紙の本と電子書籍に関する個人的な思考メモ@2012年3月現在
引越しのため蔵書約400冊を処分したり電子化した.
それに伴い,自分にとっての本について改めて考えをまとめたのでその思考メモ.
目次
1.本とはどんな存在か?
2.紙の本と電子書籍の違い
3.今後の書籍との付き合い方について
自分にとって本とはどんな存在か?
- テキストもしくはグラフィックスを用いて情報やエンターテイメントを提供してくれるもの
- 知識や知恵の象徴.
- 物理的な本という存在自体が 収集対象となるような一つのアート作品.
- 一つのコミュニケーションツール.
本は知識や知恵の象徴であり,多くの本を所有する事は,まるで自分が多くの知識や知恵を身につけたかのような感覚を与えてくれる.
また本そのものが一つのアート作品であり,所有欲を掻き立てるものである.
以上のような理由から本に囲まれた部屋への憧れがある.
しかし,これとは矛盾する欲求もある.
それは”持ちたくない”という欲求だ.
物理的なモノを所有しない事は生活をシンプルに,そしてフットワークを軽く居させてくれる.
この欲求と上記のような本に囲まれた部屋は矛盾する.
そこで電子書籍について検討する.
紙の本と電子書籍の違いは何か?
物理的なモノを持たないためには電子書籍は良い選択肢だ.しかし,当然ながら紙の本の完璧な代替ではない.
そこで,自分にとって紙の本,電子書籍の特徴について比較検討を行う.
紙の本 | 電子書籍 | ||
---|---|---|---|
メリット | デメリット | メリット | デメリット |
・軽い | ・ストレージとしては問題あり | ・ストレージが容易 | ・リーダーが高価 |
・安い | - | ・検索性が高い | ・読書に集中しにくい |
・読書に集中できる | - | - | ・一覧性が悪い |
表にまとめたように紙の本の良さの1つはその安価さだ.
高い単行本でも数千円程度だし,普通は千円前後である.
従って多少乱暴な扱いをしたりうっかり無くしたりしてもそれほど困らない.
しかし電子書籍となると話は別だ.何らかのリーダーデバイスで読む事になるのだが,これが高い.
現在iPadが有力なリーダデバイスと考えているがこれだと5万円前後.比較的安価なKindleでも1万円は切らない.
これを壊したり無くしたりと思うと安易な扱いはできない.
加えて問題となるのが,他の事ができてしまう点だ.なんとなくブラウザを起動してネットサーフィンしてしまうかもしれない.
SNSをチェックしてしまうかもしれない.読書中にメールが届くかもしれない.
など,様々な理由によりテキストから情報を得ることに集中しにくいのである.
従ってテキストあるいはグラフィックスから情報を得るためのデバイスとしてはやはり紙の本が優れていると思う.
しかし,情報のストレージを考えると電子書籍に軍配が上がる.
紙の本は何よりかさばるのだ.大量の本は生活空間を圧迫する.一方で電子書籍を保管するにはHDD1つあれば十分だ.
また,資料として考えた際には電子書籍の検索性の高さも魅力である.
大量の紙の本から特定のテキストを抽出するのは困難である.しかし,電子書籍ならそれは一瞬だ.
ただし,ストレージに関して紙の本のほうが良い面もある.
紙の本は本棚に並べる事で常に目に入る.このため自分が所持している本を把握しやすい.
一方で,電子書籍では極端な話,所持していることを忘れたまま永遠に開かない本もあるだろう.
電子書籍について蔵書の管理方法は1つの課題と思われる.
最後にアートとしての本は紙の本でしかありえない.こればかりは電子書籍ではどうしようもないものである.