buveryの日記

 

2013-09-21 先日の安全安心チームの会合についての意見

会合自体とても長いもので、資料や動画は、原子力規制委員会のページにあります。

以下、私の意見。

緊急時被曝状況の空間線量20mSv/年は『もっとも厳しい』『安全サイドにたった』基準ではない。避難の危険を政府として認識すべき。 08:34 緊急時被曝状況の空間線量20mSv/年は『もっとも厳しい』『安全サイドにたった』基準ではない。避難の危険を政府として認識すべき。を含むブックマーク

まず、最初に、今回の政府の措置で20mSv/年の空間線量(から計算した仮想的実効線量)で20mSv/年の参考レベルを設定し、それ以上のところは避難することにした政策を『最も厳しい』『安全サイド』にたった政策であると政府の担当者が述べられていましたが、それは、『被曝以外のリスクを無視した場合』のみになりたつ理屈で、現に避難により原発事故の関連死が出ている以上(東京新聞の記事)、全くなりたたない理屈です。

2年半経ってしまった今となっては、事故直後の判断は仕方がないところがありますが、その後判断せず放置し続けていることには責任があります。政府としてALARAを『社会経済的条件を考慮して合理的に可能な限り被曝を低減する』と理解しているのだから、社会経済的条件を無視して設定した20mSv/年の危険性を再認識することが必要です。仮設住宅に押込められて、体調を崩してなくなる方がでているようでは、考慮しなければならない『社会経済的条件』のうちの大事なものを見落としています。今でも、人は毎年死んでいます。いわゆる『安全サイド』、実際には危険な基準にこだわることで、現実に困る人を見捨てないようにお願いしたい。

避難解除を空間線量で決めてはいけない。実効線量で決めるべき。 08:34 避難解除を空間線量で決めてはいけない。実効線量で決めるべき。を含むブックマーク

これは、森口先生が指摘されていたことでもありますが、空間線量での値と個人の実効線量の値は大きく違い、実際には3分の1程度になります(遮蔽状況で個人により違う)。

ICRP111は年単位の実効線量で個人の被曝を管理するように求めており、参考レベルも年単位の追加被曝の実効線量で設定するように求めています。従って、避難の解除(ICRP111の用語で言えば正当化)も、個人の実効線量で決めるべきです。

ICRP111

(45) The Commission recommends that reference levels, set in terms of individual annual effective residual dose (mSv/year), should be used in conjunction with the planning and implementation of the optimisation process for exposures in existing exposure situations.

再度強調しておきたいこと。ICRP111のいう参考レベルは、『これを越えてはいけない値』ではなく、『必ず越える人がでるように設定しないといけない』。 08:34 再度強調しておきたいこと。ICRP111のいう参考レベルは、『これを越えてはいけない値』ではなく、『必ず越える人がでるように設定しないといけない』。を含むブックマーク

これは、何度言っても分かってくれない人がいますが、ICRP111で述べられている参考レベルは、優先的に手当する人を選別するための指標です。だから、必ず越える人がいるように設定しないといけない。越える人がいないような参考レベルには意味がありません。

現在、福島で人の住んでいるところでは、それこそICRP111が長期目標と言っている年1mSvでも設定できます。追加被曝で年1mSvを越えている人は極わずか。避難解除準備区域でも、ちゃんとICRP111の文言通り、年10mSv以下で設定できるところが過半だと思います。この理由は、空間線量からの推定に使っている係数0.6が過大で、実際には0.3程度だからです。(福島民報の中西さんの記事

また、政府は長期的に参考レベルを年1mSvに設定すると言っていますが、国も、どの自治体も現存被曝状況の参考レベルを公言したことはありません。

参考レベルは、国全体、福島全体や、自治体単位でも共通である必要はない。参考レベルは『手当』の基準だから、実際に『手当』する単位で設定するべきもの。 08:34 参考レベルは、国全体、福島全体や、自治体単位でも共通である必要はない。参考レベルは『手当』の基準だから、実際に『手当』する単位で設定するべきもの。を含むブックマーク

今回の事故での汚染状況は、自治体はおろか、集落単位でも異なる場合があります。その場合の参考レベルの設定は、現実的に改善策を担当する単位で設定しないと、単に『数字を言ってみただけ』に終わります。従って、自治体やもっと細かい集落の単位で設定して全く問題ない。逆に、参考レベルを越えた人の一人ずつに対応できない大きさで決めると、現実的な意義がなくなります。

今回、政府の説明では『国が』と言っていて、ICRP111でも『国が設定することができる』と書いてありますが、参照レベルの実際の使い道を考えると、それを越えている人がいるところで、具体的に対応できることが必要です。

データは統一的に収集できる枠組みをつくるべきであるが、『判断』は共有されなくてもよい。 08:34 データは統一的に収集できる枠組みをつくるべきであるが、『判断』は共有されなくてもよい。を含むブックマーク

全体の状況を判断するためにデータを共有することは意味がありますが、(帰還するか、移住するかなどの)個々の『判断』を共有する必要はありません。原理的に言えば、個人や家族単位で違ってもおかしくありません。その理由は、被曝するかしないかの判断(正当化)は、リスクの大きさを被曝の回避行動の負担で測っているからです。この負担の判断は個人的なものだから、線量だけでは決まりません。移住することで失うものが少ない人は、移住を選ぶだろうし、逆にどうしても住み続けたい人もいる。

ただし、現実的にインフラの支援がなく生活できる人は少ないので、集落単位で判断するのも一つのやり方だと思います。

不安の解消を目的としてはいけない。不安の解消は結果。 08:34 不安の解消を目的としてはいけない。不安の解消は結果。を含むブックマーク

今回の政府の説明を聞いていて非常に違和感があったのは、政府が安心安全を目指すと言っていることです。正直に言って、政府は信用されておりません。丹羽先生と森口先生も指摘されていましたが、『安全安心チーム』という名称からして不遜です。

ICRP111のもととなった、ベラルーシエートス計画では、生活状況の改善、rehabilitation of living conditions と言っています。放射能『だけ』を減らしても、生活状況は改善しない。被曝の低減は生活状況を改善するための手段であるという考え方が基になっています。

核事故の場合、政府が信用されないのは当然です。ベラルーシの場合でも、政府に対する不信は強かった。ベラルーシのエートス計画は、事故後10年で赤の他人のフランス人が始めて、さらに10年経過して仕組みが定着した後にベラルーシ政府(非常事態省チェルノブイリ部)が引き継いでいますが、直後にはとても無理。最初から信用されないのが現実であることを前提に行動して下さい。

どのくらいで達成できるのか、将来の見通しを示すべき。 08:34 どのくらいで達成できるのか、将来の見通しを示すべき。を含むブックマーク

政府の説明では、状況の回復に『何十年』など雲をつかむような話をしていましたが、10年後、20年後の汚染地図を示して、どのくらいで達成するのかを理解してもらえるようにすべきです。いわゆる『安心マップ』『リアルタイムモニタリング』と一見似ていますが、リアルタイムであるより、長期的将来どうなるかが大事です。

これは、丹羽先生の意見がもっともで、年単位の『避難』は長過ぎる。将来計画が分かっていれば生活設計ができるが『必ず帰還させるが、その時期は分からない』などと言われたのでは、生活設計が成り立たない。特に、原発所在地である双葉町大熊町に関して、5・6号機の廃炉指示が出された今日では、原発経済が成り立たないことは明らかなのだから、明確な時期を示すか、移住することを前提に支援すべきだと思います。同様なことは、福島第二原発の命運にも言えます。こういう巨大経済があるのかないのかで、そこの地域での職も経済的立場も全然変わってくるから、生活設計のためにはどうするのか答えを出す必要があります。

大人と子供・妊婦などの基準を分けるべきではない。 08:34 大人と子供・妊婦などの基準を分けるべきではない。を含むブックマーク

これも、丹羽先生の意見が正しく、子供は大人がいないと守れないものだから、数値で家族を分断するようなことはせず、子供や妊婦には、例えば、子供のいるところの除染を優先するなど、各論で対応すべきで、数値を分けるべきではありません。

帰還準備地域に帰る希望者に個人線量計を配布するのなら、必ず手当をできるようにするべき。 08:34 帰還準備地域に帰る希望者に個人線量計を配布するのなら、必ず手当をできるようにするべき。を含むブックマーク

実効線量は実測すれば分かるのだから、電子積算線量計を用いて二週間程度帰ってみると通常の行動でどのくらい被曝するかが分かります。ただし、この『希望者に配布』は危ない。被曝線量は『数字』ですが、それを判断するための『ものさし』が必要です。だから、必ずその『数字』の意味が自分の生活に引き落として理解できるような仕組みが必要です。だから、線量計を配布するからには、説明する人間がいる。そして、こういう手当が、信用や信頼の最初のきっかけになります。『希望者に配布』して終わり、では信用を回復する重要なチャンスを捨ててしまうことになります。


(今回の会議ではでていなかったもの)

線量計の他には、食品測定器と、WBCの仕組みが必要になる。 08:34 線量計の他には、食品測定器と、WBCの仕組みが必要になる。を含むブックマーク

積算線量計よりもう少し高価なものとして、食品測定器があります。これは個人で買うには高額なので、資金の援助が必要です。集会所単位程度にあって、手軽に測定できることが必要です。ただし、測定には誰かの指導が必要なので、積算線量計の配布と同じく、必ず人を配置すること。食品測定器は、汚染度の高い食品を排除して被曝から住民を守るものです。

また、被曝の『検算』をするためには、WBCを使って全身の内部被曝を測定する仕組みが必要です。WBCは個人で買えるものではないので、どこかの病院と連携することになります。また、これにも積算線量計の話と同じく、人を配置することで始めて意味のあるものになります。

こういう放射線防護の仕組みは、被曝から住民を守ると同時に、政府の側から見れば、測定機器を道具として信頼をかちとるのが目的です。信頼されなければ、数字だけを出しても全く何もなりません。

担当者を二年で総入れ替えしてはいけない。 08:34 担当者を二年で総入れ替えしてはいけない。を含むブックマーク

今の政府の仕組みでは、2年ごとに配置換えをしていますから、担当者が入れ替わります。そうすると、それまでの信頼関係が使えなくなります。放射能リスクの説明が信用されるのは属人的な要素が大きいのだから、せめて一年ごとずらすなど、かならず継続して同じ人が関与できる仕組みが必要です。これも、上の線量計の話と全く同じ、属人的に信頼を構築するのが目的だからです。

安心安全は『リスクコミュニケーション』で伝えるものではない。 08:34 安心安全は『リスクコミュニケーション』で伝えるものではない。を含むブックマーク

放射能五感で感じることができないので、何らかの道具を使って測定しなければなりません。だから、線量計、食品測定器、WBCを使って地道にデータを住民に渡す事が必要です。しかし、その数字だけでは意味がなく、どのように行動すればリスクを下げる事ができるのかを、伝えることが必要です。迂遠なようですが、データで着実に信頼関係を構築することが正しい方法です。安心や安全の方は住民が自分で判断してくれます。

2013-09-17 福島のエートスに関する事実と異なる記事

福島エートスの活動は公開されている。 17:16 福島のエートスの活動は公開されている。を含むブックマーク

福島のエートスは活動を公開しているので、見ると分かりますが、車座になってのお話会が基本です。『正しい知識』を伝えるのが目的ではなく、同じ目線で問題解決の方法を話し合うのが目的なので、基本的に講演という形はとりません。(福島のエートスの活動を、例えば東京の人に知ってもらうための講演ならします。)

みんな楽しくHappy♡がいい♪の福島原発告訴団の記事は、福島エートスが何かを知らない。 17:16 みんな楽しくHappy♡がいい♪の福島原発告訴団の記事は、福島のエートスが何かを知らない。を含むブックマーク

「福島エートス・福島原発告訴団」武藤類子さん4/21郡山(内容書き出し)

キャッシュ

ここには、

そして、ま、ちょっとなんて言うんですか、

あの…、正しいのかあれなのか私も何とも言えないんですけれども、

福島エートスというグループでね、

そういうところが講演会をどんどん始めています。

それからジャック・ロシャール(ICRP委員)という方が言ったダイアログというものも

各地で読まれたりしています。


そういう中で次第に「放射能もこのぐらいなら大丈夫なんじゃないか」みたいな

そういうものが流布されているような気がしています。

とありますが、福島のエートスは車座の集会が普通で、講演会が主体の活動ではありません。

ICRPダイアログについて 17:22 ICRPダイアログについてを含むブックマーク

ロシャールさんがICRPの委員で、ダイアログを主催しているのは事実です。福島でのダイアログは、これまで、6回開催されていて、そのうち、5回は伊達市、6回目が福島市です。福島のエートスは、2回目から参加していて、参加した会の資料を集めて他の人も見ることができるように公開しています。

その内容は、ICRP Dialogue のページにあります。このサイトは福島のエートスのものを使用していますが、そのページの注意書きにあるように、このダイアログは国際放射線防護委員会(ICRP)が主催しているもので、福島のエートスは参加しているグループの一つです。

注意書き:

このICRPダイアログセミナーで発表されたのは、私たちのものを除き、発表者それぞれの意見であって、福島のエートスのものではありません。(ICRPダイアログの主催はICRPであり、福島のエートスではありません。)

The views presented in the ICRP dialogues are of the presenters, not ours, except the one presented by Ms Ando of ETHOS in Fukushima. (ICRP Dialogues are sponsored by ICRP, not by ETHOS in Fukushima.)

このダイアログは、福島で放射線防護に関わっている当事者が集まって、良い方策があるかを考えるためのもので、色々な考え立場の人が来ます。参加する側の立場から言えば、様々な努力をしている人たちと知り合いになり、ネットワークを作るのが一番の目的だと言えます。

竹野内真理はデタラメを書き続けている。 23:14 竹野内真理はデタラメを書き続けている。を含むブックマーク

例えば、Easybotterで投稿されているこのツイ

キャッシュ

には、

Mari Takenouchi ‏@mariscontact

エートスでの田中俊一の講演を送りますね。「それでも福島県民は、福島県で生活しなけれ ばならない!除染した廃棄物処分を受け入れることは出来ませんか? 」だとお!!!http://ethos-fukushima.blogspot.jp/2012/03/syun-ichi-tanaka …...

と書いてあり、しかもこのリンクが壊れているのがお粗末なのですが、この田中俊一さんの発表は、ICRPの第二回ダイアログセミナーのもので、そのページに資料が載っています。第二回なので、だいぶ下の方ですが、このファイルが発表資料です。

田中俊一さんは、原子力規制委員会の委員長になったので、それを気に入らない人がいるのですが、上に書いたように、田中さんの考えは田中さんのもの。福島のエートスは田中さんと同じ『参加者という立場』で、ICRPダイアログセミナーに参加しているのであって、田中さんの発表に対して直接賛成・反対をいう立場にありません。

竹野内真理の書くデマの例:除染スタッフや原発労働者が必要だから、福島県人を逃がしたくない 13:08 竹野内真理の書くデマの例:除染スタッフや原発労働者が必要だから、福島県人を逃がしたくないを含むブックマーク

たとえば、このツイキャッシュ)には、

Mari Takenouchi ‏@mariscontact

除染スタッフや原発労働者が必要だから、福島県人を逃がしたくないのです。もちろん国が補償額を減らしたいからという理由もある。それをごまかすためにエートスなんて言う、自主的に住民がおしゃべりしながらストレスを吐き出しながら被曝実験させる計画がある。国際原子力ロビーと医学界が絡んでね。

末続はいわき市の中でも30キロ圏に入ったところで、市のはずれ。いわき市の大部分は30キロ圏の外で、避難指示が出されていません。無人だった広野町までは短いトンネルがあるだけです。*1いわき市はある程度津波の被害があり、久之浜やその端の末続では、流されて基礎しか残っていない家が散見されます。いわき市全体からみると原発にせよ津波にせよ、そこまで大きな被害を受けていないので、この地域と他のところには大きな感情的落差があります。

そもそも福島のエートスで福島で活動している人は、全員福島県人です。だから、福島にいない人には、最初から出会いません。エートスでは集会所でお話会を行いますが、そもそもその集会所に他人を引っ張ってくることはできないし、気に入られれば人は来る、気に入らなければ来ないだけです。こういうのを決めるのは、地元の人たちです。

*1広野町によると、2013年8月31日現在 世帯数 1,929世帯 総人口 5,195人 男性 2,590人 女性 2,605人のうち、 2013年8月28日現在 町内居住者数   1,153人 町内居住世帯数  607世帯 なので、3から4分の1程の帰還となっています。

2012-08-19 ベラルーシでの小児の健康状態ははるかに改善されている。

フランスに住んでいるコリン・コバヤシが宣伝しているミッシェル・フェルネックスの動画がありますが、ここで、エートス計画が始まって以来ベラルーシの健康状態が悪化し、あたかもエートス計画で放射線防護を進めると子供の健康状態が悪化するという因果関係があるかのような主張をしています。 02:34 フランスに住んでいるコリン・コバヤシが宣伝しているミッシェル・フェルネックスの動画がありますが、ここで、エートス計画が始まって以来ベラルーシの健康状態が悪化し、あたかもエートス計画で放射線防護を進めると子供の健康状態が悪化するという因果関係があるかのような主張をしています。を含むブックマーク

D

ミッシェル・フェルネックスというのは、退職したスイス人の医者で熱帯医学マラリア)が専門です。その関係でWHOでも働いておりました。放射線被曝の影響は特に専門でもなく、放射線の被曝に関する論文を出している人ではありません(pubmedによる)。もちろん、エートス計画が始まった時には、WHOには勤めておりません。配偶者(故人、ソランジュ・フェルネックス Solange Fernex)はフランス緑の党設立した人です。『チェルノブイリ・ベラルーシのこども』という基金の代表を一時つとめており、ネステレンコ(父・故人)のベルラド研究所に資金援助をしていました。


ちなみに、ミッシェル・フェルネックスは1929年生まれ、66歳の1995年で退職しているので、エートス計画の始まった1996年にはすでに退職した後です。



http://www.enfants-tchernobyl-belarus.org/doku.php

Depuis sa création le 27 avril 2001, à la demande du Professeur Vassili Nesterenko , l'association s'efforce :

→ D'apporter une aide financière à l'association BELRAD qui intervient auprès des enfants dans les régions de Belarus contaminées par les retombées radioactives de Tchernobyl

2001年4月27日に、ネステレンコ教授(ヴァシーリ・ネステレンコ 1934年12月2日-2008年8月25日)の要請で設立されてから、協会は以下の努力をしています。

チェルノブイリからの放射性降下物に汚染されたベラルーシの地域の子供達とともに仕事をしている組織ベルラドに財政的援助を与えること。

この動画を見ると、フェルネックスの言っていることの根拠は、会議で発表した女医さんの手書きの原稿であることが分かります。その原稿自体公表されていないし、その他の根拠があるわけではありません。しかも、フェルネックスは2002年2月22日以来、同じ話を繰り返している(翻訳はコリン・コバヤシ)ので、その話が正しいのかはもとより、その後の10年でどうなっているのかはさっぱり分かりません。

それ以前にフェルネックスはエートス計画と健康状態の因果関係の根拠は何も示していません。フェルネックス本人はエートス計画で食料の汚染が減っていることを認めているわけだから、(『この農作物はセシウムは少ないので、販売することもできた。』)もし、汚染が減っても、健康状態が悪化するということであれば、被曝と健康状態は関係のないことになる。

この文章では、因果関係については触れず、ベラルーシ全体の健康状態がどうなったのかをみて、エートス計画が始まってから現在までに、小児の健康状態が飛躍的に改善されていることを示します。エートス計画の『おかげで』健康状態が改善されたということは示しませんが、エートス計画で小児の健康状態が10倍悪化したとは言えないし、そもそも、この15年で小児の健康状態が悪化していなければ、フェルネックスの言うことは最初から現在のベラルーシと関係のないことになります。

ベラルーシエートス計画は1996年から。 02:34 ベラルーシのエートス計画は1996年から。を含むブックマーク

ここで簡単に復習しますが、ベラルーシでジャック・ロシャールさん、ジル・エリアール=ドブレイユさんたちがエートス計画を始めたのは1996年です(エートス1とエートス2、2001年まで)。その後、セイジ計画(2002−2005年)、コア計画(2004年ー2008年)が行われています。その後、コア計画の要旨は、ゾイア・トラフィムチェクさんの率いるベラルーシ緊急事態省管轄のBBRBIC(Belorussian Branch of Russia-Belarus Information Center=ベラルーシ・ロシア共同情報センターベラルーシ部局)に引き継がれています。

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ゾイアさんの説明よるエートス・コアからBBRBICへの経過の図。

PDF http://www.jaif.or.jp/ja/news/2012/jaif_bbrbic-lic-report120531.pdf p21

WHOのヨーロッパ支局のHFADBには、ヨーロッパの保健データが公開されている。 02:34 WHOのヨーロッパ支局のHFADBには、ヨーロッパの保健データが公開されている。を含むブックマーク

WHOのヨーロッパ支局の公開しているHFADBは、誰でも入手可能で、ヨーロッパ諸国の保健データを比較できます。WHOの分類では旧ソ連はヨーロッパに分類されるので、これを用いて、ベラルーシの保健状態がどう変化しているのかを調べました。WHOのデータを使った理由は、国際比較できる基準のものでないと、他国の傾向と比較できないからです。ここでは、比較対照として

を選びました。

全体の傾向として、ベラルーシの小児の保健状態は改善している。 02:34 全体の傾向として、ベラルーシの小児の保健状態は改善している。を含むブックマーク

ベラルーシでの5歳児以下の死亡率は、以前ツイした通りですが、あれは、WHOの各国概観に載っているまとめからとったものなので、もう少し詳しく見ます。


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これを見ると分かりますが、全ての国で5歳児以下死亡率は低下傾向にあり、ベラルーシ(赤)は旧ソ連の中で優等生で、EU(紫)に並ぶほどだと分かります。1990年代は停滞していますが2000年代の低下が著しい。


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新生児死亡率(一歳以下)でも同じことが言えます。


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感染症による退院数の推移。

ベラルーシは昔のデータがありませんが、カザフスタンウクライナは、80年代から一貫して徐々に減ってきていることが分かります。

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実は、癌の絶対数(年齢調整なし)は、全ての国で少しずつ上昇していて、旧ソ連の中ではベラルーシが一番高くなってきています。しかし、それでもEUより低い。これは、老齢化など社会構造の変化によるものが大きいわけですが、それは後で述べます。


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もっとざっくりとした指標である平均余命をみると、旧ソ連の諸国はすべて90年代に悪化したことが分かります。特にロシア(青)は1986年の70歳が、1994年の64歳と、8年間で6年も短くなる惨憺たるありさまです。ベラルーシ(赤)はまだましな方ですが、それでも1988年から2000年にかけて、4年程下がっています。これらは、どの国も2000年代にゆっくり回復しています。チェルノブイリ事故で汚染されていないカザフスタン(緑)でも5年程低下していますから、平均余命の低下はソビエトの崩壊と一致します。この間、EU(紫)ではゆっくり平均余命は増えています。

以上、まとめると、エートス計画が始まった1996年から現在に至るまで、特に小児の健康状態は飛躍的に改善し、一時悪化した平均余命もゆっくり回復していることが分かります。

年齢調整済み死亡率は、チェルノブイリ後悪化して回復したものと、関係ないものがある。 02:35 年齢調整済み死亡率は、チェルノブイリ後悪化して回復したものと、関係ないものがある。を含むブックマーク

年齢が死亡に関して一番大きな要素なので、年齢調整済み死亡率(SDR)を調べると、大きく分けて、ベラルーシでは、90年代にある程度増えたものと、ほとんど変わらなかったものがあることが分かります。ただし、90年代に死亡率が増えたほとんどの場合は、旧ソ連すべての国で起きた現象で、チェルノブイリの汚染とは関連していません。


癌、糖尿病はチェルノブイリ後ではなく、80年代初頭から増え始め、90年代半ばにピーク。それからゆっくり下がっている。

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年齢調整済み全死亡率。これは90年代半ばに増え、2000年代に減り始めています。


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年齢調整済み全悪性新生物(癌)死亡率。事故前の80年代初頭から増え始め、90年代半ばにピークを迎え、その後減っています。


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年齢調整済み呼吸器系の癌死亡率。これも同じで、80年代初頭から増え始め90年代にピークを迎えてから減っていきます。


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年齢調整済み乳がん死亡率。これは、80年代初頭から増え始めているが、90年代で高止まりして、その後減っていません。


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年齢調整済み内分泌器官の癌死亡率。放射線によっておこることで有名な(小児)甲状腺がんはこちらに入ります。80年代から増え、90年代にピークを迎えてその後ゆっくり減少しています。甲状腺がんは死亡自体が少ないので、他のがんと比較すると、このピークの中に埋もれています。


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ここで、似たような経過を辿っているものに、糖尿病があることに注意して下さい。カザフスタン(緑)が一番変化が大きい。被曝などしなくても、巨大な社会の変化がおきれば、糖尿病患者を量産します。

以上見ると、全体の傾向として、癌は80年代から増加を始め、乳がんの増加など、典型的に都市型の癌が増えている。(日本でも乳がんは都市部に多い。)従って、チェルノブイリ事故直前から比べて癌が増えているのは、事実ではあるけれど、それは事実の一部で、実は80年代初頭から増えていることが分かります。

感染症結核)は、明らかに90年代に悪化している。

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年齢調整済み感染症死亡率。

感染症の悪化のパターンは違います。これは、カザフスタン(緑)に特徴的な、明らかなピークが90年代にあり、その他の旧ソ連諸国も漸増している。それでも、ベラルーシ(赤)は死亡が一番低い。


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年齢調整済み結核死亡率。

この感染症の増加のざっと8割くらいの原因は結核。結核は、開放性の患者からの空気感染だから、患者からの接触が増える、衛生の悪い集団生活や、低栄養、貧困などが誘因となります。また、治療薬はあるものの、長期にわたる服用が必要となるので、資金的または情緒的支援(要するに、薬を飲むように気をつけてくれるひと)が必要となる。もう一つの可能性はHIVをもった人への日和見感染ですが,


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HIVの感染率。HIVの感染が増え始めるのは、96年頃からなので、これは結核の原因ではないと思いますが、特にウクライナは危険な状況ですね。

国家の管理できる感染症とできない感染症 02:35 国家の管理できる感染症とできない感染症を含むブックマーク

この統計をみると、統制国家であるベラルーシでは、予防医学的にはちゃんとした対策を行っていることが分かります。

ポリオ百日咳麻疹などワクチンの確立しているものは、統制国家なら管理できる。

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例えば小児まひをおこすポリオ。これには確立したワクチンがあり、それを接種するとほとんど防ぐことができます。これをみるとカザフスタン(緑)、ロシア(青)では流行があるが、ウクライナ(黄)や特にベラルーシ(赤)ではほとんど発生していない。ベラルーシはEU(紫)より優秀です。


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その理由は、近年ベラルーシ(赤)ではポリオのワクチンの接種がほぼ完全に行われて、EU(紫)よりも優れているからです。ロシア(青)やカザフスタン(緑)での流行はワクチンの接種が下がった時期に対応しています。


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はしか(麻疹)でも、同様の結果が見られ、90年代からはEU(紫)よりベラルーシ(赤)の方が成績が良い。これも予防接種記録をみると、


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旧ソ連圏、特にベラルーシ(赤)では非常によい接種成績を示しています。これをみると、ウクライナ、大丈夫かとも思いますね。


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次に百日咳でも同じことが言えて、ベラルーシ(赤)やカザフスタン(緑)はEU(紫)より成績が良く、


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それは、予防接種の成績にだいたい比例しています。

以上が、国家が統制さえかければ、比較的容易に管理できる病気の例です。このような病気では、チェルノブイリ後でも事態は悪化していません。


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A型肝炎のワクチンはないことはないのですが、一般的ではありません。糞口感染が原因だから、下水周りの衛生環境が分かります。下水を管理するのには巨大なインフラを作らないといけないから、ワクチンで対処するほど簡単ではありませんが、90年頃に多かった感染が徐々に減っていることから、全体の衛生環境が徐々に改善していることが分かります。

以上は、ある程度国家が管理できる病気です。

国家が管理できないもの。梅毒、妊娠。

ところが、ワクチンをうって終わりとならない、人間の性行動の場合は、国家で統制するわけにはいきません。だから、驚くべき違いがでてきます。


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梅毒の発生率。

1997年頃をきれいなピークとして旧ソ連各国で梅毒が増加し、その後減少します。これは、それまでの性行動を支配していた規範がこの4カ国で同時に変化しているからです。梅毒の感染は不特定多数の性交渉がないとリスクが上がりませんから、そういう状態(性産業)が出現しないとこういうことにはなりません。現代では梅毒はちゃんとした診断さえできれば、そう高価ではない抗生物質で簡単に治療できる病気です。


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同じことは、未成年の出産からも分かります。梅毒ほどはピークが鋭くはありませんが、1994年頃をピークとして、増加、そして、ゆっくりと減少しています。

以上、複雑な社会規範に支配されていた性行動が、一度崩壊し、徐々に再編成されているように見えます。もちろん、この時期におこったのは、ソビエトの崩壊と経済の破綻です。

交通事故もソビエト崩壊後増えている。

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90年代初頭には年齢調整別交通事故死が増えています。だからこそ、交通事故まで原発事故の影響だとまで言われたわけですね。カザフスタンでも激増しているので、放射能によるものではないのは明らかです。ただし、実際に交通事故が激増したことは事実。

2012年08月17日金曜日

・二つの被ばく地−チェルノブイリと福島

(3)暗中のリスク/低線量の影響、不透明医師評価分かれる

http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1107/20120817_01.htm

チェルノブイリで最も深刻な健康被害は心的影響だった。「91年当時はあらゆる病気、交通事故までが原発事故のせいにされていた」と山下氏は振り返る。その轍(てつ)は踏みたくない。

旧ソ連で90年代は何がおこっていたのか。 02:35 旧ソ連で90年代は何がおこっていたのか。を含むブックマーク

今までの概観をみても、90年代初頭から始まって90年代にいろいろな急激な社会構造の変化がおきたことは間違いない。

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65歳以上人口を見ると、80年代後半からロシアベラルーシウクライナでは老齢化が進み、カザフスタンは若年人口が多いものの、老齢化が進行していることが分かる。ここ数年は若干老齢化が遅れていることが分かる。もっともそれでもEUに比べると、まだ老齢化率は低い。


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それに対応するように、14歳以下の若年人口は90年代初頭から減って少子化が進んでいることが分かる。少子化が速度を緩めたのはここ数年のこと。


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人口一人当たりのGDPを見ると、EUに比べるとはるかに低いが、経済の低迷は1999年で底をうち、その後2000年代は上昇に転じています。ここで、ウクライナ(黄)のGDPの伸びが一番低いことに注目。意外とカザフスタン(緑)の成長が著しい。

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また旧ソ連諸国では、70年代から都市化が進み、特にベラルーシ(赤)では、強烈な都市化が進行しています。

この様に全体的には老年化、少子化、都市化(特にベラルーシ)で進行しているのに加えて、1989年にソビエトが崩壊します。

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インフレ率。カザフスタンを除き旧ソ連参加国は一時1000%を越える破壊的なインフレが進行しています。一番ひどいウクライナ(黄)では、一年で物価が35倍にもなるインフレを経験しています。この狂乱物価が落ち着いたのは、1996年頃。2000年代には安定しています。

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失業率完全雇用だったソビエト時代に比べて、曲がりなりにも雇用を確保したのは統制国家のベラルーシ(赤)だけで、残りは良くなってきてはいるものの、失業者を回収できていません。

まとめると、都市化、老年化を原因とした都市型、老年型の病気(癌・糖尿病)の増加を基調とし、ソビエト崩壊の破局的な経済の結果がでてきた90年代の失業、インフレと社会の流動化が怒濤のような変化(梅毒・未成年の出産・結核・自動車事故)をおこしたのであって、原子力災害はそれに付け加えられたものであることが分かります。ロシア・ベラルーシ・ウクライナでおこった変化はほとんどそのままカザフスタンでも起きているので、主要な原因がソビエトの崩壊と社会の再構成によるものです。それでも、社会的な統制を維持したベラルーシにおいては、先進ではない技術で予防できる疾患(ポリオ百日咳麻疹)はほぼ完全に制御され、小児の健康状態は90年代は横ばいですが、2000年代ははるかに改善されています(5歳児以下死亡率)。

以上、エートス計画の始まった96年からみると、90年代の困難な時代を経て、現在では小児の健康状態は十分に改善されていて、フェルネックスがにおわせているように、小児の健康状態が悪化してそのまま、ということはありません。

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2012-08-01 『被曝1mSv/年を超える地域は移住が原則。』は妄想

ICRP111での『正当化』の意味が分かっていない人が散見され、また、一部の文章を抜き出して、堂々と妄想を書く人がいるので、ICRP111の『正当化』を説明している、ICRP111の3.1を全訳しておく。『正当化』の説明としては、概要の部分で短く触れているが、本文ではこの3.1がすべて。

3. APPLICATION OF THE COMMISSION’S SYSTEM TO THE PROTECTION OF PEOPLE LIVING IN CONTAMINATED AREAS

汚染地域に住む人の防護に対する、委員会の勧告体系の適用

(24) 汚染地域での居住や就業は現存被曝状況と考えられている。このような状況のためには、防護戦略の実際を『正当化』することと、この戦略によって防護を『最適化』することが、根本的な防護方針に含まれる。防護の『最適化』の過程では、『参照レベル』を使用して、防護した後の線量がその『参照レベル』以下になるように計画する。現存被曝状況は先験的に対処することはできないので、『拘束値』は用いない。

(24) Living or working in a contaminated area is considered as an existing exposure situation. For such situations, the fundamental protection principles include the justification of implementing protection strategies and the optimisation of the protection achieved by these strategies. Reference levels are used during the optimisation process to plan protection strategies that would result in estimated residual doses lower than these levels. Dose limits do not apply because existing exposure situations cannot be managed in an a priori fashion.

日本語の通常の使い方と混同する人がいるので、いくつかのICRPの用語は括弧つきにしてある。 04:04 日本語の通常の使い方と混同する人がいるので、いくつかのICRPの用語は括弧つきにしてある。を含むブックマーク

ここで出てくる『正当化』は倫理的に正当化するという意味ではない。ICRPの用語では、『正当化』は被曝をする状況と、被曝をしない状況を比べて、種々の状況を踏まえた上で、被曝する状況を選択しうる(=現存被曝状況では、そこに居住可能とすること)を指す。

この『最適化』は、通常の日本語に似ているが、ここでは『同じ被曝するにしても、様々な条件を考慮しながら線量を下げる(=ALARA, 合理的に達成可能な限り低く)ことを意味する。

この『参照レベル』はpub 90までの『拘束値』と対照的な概念で、集団のうち、被曝の高い人を優先的に防護するための指標。『拘束値』は計画被曝状況(=線源が制御されている状況、例えば原発労働者)で使われる値。ある一定値を越えたら退場する基準。

現存被曝状況は、簡単に言えば、個人の実効線量で1-20mSv/年の範囲であり、線源が制御できない状況で、かつ新たな流出は制御されている状況。ちなみに、ここで言っている個人の実効線量とは、自然被曝、医療被曝を除いた追加被曝のこと。この追加被曝が1mSv/年を切る状況ではICRPは特段の防護措置は要らない、と言っている。

ICRP111での『正当化』はICRP90までの『正当化』と意味が異なる。 04:04 ICRP111での『正当化』はICRP90までの『正当化』と意味が異なる。を含むブックマーク

ICRP90までは被曝自体を選ぶか選ばないかの選択に正の便益(職業上の利益や、医療上の利益)しかないこと前提にしている。しかし、住んでいるところが長期に汚染された状況では、被曝しないことを選ぶと、それに付随する負の便益(=損害。家を追い出されることや、失業すること、ひいては健康を害すること)を考慮せざるを得ない。従って、ICRP111での正当化は、被曝するというマイナスと、被曝を避けることの負の便益を比較して、それがどちらが大きいかの判断をすることを正当化と言っている。

また、ICRP90までの『正当化』は、個人単位での損益計算をしている。しかし、後述のように、ICRP111では、長期に汚染された中で生活するという状況だから、個人だけを考えた場合では出てこない、集団としての価値も計算の中に入り、『正当化』は集団全体としての計算として行うと言っている。

ICRP111では、『拘束値を適用しない』と宣言している。 04:04 ICRP111では、『拘束値を適用しない』と宣言している。を含むブックマーク

これは、拘束値を使うと、実際の防護行動が困難になるという実際の経験からの政策的な判断である。

だから、『ICRPの基準は1mSv/年』という『基準』を『拘束値』の意味で使っているとすれば、最初から間違っている。同様に、『ICRPでは1mSv/年以上は原則移住』などという主張は、妄想と言って良い。ICRPは参照レベルの数字を大枠しか書いていない。複雑な状況のもとで先験的(=アプリオリ)に状況を決めつけることができないので、原理的に数字を特定して書けない、というのがICRP111の主張である。


(25) 防護戦略はそれぞれの被曝経路に対する一連の防護行動からなる。防護戦略の『正当化』と『最適化』は、個人の防護手段の『正当化』と『最適化』に注目していた、以前のICRP勧告から発展させたものである。

(25) Protection strategies are made up of a series of protective actions directed at the relevant exposure pathways. The justification and optimisation of protection strategies are an evolution from previous ICRP recommendations, which were focused on justification and optimisation of individual protection measures.*1

『正当化』『最適化』というのは、ICRP90にも使われている概念だが、それをICRP111では拡張して使っている。


3.1. Justification of protection strategies

3.1 防護戦略の『正当化』

(26) 『正当化』の原則は、線源依存性の原則であり、放射線への被曝状況を変える判断は、害より益の方が大きくなければならないことを保証するものだ。緊急被曝状況の後の現存被曝状況においては、長期汚染地域に恒常的に人を住まわせることを許可するかどうかという、緊急被曝状況の後に当局によってとられる基本的な決断において初めて『正当化』が適用される。この種の決断は、これ以上であれば強制的に移住する、以下ならかくかくしかじかの条件で居住を許可する、という放射線防護上の基準を同時に決定していることもある。段階的な手法をとって、それに応じた条件による、いくつかの領域を決めることもある。これは、例えば、チェルノブイリ事故に晒された旧ソ連諸国の当局がとった手法である(付録Aを見よ)。次に『正当化』の原則が適用されるのは、緊急時の結果としての放射線防護上の状況を維持、もしくはできれば向上するための防護戦略を定義するのに関連した決断のレベルである。

(26) The principle of justification is a source-related principle, ensuring that any decision that alters the radiation exposure situation should do more good than harm. In the case of an existing exposure situation following an emergency exposure situation, justification applies initially to the fundamental decision to be taken by the authorities at the end of the emergency exposure situation, to allow people to live permanently in the long-term contaminated areas. Such a decision may be accompanied by the setting of a radiation protection criterion above which it is mandatory to relocate the population, and below which inhabitants are allowed to stay subject to certain conditions. Several areas may be defined with relevant conditions according to a graded approach. This is, for example, the approach adopted by the authorities in the Commonwealth of Independent States countries affected by the Chernobyl accident (see Annex A). Secondly, the justification principle applies at the level of decision related to the definition of the protection strategies to be implemented to maintain and possibly improve the radiological situation resulting from the emergency phase.

線源依存性というのは、放射性物質から被曝を受けるかどうかが大事、という意味。

ICRP111での『正当化』原則は、『被曝状況を変える判断(=住まわせるとか、移住させるという決断)は、害より益の方が大きくなければならない』という言い方で、『負の便益=損害』を考慮に入れている。これがICRP90との根本的な違いである。そして、この決断は、まず、住むか住まないか、居住を許可するかどうかという当局のものが最初にくる。

また、正当化は、画一的なものでなくてよく、何段階かにわけても良い。その例として、チェルノブイリの区分分けを挙げている。


(27) 現存被曝状況においては、個人の被曝を低減するために実行される防護戦略は、その防護戦略による損失を上回る、個人もしくは社会に対する便益をもたらす必要がある(ICRP103, 段落203)。しかし、防護戦略の『正当化』は、様々な経済的・政治的・環境・社会的・心理的な結果をも引き起こす可能性があるから、放射線防護の範囲をはるかに越えるものである。防護戦略の『正当化』が行われるときに、汚染地域に住む人の被曝を減らし、被曝のばらつきを押さえることの社会・政治的価値を考慮に入れる必要がある。この種の放射線に関係のない要素をきちんと配慮するのには、放射線防護ではない専門家を必要とするかもしれないし、(狭義の放射線防護ではない)この種の要素が防護戦略を決定する主因になることもある(NEA, 2006)。

(27) For existing exposure situations, protection strategies carried out to reduce individual exposures should achieve sufficient individual or societal benefit to offset the detriment that is caused (ICRP, 2007, Para. 203). However, justification of protection strategies goes far beyond the scope of radiological protection as they may also have various economic, political, environmental, social, and psychological consequences. The social and political value of reducing exposure and limiting inequity in the exposure received by those living in the contaminated areas needs to be included when justification of protection strategies is being carried out. The proper consideration of many of these non-radiological factors may require expertise other than radiological protection, and could dominate decisions on protection strategies (NEA, 2006).

ICRP111の特徴は、『正当化』の判断をするのに、経済・社会的要素だけでなく、心理的な要素まで含めて多方面の考慮を求めていることにある。しかも、狭義の放射線防護よりも、他のものの方が重要かもしれない、と言っている。


(28) 『正当化』では防護戦略を構成する個々の防護行動の総合した損益が大事である。個々では『正当化』されるある種の行動は単独では可能かもしれないが、戦略全体からすれば正味の益がでないかもしれない。その理由は、例えば、その個々の防護行動をひとまとまりとしてみると、その被曝集団全体にとっては社会的に過大な分断をもたらしかねないとか、実施するのには複雑すぎるなどがありうる。逆に、単独の防護行動がそれだけでは『正当化』できなくとも、防護戦略の一部として取り入れられれば全体としての正味の益となることはある。

(28) Justification is concerned with the cumulative benefits and impacts of individual protective actions composing the protection strategy. A range of individually justified actions may be available but may not provide a net benefit when considered as an overall strategy because, for example, collectively they bring too much social disruption for the considered exposed population as a whole, or they are too complex to manage. Conversely, a single protective action may not be justified alone, but may contribute to an overall net benefit when included as part of a protection strategy.

大事なことは、『正当化』はある被曝集団に対する、全体としての損益計算であること。また、放射線の防護と同時に社会の分断を防ぐのも『正当化』のうちで考慮するべきものとして例示している。


(29) 汚染地域に人々が住んで良いという許可が出された時に、社会全体および個々人への全般的な便益を確保する責任は、政府、もしくは国家当局にある。核やその他の事故の後での、これまでの世界の経験からすると、国家も個人も、影響を受けた地域を離れたがらない。防護手段をとっても過剰な被曝レベルがある場合には当局が個人に健康上の理由から被災地を離れるように義務づけることがあると同時に、当局は被災地での人間の諸活動ができるよう回復しようとするのが一般的である。

(29) The responsibility for ensuring an overall benefit to society as well as to individuals when populations are allowed to stay in contaminated areas lies with governments or national authorities. Worldwide experience following nuclear and non-nuclear accidents shows that neither nations nor individuals are very willing to leave affected areas. In general, while authorities may require individuals to leave the affected areas for health reasons in the case of excessive residual levels of exposure, they will aim to rehabilitate these areas wherever possible to allow further human activities.

ここで、residual exposure という時のresidualは『残りの』もちろん、防護手段をとって減らしても残った線量のことです。

ここでは、歴史的な事実として、被災地から人が離れたがらないし、国家も回復させようとする、といっている。これは核事故だけでなく、他の災害でも同じ。


(30) 現存被曝状況では、中央から、そして局所で、当局、専門家、本職の人によって実施される防護措置、被曝をうける個人によって、当局の援助のもと自助防護措置として実施される防護措置など、防護戦略に入る可能性のある全ての防護措置に関して正当化は考慮されるべきものである。当局によって決定される防護戦略は、両方の分野の防護措置を考慮にいれるべきで、影響を受ける個々人が自助の主体的行動をとれるようにすべきである。しかしながら、自助的な防護措置が住民自身により実施される(だからおおむねその防護措置は住民自身によって決定されるが)場合に、正味の便益があると事情が分かった上で自らの防護に関して決断できるよう、住民にきっちりと情報が行き渡り、必要であれば、(当局によって配布された手段や装置を使うための)訓練を受けていなくてはならない。個人が損益計算のバランスを考える上で必要なことは、一方は、状況を改善させる欲求であり、もう一方は防護措置を実施するのにあたっての『負荷』である。

(30) In existing exposure situations, justification should be considered for all protective actions that may be included in a protection strategy: those implemented centrally and locally by authorities, experts, and professionals; and those directly implemented by the exposed individuals as self-help protective actions with the support of the authorities. The protection strategy defined by the authorities should take into account both categories of protective actions, and should enable affected individuals to take self-help initiatives. However, as self-help protective actions are implemented – and thus largely decided – by the inhabitants themselves, they must be properly informed and, if relevant, trained (to use the means and equipment provided by the authorities) in order to take informed decisions concerning their own protection, with a net benefit. The balance to be considered by the individuals includes, on one side, their desire to improve the situation and, on the other side, the ‘burden’ induced by the implementation of protective actions.

ICRP111の主張で特徴的なことは、当局(国家や地方レベル)による防護措置とともに、住民の自助による放射能防御を推奨していること。また、その住民の自助努力に際して、装置(線量計、食品検査など)の使い方など必要な情報支援を当局の責任ですべきだ、と言っている。


(31) 事故後長期に汚染された地域を管理するために、緊急被曝状況の間に実施された防護措置の一部を継続するとともに、一連の新しい防護措置を導入することを、当局が考慮することがある。この新しい防護措置を導入するかどうかの判断基準には、居住している人々個人の防護措置をとった上での残りの被曝レベルや、新しい措置を実施するのがどのくらい容易か、汚染地での生活状況の質と持続可能性にどのような負荷を与えるのか、などがある。

(31) For the management of long term contaminated areas after an accident authorities may consider maintaining some of the protective actions implemented during the emergency exposure situation, and also introducing a whole set of new protective actions. The decision about whether to introduce these new actions will depend on several criteria including the residual individual levels of exposure of the residing population, the feasibility of implementing new actions, and the impact that these actions will have on the quality and sustainability of the living conditions in the territory.


まとめると、ICRP111では、最初の第一歩、居住を許可するかどうかは当局が判断するが、それは放射線防護のみから簡単に決まることではなくて、経済的・政治的・環境・社会的・心理的な結果を総合的に判断する必要があり、従ってこの複雑な状況を考えに入れずに、何ミリシーベルトという数値を決めつけることはできない。また、防護は当局の実施するもの、住民が自分たちで実施するものの二本立てである。以上がICRP111の正当化の説明の本文のところの全訳。

概要のところを追加する。 04:50 概要のところを追加する。を含むブックマーク

1.2 概要

1.2. Scope

(6) 核事故もしくは、放射能の非常事態は、短期的、中期的、長期的対策を含む指針により管理される。短期的、中期的対策に関する最新の指針は、緊急被曝状況下の人びとの放射線防護のための委員会の勧告の適用、ICRP 出版物109 (ICRP109)である。今回の報告が述べる事故後の回復状況は、核事故や放射能事件で引き起こされた広い居住地域の長期汚染の場合に実施する必要があるかもしれない、長期的対策に対応している。

(6) Nuclear accidents and radiation emergencies are managed according to guidance covering short-, medium-, and long-term actions. The most recent guidance related to the management of short- and medium-term actions is provided by ICRP Publication 109 (ICRP, 2009) on the Application of the Commission’s Recommendations for the protection of people in emergency exposure situations. The post-accident rehabilitation situation covered by this report corresponds to the long-term actions that may need to be implemented in the case of a nuclear accident or radiological event resulting in long-term contamination of large inhabited areas.

全体の構成としては、ICRP 103, 109, 111がセットになっている。 04:50 全体の構成としては、ICRP 103, 109, 111がセットになっている。を含むブックマーク

ICRP 103。この勧告は長大な構成で、様々の被曝状況を列挙して、こういう場合には、こういう指針で対策をとる、という枠組みを決めたもの。このICRP 103は、その前のICRP 90(現行の日本の法律の基盤になっているもの)を置き換えた、最新の土台となるもの。現存被曝状況や緊急被曝状況はここで定義されている。

ICRP 109。これが、20-100mSv/年の被曝に対する緊急被曝状況の勧告。

ICRP 111。これは1-20mSv/年の被曝に対する、長期的、広範囲の汚染に対する対策。この勧告そのもの。


(7) 緊急被曝状況から現存被曝状況への移行は、緊急性に追われ、潜在的に高いレベルの被曝があり、主に中央で決定される防護戦略から、生活状況を改善し、状況を見据えて合理的に達成できる限りできるだけ低く被曝を低減することを目標とする、もっと分散的な防護戦略へ、管理方法を変更することが特徴的である。現存被曝状況での防護戦略は状況の長期的性格を考慮にいれ、被曝する個々人が自分の放射線防護に直接関与すべきである。この移行は、スムーズにかつ十分透明なやり方で行われるべきで、影響を受けているすべての人が同意し、かつ理解しているべきである、と委員会は勧告する。

(7) The transition from an emergency exposure situation to an existing exposure situation is characterised by a change in management from strategies mainly driven by urgency, with potentially high levels of exposure and predominantly central decisions, to more decentralised strategies aiming to improve living conditions and reduce exposures to as low as reasonably achievable given the circumstances. These strategies must take into account the long-term dimension of the situation, and exposed individuals should be directly involved in their own protection. The Commission recommends that this transition should be undertaken in a coordinated and fully transparent manner, and agreed and understood by all the affected parties.

緊急被曝状況は中央集権的に管理、現存被曝状況は分散的に管理。 04:50 緊急被曝状況は中央集権的に管理、現存被曝状況は分散的に管理。を含むブックマーク

放射線防護の戦略は、緊急時には中央集権的に果断な処置が求められるが、ある程度被曝が下がり、長期的な問題になる時は、現実の生活の向上を主眼として、該当住民の直接参加を旨として分散的な防護戦略に移る。

勧告では、緊急被曝状況から現存被曝状況への移行は、当事者の合意と理解が伴うべきであるというが、正直にいって、今回の政府の緊急被曝状況から現存被曝状況の移行はなし崩しに行われている。もっと率直に言えば、緊急被曝状況や、現存被曝状況の防護戦略の違いなど、政府自身が理解していないのではないか。このような状況で、いかに当事者間の合意をとるのか、現実どうすればよいのか、私には良く分からない。

もっとも、今、人が住んでいる領域は現存被曝状況だから、政府の理解がどうであろうと、現存被曝状況の対策を進めれば良いと思う。政府が住んで良いと言った時点で、これは現存被曝状況であることを認めたことになるから、政府には領域内での個人の放射線防護を支援する義務があると同時に、まともな生活、収入手段を保証する義務が生じていることは知っておいた方がよい。

本当に大変なのは、飯舘村警戒区域で、現時点で人が住んでいないから、ここは緊急被曝状況から明示的に現存被曝状況へ変わる。現在、飯舘村と警戒区域の自治体が、政府と区分分けの交渉を行っているが、これは一応当事者の合意と言えなくもない。


(8) 人々が希望した場合に、汚染地域に住んで良いという許可を出す決定は、当局によりなされ、この決定が事故後の回復期の始まりを示す。この決定をするということは、個人に対して放射線による健康被害の可能性から防護することができることと、尊敬に値する生活様式と収入源を含めて、持続可能な生活状況を提供することを意味する。

(8) The decision to allow people to live in contaminated areas if they wish to do so is taken by the authorities, and this indicates the beginning of the post-accident rehabilitation phase. Implicit with this decision is the ability to provide individuals with protection against the potential health consequences of radiations, and the provision of sustainable living conditions, including respectable lifestyles and livelihoods.

現存被曝状況への移行は当局が決定する。 04:50 現存被曝状況への移行は当局が決定する。を含むブックマーク

まず最初に、住む許可を出すのが最初の決定で、これは本文3.1の『正当化』のこと。当局が現存被曝状況への移行を決定する理由は、この決定をするということは、現存被曝状況で、ちゃんとした生活手段があり、まともな生活ができることを、当局が保証するのが前提であるから。

ちなみに、この節をもって、『ICRPでは1mSv/年以上は原則移住』などという主張はできない。そもそも、そんなことはどこにも書いていない。


(9) 広大な地域に影響を与える重大事故の場合には、対策の管理として、それぞれの地理的場所によって、それぞれ違う状況に、同時に対応する必要があるかもしれない。従って、緊急被曝状況から現存被曝状況への移行は、汚染地域のなかでも、異なった時期におこる可能性がある。

(9) In the case of severe accidents affecting very large areas, the management of the response may need to deal simultaneously with actions relating to its different phases in different geographic areas. Thus, the transition from an emergency exposure situation to an existing exposure situation may occur at different times within the contaminated areas.

現存被曝状況への移行は一律にはおこるとは限らない。 04:50 現存被曝状況への移行は一律にはおこるとは限らない。を含むブックマーク

汚染地域が広い場合、現存被曝状況へ同時に移行しない可能性がある。現状では、警戒区域は現存被曝状況とは言えない。放射能が減衰していくにつれ、汚染の程度によって、また該当区域の政治的、経済的状況によって、順次現存被曝状況へ変更されていくことになる。

*1:ここのwere focusedはfocusedの誤りだと思う

2012-04-18 ( →_→) 『捏造なう』

ドブレイユさんを引用している記事は捏造と断じて良い 03:53 ドブレイユさんを引用している記事は捏造と断じて良いを含むブックマーク

先日、私が、『福島のプルトニウムは無視して良い』と考えるわけという記事の中で、『プルトニウムフェチ』の人がいると書きましたが、その人の本名は上杉隆と言います。彼の書く放射線関連の記事は、ほとんど間違っていると私は評価していて、それは、別に驚く事ではありません。

しかし、今度ドブレイユさんが引用されているzakzakの記事は、『間違い』ではなく、捏造であると私は思います。それは、私にとっても驚きでした。私が捏造だと判断する理由を以下に説明します。

最初に捏造に気がついた記事 03:53 最初に捏造に気がついた記事を含むブックマーク

郡山についての間違いだらけの、しかもWall Street Journalの記者のコメントを捏造した顛末については、皆さんご存知の通り以下にまとまっています。

上杉隆夕刊フジで捏造記事か?!

http://togetter.com/li/276770

私は、上杉隆は、放射能の人体に対する影響について、単に無知であると思っていましたが、コメントを捏造するとなると、話は違う。これは、意図しないとできないことです。だから、放射能についても無知なのではなくて、意図して嘘をついているのではないか、と疑い始めました。

もう一つ捏造ではないかと疑われている記事 03:53 もう一つ捏造ではないかと疑われている記事を含むブックマーク

いわき漁港の漁師「上杉隆さん、ありがとう!」しかし、いわき漁港は実在せず

http://togetter.com/li/278126

これだけだと捏造かどうか判断は難しいとも言えますが、WSJの記者のコメントは存在しなかったわけですから、存在しない『いわき漁港』はともかく、漁師のコメントが捏造であった可能性は否定できません。

さらにもう一つの捏造記事 03:53 さらにもう一つの捏造記事を含むブックマーク

ただし、私が捏造と言っているのは、このWSJの記者のコメントを捏造したという記事(このコメントはWSJから抗議されて削除されているのは上記の通り)の話ではなく、『いわき漁港』の漁師さんの話でもなく、もう一つのzakzakの記事です。

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20120313/dms1203130814001-n1.htm

そこに「アーハス協定と核」の円卓会議に出席した、との話が載っています。

 実際にこの2月、私は、欧州ルクセンブルクで開かれた欧州委員会フランス原子力規制局共催の「オーフス会議」に日本代表として呼ばれ、「フクシマ」の現実について語ってきたばかりだ。

 四半世紀前、チェルノブイリの悲劇を経験した欧州の人々は、総じて放射能による環境汚染への危険意識が高い。

 その彼らの口を借りれば、「実は、日本の国民こそがもっともフクシマの情報を持っていないのではないか」(フランスMustadis代表、ジル・エリアール・デュブルイユ氏)ということになる。

ここで、問題となるのは、エリアール=ドブレイユさんのコメントのところです。以下、ドブレイユさんと書きます。現在ICRP主委員会委員でもあり、ICRP111の主筆でもあった、ロシャールさんという方がフランスにおられます。そもそもドブレイユさんは、ロシャールさんと一緒にベラルーシのブラギンでエートス活動を始めた時に一緒に仕事をした人です。何の得にもならない、被災地の人たちの生活という現実を何とか改善したい、という気持ちがなければできない仕事です。そういう人が日本人を小馬鹿にした発言をしていることになっている。これは怪しいので、ロシャールさんに頼んで、ドブレイユさんに聞いてもらいました。

これがロシャールさんに転送してもらうよう、私が送ったメールの該当部分の日本語訳です。

Date: Sun, 25 Mar 2012 03:18:54 +0900

Subject: Re: Mr Gilles Heriard-Dubreuil

===日本語訳===

上杉隆は、アーハス=コンベンションの記事を日本語で書いています。

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20120313/dms1203130814001-n1.htm

英語に直すと、こうなります。

=== ここから(私の書いた物は実際には英語。下記参照。)

実際にこの2月、私は、欧州・ルクセンブルクで開かれた欧州委員会とフランス原子力規制局共催の「オーフス会議」に日本代表として呼ばれ、「フクシマ」の現実について語ってきたばかりだ。

...

 その彼らの口を借りれば、「実は、日本の国民こそがもっともフクシマの情報を持っていないのではないか」(フランスMustadis代表、ジル・エリアール・デュブルイユ氏)ということになる。

=== ここまで

(ここの『Mustadis』は、まずおそらく、『Mutadis』の誤植)

ロシャールさんは、ブラギンでのエートスに参加していたから、エリアール=ドブレイユさんをよくご存知だと思います。私の、ドブレイユさんへの質問は以下の通り。

=== 質問 ここから

1. ドブレイユさんは上杉さんとそのルクセンブルグの会議で実際に話したのでしょうか。

2. それが本当だとしたら、ドブレイユさんは、上杉さんが上に引用しているように『日本の人が一番情報を知らないのかもしれない (the people of Japan may be least informed)』と言ったのでしょうか。もし、言ったのならそれは、どういう文脈ですか?

3. 言ったとしたら、記事にして良いという許可は出したのでしょうか。

4. ドブレイユさんは英語で話したのでしょうか?それとも通訳がいたのでしょうか?

=== 質問 ここまで

ドブレイユさんは、そんなことは言っていない。 03:53 ドブレイユさんは、そんなことは言っていない。を含むブックマーク

ドブレイユさんから以下のように私に返事がありました。

Date: Mon, 26 Mar 2012 10:47:21 +0100

Subject: Re: Mr Gilles Heriard-Dubreuil

From: Gilles HERIARD DUBREUIL

===日本語訳===

確かに上杉さんは、2012年2月15−16日に、ルクセンブルグで開かれた、アーハス協定と核(ACN)ヨーロッパ円卓会議に参加しています。

会議の後で、上杉さんは、私自身と、ANCCLIの代表、Monique Senéのインタビューをしています。インタビューは英語で、通訳なし、ビデオで記録がとられています。

会議が終わった後の短いインタビューでした。言葉の選び方を[公表前に]チェックする機会はありませんでしたが、チェックさせて欲しいと頼まなかったことは、言っておかなくてはなりません。

しかし、あなたの言っている引用の意味が私にはよく分かりません。

"According to them [European people], "The people of Japan may be least informed."

これは、

1) 日本人が現在情報をあまり知らされていないという意味か、

2) 日本人に情報を知らすべきでないという意味か、

どちらでしょうか。


いずれにしても、まず最初に、どちらも私は支持しません!


仮に最初の(事実という)意味であるとすれば、私は、日本の現状を評価する手段を持っておりませんから、そのような評価をするのは、私の意図ではありません。

2つ目の意味だとすれば、私の意図とは全く逆です。私は、日本の人が情報にアクセスし、事故後の決定過程に参加したいというのを支持します。この文言は、私が仲間たちと1996年にベラルーシで始めたエートス計画の核心にありました。

(以下はアーハスの内容の話なので、省略)

要するに、ドブレイユさんは、「実は、日本の国民こそがもっともフクシマの情報を持っていないのではないか」と言っているわけがないのです。(ドブレイユさんには、1番の意味である事は説明しておきました。)上杉隆が『コメントをデッチあげていない、ドブレイユさんが嘘をついている』と主張するのなら、ビデオを公開すればことたります。インタビューは英語だから、内容は聞けば分かります。そして、ドブレイユさんのいうビデオが存在することは上杉隆事務所が認めています。(後述)

上杉隆のメルマガに出てくる『G氏』はドブレイユさんではない。 03:53 上杉隆のメルマガに出てくる『G氏』はドブレイユさんではない。を含むブックマーク

ちなみに、上杉隆のメルマガを購読している人は、ご自分に送られてきたメールを点検すると、『G氏』という名前で、以下の引用がある事が分かると思いますが、ドブレイユさんは、自分がその『G氏』であることも否定しています。


上杉隆の東京脱力メールマガジン Vol.105

前出のG氏もこう話す。「今回の会議があなた、ミスター上杉を招いた理由には、日本のマスメディアが機能を果たさず、多くの日本人に情報を提供できなかったという背景がある。私たち、欧州の人間が、フクシマ原発事故において、日本政府や専門家、あるいはメディアから本当の情報を得ることができたかというとそうではない。多くの貴重な情報は、独立系のジャーナリストやFPAJ(自由報道協会)、あるいは市民団体によってインター ネットを通じてもたらされたものばかりだ。政府は情報を隠蔽し、メディアは機能しなかったと考えている。公的なデータとして活用できたのはTEPCO(東京電力)のHPから直接得たこと。あるいは、あなた方のようなジャーナリストの報告を各国大使館がそれぞれ訳し、本国に逐一伝えたことにある。東京のフランス大使館は一日200回以上の公電を打ってきた。いずれにせよ、なぜ日本で情報の遮断が起きたのか。その実態とマイクロメディアの果たした役割を知りたかった、それであなたをお招きしたのだ」

実は、このメルマガのこの号に名前が出てくるのは、フランスのNGOの代表であるMr David Boileyと、ドブレイユさん= Mr Gilles HERIARD DUBREUILの二人だけで、この引用部分は、ボイレー氏の後に出てくるものなので『前出のG氏』は、ドブレイユさんであるとしか読めません。そもそも、Gが名前のどこかにつくのは、誰がみてもドブレイユさんだけです。不思議なこともあるものですね。

Date: Wed, 28 Mar 2012 13:22:21 +0200

Subject: Re: Mr Gilles Heriard-Dubreuil

From: Gilles HERIARD DUBREUIL

===日本語訳===

ところで、『G氏』が誰かという事に関して、上杉さんが書いている人は私ではないと思います。『G氏』は私が知らない東京電力の情報について話していますから。

上杉隆は、ドブレイユさんが『そんなことは言っていない』ということを知っている。 03:53 上杉隆は、ドブレイユさんが『そんなことは言っていない』ということを知っている。を含むブックマーク

それをなぜ私が分かるのかというと、私への返事のうち2通をドブレイユさんが、上杉隆にCcで送っているからです。その中には、『私がメールを公開するよ』と書いたものも入っています。

さらに、私はそれを上杉隆が読んでいることを知っています。それが分かるのは、上杉隆事務所からメールが来ているからです。名前は検閲しておきますが、もちろんもとのメールには書いてあります。

これが、上杉隆事務所からのドブレイユさんへの返事。

From: XXXXXXX XXXX <xxxxxxxxx@xxxxx.xxx>

Date: Wed, 28 Mar 2012 07:31:39 +0900

Subject: Re: Mr Gilles Heriard-Dubreuil

To: Gilles HERIARD DUBREUIL

===日本語訳===

ドブレイユさん、

ハロー、私はXXXXXXX XXXXです。

上杉隆が非常に多忙なため、代筆しております。

私は上杉隆事務所のスタッフです。

おっしゃられた通り、インタビューのビデオを上杉がとっておりますので、上杉は『もう一度確認する』と言っております。

上杉が確認次第、連絡を差し上げます。

(以下略)

そして、今に至るまで、連絡はありませんから、確認はできない、ということなのでしょう。

その間に上杉隆はブログを更新して言い訳を書いていた。 03:53 その間に上杉隆はブログを更新して言い訳を書いていた。を含むブックマーク

ドブレイユさんは、上杉隆に言いたいことをいう機会を与えるために公開を待ってくれと私に頼んできたので、私は上杉隆にドブレイユさんに返事を出すようにとツイートを送った上で、待っておりました。その間に上杉隆は自分のブログで、一連の捏造について言い訳を書いておりました。

http://uesugitakashi.com/?p=1231

上杉隆の東京脱力メールマガジン Vol.114

このブログを読んで、上杉隆が忙しいというのは、言い訳するのに忙しいという意味であることが分かったので、私はブログの一部を英訳してドブレイユさんに送りました。

Date: Mon, 02 Apr 2012 10:28:48 +0900

To: Gilles HERIARD DUBREUIL

Subject: Re: Mr Gilles Heriard-Dubreuil

===日本語訳===

ドブレイユさん、

(返事を待っている)4日の間に、上杉さんは、ブログを更新しております。彼の捏造記事に付いてです。言い訳を書く時間はあったのだから、ドブレイユさんに返事をしてこないのは、返事をする価値がないと判断したからでしょう。

http://www.uesugitakashi.com/?p=1231 (日本語)

こちらが、捏造コメントが削除された記事です(日本語)。

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20120314/dms1203140854005-n1.htm

ブログ記事の抜粋を英訳し、私の意見を下に付けます。私が電子メールを公開しようと決意した理由の一つは、この記事が不誠実であるからです。

===from here: translation of Mr Uesugi's blog=== (原文では英語)

「WSJ記者のコメントをねつ造

恥ずかしいミスだ。言い訳のしようもない。原因は取材メモの混合と単純な勘違い。二人の取材記者にはWSJから問い合わせのあった当日、編集部を通じて経緯を説明、結果、謝罪し、訂正を載せることを伝えている。

(中略)

郡山市役所前で1.8マイクロシーベルトと数字を盛ってデマをまき散らしている」

NO。2月11日に当地で同測定器を使って測定。携帯写真などでも公開したが、煽るといけないので検出された数値としては若干低めのものを報告。ジャーナリストの島田健弘氏が同行確認。当初、迷惑がかかるので島田氏の名前を伏せていたが、本人からの許可によりここに公開。

福島に人が住めないと大げさに煽っている」

NO。県内の一部地域についての発言。高線量地域に関して、除染不可能な場所もあると言い続けている。チェルノブイリの結果からも事実。福島全域と発言した事実は一切ない。

(中略)

上記は、念のためすべて編集部に伝えている。なおこの間、編集部および私自身に対して、WSJ以外からは「問い合わせ」がなかったことを合わせて報告する。

=== end here===

私の意見。

1)WSJコメントの捏造について。上杉隆が全責任を負うのは彼が言っている通り。『言い訳のしようもない』し、捏造コメントの根拠を出すことができないのだから、『捏造ジャーナリスト』と呼ぶほかはない。『上杉隆は間違いだらけなのではなくて、引用を捏造するのではないか』と私が疑い始めたのは、この記事が理由です。

2)1.8 µSv/hについて。最初の記事では、上杉さんは、自分の値と公式の値(0.6 µSv/h)について、こう述べていました。

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20120314/dms1203140854005-n1.htm

==begin translation (私の書いたメール原文は英語)

 「だって、あの発表の数値は、測定前に水で地面を洗って測っているんです。違うのは当然ですよ」

 地元の放送記者が種明かしをする。

==end translation

この不思議な『水洗い』を見た人はいません。

(今から考えると、これもコメントの引用です。前には気づかなかったけれど、このコメントも捏造かもしれない)

実は、私は、上杉さんが2月11日にツイートした線量計が 1.8 µSv/h を示している写真を見つけました。

http://twitpic.com/8ibumj

写真を見れば分かりますが、彼は、空間線量を側溝の上で測っています。側溝は雨などによってセシウムが濃縮しているのが知られています。側溝での値は、その区域の代表値ではありません。公式の測定点は、市役所前の駐車場であって、側溝の上ではありません。これが測定値に差が出た理由です。

このトリックをみんなが知っているのは、岩上安身さん、山本太郎さん、日本グリーンピースが同じ手口を何度も使っていたからです。上杉さんがこの使い古された手口をまだ使っているというのは信じ難い。みんな何ヶ月も前に止めたことだからです。しかも、上杉さんは、違う測定点を選んで、測定値の違いを郡山の人の責任だと『コメント』で言わせている。このコメントで語る手法は、非常に独創的かつ創造力にあふれていると言わねばなりません。

郡山の人が上杉さんの、測定前に『水洗い』をしているという主張に抗議したとき、疑問には答えず、地元の放送記者の名前を明かすことで返事としています。*1

人が上杉隆を『デマ野郎』と呼ぶのは、溝の上で線量を測るからではありません。郡山市や福島市の人に対して、悪意をもった妄想を作り出すからです。

3)『福島は人が住めるところではない』について。実のところ、捏造記事の表題は『“放射能汚染”の真実…福島、郡山市に人は住めない』というものでした。これは、WSJ記者の言葉の直接の引用でした。引用を削除したから、そのままでは、表題に何も残らないから、表題を入れ替えたのです。

上杉さんは無関係な内容を弁護している。おそらく弁護のしようがないからでしょう。

4)『問題』に関して上杉さんに問い合わせたのは誰か、について。ドブレイユさんも私もドブレイユさんが問い合わせたことを知っています。2回。私が彼に英語と日本語で誰にも分かるようにツイートしたことも知っています。6回です。ドブレイユさんと私にとって、明らかに嘘とわかることを彼が書く理由が分かりません。

捏造予防原則を適用せよ 03:53 捏造に予防原則を適用せよを含むブックマーク

ここで上杉隆の捏造の手口についてまとめておきます。

  1. 捏造は、確認をとりにくい人のコメントの形が多い。
  2. なぜか、そのコメントは、本人の主張に都合のよいものになっている。(というより、本人の日頃の主張そのもの)
  3. 捏造がバレると、『取材メモの混合と単純な勘違い』と言い逃れをする。

放射能に対して予防原則というものがあります。簡単に言えば、危ないかどうか分からないものは、危ないと一時的に判断しておく、という原則です。私は、ことここに至っては上杉隆の書いていることには予防原則を適用して、

捏造でないと証明されるまでは、捏造であると判断

しておくべきだと思います。

ジャーナリストの方たちへのお願い 03:54 ジャーナリストの方たちへのお願いを含むブックマーク

私は別に上杉隆を追いつめるのが目的ではありません。何度も言っておりますが、彼が馬鹿を騙して金を巻き上げる商売をしていても、それだけなら、そんなにうるさく言う気はありません。しかし、郡山福島被災地の不安につけこんで、被災者を更に加害することは認めるわけにはいかない。ちなみに、そのことは何度も本人に言ってあります。

特にジャーナリストでもない私が、ちょっと調べただけで分かることは、本職の人が調べればもっと簡単に分かることではないでしょうか。是非、コメントの裏をとって、彼が被災地の人を加害し続けるのを止めさせて下さい。お願いします。

日本語に翻訳したものの英語原文。 03:54 日本語に翻訳したものの英語原文。を含むブックマーク

Date: Sun, 25 Mar 2012 03:18:54 +0900

Subject: Re: Mr Gilles Heriard-Dubreuil

He [Mr Uesugi] wrote an article of Aarhus Convention in Japanese.

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20120313/dms1203130814001-n1.htm

The English translation should be:

=== from here

"This February, I [Mr Takashi Uesugi] was invited, as a representative

of Japan, to Aarhus Conference of European Commission and French nuclear

regulation authority, which took place in Luxenberg, Europe. I just

told them the reality of Fukushima."

...

"According to them [European people], "The people of Japan may be least

informed." (a direct quote of Mr Gilles Heriard-Dubreuil, the

representative of Mustadis (sic).)

=== to here

(This "Mustadis" must be a misspelling of Mutadis.)

I think you know Mr Gilles Heriard-Dubreuil of Mutadis very well, since

he was involved in the ETHOS in Bragin. My questions to Mr

Heriard-Dubreuil are following:

=== questions from here

1. Did Mr Heriard-Dubreil actually talk to Mr Uesugi on that occasion at

the conference in Luxenberg?

2. If yes, did he really tell Mr Uesugi what is quoted above: "the

people of Japan may be least informed"? If so, in what context?

3. If yes, did he give the journalist the permission to publish his quote?

4. Did he talk to Mr Uesugi in English? Or was there an interpreter?

=== questions ends here.

Date: Mon, 26 Mar 2012 10:47:21 +0100

Subject: Re: Mr Gilles Heriard-Dubreuil

From: Gilles HERIARD DUBREUIL

I confirm the actual participation of Mr. Uesugi in the Aarhus Convention

and Nuclear (ACN) European Round Table held in Luxembourg on 15-16

February 2012.

After then conference, Mr. Uesugi interviewed myself as well as a

representative of ANCCLI (Monique Sené). This interview was realized in

English without translators and was registered in video.

It was a short interview in the aftermath of the conference. I had no

possibility to check my wording but must say that I did not ask for it.

However the meaning of the quote you bring remains unclear for me

"According to them [European people], "The people of Japan may be least

informed."

1) Does it mean that the people of Japan are not currently well informed ?

2) Does it mean that the Japanese people should not be informed ?

Let me first say that I support none of those two assertion !

Should it be the first (factual) meaning, I do not have any mean to give a

kind of assessment of the current situation in Japan so my purpose is by

no mean to give a kind of evaluation.

Should be the second meaning, my purpose is on the contrary to support any

claim of the people of Japan for access to information and participation

in the post-accident decision making. This statement is at the hart of the

ETHOS project I have initiated with colleagues in Belarus in 1996.

Date: Wed, 28 Mar 2012 13:22:21 +0200

Subject: Re: Mr Gilles Heriard-Dubreuil

From: Gilles HERIARD DUBREUIL

Now regarding the identification of "Mr. G", I do not think I am the

person that Mr. Uesugi refers to, since "Mr. G" mentions informations on

TEPCO that I am not aware of.

From: XXXXXXX XXXX <xxxxxxxxx@xxxxx.xxx>

Date: Wed, 28 Mar 2012 07:31:39 +0900

Subject: Re: Mr Gilles Heriard-Dubreuil

To: Gilles HERIARD DUBREUIL

Dear Gilles HERIARD DUBREUIL

Hello,my name is XXXXXXX XXXX

I am writing on behalf of Takashi Uesugi because he is extremely busy for now.

I am a staff of his office.

As you mentioned he recorded video of that interview, he said he will

check again.

As soon as he checked, I will let you know.

Date: Mon, 02 Apr 2012 10:28:48 +0900

To: Gilles HERIARD DUBREUIL

Subject: Re: Mr Gilles Heriard-Dubreuil

Dear Mr Gilles HERIARD DUBREUIL:

During these four days, Mr Uesugi added a new article to his blog. It

was about his fake article. Since he had time to write excuses, if he

has not responded to you, I think it is because he thought it is not

worth doing it.

http://www.uesugitakashi.com/?p=1231 (in Japanese)

This was the article from which the fake quotes were deleted (in Japanese).

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20120314/dms1203140854005-n1.htm

Here are the translation of excerpts of his blog article. I am going to

add my responses below. One of the reasons why I decided to publish our

communication is that he is quite disingenuous in this article.

===from here: translation of Mr Uesugi's blog===

"Fabrication of comments of WSJ writers"

This is my mistake that I am ashamed of. There is no excuse for this.

The mistake was made because of mixing of my memos and simple shuffling

of my memory. The editors of the paper explained the situation to the

two WSJ writers, and as a result, they apologized to them, and told them

a correction will be published. These were done on the same day WSJ

contacted us.

"Spreading lies by exaggerating the ambient dose to 1.8 Sv/h in front of

the city hall of Kohriyama city."

No. I measured the ambient radiation using the same detector on Feb 11

[2012]. I published the result by cell phone photo, but I chose a

slightly lower number among the values detected, because I thought it is

wise not to exaggerate. This was confirmed by Mr Takehiro Shimada, a

journalist, who came with me. I initially did not make his name public,

but since he game me the permission, I disclose his name here.

"Exaggerating the reports by claiming that Fukushima is a place no one

can live in."

No. My claim is about parts of Fukushima prefecture. I have been and

am insisting that decontamination of some parts [of Fukushima] in highly

contaminated areas is impossible. This is true based on what happened

in Chernobyl. I have never claimed that all areas of Fukushima are

inhabitable.


All of my opinions are communicated to the editors. During this time,

except WSJ, no one contacted us and asked "questions."

=== end here===

My comments are:

1) Regarding the fabrication of WSJ quotes. It is absolutely his

responsibility, as he says. Since he has no excuse, nothing to back up

his fake quotes, I have to call him a fabricator. This was the start of

my suspicion that he is not simply wrong, but he fabricates quotes.

2) Regarding 1.8 µSv/h. In the original article, Mr Uesugi was

explaining the discrepancy between his and the official value, 0.6

µSv/h, as:

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20120314/dms1203140854005-n1.htm

(in Japanese)

==begin translation

"It is because the people from the city hall washes the ground with

water right before the official measurement, then they publish the

numbers. It is natural that there is a difference [between the official

value and Mr Uesugi's]," revealed a local reporter.

==end translation

No one has witnessed this mysterious washing.

(Come to think of it. This is again a direct quote. Now I think this

could be another fabrication, which I did not notice before.)

Actually, I found the photo of this 1.8 µSv/h Mr Uesugi tweeted on Feb 11.

http://twitpic.com/8ibumj

As you can see, Mr Uesugi was measuring the ambient dose right above a

ditch, where cesium is known to be concentrated by weathering. Values

of ditches are not representatives of ambient dose of the area. The

official spot for measurement is a parking lot in front of the city

hall, not over a ditch. This is the reason of discrepancy.

We learned this ditch trick because Mr Yasumi Iwakami, Mr Taro Yamamoto,

and Green Peace Japan abused the same trick numerous times before. What

I cannot believe is that Mr Uesugi is still using this old trick, which

people stopped using months ago. Moreover, Mr Uesugi chose a different

place for measurement and blame the people of Kohriyama for the

difference, using a direct "quote." I have to admit this approach is

very creative and original.

When the people of Kohriyama challenged Mr Uesugi's "washing" claim, he

simply ignored the question, and replied by naming the local reporter,

whom he "quoted." People did not call him a demagogue because he

measures dose over a ditch. It is because he creates vile fantasy

against the people of Kohriyama and Fukushima.

3) Regarding "Fukushima is no place to live in". Actually, the title of

the fake article used to be "The truth about radioactive contamination

    • No one can live in Fukushima and Kohriyama" which was based on the

direct quotes of WSJ writers. When the quotes were retracted, the title

was changed because otherwise there will be nothing left of the title.

Mr Uesugi is defending something irrelevant, probably because his

position is indefensible.

4) Regarding who contacted Mr Uesugi about his "issues." You and I both

know you contacted him. Twice. You and I both know I tweeted him in both

English and Japanese so that every one can see. Six times. I do not

know why he tells a lie so obvious to both you and me.

*1:『ジャーナリストの島田健弘氏が同行確認』の島田氏は実は『地元の放送記者』ではないとのこと。となると、何のためにここに名前を出したのか、意味がよく分からない。ひょっとして、『種明かし』した『地元の放送記者』は存在しないのではないか。

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