レポート:科学と芸術の集い 『宇宙とヒトをつなぐもの』

先日お伝えした、

科学と芸術の集い 『宇宙とヒトをつなぐもの』
http://www.epiphanyworks.net/saa/

は大変多くの方にご参加頂き、盛会となりました。ありがとうございました。

僕は国立天文台の皆さんと一緒にロビー展示でお手伝いさせていただきました。


第一部は「一家に一枚宇宙図」のディレクションをなさった芸術家の小坂さんの講演。芸術家とは思えない程の小坂のさん宇宙の知識の深さには圧倒されます。科学に関する「一家に一枚シリーズ」としては宇宙図が三枚目だそうですが、企画・制作の段階からアートディレクターが参加したのは初めてだったそうで、とてもかっこいいできばえになっています。

多くの人に手に取ってもらうためには重要なことだと思います。
小坂さんもこれを作る時は相当集中されて、勢力的になさったそうで、科学者ともかなりのディスカッションをなさったそうです。

第一部のもう一人の講演者は国立天文台の小久保先生。小久保先生は国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト、4D2U(フォーディートゥーユー)に関わっておられ、4次元デジタル宇宙ビューアーのMitakaを使って最新の宇宙の姿を見せてくださいました。宇宙の中をどんどん進んでいる感じだったり、宇宙を外側から眺めたりするような感覚で見ることができるのですが、小久保せんせの解説がとても生き生きとしていて、情熱が伝わってきました。

途中小久保先生と小坂さんのクロストークがあったのですが、科学を行い伝える人間と、科学を楽しむ芸術家の姿を見せていただき、会場の皆さんもその清々しい対話の影響で、科学を楽しむ対象の一つとして観てくれるようになるかなぁと、期待をしています。

はなしはMitakaに戻りますが、これは現在分かっている宇宙の端っこまで見ることが出来ます!宇宙の果て、137億光年先の宇宙です。
もちろん普段見上げているオリオン座やシリウスも見えます。宇宙全体から見れば地球からめっちゃ近いところにあります。

夜空を見上げるのがもっと好きになるソフトウェアです。
ダウンロードして自分のPCで使うことも出来ます!!
http://orihalcon.jp/mitakaplus/



第二部は文化人類学者で南山大学の後藤先生の講演。
後藤先生はポリネシアなどの様々な文化の宇宙図を見せてくださいました。宇宙図は航海術にとって重要だったわけですが、それらを見ると様々な文化や古代の宇宙観というものが分かります。宇宙が層構造になっていたり、その層を人々が押上て(支えて?)いたり、普段は想像もできない宇宙観を見せていただきました。その宇宙の層は新たな島を発見したりその位置に到達するごとに足されるもので、宇宙と航海というものが密接に関係し合った世界観を持っていたのだなぁということが分かりました。
ちゃんと理解出来ていないかもしれないですけど。
スタッフだったので移動したり立ちながらメモも取らずに聞いていたので。。。すみません。

現在科学で分かってきた宇宙とはだいぶ違ったものですが、それが科学的に間違っているとかあたっているとかいうことよりも、人々が宇宙を通じてどういう世界観を持っていて、どういう生活をしてきた、それを記述し残すことに意味があると思います。物語としても面白いです。

逆に現代の私たちは最先端の科学によって分かった宇宙のことやその他の事実を知ることによってどのような世界観をもっているのでしょうか??
もはやある程度科学が発展してからはむしろ科学は世界観を提供していないかも?
科学を伝える側の責任かもしれませんね。科学が発展した今の方が、科学や自然が人間の世界から遠いものになってしまったのか。


さて、最後の第三部はそんな宇宙に対して祈りや願いを捧げてきた想いを歌い繋ぐような、しま唄のライブ。
UAさんとハーニーズ佐良浜さんです。

UAさんはいわずと知れた歌手ですが、お母様が奄美大島の出身ということもあって島唄も唄われるようになったそうです。
唄の意味も合間合間で教えてくださりながらのライブだったのですが、その世界観がもう!何なんでしょうね、あの存在感。
ブログなのに言葉で伝えられないって終わってますね。聞けて良かったです。皆さんにも何かの機会に聞いていいただ来たいです。インターネットで放送もされるはずです。

最後はハーニーズ佐良浜さん。UAさんも去り際に「佐良浜さん、最高です」と言い残しました。佐良浜さんたちは伊良部島からお越しになったのですが、島で年間40回以上も行われる神行事の際に唄われる、神歌、祝い唄を披露してくださいました。近隣の島では神行事が途絶えてしまったところもあるそうで、神事を司り継承する役目を終えた彼女達が見せてくれる、世界観は大変貴重なものです。

なんといえば良いのでしょうか、どのタイミングではじまり、どのタイミングで終わるのか、全く分かりませんでした。ミニマルと言えば良いのでしょうか。あるフレーズと調子が一定時間繰り返すのですが、途中で、そういう技法なのか、単に唄い方の個人差なのか、唄うのが辛くなっただけなのか、判断が出来ませんが、途中でずれてみては戻ってきたりするような感じで、これってドローンの一種ですか?(ドローンをよくわかってませんが)という印象すら受けました。ドローンは民族音楽とか瞑想とかにも多いのかと思いますが、あんな唄を一晩中唄われたらトランスしてしまうのではなかろうかと思う程。実際前列の方ではトランスしかかってたお客さんがいたとかいないとか。

伊良部島のおばさま達に観たことの無い世界を見せていただきました。



三部すべてを通して、透き通るような声でナレーションをしてくださったのは原田知世さん。全体に一体感を持たせる効果があったと思います。


こういうイベントが増えていけばいいなぁと思います。



僕がやったロビー展示はというと・・次のブログへ↓
http://d.hatena.ne.jp/can-no/20100125/1264434780


さらにこの次の土曜日には国立天文台の見学に行き、4D2Uのシアターと観望会を楽しませていただき、僕の宇宙グルーブはまだまだ続くのでした。



科学と芸術の集いは以下の媒体様が取り扱われるそうです。
是非ご覧ください。


JSTインターネット番組 http://sciencenews.jp/
「サイエンスニュースネットワーク 」2月1日 放送予定 
■動画によるカルチャーwebzine「DEFRAG」(掲載日未定)http://www.mediadefrag.jp
■ecocolo 2月20日発売号
■SWITCH 2月20日発売号
■ソトコト 3月5日発売号