Always look on the bright side of life.

1982年5月4日。空対艦ミサイル・エグゾセの直撃により炎上するHMS Sheffield。総員退艦命令により上甲板のまだ燃えていない場所に集まった乗組員たちが、海に落ちて溺死するのがいいか*1、あるいは迫る炎によって艦もろとも丸焼けになるのがいいかを議論していた。傾斜を増し、沈みつつある駆逐艦においては実に切実な議論であったが、いまひとつ盛り上がりに欠けたのはしょうがないところだ。煤煙と火の粉が、南極からの風に乗って時折吹き付ける中、誰かが口笛を吹いた。誰もが知っているサッカーの応援歌、5対ゼロでわれらのチームが“苦戦”している時に歌うそれ。また、士官のうち何人かはブライアンという名の男を思い出した。リビングのソファーの上も磔刑台の上も、そしてHMS Sheffieldの上もみな同じ…。
そんな情景をまるで自身の目で見たかのように、心を捕らえて離さない、そんな一日。

*1:南極に近いフォークランド周辺の海では溺死よりも凍死する方が早いとの意見も出された