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2016-07-22

[]ポケモンGO触ってみた/電車内はピカチュウを探す場所ではない 12:34

ポケモンGO配信されたので、早速触ってみました。子供の頃にハマった思い出深いゲームだから、という理由もなくはないで須賀、海外で騒ぎになりだしたのを見て、スマホ時代暮らし方・遊び方の一例として体感してみたくなったのです。

さて、まず最初のポケモン3匹を無視し続けてピカチュウをゲットし、ちょっと歩き回って電車にも乗ってみたので須賀、ちょっと電車の中でポケモンアイテムをゲットするのは難しそうですね。あえてやるなら駅の前後でしょうか。

歩いている時はともかく、電車の中ではメリット小さそうなので大人しく読書に戻りましょうかね(笑)

2016-07-10

[]これで安倍政権与党を勝たせたら、ますます国民なめられますよ 10:40

今回参院選についてはTwitterなどで何度か意見表明してきましたが、ごくごく簡単に一言。今日は、安保法成立後初の大型国政選挙期日です。違憲の疑いが強い法律を強行的に押し通すようなことをしても次の選挙で勝てるなら、安倍首相は今後も同じようなことを躊躇なくやるでしょう。

「こいつ*1は前*2トラウマを引きずっている。多少雑に扱っても、後で甘い言葉*3を囁いておけばいい。そうすれば結局、オレにすり寄ってくる。オレとは別れられないんだよ」

これって、完全になめられてませんか?

経済がどうでもいいとは言いません*4。ただ、事は「強大な権力を持つ日本国家がルールに基づいて運営されるかどうか」でありますので、どちらが大事かは自ずと定まってくると思います。

賛同いただける方もそうでない方も、ぜひ投票には行きましょう。遅まきながら、私からのお願いです。

*1国民

*2民主党政権

*3:「アベノミクスがうんたらかんたら」

*4与党経済政策の方が優れているとも思いませんが

2016-07-09

[]親子の2016年6月読書「月間賞」 11:19

長男はこちら。

この本に限らず、アンパンマン熱はかなりのものです。かつては家ではそんなに接触の機会を与えていたわけでもなかったのに、なんででしょうね?

ちなみに一昨日の夜のことでしたが、「同じキャラクターを探そう」というコーナーでわざと全然別のものを指差して遊んでいました。設問の意味理解し、かつふざけるということができるようになっているようです。

 

私は該当なし。読んで興味深い知識が得られたとか、価値のある仕事だと感じた本はもちろんありましたが、曲がりなりにも「月間賞」などと称して人にお薦めできる広がりがあったかというとちょっと違いますかね。

[]長男言行録(2歳0カ月) 13:30

長男が話せるようになったら、成長段階での彼の発言をどこかに書き留めておく」というのが父親になってからの夢だったので須賀、2歳を過ぎ、本人もかなりおしゃべりするようになってきましたので、先月分から記録に残していこうかと思います。成長した後にここを見つけられたら怒られるかもしれませんけどもw

  • 「なんで『うあー』はゴトンゴトンするの?」

抱っこで登園中に、電車が走っているのを見つけて。「うあー」というのは言わば彼の「固有語」で、最も早く使い始めた言葉の一つなんですけれども、大人が使う言葉が上手く言えない*1わけでも、いわゆる幼児語*2でもなさそうで、擬音語なのでしょうか、「電車」という言葉を知った今でも使うことがあります。

正直言ってそんなことを疑問に思ったことがなかったので、尋ねられた時はかなりたじろいでしまい、「えっと、車両がたくさんつながってるからじゃないかな?」と適当な答えになってしまったので須賀、電車ではなくレールの継ぎ目の問題みたいですね。次聞かれた時は、ちゃんとしたことを分かりやすく話してあげたいと思います。

子供は純粋無垢」というのは神話生姜大人よりは社会を覆う暗黙の了解支配されていないとは言えると思います。その意味で、長男言葉が私にもなにがしかの気付きを与えてくれるかもしれない。そんな邪*3な思いを胸に、毎月書き続けていければと思っています。

*1バナナを「ナンナ」と言うなど

*2:「ワンワン」「ブッブ」など

*3:タテジマは単独最下位に沈みました

2016-06-24

[]安倍首相「全部イギリスのせいだ」/イギリスEU離脱13:29

Brexit: David Cameron to quit after UK votes to leave EU - BBC News

今の利害関係政治経済社会事情はともかく、EU離脱したイギリスにどんな長期的展望があるのかよくわからないというのが今の率直な感想です。確かに「民主主義赤字*1構造的な問題だろうと思いま須賀、こんな解消方法が本当になされるとは驚きです。「余計なことをやってくれた」キャメロン首相は今後どう身を処するつもりなんでしょうかね?

日本では参院選告示されていますので、そちらの絡みでも一言。安倍首相は「世界経済危機が迫っている」ことを理由消費税増税を再延期しました。本当に危機が起きたら「それ見たことか」と言えるし、起きなければ「アベノミクスで回避した」と言い張ることは(レトリック上)可能なので、お上手だなあと思ってはいたので須賀、これで間違いなく「延期は正しかった」と主張するでしょうね。そして、日本経済の全ての問題の原因は十把一からげに「世界経済危機のせい」とされるのでしょう。

[]人の口に戸は立てられぬ/『北朝鮮建国神話崩壊』(金賛汀18:11

朝鮮人民革命軍を率いて抗日ゲリラ戦を闘い抜き、ソ連軍と協力して朝鮮に凱旋したはずの金日成が、実は中国共産党員だった上に、ソ連の対日宣戦布告後も一切戦闘行為は行わず、ソ連の軍服と大尉階級章をつけてこっそり元山に上陸していた。金正日聖山白頭山の密営ではなくロシア沿海州の宇和なにをする(ry

…ということをかつての戦友たちへのインタビューなどを通じて暴き出した話です。

冷戦終結と前後して、朝鮮民主主義人民共和国建国に深い関わりを持つ中ソの史料証言が活用できるようになってきた結果、「金王朝」による支配正統性を与えていた「神話」の虚構が暴かれていくさまが描かれています。金日成による抗日パルチザン活動を「国造神話」とすることは、反日共産主義レゾンデートルに置い北朝鮮にとっては避けられない帰結であるようにも見えま須賀、本当に「伝統創造」ならぬ「伝説創造」を国家的に実行してしまったわけで、これまた必然的な帰結として「人の口に戸は立てられぬ」ということわざが示すような事態が起こってくるということなのでしょう。

とはいえ金日成抗日パルチザンとして一定の戦果を上げていたことはおそらく事実であり、また規模は小さくとも、ソ連から帰国するパルチザンたちのリーダー格だったというのも本当のようです。だったら事実事実のまま歴史に刻んでもそこまで問題はなかったんじゃなかろうか、なんて甘いことを思った半面、「勝てば官軍」で勝者が歴史を書いていくというのは大なり小なり、普遍的なことでもあるのだろうなあとも感じました。

ちなみにこの本は、雑な言い方をすれば「北朝鮮が好きな人」以外にはちょっとおすすめしかねます(笑)

*1EU権限が集まることで、加盟国政治における民主的正統性が低下しているとする指摘

2016-06-15

[]『女が動かす北朝鮮 金王朝三代「大奥」秘録(五味洋治) 14:26

俺たちの正男への独占インタビューを成功させた著者が、「金王朝三代」を取り巻く女性に焦点を当て、北朝鮮における「宮廷」の一幕を紹介した本です。「宮廷」というのは国際政治における分析のレヴェルの議論から示唆を受けた北朝鮮を読み解こうとする際の視角の一つ、のつもりなので須賀*1、まさにこの本の内容は「王朝」の家庭内事情を多く含んでいますので、むしろカギカッコ付きで紹介する必要がないくらいかもしれません。

全体を通じて興味本位でも十分楽しめる本だったので須賀、一つ挙げるべきは、先述した分析レヴェルというより実態として「宮廷」に住まう(った)人たちが持つ影響力の大きさでしょう。一定以上の公的役職を持っていた金敬姫(金正日の妹で張成沢の妻)、金オク(金正日晩年秘書かつ妻)、金与正(金正恩の妹)らのみならず、役職ははっきりしないというが父・金正日遺書を書いたとされる金雪松、著者が政策決定への関与を示唆する高容姫(金正恩の母)…。名前を挙げた女性を含む登場人物の活動を見るにつけ、まさに北朝鮮の「リアル宮廷」と呼ぶべき場所に権力が集中してきたさまを窺い知ることができます*2北朝鮮分析における「宮廷」の位置づけについてもっとしっかり考えなければならないというのはこの本から得た知見でありますし、それすらも古代則天武后らの例を挙げるまでもない自明な事柄なのかもしれません。つまり、これまた著者が指摘するように30代半ばにして健康問題を抱える金正恩の身にひとたび何かあれば、本当に則天武后さながらの権力を振るう女性が出てくるのかもしれませんし、「金王朝支配が長く続くほど、その可能性は高まっていくでしょう…「民主主義」「共和国」を名乗る国家についての議論とは到底思えませんけども。

*1こちらなどである程度の説明をしています。ちなみに家族関係だけではなく、いわゆる体制内部の権力関係すなわちクレムリノロジー的なものも含めて考えています

*2:その点『女が動かす北朝鮮』というタイトルはこの本の視点として実に言い得て妙だと思います

2016-06-07

[]『メディア政治』(蒲島郁夫竹下俊郎、芹川洋一) 01:59

メディアと政治 改訂版 (有斐閣アルマ)

メディアと政治 改訂版 (有斐閣アルマ)

参院選を前に、再読してみました。

理論的な部分に関してはやはりより精緻で勉強になりましたが、前回のレビューで言及したようなメディア多元主義モデルが今現在、どこまで妥当するのかは検討を要すると強く感じました。様々な誘惑に晒されながらも保たれている一応の独立性、が前提となるわけで須賀、果たして現在、個別媒体個別的判断でなく全体としてそれが保持されているのかーつまり、メディア多元主義モデル妥当する前提条件はそもそも安定的に存在するのかーが問われる状況にあるように思えます。またお得意(?)の安倍政権批判かと思われるかもしれませんが、学問として論理的に体系化されたものは何がしかの「変化」に照らすとはっきりとした相違の痕跡を示すと思いますし、逆に言うとそれが、今という時代を映しているとも言えるのでしょう。

こうしてビールを飲みながら考えると、その時期時期に本を読み、それについてコメントすることは、その時期時期を反映するという意味で多少の価値はあるのかもしれません。

2016-06-02

[]親子の2016年5月読書「月間賞」 00:39

私は前月分の「原典」であるこの本。議論の射程が長ければこその古典であり、また古典だからこそ広く読まれ、その過程の中で読み替えられていくのでしょう。もちろん読み替えの「伸びしろ」があってこその話なんですけれども。

  • 笑点50年メモリアルフォトブック

長男はこちら。これは言葉の綾でもなんでもなく、お出かけの時にも持っていかないと気が済まないようで、いつも「しょーてん、ほん!」と連呼しています。メンバーの写真を指差して「これは?これは?」と聞いていたのもつかの間で、「これは、まる!」「きくおー!」「しょーた!」などと言うようになりました。それにしても、1歳児に「やまだくん」呼ばわりされる座布団運び(59)って…(笑)

2016-05-26

[]『「安倍一強」の謎』(牧原出) 17:20

「安倍一強」の謎 (朝日新書)

「安倍一強」の謎 (朝日新書)

政治学者の著者が、政権交代のサイクルという観点から「盤石ではないはずなのに強い」安倍政権の謎に迫る本です。と書くと、謎を提示する前に種明かしをしてしまうようなものなので須賀、著者は選挙によって下野し、さらに政権の座に返り咲いた自民党が、相手方民主党に学び、その政治的遺産となりうるものをもうまく継承した点にその強さを見ています。例えば、どう見ても首相と肌が合いそうにない谷垣総裁入閣し、次いで幹事長の要職を務めることで、結果的消費増税などに関する三党合意継承担保する形ができていると分析していますし、首相国会答弁や会見などでの発言についても、地金がよく出るのはともかく、肝心なところで裏方がコントロールしていることを見て取っています。このように、安倍政権の謎、というより様々な特徴を、しばしば行政学的な観点からクリアに切り取って示してくれる本です。

その一方で、こうした政権の特徴を「政権交代時代への移行期の特徴」にやや還元しすぎているようにも見えました。多分そこに結び付けるのは論理的作業としてそこまで難しくないと思えるだけに、それこそ例えば首相パーソナリティなどの要因に帰するべきものまで「移行期の特徴」にしてしまっているのではないか、少なくとも「他の要因よりも、政権交代時代へ入っていく時期の過渡的状況の発露だと捉える方が当たってますよね」という論証が十分になされていないのではないかと感じざるを得ませんでした。

もう一つは、これからは政権交代時代だという状況規定そのものについてです。政権党がA→B→Aとサイクルしているのは見ての通りで、最近できたB'が次に来るのか、あるいはCが来るのかは些事で生姜、そのように代わっていくあり方が政治改革意図したところではあります。しかし、今の政権が行っていることは、そもそもそうした政治システム根本にあるべきルールを掘り崩す行為ではないのか、と私は考えています。もしそれすらも「移行期の特徴」なのだとすれば、その移行は失敗しつつあると言わねばなりません。立憲主義民主主義などの根本的な価値破壊されてしまえばそれは不可逆的な変化で、サイクルどころではないからです。Aがダメだと多くの人が気付いた時には、すでにBやCという選択肢すら抹殺されているかもしれません。そのリスクについてはかなり楽観的というか、外形的な議論の立て方だなあという気はしましたね。

2016-05-20

[]『参議院とは何か 1947〜2010』(竹中治堅) 00:50

参議院とは何か 1947~2010 (中公叢書)

参議院とは何か 1947~2010 (中公叢書)

参院選も近いということで、再読してみました。1回目に読んだ時にそれなりの分量でレビューしているので、本当に感想だけ。

参議院歴史的内閣衆議院による立法活動抑制する働きをしてきたのは、二院制の目的に適っている。ただ参議院までが二大政党化すると膠着するので、選挙方法は工夫しましょうー。改めて読んでみても、そうした著者の提言は至極真っ当に思えますし、参議院を軸にした戦後政治史の読み物としても十分楽しめる本かと思います。

今回の選挙は、一人区野党共闘が進んだことでますます「政党化」したものになりそうです。まさにその一人区こそが著者が改善を求める点であるわけで須賀、参議院権限があり、力があればこそ政権やその座を狙う勢力がそこに触手を伸ばすのはある意味必然なわけで、これまた著者が挙げる「一票の格差」という憲法上の要請をテコにでもしないとなかなか変わっていかないのかなあとは感じました。

あるいは、年代別選挙区にでもしてみますか?(笑) 世代論はあんまり好きではないんですけど…

2016-05-10

[]「近代聖典」と三つの時代/『社会契約論』(ルソー02:30

社会契約論 (岩波文庫)

社会契約論 (岩波文庫)

あまりにも有名すぎるこの本とその議論について、ここでおさらいしてもお互い(少なくとも私は)あまり楽しくないので、「社会契約論と三つの時代」とでも称して、感想を三つ挙げたいと思います。

この本が著された時期ですので、これは当たり前でしょう(笑) ベネツィアでの自身経験や置かれた境遇グロチウスモンテスキューマキャベリらの(程度は異なれ)彼に先行する議論などを踏まえた、十分に「当時代的な」著作であることを指しています。もちろんこれは「普遍性がない」と馬鹿にしているのではなくて、むしろ個別時代の刻印がない抽象論は逆に気味が悪い*1とすら感じます。論証の仕方、特にその自明の前提としている公理のようなものが(少なくとも私とは)異なっていることがあるように思えたのも、お互いの時代性と捉えてよいでしょうか。

これはかなり「エロい」読み方なので生姜、著者がこの本が出された以降のことを予言ないしは予測しているようにも読める箇所がいくつかあります。

国家の存続している間に時として激しい時期があり、その時にはある種の発症…と同じ作用を、革命人民に対して及ぼし…国家内乱によって焼かれながらも、いわばその灰の中からよみがえり、死の腕から出て、若さの力を取り戻すことがある…

これはまるで著者の死後間もなく、フランスで起こることを示唆しているように読めませんか? あるいは、ロシア人民市民化するほど成熟していないのにそれを押し付けられたため、かえってその機会が失われてしまい「ロシア臣下ないし隣人のタタール人が、ロシア人の主人とな」ることになるだろうという予言は、帝政ロシア近代化から社会主義革命までの経過の説明として今読んでも、支離滅裂とは笑えないでしょう。「ルソー予言者で、『社会契約論』はその予言の書である」などと主張するつもりは毛頭ありませんが、著者が信じるところの立論が史実リンクしていく様は確かに、魔力的ですらあると評せるかもしれません。

最後の一つは文脈的牽強付会ではあるんで須賀、どんなもんでしょうか? 「私はなんとなく、いつかこの小島コルシカ島)がヨーロッパを驚かすであろうとする予感がする」

社会契約論』は言わば、近代という人類史を画する一時代聖典のように扱われてきた書物ですので、そのまま「近代」にしようかとも思ったので須賀、ここは「今、これを書いている」という当時代性を重視してみました。多分ここが一番スタンダードな話になると思いま須賀(笑)、たまたま少し政治学関連の本をかじれば『一般意志2.0』(東浩紀)『多数決を疑う』(坂井豊貴)のような、近年出版されたルソー関連のベストセラーに行き当たるという言わば「犬も歩けばルソーに当たる」的状況は、まさに今、近代を支えてきた国民国家多数決に基づく民主主義などの制度が曲がり角を迎えている証左なのではないかと思います。そういう時代だからこそ、「近代聖典」が時に批判的に参照され、読み替えられている。そんな気がしますし、それに耐え得るという点においては、先ほど使った「当時代的」という言葉よりも「通時代的」(要は普遍的)などの方がふさわしいのかもしれませんね。

最後に一つだけ引用を。

自分他人の主人であると思っているようなものも、実はその人々以上にドレイなのだ。

有名な一節だそうで須賀、これが「主人たる者も『主人』という関係性(あるいはそれをつくる上位の価値)拘束されている」ということへのルソーの観察眼を示しているとするなら、「SMのSはサービスのS」という『亭主元気でマゾがいい! 1』(六反りょう)の格率(?)も、少なくともこのスパンにおいて妥当するものなのかもしれません。

2016-05-05

[]親子の2016年4月読書「月間賞」 22:52

GW今日でひと段落、というかたもいらっしゃるでしょうか。私も大体そんなもので、前半は仕事今日までの3連休長男を中心にした家族で、近場にて過ごしていました。「どこにも行かないならせめて読書でも」という色気はなくはなかったので須賀そうもいきませんね(笑) 自分がゴロゴロしていたのがいけないんですけど…

 

私の月間賞はこれ。5年前の本にはなりましたが*1ルソーtwitterを語るのはなかなか刺激的な「遊び」だと思います。次点は敢えての『亭主元気でマゾがいい! 1』(六反りょう)で。世の中的には「ちょっとエッチギャグ漫画」的な扱いなのかもしれませんが、これがまた(冗談でなく)ルソー的な観点を含んでいるという点については、近々ご紹介できると思います。

でんしゃのあいうえお

でんしゃのあいうえお

大分落差がありま須賀(笑)、長男はこれ。タイ旅行の際の「秘密兵器」で、この本のおかげで旅程がかなり楽になりました。お気に入り成田エクスプレス。「乗りたい」とせがまれる日が来るのでしょうか…

*1:それだけの期間、本棚のオブジェになっていた

2016-04-30

[]『多数決を疑う』(坂井豊貴) 12:26

政治世界から学級会まで、当然のように行われている多数決。しかしその多数決が「多数の人々の意思を一つに集約する仕組み」である集約ルールの一つに過ぎないことを明らかにしつつ、それを含んださまざまな集約ルールの特徴や問題点などについて論じているのがこの本です。

著者は冒頭に挙げたような「多数決主義」を文化的奇習とまで言ってのけているので須賀、その最大の眼目はやはり票の割れに弱いことでしょう。その絶好の例が、2000年のアメリカ大統領選です。共和党ブッシュ民主党ゴアの構図ではゴア優勢と見られていたにもかかわらず、「第三の候補」ネーダーがゴアの票を喰ってしまったため、ブッシュ漁夫の利で勝利を収めた。その後ブッシュ大統領(ry という有名なお話で須賀、ネーダー支持者の圧倒的多数がネーダー>ゴアブッシュという選好で、全体としてブッシュゴアのペア(2択)ではゴアブッシュだったろう*1ということが全く反映されない集約ルール果たして優れていると言えるのでしょうか。

この例においてブッシュとネーダーのペアがどうかはともかく、こうしたペア同士の比較で最弱となる候補(ペア敗者)が1位にはならない集約ルールとして考案されたのがボルダルール*2であり*3、さらに進めて「ペア同士の比較で最強の候補が1位となるべし」というコンドルセの主張は、コンドルセヤング最尤法に結実します。この本では、そういったさまざまな集約ルールとその特質が紹介されていくので須賀、全体の順位得点方式で重視しつつ、ペアでの勝敗もかなりの程度反映できる方式であるとして、著者は特にボルダルールの利点を強調しています。

個人的に興味をそそられたのはコンドルセによる陪審定理議論でした。陪審定理とは、陪審員が正しい判断をする確率がコイントスより優れていれば(50%を少しでも上回れば)、人数が増えるにつれその多数決の結果が正しい確率は100%に近づく―というもので、場合分けをして掛け算と足し算をすればそうなるので須賀、著者も示唆するように、その議論ルソー一般意志とつながります。コンドルセ曰く、これが成り立つ条件は、陪審員情報を適切に与えられていることと、それぞれが人に流されずに自分の頭で判断することなので須賀、特に後半は『一般意志2.0』(東浩紀)に出ていた話とリンクしますね。さらにこれは、ルソーが言うような直接民主制採用した場合*4、ある法案一般意志に適うものであるか*5判断絶対に間違えない*6、ということを数学的に裏打ちするものとも見做し得るわけです。まあこれは偶然や奇跡ではなく、コンドルセが当時禁書だった『社会契約論』を密かに読んでいたからだろう、ということは「発見」されているわけで須賀、それこそ前掲書で指摘されていたような「数学存在としての一般意志」という側面が再び頭をもたげるようで面白い経験でした。

ちなみに以前「憲法学者の9割以上が安保法を違憲と答えた」という報道を巡る議論がありましたが、この陪審定理でいけば、その「多数決」は正しい可能性が高いということになりますね、と著者が言っています。

憲法学者の多数決と陪審定理(メモ) - 坂井豊貴の雑記置場

*1:この部分は前提と重複しま須賀

*2:n個選択肢がある場合、m番目に好ましい候補にn−m+1点を与えていく

*3共和党流派、もっと広げると自らへの批判票の割れで得をしているように見える2016年大統領予備選のトランプ氏は、恐らく歓迎しない方法でしょう

*4:投票者数が非常に大きくなる

*5ルソーの考えでは、それこそが法案賛否根拠となるべきである

*6多数決の結果、ほぼ100%正しい方が勝つ

2016-04-20

[]ルソーGoogleをつなぐ知的冒険/『一般意志2.0』(東浩紀) 11:56

ルソーの『社会契約論』における一般意志に関する議論を読み替え、インターネット時代民主主義国家のあり方の「夢」提示する本です。

著者によれば、ルソーの構想した一般意志とは、コミュニケーションのない状態での人々の願いを均した言わば数理的な「モノ」であり、その方が結果として正しい判断を導けるとしている点で、アーレントハーバーマスが論じてきた熟議民主主義ではなく、「『みんなの意見』は案外正しい」にあるような集合知議論と重なる部分が大きいといいます*1。その上で、ルソー時代にはその一般意志可視化することはできなかった(一般意志1.0)が、現代インターネット上に集積されたデータベースを活用し、GoogleTwitterがその役割を果たすことができ(う)る(一般意志2.0)とし、タコツボ化して参加コストが跳ね上がった熟議と相互補完する存在として、このデータベースを活用した統治を提唱します。またその際、それこそネット上で自分に都合のよい/聞いていて気持ちのいい情報だけに浸かりきってしまうタコツボ化を防ぐため、ある種攪乱的な設計*2が重要だ、とも述べています。

その提案の中では、そのデータベースを踏まえた総合サービス業的な「政府2.0」が構想され、具体的には「政府のすべての会議ニコ生で公開せよ」という主張につながっていきます。その分野の専門家ではない「素人」とはいえ、そうした人々の反射的なコメントの集積を完全無視して議論できるのか(やれるものならやってみろ、そのうち引きずりおろされるぞ)、そう訴えるわけです。

熟議民主主義データベース民主主義相互牽制と補完。政府会議ニコ生で公開せよ。そうした著者の主張は、実は私が恐れ、期待していたものよりは穏当なものでした。そもそもなぜしばらく本棚に飾られていたこの本のハードカバーに手を伸ばしたかというと、先日読んだ『代議制民主主義』(待鳥聡史)で、まさしく代議制民主主義の限界を指摘した上でのオルタナティブとして挙げられていたからで*3、著者の前置き的にも相当破壊的なことが書いてあるのではないかと身構えていたので須賀、確かに代議制民主主義オルタナティブであり、ネットは「そもそも政治とはなにか、あるいは国家とはなにか統治とはなにか、その定義そのものをラディカルに変える可能性に繋がっている」(最終章)ということを示すお話になっているとは思いま須賀、実際に現象や取り組みとして出現しつつあるものからそう遠くはないように思えたのです。昨夏の安保法制審議の最中、石破氏の発言をきっかけに広まった「自民党感じ悪いよね」というハッシュタグはまさに人々のある意味反射的なコメントですし、その自民党が次期参院選(だけなのかどうかは知らないw)に備え、そうしたネット上の反応を集積して分析しようとしているというのは、それらのデータベース的活用に他なりません。

一方で、「自民党感じ悪いよね」というツイートいくら広まっても、もっと言えばどれだけの数の人が国会議事堂前で抗議しても、自民党は(というより安倍首相は)その声には耳を傾けず、自らが欲する法整備を行ったわけで、それは個別的な例でしかありませんが、著者の言う「データベース民主主義」をどう制度内に位置づけ、正統性というよりは実効性を持たせていくのかというのはその構想における一つの課題になりそうです*4。著者もその辺は意識しているようで、最終章で「司会者がコメント欄無視して場が荒れたら、『我こそは』という人間一定の支持を得て新たな司会者になるような柔軟な制度が整えばいい」と希望を述べているので須賀、それ(に近いこと)を政治の中でどう行っていくかが難しいところなのでしょう。

何はともあれ、この本にはルソーのみならずフロイトローティノージックらも登場し、読者を一つの知的冒険に誘ってくれます。そしてまた、とにかく現状やエスタブリッシュメントに対するルサンチマンだけから、「あれもこれもぶち壊して全く新しいものを作ればいいんだ、その方がカッコいいだろ?」的な叫び声を上げる論者があちこちにみられる*5中、10の提案の裏にそれを支える100の理念があるというか、ラディカルな議論を(その度合いよりは)穏当に現実に流し込もうとしていることには好感を持てますし、むしろ断然カッコいい。私はそう思いますけれども。

*1:奇しくもリンク先のレビューの末尾に言及がありましたが、この本を読んだ上では「熟議民主主義のそもそもの原理」と読み替えるべきでしょう

*2Twitterならリツイート機能とか

*3:そういえばあの本、買って本棚に仕舞ったきりじゃん!

*4:その意味で通底するものがありそうなので、一連の法整備を強行した首相らの精神構造に関する私の勝手な分析引用しておきますね

*5:前の注とも関連しま須賀、それを最も体現しているのが安倍晋三さんだと思っています

2016-04-12

[]親子の2016年3月読書「月間賞」 10:58

4月も半ばに入っているのに、3月のことを書こうとしています。

私はこれ。明晰な民主主義制度論として、一読をオススメできる本です。

はらぺこあおむし エリック=カール作

はらぺこあおむし エリック=カール作

長男の方は、ブッシュアメリカ大統領大学時代愛読したという「超」定番絵本です。保育園の発表の題材にもなっていたからか、はたまた腹ぺこの青虫が自分と同じように食べまくるお話だからか、安定してリクエストの多い一冊です。

2016-04-11

[]『亭主元気でマゾがいい! 1』(六反りょう14:44

亭主元気でマゾがいい!(1) (モーニング KC)

亭主元気でマゾがいい!(1) (モーニング KC)

SM女王様漫画家が、SMバーの客だったM男との結婚生活を描いたマンガです。その設定(というよりそれが事実なので須賀)でマンガを描く時点で半ば企画勝ちではあるので須賀、実在の登場人物が楽しそうに、かつ大真面目に生きている様が活写されていて結構笑えます。この手のものは多分、ドリフコントみたいに出演者が半笑いで演じていては急に興醒めしてしまう気がするんですね。下ネタも多いですし基本的にコミカルなタッチではありま須賀、おちゃらけていないというか、「『ふざけた』設定を大真面目で演じている、というよりそれが彼女らが選び取った人生であり日常である*1」点が、最大のミソなのだと思います。

加えて、著者のSM論も大真面目です。「SMのSはサービスのSだ。Mにその役割を演じさせてあげる点で、彼らに奉仕しているのだ」「Mが自分の恥ずかしい姿をさらけ出せるように、女王様としての立場を保ちながら相手を引き出す言葉をかけなければならない」「Mを面倒がっては負け」…。私は門外漢で須賀、まるでカウンセリングの極意を語っているかのような言葉が並びます。ある一定役割関係の中で本音を引き出していく側面がカウンセリングにあるのだとすれば、もしかしたらSMというのはその典型的な実践でさえあるのかもしれません。著者がSM女王様として培ったSM論をそうした知見と融合させ、「SM療法」とでも呼ぶべき領域開拓されていくことも、個人的には期待したいです。

*1:なのでこういう表現は彼女ら夫婦に対して極めて失礼にあたるわけです