buveryの日記

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2012-01-05 NHK追跡!真相ファイルについて。

NHKはDDREFのことを知らない。 04:40 NHKはDDREFのことを知らない。を含むブックマーク

NHKで昨年12月28日放送した、追跡!真相ファイルという番組で、DDREFのことを『ICRP』が『低線量のリスクを半分にしている』『驚くべき事実』と報道していました。これに関しては、田崎先生の文章もあるので、詳しく書きません。ただ、DDREFに驚いているのなら、単にNHKが無知なだけだと思います。

DDREFと実際の放射線防護は無関係。 04:40 DDREFと実際の放射線防護は無関係。を含むブックマーク

ただ、私の意見ではことの本質はそこにはありません。『DDREFは実効線量の計算を変更しているのではなくて、低線量低強度被曝の場合の実効線量の効果が、高線量での結果の何分の一かを計算する係数であること(つまり、DDREFが2なら、効果は半分になる)』です。ところで、実際の防護は、『効果を基準にして行うのではなく、実効線量を基準にして行う』わけですから、実際の防護はDDREFがいくらであろうと、無関係です。例えば、外部被曝の参照値が年間10mSvであるとするならば、DDREFがいくらの値であっても、参照値は10mSvであって、実際の防護の行動はDDREFによらず全く同じです。NHKは『低線量のリスクを半分にしている』と言いますが、それは『ある線量の仮想的なリスクをどの程度と考えているか』という机上の空論の話で、文学の問題。『この人は美人か不細工か』と議論しているだけのことです。

 実際、公衆に対する通常の基準は1985年に5mSv/年から1mSv/年に引き下げられたままで、ICRP pub 60がDDREFを導入していた1990年には変更されていません。

NHKは集団実効線量で癌死を勝手に計算している。 04:40 NHKは集団実効線量で癌死を勝手に計算している。を含むブックマーク

NHKの『100mSv、100万人で5000人死亡』という計算は、そもそも、100mSvを被曝する人は作業員以外には一人もいない現実とかけ離れた仮定であるという問題がありますが、それに加えて、ICRP 103でまさしく『集団実効線量を疫学の推計に使ってはならない』と警告していることをそのまましています。こういうことをしている人はこのディレクターの方だけということではなく、たくさんいます。

 私に言わせると、『集団実効線量』はLNTの論理的な帰結なので、最初から『低線量低強度被曝でLNTが成り立つ』という主張自体が間違っていると認めた方が良いのだと思います。そもそも、インドケララ州や、中国の広東地方の高線量地帯で癌の発生率が上昇していないことを考えると、地球上にある『天然での高線量以下』(だいたい≦10mSv/年)で、ゆっくりと被曝する場合にはLNTは成り立っていません。

ICRP pub 103の文章とその和訳。 04:40 ICRP pub 103の文章とその和訳。を含むブックマーク

ICRP 103 p13

(k) The collective effective dose quantity is an instrument for optimisation, for comparing radiological technologies and protection procedures, predominantly in the context of occupational exposure. Collective effective dose is not intended as a tool for epidemiological risk assessment, and it is inappropriate to use it in risk projections. The aggregation of very low individual doses over extended time periods is inappropriate, and in particular, the calculation of the number of cancer deaths based on collective effective doses from trivial individual doses should be avoided.

(k) 集団実効線量は、主に職業被曝の文脈で、放射線防護の技術や手順を比較し、(放射線防護を)最適化するための道具である。集団実効線量は疫学リスクを計算するためのものではないし、それを使って将来のリスクを推測するのは不適切である。個人個人の非常に小さい被曝を長期間にわたって寄せ集めることは不適切であり、特に、個人の些細な被曝量から集団実効線量を計算し、癌死の数を計算することは避けねばならない。

番組の聞き取り。 04:40 番組の聞き取り。を含むブックマーク

NHKの番組ICRPに関係するところの聞き取りをしました。

ICRPの会議をドア越しにに録音しているところと、マインホールドさんの話している所、途中で努力する気がなくなったので、適当に間違っていると思いますが、がんばって聞き取れる人、ついたーで教えて下さい。

つけたし。 04:40 つけたし。を含むブックマーク

私には、マインホールドさんは、高線量のところから低線量の分からないところへ線を引いてくる疫学者を非難しているように聞こえます。

Warren Sinclair and Michael Fry, who are both again they are ...they are... they said it should be two to four. And why...the reason was that epidemiologists [who] just kind of used really the guesswork to come down from the Japanese survivor trend.

それでね、ウォーレン=シンクレアもマイケル=フライも、また[DDREFが]2から4であるべきだと言ったのさ。で、その理由は、疫学者たちは、日本の[広島長崎での]生存者の[線量効果]曲線から下におろしてくるのに、当てずっぽうに引いただけだから。

以下、ききとり。 04:40 以下、ききとり。を含むブックマーク

括弧内は日本語字幕。数字は分:秒。

13:33

西脇順一郎:

[ICRPの100mSvで0.5 % 死亡するというフリップをみせて]

これはどれだけ被曝したら癌でなくなるリスクがですね、どれだけ高くなるかということを示したグラフです。で、ICRPではですね、まあ、ここの、100mSvでは、0.5%、癌になるリスクが増えるとしています。一見すると、まあ大した事ないんじゃないかと思われるかもしれませんが、例えばこれが、一万人の人がこれを浴びた場合は50人が

(0.5%の死亡リスク 一万人で50人死亡 100万人で5000人死亡)

百万人の人が浴びた場合は5000人が、亡くならなくてもいい方が、癌で亡くなるリスクを負ってしまうと。

14:07

鎌田靖:

我々いつも疑問なのは、じゃあ、これよりも低い場合は、これが、まあ要するに正しいかどうかを含めて、えー、ほんとにこれでいいのかどうか、というのは、やっぱ、分からない。

室井佑月

しかも、あれじゃないですか、幼児とか子供はもっとリスクがあがるんじゃないですか?

西脇順一郎:

まさにそこのとろこがVTRで見ていただいたように、内部被曝の影響とか、まあ、感受性の高い子供への影響ということで、やはり、低線量であっても影響が高いのではないか、という意見もある一方でですね、少しづつ浴びて行く場合には、まあ、細胞が、その抵抗力をもつ、放射線に対して抵抗力をもつとか、そういうような理由で、あの、低いんじゃないかという意見もあって、ここでの意見というのは分かれているわけなんですね。

14:44

鎌田靖:

で、その意見が分かれているという現状について、じゃあ、ICRPは今どういうことをやろうとしているんですか?

西脇順一郎:

そうですね、実はそのICRP自身が、この基準を見直すべきかどうか、議論を進めていることが分かってきたんです。

15:03

女性ナレーター

10月、アメリカでICRPの会議が開かれました。ICRPはおよそ30ヶ国、250人の科学者や政府関係者で作るネットワークです。会議の一部だけが音声での取材を許可されました。福島第一原発の事故を受けて、低線量被曝のリスクの見直しを求める意見が相次ぎました。

a voice:

So they have the children and the mothers in Fukushima… (inaudible)…   the same levels that are suggested for workers.

(8歳や10歳のこどもがなぜ原発労働者と同じ基準なのか)

another voice:

There are serious questions about the applicability of the ICRP for low dose rates exposures.

(ICRPの低線量リスクがこのままでいいのか大きな疑問が持ち上がっている)

16:06

女性ナレーター:

ICRPは低線量のリスクをどう見直そうとしているのか。カナダオタワにある本部に直接聞く事にしました。事務局長のクリストファー=クレメント氏です。既に作業部会を作り、議論を始めているといいます。

Dr Clement:

One is the question of DDREF and one is the question of extrapolation. So, we have..the dose in this direction

(問題は低線量のリスクをどうするかです)

クレメント氏は私たちに驚くべき事実を語りました。これまでICRPでは低線量の被曝のリスクは低いとみなし、半分にとどめてきたというのです。

Dr. Clement:

…do know that they are looking not just at the numerical value of DDREF, but also at the whole concept of whether or not it really still applies.

(低線量のリスクを半分にしていることが本当に妥当なのか議論している)

17:15

女性ナレーター:

低線量のリスクを巡る議論は、実は1980年代後半から始まっていました。基準の根拠となっていた広島長崎の被曝のデータが、この頃修正されることになったのです。それまで原爆で1000mSvの被曝をした人は、5%癌のリスクが高まるとされてきました。それが日米の合同調査で実際はその半分の500mSvしか浴びていなかったことが分かったのです。半分の被曝量で同じ5%ということは、リスクは逆に2倍になります。しかし、ICRPでは低線量では半分のまま据え置き、引き上げないことにしたのです。

Dr Clement:

I think they've been, this question has been raised many times and the… continues to… they're looking at it.

(この問題は何度も議論されてきた)

A male voice:

How did the publication 60 came out with …(inaudible)?

(なぜ引き上げなかった?)

Dr Clement:

No, I don't know about the details, no, that was before my time I was in ICRP.

(私が委員になる前のことなので詳細は分からない)

18:36

女性ナレーター:

なぜ低線量のリスクを引き上げなかったのか、私たちは議論に関わったICRPの元委員に取材する事にしました。調べてみるとある事実が分かりました。当時の主要メンバーは17人、そのうち13人が核開発や原子力政策を担う官庁とその研究所の出身者だったのです。その一人、チャールズ=マインホールド氏、アメリカエネルギー省で、核関連施設の安全対策に当たっていた人物です。

19:24

女性ナレーター:

電話での交渉を重ねて、ようやく私たちの取材に応じました。

19:36

女性ナレーター:

チャールズ=マインホールド氏、1970年代から90年代半ばまでICRPの基準作りに携わってきました。低線量被曝のリスクを引き上げなかった背景には、原発や核関連施設への配慮があったと言います。

20:02

Dr Meinhold:

That's one of my problems…is that the people [who] work in the industry tend to want to keep its limits high. That's when they decided to put out their document… Oh… 1990, about then. In which the department could, you know, decided what they wanted. But they had to be careful because all the things that I said earlier. You got to be able to do the work. Right?

(原発や核施設は労働者の基準を甘くして欲しいと訴えていた)

(その立場はエネルギー省も同じだった)

(基準が厳しくなれば核施設の運転に支障が出ないか心配していたのだ)

20:32

[English -- inaudible]

マインホールド氏は自らも作成に関わったという、エネルギー省の内部文書を取り出しました。1990年、ICRPへの要望をまとめた報告書です。低線量のリスクが引き上げられれば、対策に莫大なコストがかかると試算し懸念を示していました。

(Facility Modifications $380M 施設の安全対策 3億8000万ドル)

マインホールド氏はアメリカの他の委員と協力し、リスクの引き上げに強く抵抗したといいます。

21:15

Dr Meinhold:

Warren Sinclar and Michael Fry, who are both again they are ...they are... they said it should be two to four. And why...the reason was that epidemiologists who just kind of used really the guesswork to come down from the Japanese survivor trend.

(アメリカの委員が低線量では逆に引き下げるべきだと主張したのだ)

(低線量のリスクを引き上げようとする委員に対抗するためだった) 

女性ナレーター:

その後ICRPは原発などで働く労働者のために、特別な基準を作ります。半分のままに据え置かれた低線量のリスクをさらに20%引き下げ、労働者がより多くの被曝を許容できるようにしたのです。

22:02

Dr. Meinhold:

Then we said that the workers could have a, would [be] have a lower risk, just because they did not have children and older people live (sp?). We were not suggesting that there is any difference between those. But that's the way we, we approached. We didn't have that data.

(労働者に子ども高齢者はいないのでリスクは下げても良いと判断した).

(科学的根拠はなかったがICRPの判断で決めたのだ)

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