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METライブビューイング
音楽のパフォーマンスはともかく、ファウスト博士を物理学者にして原爆投下後の世界に時代に移すという設定の変更が、作品に何の広がりももたらしていない。つまらない舞台だった。現代的な美術の演出は、ドラマをかえって散漫で散文的なものにしてしまった。音楽世界とのズレが、何の意味も作り出していない。演技演出も粗く、ドラマとしては楽しめなかった。音楽もうるさいだけで、私は美しさを感じなかった。ゲーテの『ファウスト第一部』に基づく台本が中世の聖母奇蹟劇と同じ構造を提示していたことに気づいたのが収穫。このドラマの構造は普遍性がある。