鈍い一因は、地場建設業が死にかけていることにもあると思う。