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2016-08-21

[]『世界の名前』(岩波書店辞典編集部) 12:32

世界の名前 (岩波新書)

世界の名前 (岩波新書)

世界各地の名前に関する100の短いエッセイを集めた本です。地域アプローチの仕方(執筆者の専門分野)もさまざまで、思わずへえと声を出してしまいそうな話も多く収録されています。

しかも、それゆえにてんでバラバラな情報が散在しているのかといえばさにあらず。(1)マクドナルドの「マック(Mc)」、オマリーの「オ(O')」、ビンラディンの「ビン」など、父親の名前を少し変えた父称を名乗る場合*1や、それに由来する姓が広く見られる。(2)人の移動の少なかった中世農村などではほとんどの人が姓を持たず、彼らは都市化近代国家化が進んでから姓を持つようになった(その際に父称を姓とする人も多かった)。(3)特に上の子が夭折した場合に、超自然的な存在が生まれた子をさらっていかないように(=死なずに成長するように)それらの目を引かないような縁起の悪い名前を付ける―などなど、国や民族言語集団を超えて共通する歴史慣行も少なからずあり、それを一般化するのがこの本の目的ではないで生姜、興味をそそられる点ではあります。

私が人名に関心を持つようになった最大のきっかけは、自分(と細君)が一人の人間の名前を付けたことだったと思っています。当時は、そして今もその責任の大きさに高揚を含んだプレッシャーのようなものを感じていたので須賀、アフリカの名付けについて紹介したあるエッセーは、そうした気負いめいたものを上手く「中和」してくれた気がします。

アフリカ人の名前の大きな特徴の一つに、名は体を表さないということがある。われわれはついつい、名にあやかってとか、名は体を表すと考えがちであるが、アフリカ人自分の名前は自分とは関係ないことを知っている。それはお父さんやお母さんの考えであって、自分とは関係ないことなのだ。

他の村人の揶揄に対する父親の心情(「彼らを放っておけ」)や、妻の行いを暗に責めるメッセージ(「それら*2は腹の中で死ぬ」)を子供の名前にする例もある、という日本語での名付けの感覚からすればかなり極端な話に続く一節なので、やや表現が強いで須賀、この指摘は一面の真理を衝いていると感じました。私は長男の名前について、名付けた人間としての自信は持っていま須賀、当の本人はこれぐらいの認識でもいいのかな、と思っていたりもします。

*1父親の名前そのものを名乗る場合も

*2:妻の悪行を指す

2016-08-18

内部も起伏に富んだ万丈窟

[][][]路線バスで巡る韓国済州島with2歳児〜二日目・万丈窟探検 12:05

世界遺産洞窟探検

バスを乗り継ぎ…

2日目は細君の発案で、洞窟探検に出かけます。

朝食や身支度を終えて、午前9時45分ごろ出発。島の北東部にある万丈窟を目指します。済州島は楕円形なので時計に例えるとやや距離感にズレが出ま須賀、漢拏山を中心に新済州・旧済州という市街地が0時、万丈窟は2時の方角にあります。そういう場所同士をつなぐのが市外バスです。縦横無尽というほどではありませんが、時計回り反時計回りに島を一周する路線南北縦断する路線など充実しています。今回は時計回り路線に乗って、万丈窟を目指すことにしました。

最寄りのバス停から市内バスに乗り、市外バスに乗り換えます。昨日通ったバスターミナルで乗り換えるのが安全策ではあったで生姜、細君があらかじめホテルのフロントで聞いておいてくれたバス停で、ということにしました。

そこから1時間弱、車窓を眺めて過ごします。

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この通りきれいな海も望め、海水浴場もあるので私達のような観光客も多かったで須賀、地元のおじいちゃんおばあちゃんも結構乗り降りしていましたね。運賃2300ウォンとこれまたお手頃です。

11時半前に「万丈窟入口」バス停に到着。ただ万丈窟はこの海沿いのバス停から2〜3キロほど山側にありますので、何らかの方法で移動しなければなりません。バスを降り、さあどうしようかと思案する間もなくタクシーが滑り込んできます。

運転手「歩くと1時間かかるよ。4000ウォンでどう?」

1時間はかからないでしょうけど、外も結構な暑さでしたので乗ることにしました。ちなみに万丈窟そのものまで行くバスもなくはないので須賀*1、本数が少なすぎて使い勝手が悪そうでした。

車で行けば5分もかかりません。降りる間際になって「万丈窟の後どこに行くんだ(乗っていかないか)?」という売り込みも受けましたが、「バスで新済州に帰ります」という拙く、にべもない返答に戦意喪失したご様子でした。

片道1?、子供は抱っこ

万丈窟は、溶岩の噴出に伴って出来た世界的にも大規模な洞窟で、世界遺産及び世界ジオパークの構成資産にもなっています。全長7キロほどあるそうで須賀、観光客も1キロは見学できるようになっています。

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こんなところから入っていくので須賀、この辺りで既に冷気が身を纏います。

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この辺の写り具合は、やはりiPhone6一眼レフの地力の差が出たでしょうか。

一番奥のものは溶岩石柱と言うのだそうで、母親子供を抱いている姿に似ているということでしたがどうでしょうか。ちなみにうちの長男殿は、あれやこれやと理由をつけて*2道中の半分以上抱っこや肩車でしたけどね。

昼食は洞窟を出たところの食堂でいただきました。ビビンバ冷麺という私としては韓国料理の2大スタンダードとでも呼ぶべき料理*3をいただいたので須賀、合わせて17000ウォンは高いと思います。ソウルの街中の食堂だと3分の2くらいの値段な気がしましたね。思うに、いわゆる「観光地価格」というのは日本よりはっきりしているんじゃないでしょうか。

来た道を戻る

昼食を終えて、午後2時。再び済州市街地に戻るべく、まずは洞窟近くのバス停に向かいます。そこにはまた無論タクシー運転手がいて、行きと同額で乗らないかと売り込んでいたので須賀、ここまで来るバスがあると知った以上は簡単タクシーのお客になりたくもありませんので、ちょっとリサーチを試みます。若い男性2人がバス停のベンチに座っていたので「新済州に行くバスが来ますか?」と聞いたところ、彼らは困った様子でノーリアクション。すぐに判明したところによると彼らは日本語話者で、5人で乗り合って万丈窟入口のバス停まで戻りました。

帰りは逆向きのバスに乗って市外バスターミナルへ。

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明日も使うだろうからということで、ちょっと様子を見てきました。

明るいうちから焼肉ビール

そこから乗り換えて午後4時ごろ、一度宿に戻ります。そしてお腹がすいたころに再び出撃。新済州の中心部を散策します。

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やはり午後6時頃だとこのくらいの混み具合なんで須賀、ここは一つ、混む前に買い物を済ませてしまってゆっくりお肉をいただく、という作戦で行きましょうか。

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最後にこれら全部を混ぜたチャーハンを作っていただいたので須賀、それが一番美味で印象的でした。

「女」

そして帰りの道中に出会った光景。

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麻布

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按摩

マッサージ

男性専用

もっぱら男性

 

趣旨は大体想像つくんで須賀、「もっぱら」って何?(笑)

ホテルに戻ったのは午後8時ごろ。この日は一緒にシャワーを浴び、明日に備えて眠りにつきました。

*1:フロントではそちらを薦められたそうです

*2:まあそれなりに理由をつける様は評価に値するが

*3:好物なだけ

2016-08-17 済州島旅行記一日目・済州島へ

魚介類が並ぶ東門市場

[][][]路線バスで巡る韓国済州島with2歳児〜一日目・済州市内観光 13:31

0日目まで

ちょっと休暇を

8月17〜20日の4日間、家族韓国済州島(チェジュ島)に行ってまいりました。

そもそもと言えば「参院選も終わったし、細君の休み中にちょっと打ち上げをしようよ」的な感覚で、せっかくなら国外に逃げようかというレベルの話でしかなかったので、これまでと同じ土俵でどこに行ってどうしたなどと書くのも気が引けたので須賀、まあ家族の記録という意味でも、一応何らかのものは書き残しておこうと思い、パソコンに向かうことにしました。そんな調子だったので、行き先も多少の紆余曲折がありました。できれば涼しいところにという共通了解もあり、細君がウラジオストク、私がサハリンを推した経過もあったので須賀、お互いピンと来なかったということなのでしょうか、結局「韓国ハワイ」とも呼ばれる南の島*1を目指すことになったのでした。

今回も、細君と長男(2歳2カ月)の3人で出掛けます。いつもと変わった点としては、一眼レフカメラを持っていかず、iPhone6代用したということくらいでしょうか。ですのでここに載せる写真も、全てiPhoneで撮ったものです。一眼レフは持ち歩くのに不便だというのが表向きの理由ではありましたが、もともと写真は撮るのも撮られるのも苦手で、そこまでの愛着やこだわりはなかった、というのが実情に近いのかもしれません。

0日目

いつものように仕事をして、日付の回る前くらいに帰宅。毎度ながら浅い眠りにつきました。

済州市内で街歩き

早速タクシー(笑)

家族早起きして空港へ。長男は、お気に入り電車に乗れて朝からご満悦です。済州島済州国際空港に降り立ったのは午後1時前。

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トルハルバン(済州島の守り神)がお出迎えです。2泊お世話になるBestwestern.com, the World's Biggest Hotel Family.のある新済州(済州市の新市街)まではそう遠くないはずなので須賀、細君が強硬に主張したためここはタクシーに乗ることに。大丈夫です、ちゃんと路線バスには乗りますから(笑)

私が海外タクシーに乗りたくないのは、バンコクにいたような悪意のあるドライバーに引っ掛かるリスクが高く、また運悪くそういうのに遭遇してしまった場合、見ず知らずの土地言葉も十分に伝わらない相手に対してできることはかなり限られているからなので須賀、今度の運転手さんは人のよさそうなおじさんで、長男をあやしてくれさえしました。料金は4700ウォン。メーターを立てて、相場通りの値段でした(当たり前か)。

済州島発祥の地

スタバも併設されているホテルにチェックインしたのが1時45分ごろ。荷物を置いてオンドル部屋でちょっと休憩したら、市内観光に出かけましょう。

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宿近くの銀行両替*2してからバス停へ。来たバス運転手さんに、最初の目的地である三姓穴に行くか確かめた上で乗車しました。まあ、こここそタクシーに乗らざるを得ないかと待っていたら先にバスが来たので、聞いてみたら目的地まで行くと言われた、という方が実情に近いんですけどねw

ちなみにこの時はちゃんと理解できていなかったので須賀、済州島バス停には「○○方面を通る△番のバスが□分後に来る」というのを表示する電光掲示板があって、その情報をしっかり活用できれば割と簡単に乗りこなせます。市内バスは一律1200ウォンとお手頃です。

バスは今来た空港を経由して*3北東へ。「光陽」なるバス停で降りたのが3時半ごろでした。このバスは確かに旧済州(旧市街)を通り、三姓穴方面に向かう路線だったので須賀、直接「三姓穴バス停」に停まるわけではなかったらしく*4、ちょっと乗り過ごすような形になってしまいました。

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路地にある商店街をちょっと右往左往しつつ、入口を発見。

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この三姓穴というのは、済州島の人々の祖先という3人の神人が生まれた場所とされており、「済州道の人々の伝説的な発祥地」と紹介されています。その意味では、済州島観光のスタート地点として相応しいのかもしれません。ちなみにその3人(?)は狩猟生活を送っていたところ、東にある碧浪国から3人の姫が五穀の種と家畜を持ってやってきたといい、それぞれが結婚して生まれた子孫たちが農耕を営み始めた、とされています。学者によっては、この「碧浪国」が日本にあったとの説を唱える人もいるそうです。

さてさて、早速入場しましょう。

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右側に映り込んでいるのは長男の後姿なので須賀、彼は恐らく三姓穴に向かって頭を垂れているわけではありません。この旅行で初めて気づいたので須賀、写真に写ってやるまいとわざと撮影者に背を向けているのです。あと、そっぽを向かずともわざと目を瞑ったりもします。私が一時期、特に写真を撮られるのが嫌だったのは、自分ですらあまり見たいとは思えない自分の容姿を切り取って保存されるのが苦痛だったからに他ならないので須賀、彼の場合はどうやらそうした過剰な自意識作用ではなさそうで、親の意向に背くことでふざけて遊んでいるような感じです。とても楽しそうにそっぽを向くのでむしろそっちの方が面白いくらいです。

朝鮮「始祖神話」における林のイメージ

…話が逸れてしまいましたね。敷地内はちょっとした林のようになっています。

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こういう林の中から始祖が生まれてくるという話は、どこかで聞いたことがありますね。新羅王の祖が生まれたという慶州の鶏林も似たような雰囲気の場所でした。ここから先は想像で須賀、北朝鮮の2代目が白頭山密営*5で生まれたという「神話」も、もしかしたら創作段階でこうした故事を踏まえたのかもしれません*6し、その点がどうであれ、朝鮮半島の人々の林に対する無意識的なイメージ創作ないしは流布に作用している可能性は十分あると思います。

そしてこちらが、そのものズバリの三姓穴です。

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立ち入れるギリギリのところからiPhoneを掲げても、一番底の部分はうまく撮影できませんでした。何かびっくりするようなものが置かれていたりはしなさそうですけれども、人々にとって不可知(視)な部分があるということは、そこに神秘性を纏わせるのにプラスに働くのだろうとは想像しました。

この場所自体もちょっとした公園のようになっており、長男も楽しそうに歩きまわっていましたが、彼として真に遊びたいのはこういう公園でしょう。

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ここはたまたま通りかかっただけの場所なので須賀、長男が興味を示したのでしばらく遊んでいました。親の興味だけで連れ回す免罪符のようなものです。この後も、保育園やら公園やらでこの種の遊具にはよく出くわしました。

「藤田監督を知らない?あなたたち、本当に日本人?」

そこから、旧済州の中心部にある島内最古の建造物・観徳亭を目指します。せこいショートカットをしようとして細い路地に入りこもうとすると、背の高い中年くらいの男性が声を掛けてきます。「どこへ行くんですか?」という英語だったでしょうか。私が「観徳亭」と間違った発音韓国語で返答すると、こっちですよと案内してくれます。

おじさん「Where are you from?」

私達「Japan

おじさん「えっ、じゃあ日本語で話してくれればいいじゃないですか。中国から来た人なのかと思いましたよ」

おじさんの口から急に流暢な日本語が出できて驚く私達。おじさんは続けます。

「私も10年くらい日本に住んでいたんですよ。観徳亭の近くまで一緒に行きましょう。子供はだっこしてあげますよ」

会ったばかりの男性に抱きあげられた長男はちょっとびっくりした様子でしたが、おじさんは構わず道案内をしながら話し続けます。

「10年前くらいまでは日本人が多かったんですけどね。最近は中国人ばっかりで」

「私の親戚が東京の△駅の☆という焼肉屋をやっていてね、在日韓国人なんですけど。それで自分板前の修業をしていたんですよ」

「こっちにいると日本語を使う機会がなくて。今でもどうしてこんなに下手な日本語しか出てこないんだろうって、悔しくなりますよ」

日本にいた時、神宮球場巨人戦を見に行って、原辰徳ホームランボール自分の席の間近まで来たんですよね、あれには感動したね。長嶋茂雄の前の監督の時だったな。誰だか知らないの?あなたたち、本当に日本人?」

私「僕はタイガースファンなので知りません」

一方的に話し続けられたわけではありませんが、久々の日本語での会話を楽しんでいるんだなということがよく伝わってきます(笑)

一大リゾート地の負の歴史

彼の話の中にもありましたが、いわゆる在日コリアンの中で、この済州島ルーツを持つ人は多いとされています。以下、全てWikipedia先生依拠しま須賀、2010年本籍地別構成では、「済州特別自治道」は慶尚南道(153000人)、慶尚北道(113000人)に続く約89000人で、全体の15.6%を占めています。慶尚南道慶尚北道人口が320万人、270万人前後であるのに対し、「済州特別自治道」は約55万人*7に過ぎず、その割合特筆すべきものです。そこにはこの島の悲しい歴史が関係しているとされています。南北朝鮮の成立期、韓国(南朝鮮)が共産主義者粛清などを名目に、島民の5人に1人にあたる約6万人を虐殺する事態が起こっており(「済州島四・三事件」)、その被害に遭うことを恐れて日本に逃げた人たちが多くいるのだそうです。しかも、済州島朝鮮王朝時代に流刑地でもあったことから、在日コリアンの中でも「罪人の子孫」などといういわれなき差別を受けることもあるのだとか。今ではリゾート地の印象が強い済州島で須賀、人々が辿ってきた歴史は濃い陰翳を帯びています。

済州市民の台所

おじさんとは観徳亭の向かいで握手して別れ、ちょこっと見学します。

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1448年に兵士の訓練のために建てられたのだそうです。隣接地には復元された済州官衙がありま須賀、時計を見ればもう5時。割愛させていただきました。ここから中心街を東に歩きます。

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北側には海が望めます。

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並行する通りには新しい店が。

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一方こちらは、「ミレニアムタワー」と地下街です。観光名所が点在する旧済州も、商業的には苦戦を強いられているということなのでしょうか。

しばらく歩くと、港へと続く山地川が見えてきます。

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その上流側に広がるのが「済州市民の台所」東門市場です。

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柑橘類や土産物、

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魚介類を売る店がズラリ。魚屋に併設された刺身食堂もあったので須賀、まだ長男には刺身を食べさせていないので屋台料理のお店に。

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まあこれだと済州島らしさはほぼ感じられませんが、妻子ともに韓国で初めての食事だったのでこのくらいからでよかったのではないでしょうか。もちろんおいしかったですよ。8500ウォン也。期せずして安上がりな夕飯にもなりました。

熟睡する長男を抱えて

それからお土産やちょっとした日用品などを買って、市場前バス停へ向かいます。

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沖縄本島より西にありながら時差はないので、午後7時を過ぎてもこの明るさです。

バス停に着いて、電光掲示板を眺めながら「どのバスに乗ればいいのかな?」なんてやっていると、地元の人であろうおばあちゃんが「新済州は100番よ」と教えてくれます。それくらいならなんとか聞き取れたのでお礼を言うと、韓国語が通じると思ったのか、いろいろと話しかけてくれます。

おばあちゃん「その子は何歳なの?」

私「2歳です」

おばあちゃん「3歳かと思ったわ。どこから来たの」

私「日本です」

続けておばあちゃんは「日本から済州島に来るのは云々」というようなことを言っていましたが、恥ずかしながら私のリスニング能力でついていけるのはこの辺りまで。それを察したおばあちゃんは、私達に話しかけてきた別のおばちゃんを「あの人たちは日本人だから韓国語は分からないよ」と制したりもしていました。

バスは、今度は市外バスターミナルを経由して新済州へ。ただ宿の前には停まってくれなかったので、熟睡中の長男を抱いてしばらく歩いて帰りました。

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他の場所でも1〜2度見かけましたが、大紀元時報無料で配られています。調べたところによると、大紀元時報在外中国人向けの新聞で、法輪功迫害問題などで中国共産党に対してかなり批判的な論調を貫いているのだとか。それを(日頃は中国共産党の影響下にあるメディアに触れている)中国人観光が多い済州島に置く、というのはなかなか攻撃的な名案(笑)ですね。

宿には8時半前に着。何だかんだいって、初日から歩きまわりましたね。長男のシャワーは明朝に回して、今日は寝ることにしましょう。

*1:といっても緯度的には福岡と同じくらいです

*21円→10.77ウォンというレートでした

*3:ほら、タクシーに乗らなくても行けたじゃん

*4:厳密に言うと、そもそもそんなバス停があるのかは分かりませんでした

*5:もちろん山林の中

*6:さらに余談で須賀、この三姓穴は韓国南端済州島にある韓国最高峰・漢拏山の麓にあります。そのため、日本で言うところの「北海道から沖縄まで」に対応する表現として「白頭山から漢拏山まで」という言い回し存在するそうで、こじつけ臭くもありま須賀、白頭山と漢拏山がある種の対応関係にあるとは言い得るかもしれません

*7:いずれも00年代

2016-08-16

[][]ハワイ行ってきます!? 05:52

…と言っても、「韓国ハワイ」ですけどね(笑)

あちこち回るような旅行は多分しません。3泊4日、のんびりしてくる予定です。

2016-08-13

[]『竹島』(池内敏)/『国際法』(酒井啓亘、寺谷広司、西村弓、浜本正太郎) 12:37

こちらは竹島問題について、主に歴史学観点から日韓双方の主張を検討した本です。著者によると、特に21世紀に入ってから史料検討が進み、かなりの事柄を学術的に判断できるようになったとのことで、本書ではそうした知見をもとに双方の言い分を次々と破っていきます。韓国側が現在の竹島であると主張する「于山島」は史料によっててんでばらばらな島を指している、江戸幕府元禄期の朝鮮王朝との交渉で鬱陵島と一緒に竹島実質的放棄している、明治政府ですら1877年には両島を「我が国と関係ない」と結論付けている、とはいえ1900年大韓帝国側が管轄を宣言した「石島」が「独島」であるという主張もこじつけに近い―など。

そうなってくると両政府の主張はメッタ打ちにされてしまうわけで須賀、では著者として竹島領有権問題をどう結論付けているかというと、「日本側・韓国側の主張には、どちらかが一方的に有利だというほどの大きな格差はない。あえて言えば、竹島日本領にしたとする公文書日本側にはあるが、韓国側にはそうした類の公文書がない、というところだろうか」と、言ってしまえば「両方とも負け」に近い判断を下しています。

国際法

国際法

ここでこちらを参照してみましょう。参照、というより1カ月とかかけてまた通読したんですけど*1(笑)、関連する項目で最も強調されていたのは、「領域権原の相対的有効性」という観点だったように思います。ざっくり言うと、これがあったら一本勝ちというような白黒の付きやすいものではなく、双方の主張のうちどちらがより優位かを相対的評価していく―「A国の主張も一理あるけどB国の方が妥当だな」という風に決めていく過程なのです。『竹島』における著者のスタンスはこれに適ったものと見做せ、まあ「どちらも弱いですね」と言っているわけですけど、私が読んだ感想としては、政府の言い分がどうかはともかくとして、日本側にやや分があるのではないかと考えています。

まず、第二次世界大戦に敗れた日本が、旧植民地放棄するなどして国際社会に復帰することを国際法上画したサンフランシスコ平和条約において、竹島日本領として扱われていることは明確です(「放棄する島に竹島も入れるべきだ」という韓国側の主張は却下されています)。また、その際出されたラスク書簡が前提とする1905年日本編入についても、先述の「石島」が竹島意味しないなら竹島はどの国家領域にも帰属しない*2無主地」とせざるを得ず、決定方式を含めて形式的には無主地先占が成り立つとは一応言えるのではないでしょうか。まあ著者が言うように、編入のきっかけとなった貸し下げ願いの提出者も最初は韓国領だと思っていたくらい微妙な部分ではあり、事前・事後ともに韓国側に通告しなかった点などはやり口として不誠実ですし、編入自体日露戦争中、日本韓国政府権限を次々に制約していく時期に行われた*3のは事実であり、そこも大きな問題ではあるんですけどね。

最後に付けた注の部分は不満で須賀、全体としては論理明快で分かりやすい本だと思います。実は実物を見たこともあったりなんかして、島の様子などもイメージしやすいというか、ちょっと懐かしかったです。

*1:細々とながら時間をかけて読んだのでこちら単独の感想も少し。論争的な部分をしっかり紹介してくれている点で「覚えるんじゃなくて理解してね」という執筆者意図にも資するなあと感じながら読み進めましたが、もっと言えば世界政府的なものが存在せず、さまざまな法を言わば有権的に解釈適用して遵守を義務付けるアクター存在しない以上、この教科書が、ということ以上に国際法という分野そのものがより論争的なものでもあるのでしょうね。法律の他の分野について、感覚的に述べるだけの素養はないんで須賀www

*2元禄以降領有権否定している日本側にも、この時点ではもちろん帰属していません。編入の閣議決定を読めば、「これから領有する」というスタンスが非常に明確です

*3:著者はこの論点について、主唱者に遠慮して深くは触れなかったとあとがきで述べています。それがその主唱者に対して誠実な態度なのかはよく分かりませんが、少なくとも読者に対しては不誠実な態度だと思います

2016-08-07

[]親子の2016年7月読書「月間賞」 00:21

長男はこれです。

ばすくん

ばすくん

都会を走る路線バス「ばすくん」を主人公とする、割とストーリー性のあるお話です。ばすくんの身に事件が起こると「なんで?」と驚いた様子で聞いてくるところから察するに、なんとなく話の筋を追うことはできているということなのでしょう。なんかちょっとこう、かわいそうというかクサい話です。

私はありません。なぜなら、この1カ月間で読み終えた本がなかったからです(爆)

[]長男言行録(2歳1カ月)/父親生活態度を注意するの巻 00:47

  • 「おみず、ジャーしたらダメだよ」

ある晴れた朝。私は長男ベビーカーに乗せて保育園に向かっていました。登園路の路面が濡れているのに気付いたのか、長男はこう聞いてきました。「あめ、ふってる?」

私はそう聞かれた理由を、上述のように路面の状態と結びつけて解釈しましたので、「雨は降ってないよ、お空を見てごらん。地面が濡れてるのは、誰かがお水をジャーってしたからじゃないかな?」と返事をしました。冒頭の一言は、それへの返答です。

誰かに最近、これまでに「〜しないでね」「〜しちゃダメだよ」と言われたことを結構意識するようになっていまして、よくそんなことを憶えているなあと感心する半面、2歳児をそう仕向けている片棒を担いでしまっていることには、少し申し訳なくも思っています。自分絶対、こんなに聞き分けが良くなかっただろうから。ちなみにこのセリフは、お風呂に入っている時、私に何度か言われたんだと思います。

加えて細君が言うには、アニメのあるシーンでテーブルに腰掛けて喋っていたてんどんまんに「テーブルにすわらない」と注意していたそうで、本当に結構、規範化されているようですね。そういや、風呂上がりに半裸で食卓につこうとしたら「パパ、シャツきる」って怒られたっけ(笑)

2016-07-22

[]ポケモンGO触ってみた/電車内はピカチュウを探す場所ではない 12:34

ポケモンGO配信されたので、早速触ってみました。子供の頃にハマった思い出深いゲームだから、という理由もなくはないで須賀、海外で騒ぎになりだしたのを見て、スマホ時代暮らし方・遊び方の一例として体感してみたくなったのです。

さて、まず最初のポケモン3匹を無視し続けてピカチュウをゲットし、ちょっと歩き回って電車にも乗ってみたので須賀、ちょっと電車の中でポケモンアイテムをゲットするのは難しそうですね。あえてやるなら駅の前後でしょうか。

歩いている時はともかく、電車の中ではメリット小さそうなので大人しく読書に戻りましょうかね(笑)

2016-07-10

[]これで安倍政権与党を勝たせたら、ますます国民なめられますよ 10:40

今回参院選についてはTwitterなどで何度か意見表明してきましたが、ごくごく簡単に一言。今日は、安保法成立後初の大型国政選挙期日です。違憲の疑いが強い法律を強行的に押し通すようなことをしても次の選挙で勝てるなら、安倍首相は今後も同じようなことを躊躇なくやるでしょう。

「こいつ*1は前*2トラウマを引きずっている。多少雑に扱っても、後で甘い言葉*3を囁いておけばいい。そうすれば結局、オレにすり寄ってくる。オレとは別れられないんだよ」

これって、完全になめられてませんか?

経済がどうでもいいとは言いません*4。ただ、事は「強大な権力を持つ日本国家がルールに基づいて運営されるかどうか」でありますので、どちらが大事かは自ずと定まってくると思います。

賛同いただける方もそうでない方も、ぜひ投票には行きましょう。遅まきながら、私からのお願いです。

*1国民

*2民主党政権

*3:「アベノミクスがうんたらかんたら」

*4与党経済政策の方が優れているとも思いませんが

2016-07-09

[]親子の2016年6月読書「月間賞」 11:19

長男はこちら。

この本に限らず、アンパンマン熱はかなりのものです。かつては家ではそんなに接触の機会を与えていたわけでもなかったのに、なんででしょうね?

ちなみに一昨日の夜のことでしたが、「同じキャラクターを探そう」というコーナーでわざと全然別のものを指差して遊んでいました。設問の意味理解し、かつふざけるということができるようになっているようです。

 

私は該当なし。読んで興味深い知識が得られたとか、価値のある仕事だと感じた本はもちろんありましたが、曲がりなりにも「月間賞」などと称して人にお薦めできる広がりがあったかというとちょっと違いますかね。

[]長男言行録(2歳0カ月) 13:30

長男が話せるようになったら、成長段階での彼の発言をどこかに書き留めておく」というのが父親になってからの夢だったので須賀、2歳を過ぎ、本人もかなりおしゃべりするようになってきましたので、先月分から記録に残していこうかと思います。成長した後にここを見つけられたら怒られるかもしれませんけどもw

  • 「なんで『うあー』はゴトンゴトンするの?」

抱っこで登園中に、電車が走っているのを見つけて。「うあー」というのは言わば彼の「固有語」で、最も早く使い始めた言葉の一つなんですけれども、大人が使う言葉が上手く言えない*1わけでも、いわゆる幼児語*2でもなさそうで、擬音語なのでしょうか、「電車」という言葉を知った今でも使うことがあります。

正直言ってそんなことを疑問に思ったことがなかったので、尋ねられた時はかなりたじろいでしまい、「えっと、車両がたくさんつながってるからじゃないかな?」と適当な答えになってしまったので須賀、電車ではなくレールの継ぎ目の問題みたいですね。次聞かれた時は、ちゃんとしたことを分かりやすく話してあげたいと思います。

子供は純粋無垢」というのは神話生姜大人よりは社会を覆う暗黙の了解支配されていないとは言えると思います。その意味で、長男言葉が私にもなにがしかの気付きを与えてくれるかもしれない。そんな邪*3な思いを胸に、毎月書き続けていければと思っています。

*1バナナを「ナンナ」と言うなど

*2:「ワンワン」「ブッブ」など

*3:タテジマは単独最下位に沈みました

2016-06-24

[]安倍首相「全部イギリスのせいだ」/イギリスEU離脱13:29

Brexit: David Cameron to quit after UK votes to leave EU - BBC News

今の利害関係政治経済社会事情はともかく、EU離脱したイギリスにどんな長期的展望があるのかよくわからないというのが今の率直な感想です。確かに「民主主義赤字*1構造的な問題だろうと思いま須賀、こんな解消方法が本当になされるとは驚きです。「余計なことをやってくれた」キャメロン首相は今後どう身を処するつもりなんでしょうかね?

日本では参院選告示されていますので、そちらの絡みでも一言。安倍首相は「世界経済危機が迫っている」ことを理由消費税増税を再延期しました。本当に危機が起きたら「それ見たことか」と言えるし、起きなければ「アベノミクスで回避した」と言い張ることは(レトリック上)可能なので、お上手だなあと思ってはいたので須賀、これで間違いなく「延期は正しかった」と主張するでしょうね。そして、日本経済の全ての問題の原因は十把一からげに「世界経済危機のせい」とされるのでしょう。

[]人の口に戸は立てられぬ/『北朝鮮建国神話崩壊』(金賛汀18:11

朝鮮人民革命軍を率いて抗日ゲリラ戦を闘い抜き、ソ連軍と協力して朝鮮に凱旋したはずの金日成が、実は中国共産党員だった上に、ソ連の対日宣戦布告後も一切戦闘行為は行わず、ソ連の軍服と大尉階級章をつけてこっそり元山に上陸していた。金正日聖山白頭山の密営ではなくロシア沿海州の宇和なにをする(ry

…ということをかつての戦友たちへのインタビューなどを通じて暴き出した話です。

冷戦終結と前後して、朝鮮民主主義人民共和国建国に深い関わりを持つ中ソの史料証言が活用できるようになってきた結果、「金王朝」による支配正統性を与えていた「神話」の虚構が暴かれていくさまが描かれています。金日成による抗日パルチザン活動を「国造神話」とすることは、反日共産主義レゾンデートルに置い北朝鮮にとっては避けられない帰結であるようにも見えま須賀、本当に「伝統創造」ならぬ「伝説創造」を国家的に実行してしまったわけで、これまた必然的な帰結として「人の口に戸は立てられぬ」ということわざが示すような事態が起こってくるということなのでしょう。

とはいえ金日成抗日パルチザンとして一定の戦果を上げていたことはおそらく事実であり、また規模は小さくとも、ソ連から帰国するパルチザンたちのリーダー格だったというのも本当のようです。だったら事実事実のまま歴史に刻んでもそこまで問題はなかったんじゃなかろうか、なんて甘いことを思った半面、「勝てば官軍」で勝者が歴史を書いていくというのは大なり小なり、普遍的なことでもあるのだろうなあとも感じました。

ちなみにこの本は、雑な言い方をすれば「北朝鮮が好きな人」以外にはちょっとおすすめしかねます(笑)

*1EU権限が集まることで、加盟国政治における民主的正統性が低下しているとする指摘

2016-06-15

[]『女が動かす北朝鮮 金王朝三代「大奥」秘録(五味洋治) 14:26

俺たちの正男への独占インタビューを成功させた著者が、「金王朝三代」を取り巻く女性に焦点を当て、北朝鮮における「宮廷」の一幕を紹介した本です。「宮廷」というのは国際政治における分析のレヴェルの議論から示唆を受けた北朝鮮を読み解こうとする際の視角の一つ、のつもりなので須賀*1、まさにこの本の内容は「王朝」の家庭内事情を多く含んでいますので、むしろカギカッコ付きで紹介する必要がないくらいかもしれません。

全体を通じて興味本位でも十分楽しめる本だったので須賀、一つ挙げるべきは、先述した分析レヴェルというより実態として「宮廷」に住まう(った)人たちが持つ影響力の大きさでしょう。一定以上の公的役職を持っていた金敬姫(金正日の妹で張成沢の妻)、金オク(金正日晩年秘書かつ妻)、金与正(金正恩の妹)らのみならず、役職ははっきりしないというが父・金正日遺書を書いたとされる金雪松、著者が政策決定への関与を示唆する高容姫(金正恩の母)…。名前を挙げた女性を含む登場人物の活動を見るにつけ、まさに北朝鮮の「リアル宮廷」と呼ぶべき場所に権力が集中してきたさまを窺い知ることができます*2北朝鮮分析における「宮廷」の位置づけについてもっとしっかり考えなければならないというのはこの本から得た知見でありますし、それすらも古代則天武后らの例を挙げるまでもない自明な事柄なのかもしれません。つまり、これまた著者が指摘するように30代半ばにして健康問題を抱える金正恩の身にひとたび何かあれば、本当に則天武后さながらの権力を振るう女性が出てくるのかもしれませんし、「金王朝支配が長く続くほど、その可能性は高まっていくでしょう…「民主主義」「共和国」を名乗る国家についての議論とは到底思えませんけども。

*1こちらなどである程度の説明をしています。ちなみに家族関係だけではなく、いわゆる体制内部の権力関係すなわちクレムリノロジー的なものも含めて考えています

*2:その点『女が動かす北朝鮮』というタイトルはこの本の視点として実に言い得て妙だと思います

2016-06-07

[]『メディア政治』(蒲島郁夫竹下俊郎、芹川洋一) 01:59

メディアと政治 改訂版 (有斐閣アルマ)

メディアと政治 改訂版 (有斐閣アルマ)

参院選を前に、再読してみました。

理論的な部分に関してはやはりより精緻で勉強になりましたが、前回のレビューで言及したようなメディア多元主義モデルが今現在、どこまで妥当するのかは検討を要すると強く感じました。様々な誘惑に晒されながらも保たれている一応の独立性、が前提となるわけで須賀、果たして現在、個別媒体個別的判断でなく全体としてそれが保持されているのかーつまり、メディア多元主義モデル妥当する前提条件はそもそも安定的に存在するのかーが問われる状況にあるように思えます。またお得意(?)の安倍政権批判かと思われるかもしれませんが、学問として論理的に体系化されたものは何がしかの「変化」に照らすとはっきりとした相違の痕跡を示すと思いますし、逆に言うとそれが、今という時代を映しているとも言えるのでしょう。

こうしてビールを飲みながら考えると、その時期時期に本を読み、それについてコメントすることは、その時期時期を反映するという意味で多少の価値はあるのかもしれません。

2016-06-02

[]親子の2016年5月読書「月間賞」 00:39

私は前月分の「原典」であるこの本。議論の射程が長ければこその古典であり、また古典だからこそ広く読まれ、その過程の中で読み替えられていくのでしょう。もちろん読み替えの「伸びしろ」があってこその話なんですけれども。

  • 笑点50年メモリアルフォトブック

長男はこちら。これは言葉の綾でもなんでもなく、お出かけの時にも持っていかないと気が済まないようで、いつも「しょーてん、ほん!」と連呼しています。メンバーの写真を指差して「これは?これは?」と聞いていたのもつかの間で、「これは、まる!」「きくおー!」「しょーた!」などと言うようになりました。それにしても、1歳児に「やまだくん」呼ばわりされる座布団運び(59)って…(笑)

2016-05-26

[]『「安倍一強」の謎』(牧原出) 17:20

「安倍一強」の謎 (朝日新書)

「安倍一強」の謎 (朝日新書)

政治学者の著者が、政権交代のサイクルという観点から「盤石ではないはずなのに強い」安倍政権の謎に迫る本です。と書くと、謎を提示する前に種明かしをしてしまうようなものなので須賀、著者は選挙によって下野し、さらに政権の座に返り咲いた自民党が、相手方民主党に学び、その政治的遺産となりうるものをもうまく継承した点にその強さを見ています。例えば、どう見ても首相と肌が合いそうにない谷垣総裁入閣し、次いで幹事長の要職を務めることで、結果的消費増税などに関する三党合意継承担保する形ができていると分析していますし、首相国会答弁や会見などでの発言についても、地金がよく出るのはともかく、肝心なところで裏方がコントロールしていることを見て取っています。このように、安倍政権の謎、というより様々な特徴を、しばしば行政学的な観点からクリアに切り取って示してくれる本です。

その一方で、こうした政権の特徴を「政権交代時代への移行期の特徴」にやや還元しすぎているようにも見えました。多分そこに結び付けるのは論理的作業としてそこまで難しくないと思えるだけに、それこそ例えば首相パーソナリティなどの要因に帰するべきものまで「移行期の特徴」にしてしまっているのではないか、少なくとも「他の要因よりも、政権交代時代へ入っていく時期の過渡的状況の発露だと捉える方が当たってますよね」という論証が十分になされていないのではないかと感じざるを得ませんでした。

もう一つは、これからは政権交代時代だという状況規定そのものについてです。政権党がA→B→Aとサイクルしているのは見ての通りで、最近できたB'が次に来るのか、あるいはCが来るのかは些事で生姜、そのように代わっていくあり方が政治改革意図したところではあります。しかし、今の政権が行っていることは、そもそもそうした政治システム根本にあるべきルールを掘り崩す行為ではないのか、と私は考えています。もしそれすらも「移行期の特徴」なのだとすれば、その移行は失敗しつつあると言わねばなりません。立憲主義民主主義などの根本的な価値破壊されてしまえばそれは不可逆的な変化で、サイクルどころではないからです。Aがダメだと多くの人が気付いた時には、すでにBやCという選択肢すら抹殺されているかもしれません。そのリスクについてはかなり楽観的というか、外形的な議論の立て方だなあという気はしましたね。

2016-05-20

[]『参議院とは何か 1947〜2010』(竹中治堅) 00:50

参議院とは何か 1947~2010 (中公叢書)

参議院とは何か 1947~2010 (中公叢書)

参院選も近いということで、再読してみました。1回目に読んだ時にそれなりの分量でレビューしているので、本当に感想だけ。

参議院歴史的内閣衆議院による立法活動抑制する働きをしてきたのは、二院制の目的に適っている。ただ参議院までが二大政党化すると膠着するので、選挙方法は工夫しましょうー。改めて読んでみても、そうした著者の提言は至極真っ当に思えますし、参議院を軸にした戦後政治史の読み物としても十分楽しめる本かと思います。

今回の選挙は、一人区野党共闘が進んだことでますます「政党化」したものになりそうです。まさにその一人区こそが著者が改善を求める点であるわけで須賀、参議院権限があり、力があればこそ政権やその座を狙う勢力がそこに触手を伸ばすのはある意味必然なわけで、これまた著者が挙げる「一票の格差」という憲法上の要請をテコにでもしないとなかなか変わっていかないのかなあとは感じました。

あるいは、年代別選挙区にでもしてみますか?(笑) 世代論はあんまり好きではないんですけど…