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2012-12-31

話数単位で選ぶ、2012年TVアニメ10選

はい。今年もやろうと思います。



<ルール>

・2012年1月1日〜12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。

・1作品につき上限1話。

・思いついた順に掲載。順位は付けない。



<リスト>

・『戦国コレクション』COLLECTION-19「Vengeful Fang-IS」

・『スマイルプリキュア!』第19話「パパ、ありがとう!やよいのたからもの」

・『ヨルムンガンド』#10「Dragon Shooter phase.2」

・『謎の彼女X』第6話「謎のステップ・アップ」

・『TARI TARI』第5話「捨てたり 捨てられなかったり」

・『境界線上のホライゾンII』第10話「劇場の咆哮者」

・『ゆるゆり♪♪』第10話「修学旅行R」

・『ToLOVEる ダークネス』第10話「Past 〜明日につながる記憶〜」

・『遊☆戯☆王ZEXAL II』ナンバーズ77「デュエルの乱れは校則違反!?出撃!特命風紀コマンダー」

・『NARUTO -ナルト- 疾風伝』第293話(全期通算第513話)「力−Chikara− episode4」



<各選評>

・『戦国コレクション』COLLECTION-19「Vengeful Fang-IS」

 脚本:雑破業/絵コンテ・演出:金子伸吾/作画監督:石田久美、松本健太郎、谷川亮介

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順位は付けないルールではありますが、今年一番衝撃を受けたのはこの作品のこのエピソードでした。

満を持しての明智光秀回で、探偵は光秀。しかし被害者の周辺人物からすると、被害者の正体は、そしてそれを殺した犯人といえば……。

そんな、史実という絶対的な事実が話の最大の壁として立ち現れる話運びがとにかく凄かった。

各シーンに散りばめられた要素も面白く、真犯人の分かるクライマックスを予感させるシーンは、「見られている」という視線に関する描写で、作中での推理は、納豆→ラーメン→歯磨き→トイレと、食と消化に関する描写と分け、二つの縦糸の流れが上手く作られています。

また、以前の記事では全体の演出について書きましたが、このエピソードはまたイレギュラーで、二対の人物で作るシンメトリーでなく、三人が並ぶ構図が何度か反復され、真犯人を告げるカットでそれがクライマックスを迎えるという映像の演出が為されています。

そうした、入り組んだ構造を一本の映像として仕上げ切った演出もまたこのエピソードの凄い部分ですね。

ちなみに、『戦国コレクション』では各話で映画のオマージュをしていることが話題になりますが、本エピソードは森ランティ等のオマージュにおける横溝正史作品以外にも、ヘンリーのオマージュ元と思われるデヴィッド・リンチ監督の『ロスト・ハイウェイ』なんかにも注目してみるとまた面白いと思います。


・『スマイルプリキュア!』第19話「パパ、ありがとう!やよいのたからもの」

 脚本:米村正二/絵コンテ・演出:境宗久/作画監督:上野ケン

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このエピソードは、以前の記事で全体の演出についてを細かく書いたので、そちらを読んでいただけたらと思います。

境宗久さんが、持てる技術を全て注ぎ込んで、やよいが父との記憶を思い出す場面を視聴者に追体験させるような映像を作っている印象なのが好きです。

作画面でいうと、アクションシーンで前作辺りから頭角を現し始めた濱野裕一さんの派手なアクション作画があるのも良いですね。

『スマプリ』は、土田豊さんのコミカルでテンションの高い演出とも合っていて、このエピソードの次にある第20話「透明人間?みゆきとあかねがミエナクナ〜ル!?」等も傑作エピソードだったと思います。


・『ヨルムンガンド』#10「Dragon Shooter phase.2」

 脚本:黒田洋介/絵コンテ:石山タカ明、岩畑剛一/演出:土屋浩幸/作画監督:武藤信宏、森賢、いがりたかし、池上太郎、中田正彦、中村和久

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個人的に『ヨルムンガンド』の好きなところは、乾いた地面やコンクリート、海等のココ達が旅する世界や、どこまでも広がる空といった背景美術のコンセプトの強い使い方です。

真っ白なバックに始まって、荒れた大地が現れるOPなんかは特にそれが現れていると思います。

ヨルムンガンド計画はその肝がどこまでも広がる空にあり、ヨルムンガンドは大地や海を見下ろす。

このエピソードは、上空からの砲撃で敵を圧し、CIAにドラガンの情報を与える等、ヨルムンガンドの予兆を感じさせる。

しかしながらこの回でのココの行動は、父・フロイドの仕組んだもので、彼はココ以上に世界の掌握に近い所にいる。

そのフロイドへの意識と、将軍の息子でありながら暴虐を尽くした結果捕まった"ドラゴン"の姿の、自分への反射。

そうしたココの置かれた状況を示す背景美術は夜の星空で、彼女の感傷と、蒼天の下で発動されるヨルムンガンド計画の夜明けの前を思わせる。

ぐおーーーん!


・『謎の彼女X』第6話「謎のステップ・アップ」

 脚本:赤尾でこ/絵コンテ:若林信/演出:江島泰男/作画監督:高橋瑞香

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若林信さんの絵コンテが、ご本人曰く自由にやらせてくれたとのことながら、非常に渡辺歩監督らしい微妙なカメラアングルの変化で見せる演出になっていたのがまず面白いところ。

丘とアイスを食べるシーンではパラソルの柱で二人を区切り、ソロショットのカット割りで会話する二人の間の距離感をまず提示する。

ソロショットは、この後に来る写真のシーンにおいて、写真を撮る椿、撮られる卜部の距離感となる。写真は思うように撮れない。

早川との再会の場面における早川を映すソロショットは、ここまでの卜部の横顔アップとは逆の向きで、物語に波紋をもたらす。

そして、卜部とのよだれ交換で今の自分には彼女しかいないと再確認する場面(早川を上書きする同じ向き)で、二人をつなぐPANが使われる。

引きのカットでも、椿と卜部二人を入れるように木のフレーム内フレームが作られる。

二度目の写真撮影では卜部がポーズするところでアップショットが用いられ、椿はその写真をこれからは持ち続けようと思う。

そこに卜部の顔アップを持ってくる、流れの作り方が良かったです。

作画も、冒頭の本屋や教室、ジュースを買ってくる場面での細やかな芝居が良かったですね。


・『TARI TARI』第5話「捨てたり 捨てられなかったり」

 脚本:橋本昌和、佐藤梨香/絵コンテ・演出:浅井義之/作画監督:吉田優子

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浅井義之さんの、『STAR DRIVER』での蓄積を感じた演出が良かった回でした。具体的には演出処理をされていた第15話辺り。

俯瞰や地面からのアオリのアングルで、母のいなくなった家の中の空虚感を見せ、観ていて和奏と感情を同期させられます。

カットバックで回想を非時系列順(和奏の感情に従っている)に描く脚本は、かなり演出の力量を信じたものであり、演出処理まで手がける浅井さんにもまた気迫を感じますね。俯瞰とアオリ、アップと引きで上手くカットを繋いでいます。

受験面接のシーン(三枚目に挙げた画像)で、明らかに教頭がいるけれど巧妙に教頭のリアクションを映さない辺りも、和奏に入り込んでいる証。

『スタドラ』は群像劇的な作劇のため客観的に演出された作品でしたが、浅井さんはそこで得たものを、強く感情移入させるための技法としてこの回でうまく使っている、というのがまた良いなと思うところです。

後、ピアノを弾くシーンの作画が妙に弾けてるのも良いです。


・『境界線上のホライゾンII』第10話「劇場の咆哮者」

 脚本:浦畑達彦/絵コンテ:渡邊哲哉/演出:大嶋博之、井端義秀/作画監督:吉井弘幸、しんぼたくろう、鈴木勘太(アクション)

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このエピソードで『ホライゾン』のやりたいことが見えたという、個人的に大きな回。

歴史再現に関わる少年少女の、それでも自分がそこに自分として居ても良いというテーマに、リア王を倒すマクベスというモチーフ。

このエピソードはまずアバンで、二人のシェイクスピア、シェイクスピアとネシンバラというシンメトリーな画で始まる。

そこから、正純のところへ向かおうとするマウスを見守る浅間、正純の前に現れるマウス、アデーレを見守る武蔵王、アデーレの前に立ち指揮を仰ぐ武蔵等、手前と奥に人物を配置する奥行きある構図が増えていく。

そして背後からシェイクスピアとの思い出が現れ、ネシンバラは前にいるシェイクスピアに正しく存在する彼女自身を伝える。

正純の最新情報は最新でも情報である限り過去のもので、一方マウスは新しく生まれた存在。武蔵王は一線を退いた身で過去を示すけれど、次の代を乗せた武蔵は未来でもある。過去と未来の奥行きの中に"居る"というテーマが映像で示されていたのがとても良かったです。

青春モノとして話がドライブしてくると俄然面白いなとこの回で思わされました。


・『ゆるゆり♪♪』第10話「修学旅行R」

 脚本:杉原研二/絵コンテ・演出:矢花馨/総作画監督:越智信次/作画監督:菊永千里

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タイトルは修学旅行ながら、メインは二期で存在感を増す櫻子と向日葵というエピソード。

結構コンテが面白くて、ワイプで画面を持ち上げて出てくる櫻子から、道に迷ったことを告げるまでのタメのカットでのフレーム内フレームや、撫子視点で見る櫻子と向日葵の過去と今の場面での背後のテレビ等、櫻子と向日葵が「見られている者」として描かれているんですね。

テレビは特に作為的で、現在の大室家のテレビはやたら大型で、過去になると一気に小さなテレビになっている。

現在と過去を意識させるとともに、櫻子と向日葵を「見る」というのを意識させてくる印象的なコンテでした。

現在と過去を意識させつつも、修学旅行ではサザエさん時空によるループが描かれているというねじれた感じもこの回の面白さ。

ループ状態の修学旅行から帰ってきた綾乃と千歳が、櫻子と向日葵という日常を見て落ち着くというオチの構図も何とも味。


・『ToLOVEる ダークネス』第10話「Past 〜明日につながる記憶〜」

 脚本:石田健幸/絵コンテ・演出:日野基鳴/総作画監督:岡勇一、小野和美/作画監督:谷圭司、大河原晴男、相坂直紀、木下由美子、服部憲知、武本大介

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演出を担当された日野基鳴さんは、今年いっぱいでアニメ業界を辞めてしまわれる上坪亮樹さんのペンネームだそうです。

上坪さんと言われれば納得のイメージBG使いや、シルエットの使い方が場面ごとのテンポや雰囲気作りに使われています。

ハーモニーからリトとティアが作画に変わって抜け出すカットもトリッキーで良いですね。

ヤミがティアとの別れを回想する際のシルエットの脚が、リトがティアに向かう脚のアップに上書きされ、校長から逃げる時にそれらと逆向きに走ることになる。そしてララの発明品でワープした先で、ティアとヤミの二つの道が並び、再会を果たす。

ティアが来て話の空気感が変わる回で上坪さんの個性がしっかりそこに貢献をする良いエピソードでした。

辞めてしまわれるのは惜しいですが、とにかく、上坪亮樹さん、今までお疲れ様でした。


・『遊☆戯☆王ZEXAL II』ナンバーズ77「デュエルの乱れは校則違反!?出撃!特命風紀コマンダー」

 脚本:雑破業/絵コンテ:茉田哲明/演出:羽原久美子/作画監督:牧内ももこ

雑破業さんの脚本の回は『戦国コレクション』に続いて2つ目ですね。『戦コレ』とはまた違った良さだったので選びました。

サブキャラクターの等々力にスポットを当て、主人公の遊馬との関係を見せつつゲストキャラクターの生徒会長のキャラも立てるという、とても見せ方の上手い脚本。このサブキャラの葛藤や、キャラの立ったゲストキャラとの対決なんかは、個人的に『仮面ライダーフォーゼ』に求めていたものだったので、まさかこっちの方からそれを見せてくれるとは……と。

更に恐るべきは、風紀コマンダーによる校則チェックにおけるミニスカ押しで、小鳥のみならずガガガガール等のモンスターのミニスカまで見せてくるという執念です。

お色気も組み込んでコメディで引っ張りつつその回で見せるべきキャラの話もしっかり見せてくれる、良い仕事ぶりでした。

一枚絵や画面分割で軽快に見せる遊戯王シリーズの演出手法も、この脚本のテンポにぴったりで良いですね。


・『NARUTO -ナルト- 疾風伝』第293話(全期通算第513話)「力−Chikara− episode4」

 脚本・絵コンテ・演出・キャラクター原案・コンセプトワーク・作画監督:黒津安明/作画監督:田中比呂人

黒津安明さんこと、都留稔幸さんがシリーズディレクターとしてがっつり関わった連作シリーズの中のエピソードです。

巨大な力の暴走で破壊される街、逃げる人々、家族をなくした子供たちの擬似家族の葛藤と、非常に今日的な内容で、今までスタイリッシュな演出のみで認識していた都留さんの真摯さが非常に印象的でした。

派手なアクション作画も、細やかな芝居作画も街の中で起こっている出来事であることを表現するのに費やされているのが良いなと。

部屋でのドックとシセルの会話の見せ方のアダルト感も凄い。こっちの方に振り切った都留さんの仕事も見てみたいです。

がっつり怪獣を描いているのも、最近なかなか見ないものなので良かったですね。

それと、細かいところだとこの回のシセルの体型が、ちょっと年齢いった感じらしい凝ったものになっているのも見もの。


という10選ですが、なんだこの10話の多さは……。

それと家族の話もぼちぼち多いですね。

個人的な所感としては、絵コンテと演出両方を一人でやり切るエピソードが多く入っている印象で(『NARUTO』はなんか凄すぎですが)、

絵コンテから演出処理までやることで最終的な演出がより際立つのかな、と思った次第です。

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