11-04-2010
■2009/10 V・プレミアリーグ男子ファイナル
行ってきました東京体育館。今年でn回目(nは1より大きく10より少ない整数)。
3位決定戦 東レ3-0豊田合成
あさーり。
優勝決定戦 パナソニック3-0堺
あさー……ではないのだが,結果はストレート。
個人賞
- 最高殊勲選手(MVP):清水邦広(パナ)
- 敢闘賞:北島武(堺)
- 最優秀新人賞:今村駿(堺)
- ベスト6:宇佐美大輔(パナ),石島雄介(堺),清水邦広,福澤達哉(パナ),富松崇彰(東レ),北川祐介(豊田合成)
- ベストリベロ賞:井上裕介(堺)
- レシーブ賞:永野健(パナ)
- 優勝監督賞:南部正司(パナ)
詳細は気が向いたら後で。大学のリーグ戦と違ってテレビ放送もあったし会場で観ている人も多いから,気が向けば。今日はお客さんがたくさん入っていた。東体のファイナルで南側3階が開放されたのは久しぶりじゃないかしら。指定席も3位決定戦開始時点で全席種売り切れ。何の効果だろう。グラチャン? 半年近く前の大会を覚えていて見に来ている人がいるのかどうかわかんないけど,お客さんがたくさん入ってたのは純粋に嬉しかった。
追記)最優秀新人賞について
今年の最優秀新人賞は堺ブレイザーズのセッター今村駿が受賞した。
一昨年・昨年と学生時代の様子をほんの少しだけ見ていた選手だったので,今日の今村を眩しい心持ちで眺めていた。
チームに合流して4か月目で決勝戦にスタメンフル出場。試合は,堺が途中リードする場面もあったが全般的にはパナソニック優勢で,ストレート負けで準優勝となった。途中劣勢の場面でも監督はセッターを交代することはなく,3セットすべて1人でトスを上げ続けた。最後はエンダキのスパイクがパナソニックのブロックに阻まれて決着した。
試合後今村はコートの隅でタオルを被ってぐだ泣きし,キャプテンの北島が声を掛けにいった。短くも長い彼の初めてのVリーグはこうして準優勝で幕を閉じた。
4か月前には,彼が4か月後にこのV・プレミアリーグの決勝戦という大舞台でトスを上げていようとは想像していなかった。
4か月前の12月6日,大学最後にして最大の大会である全日本インカレの決勝戦もここ東京体育館で行われた。今村のいた順天堂大は決勝戦に駒を進め,やはり決勝戦で敗れ,準優勝となった。当時の順大のセオリー通りの起用で各セット中盤のみの交替出場を4セット続けた今村は,表彰の際キャプテンとして列の一番左端に並び,いちばん最初に準優勝メダルを首にかけられた。
それから事情を知らない観客を驚かせた天皇杯を経て年が明けて堺ブレイザーズに合流し,間もなく金井の負傷離脱もあって試合に出るようになった。レギュラーメンバーが次々に故障離脱していく中で他の若手選手と共にチームを4強入りに持っていき,今日V・プレミアリーグ決勝戦を戦った。
今度はベンチ入り最年少にして最大の背番号。準優勝表彰でいちばん最後を歩き,列の右端にちんまりとたたずんでいた。
続く個人表彰式で最優秀新人賞が発表されて彼の名前を耳にしたとき,決勝戦の姿と相まって万感の想いがこみ上げてきたが,1時間半かけて書いていた文章を誤って全部消してしまったのでこれ以上は書けない。
最優秀新人賞は,その年の資格選手の中でたった1人しか受賞できない。そして1度しか受賞できない。綺羅星の如き内定選手がひしめいていた昨季と異なり今季は内定や新人の活躍があまり目立ちにくい年ではあったが,それでも他の新人選手もあまたあるなかで,今村が受賞したことを喜ばしく思う。ステージに1人で登壇しプレスの写真におさまる今村は,準優勝チーム表彰の何倍も緊張した面持ちだった。
今年の活躍は,トスや配球の癖を他チームに研究・分析されなかったというビギナーズラックの部分もあるだろう。出場機会自体,当時の正セッターの故障離脱という偶然によるものだった。
もちろんそこで結果を残したから今日の舞台があり最優秀新人賞があるのだけれど,「内定選手なのに,期待以上の出来だね」は今日までで,これからは準優勝チームのセッターとしての技術と能力が要求される。チーム内のレギュラー争いもシビアだろう。
初っぱなからえらい経験をしたものだと思う。これからそうとうキツイだろうが,乗り越えてさらに良いセッターになってくれるといい。まだほんの新人なんだから。
■北川祐介ラストゲーム
わたしはいつだって同い年(同学年)の選手を異様に気にしてきた。たまたま近い時期に生まれたというだけのことなのに一方的に親近感を覚えて,心の内で応援してしまう。特に男子バレーボール界では1・2学年上や1学年下には有名選手がごろごろいるけど同学年はさほどでもないという言わば谷間の学年で,上下に押され気味で地味になりがちなところを発憤をしてほしかったというのもある。だから,内定の年からほぼレギュラーで2チーム11シーズンに渡って出場し続けた北川のことは,最初からとても気になっていた。
11シーズン通算でブロック賞を5度受賞。第10回から第12回まで3年連続,1年あいて,2007/08と2008/09の2年連続。ベスト6が第12回と2009/10(今季)の2度。ブロック職人のイメージが強いが,第12回はスパイク賞も受賞している。
全日本派には馴染みのない選手だろうが,男子のVリーグを観てる人で彼のことを知らない人はあまりいないだろう。
優勝決定戦後の最後の表彰式で今季のベスト6が発表された際,北川の名前が呼ばれて,ちょっとだけ予想外で驚いた。今季限りでの引退が決まっている彼に対するこれまでの通算成績を加味した下駄或いは引退御祝儀もあるのかなあと思った(けして不満だったわけではない)。ちょっと前に個人技術集計の帳票を見たときはあまりいい成績じゃなかったし,セミの3日目(初日と2日目は知らない)も今日の試合も,そんなには良くなかったからだ。
だけど,今これを書くにあたって改めてシーズン通算の帳票を見たら,今年もブロック通算2位にちゃっかり入っていた。1位の富松との差はセット当たり0.02本。富松と並んでMB部門でベスト6に入ったって,けしておかしなことではなかった。
そのシーズン通算成績をもってして,セミファイナルの3日目と今日,つまり,わたしが今季見た数少ない試合ではあまり良いところが見られなかったのは,大変残念だった。最後の勇姿を観たくて出かけただけに,すっきりしない気持ちは残った。
残念ながら,現実とはそんな風に無粋なものなんだろう。まだまだ勿体ない,ほんとに勿体ない,心底勿体ない,と引退を惜しみまくり嘆きまくるよりも,綺麗に自分の引き際決めたな,と思える方が,わたしの気持ちも楽かもしれない。
最後の年に僅差でブロック賞を取れなかったことも,最後の年にチームがベスト4に入れたのも,だけど決勝には進めなかったのも3位になれなかったのも,通算230試合出場のVリーグ栄誉賞とベスト6を受賞したのも,全部それが現実。
このぐらいの中途半端さも現実らしくて良い。
2006/07シーズンに,それまで3年連続していた北川からブロック賞を奪ったのが当時1年目の富松だった(この年の北川は珍しく4位だった)。それから2シーズンは北川が連続してブロック賞を取り,今年,北川引退の年に再び自身2度目のブロック賞をもぎ取ったのも富松だった。
ベスト6の表彰を北川と並んで受ける富松はなんだかやたら格好良く見えて,富松の時代がいよいよ来るのだな,と思ったりもした。
別に北川のバレーボール人生がこれで終わったわけじゃないし,むしろ現役選手なんて(20年やってたわけだけど)彼にとっては人生の通過点でしかなくて,これからが本番かもしれない。春高やインターハイの決勝の舞台で指導者としての彼が帰ってくるのを待ってる人がきっとたくさんいる。
試合終了して3位表彰が終わった後,彼はチームのみんなから胴上げされて,頼もしかった背番号2の背中を大写しにしたユニフォームの特大のパネルと洒落た花束をもらって,それから応援団席からはなむけのエールが贈られた。
「北川先生のこれからの活躍を祈って」。
わたしの目で見えるところからはいなくなってしまうけれど,いつだって心の内で祈っている。
