二升ガールズ第16回集会 「竹鶴酒造・石川杜氏のびしょ鍋を食べよう!!」〜元祖びしょ鍋を本家石川達也杜氏に作っていただいて食べる会〜(松の屋・新宿二丁目)

dancyu 2010年3月号に掲載されていた「竹鶴 酒処・西条発祥の“びしょ鍋”は石川達也杜氏の味道の原点」という記事を見て「びしょ鍋」(wikipedia:美酒鍋)に興味を持って,大塚屋の京子さんや松の屋のるみちゃん達と一度食べてみたいという話をしていた.そこで,大塚屋の京子さんが竹鶴酒造に行く時に聞いて来てくれたのだが,まだよくわからない.そうしたら,なんと京子さんが石川杜氏に東京に来て作ってくれるようにお願いしてくれたのだ!つまり,石川杜氏の手料理が食べれるのだっ!

びしょ鍋の作り方はdancyuに書いてあるが,ここで簡単におさらいをしておく.

  • 熱した鉄板の上に油を垂らして,そこでペペロンチーノ風ににんにくを炒めて香りを移す.

  • その上に肉を一種類載せて,塩・胡椒をふる.

  • さらに上に数種類の野菜を載せて,塩・胡椒をふり,熱が伝わるまでしばらく待つ.この過程では,肉を蒸し焼きにする.

  • 上から酒を材料の周囲に数cmぐらいまで広がるまで掛ける.

  • しんなりしてきたら,材料を混ぜて広げて水分を飛ばす.水分がなくなってから,食べる(名前が「びしょ鍋」だからと言っても,水分で「びしょびしょ」な状態では食べない).


材料は,以下のような感じだ.


さて,ここでdancyuにかかれていないノウハウを書いておこう.

  • 私が理解した一番のノウハウは,びしょ鍋は肉・野菜を蒸し焼きした後に,鉄板にこびりついている旨味を日本酒で溶かして味付けする(つまり一種のグレービーソース)料理であるということだ.だから,初回は味が薄いが,何度も作ることで味が出てくる…つまり延々と呑んで食べるための料理なのだ.当然鉄板を拭いたりするのは御法度である.つまり,油も塗り付けるのではなく垂らすだけで,残した料理が炭化しないように注意しなければならない.これをうまくやらないと,単に味が薄い料理になってしまうので,注意すべし.
  • 胡椒は白胡椒の方がよい.黒胡椒は味が強すぎるそうだ.
  • 酒は調味料である.びしょ鍋がまずくなるので,日本酒をケチらないこと.
  • 石川杜氏が使うのは普通の純米.まだ試してはいないが,生酛純米だともっと美味しそう.
  • 石川杜氏は自宅では長方形の鉄板を使っているが,これだとカセットコンロから一部がはみ出てしまうが,調理が終わった料理はコンロからはみ出る部分にどんどん移して,そこで保温できる利点があるらしい.どんな鉄板かはdancyuをよく見てほしい.
  • こんにゃく,厚揚げは上記の横に並べておいてじっくり焼く.もちろん,日本酒で溶かした旨味で味付けすること.石川家では,こんにゃくは手でちぎり,油揚げは自家製.
  • レバーやキンカンは野菜を使わず単品で焼く.
  • 肉,レバー,キンカンに熱が通り過ぎないように,調理が終わったら様子を見て取り分けたり,野菜の上に移すとよい.
  • 石川杜氏は,肉を混ぜないで一種類づつ部位ごとに調理するように改良したらしい.そのために,鍋奉行は飲み食いできない.

さて,この日のびしょ鍋以外の料理は,海苔+胡瓜+梅,里芋+鶏肉,そぼろ丼(黒米)で.特にそぼろ丼が激ウマだった.これは定番にして欲しいなあ.



お酒は以下の通り.

  • 小笹屋竹鶴 宿根雄町 純米原酒 竹原市宿根町産雄町(60%) 協会701号(広島・竹鶴酒造株式会社)
  • 小笹屋竹鶴 大和雄町 無濾過 純米原酒 賀茂郡大和町産雄町(60%) 協会701号(広島・竹鶴酒造株式会社)
  • 竹鶴 純米酒 秘傳 八反錦(65%) 協会601号(広島・竹鶴酒造株式会社)
  • 清酒竹鶴 酸味一体 雄町純米 広島県産雄町(65%)(広島・竹鶴酒造株式会社)
  • 清酒竹鶴 生酛純米 広島産雄町(70%)(広島・竹鶴酒造株式会社)
  • 小笹屋竹鶴 生酛 無濾過 純米原酒 雄町(65%)(広島・竹鶴酒造株式会社)

さて,他に気が付いたことをメモ.

  • 当日はホットプレートを使ったのだが,二台の中で特に横山家から持って来たホットプレートの熱が強かったのを見て石川杜氏曰く「京子さんだから(強い)?」(爆)
  • 「びしょ鍋」が蔵で食べられていたというのは嘘.その理由は酒造り中はにんにくは食べないから.発案者の石川杜氏の父親のリップサービスで,そういう噂が広まったらしい.
  • 石川杜氏曰く,お酒はストレスに強くなければいけないらしい.その究極は液体として残らない料理酒で,アルコール抜きでも魅力のある酒を作りたいらしい.
  • 備前雄町は心白が小さくて硬く,改良雄町の方が味が出やすい.
  • ayayaは恒例の着物姿だったが,さらに今回は料理のお手伝いをするために割烹着を持って来ていたが,その美しいこと!緒川たまきみたい!!なお,以前からayayaには「割烹着フェチ」と馬鹿にされていたが,実は私以外にも割烹着ファンが多かったことを確認.

まさか,石川杜氏にわざわざ来て頂いて,自ら調理して頂くとは思わなかった.どうもありがとう.さらに,強引に(笑)石川杜氏を呼んで頂いた大塚屋・京子さんと松の屋・るみちゃんに感謝します.