トップランナー

caltec2005-04-21



NHKトップランナーを見る。今回のゲストは「サンボマスター」。
ボーカルの山口は、パッと見「おたく」っぽい。そして語る内容もどちらかというと内向的で思索的なある若者という感じだ。僕は彼のインタビューを聞いていて、実はとてもまじめな性格ゆえに、彼は生きることについて不器用だと思った。そんな彼が出会ったのが音楽、ロックである。
彼にとってのロックとは、「魂の放出」、「命の放射」だとインタビューの中で山口は語っている。


実際にスタジオで収録されたミニライブ。そこには何かに獲りつかれたように叫び歌う山口の姿があった。そして山口のテンションが高くなり、シャウトし始めるにつれ、他のメンバー(ベース、ドラム)のテンションも高くなっていく。。。そして会場は一種異様な興奮の坩堝へと、突入していく。。。


先ほどまでのインタビューでは、ダサく見えていた山口が、ライブの始まりの方でも、パッとしていないように見えた山口が、、いつの間にか輝いて見えてきている。客観的に見れば、全然かっこ良くない、相変わらずダサいと言ってもいい。しかし、何かについて、自分の持てる力を精一杯出そうとしている姿、渾身の力をこめてマイクに、聴衆に向かう彼の姿には、そうしたダサさを通り越した潔さがあり、その潔さ、自分の正しいと信じたことを疑わずに全力で立ち向かう姿に、僕はカッコ良さを感じた。


テレビの画面を通して伝わってくるその場の熱い空気。何か宗教の儀式のような、夏の村祭りの夜のような、退廃的で、魅惑的で、熱狂的な雰囲気がそこにある。サンボマスターのボーカル山口から発せられる強大なエネルギー(彼の言葉を借りれば“魂の放出”、“命の放射”)がバンドのメンバーに伝染し、彼らの発する音楽を全身で受ける聴衆のテンションも高くなっていく。その場で皆が感じるある種の連帯感めいたものが、画面を通じて伝わってくるのだ。


メロディーラインのきれいさでもなく、歌唱力の上手さでもなく、ビジュアル的な見てくれでもなく、自らの中にあるパワーを外に向かって発出するのが、サンボマスターとっての音楽、ロックである。これは是非、生ライブに参加するしかない。僕もその場の熱い空気を味わってみたい。


音楽の可能性、広がりというのは、無限なんだな、と思わせてくれるいい機会を得た。