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2017-05-25

[]『アメリカ政治』(久保文明、砂田一郎、松岡泰、森脇俊雅) 23:55

アメリカ政治 第3版 (有斐閣アルマ > Specialized)

アメリカ政治 第3版 (有斐閣アルマ > Specialized)

三権のありようやイデオロギーマイノリティを巡る問題など、アメリカ政治を論じる上での前提知識をサクッと解説してくれる本です。テーマ毎の章立てになってはいま須賀、現代*1政治社会状況を形作った歴史的な経緯についても分かるようには書いてくれています。例えばトランプ大統領就任後に連発した大統領令については言及がないなど、このシリーズにしては軽量級な感じは否めませんが、そこは良し悪しかなと思います。

個人的に一番感動したのは、この本全体からすれば瑣末な部分かもしれません。いわゆるヒッピーなどのカウンターカルチャーに反発した保守派が、またもやいわゆる福音派など、現在の宗教右派ルーツとなったと指摘するくだりで、そのはしりとなった団体が「モラルマジョリティ」と名乗ったことが書かれているんですね。どこかで聞いたことがある言葉だなと思ったら、Green Dayの有名な曲の歌詞にありました。

D

高校英語の授業で歌わされた時はそこまで意識していなかったんで須賀、こういう社会的文脈があったのか、と本当に目からウロコが落ちる思いでした。

最近読んだ『外交』(キッシンジャー)でも、第二次大戦参戦に反対した孤立主義者らの組織の名が「アメリカ・ファースト委員会」であることを教えてもらいましたし、現在のことを知るためには、もっと表層的でない勉強の仕方をしなければいけないと感じさせられました。

*1トランプ当選くらいまで扱っています

2017-05-13

[]『1984年』(ジョージ・オーウェル02:13

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

第二次大戦後間もない時代に書かれた、1984年という未来の「暗黒シナリオ」です。世界的に有名な小説ですので、そのあらすじをこの場で説明することはしませんし、著者の人生経験からこのフィクションに込められた意図を論じることもするつもりもありません。特に後者については、それをするだけの自信もありませんので、ここでは小説の「舞台」となった時代前後に日本で生まれた私が、2017年に読んで感じたことを書き連ねてお茶を濁そうと思います。

この小説2017年にまた脚光を浴びるようになった理由は、アメリカトランプ政権にあると言って間違いないでしょう。大統領本人が「フェイクニュースだ!」と叫び、高官が「オルタナティブファクト」などと言ってのける。そのありようが、本作のビッグ・ブラザーが率いるとされる(それすら確証を持っては言えない)党の主張や振る舞いを想起させたというのは、確かに頷けます。党の教義「イングソック」の核となる「二重思考」(矛盾を受け入れ、さらにそのことすら思考から消し去る)や、「事実などというものは人間精神の中にしかない(=信じこませさえすればそれが事実になる)」といった概念や発想は、一見意味不明な「オルタナティブファクト」なる主張を解釈する唯一の方法かもしれません。ただそれでも、実在する(した)ものの中で著者が描いた「1984年オセアニア*1」に最も似ているのは、私の知る限りにおいて朝鮮民主主義人民共和国をおいて他にないと断言できます。歴史ニュース改竄監視・密告社会時間的身体的動員、「ブラザー」や「父」という家族的な呼称を持つ絶対的権威存在…。まさか金日成がこの本を参考に国づくりをしたのかと思うくらい似ている部分もあります。まあ、ビッグ・ブラザールックスモデルスターリンで、彼の宿敵のモデルトロツキーだそうなので、「オセアニア」と現実北朝鮮に「共通祖先」はいるとは言えそうで須賀、オーウェルがこの「オセアニア」を演繹的に導いたのだとすれば、出版直前に成立したばかりの国の数十年後の姿をかなりの程度描いてしまったわけで、その論理的な構想力というのは驚嘆すべきものだと感じざるを得ません。また話をあらぬ方向に持って行ってしまったかもしれませんが、それが私の一番の感想です。

あともう一つ、この小説について触れておきたいのはその人間観のようなものについてです。正直に言って、この本の後半は読み続けるのが辛くなるような描写が続いており*2、そこではデカルト的・理性的人間観とは対照的な、動物としての人間の弱さがまざまざと描かれています。しかしまた、著者は主人公を通じて、まさにその弱さ故の人間存在に対する期待を表明してもいるのです。そして物語が幕を下ろした後に続く付録は、ある種の間接的なエピローグとして彼の信念や願いを示しているー。これは巻末の解説で示唆された実に目から鱗の説なので須賀、もしそうなら、今夜はなんとかうなされずに眠れそうな気がします(笑)し、これはまた、著者の「1984年」以降に生きる人間への激励であるようにも思えてきます。

2017年をどう生きるか。それはビッグ・ブラザートランプ金正恩、はたまた安倍晋三のうち誰の顔を重ね合わせるか、という程度の問題ではないような気がしてきます。

*1世界を三分する超大国の一つ

*2私自身も動転気味で読み進めました

2017-05-09

[]親子の2017年4月読書「月間賞」 12:32

長男はこれです。祖母に買ってもらった本で、登場キャラクターを指差して「これはだれ?」とか「よんで!」と言ってくることももちろん多いので須賀、たまに静かになったなあと思って様子を見てみると、真剣そのものといった顔つきをして無言でページをめくっていることがあるんですよね。数字の1から5ぐらいまでしか読めないのに一体何を考えながら凝視しているんだろうと思ってしまうので須賀、結構名前を覚えてしまっていたりとか、大まかな設定も知っていたりするようなので、そういうことを思い出しながら楽しんでいるのかもしれませんね。他の絵本も黙々と「読んで」いることが増えたのはこのところの特徴かなと思います。

私はありません。さすがに再読した本を再度推すわけにもいかないので…。振り返ってみればそんなに忙しかったわけでもない気がするのに、読書時間は取れないというのは情けないですね。

[]「うんち」と「うんこ」の違い/長男言行録(2歳10カ月) 13:43

  • うんこじゃないよ、うんちしたんだよ。やわらかいのがうんちで、かたいのがうんこなんだよ」

…お食事中の方、すみません。

まだ大の方はトイレでできないので*1、申告制でおむつを替えているので須賀、ある日「あ、うんこしたのね。じゃあおむつを替えるから、そのまま立っていてね」と声をかけると、冒頭のような反応が返ってきました。一応使い分けてはいるようなので須賀、彼の基準では「うんち」であることがほとんどのようです。

使い分けなんて考えたこともなかったので須賀、確かに語感的には、分からなくもない気がしますよね。ちなみにですけど、少し前にまさにこの2語の定義について、博物館をも巻き込んだ騒動があったそうですねwww

*1:小はトイレに座ればできるようになった

2017-04-28

[]『国際紛争』(ジョセフ・ナイ、 デイヴィッド・ウェルチ) 14:23

『外交』(キッシンジャー)からの流れで再読しました。この本でもリアリストの頭目として紹介されていたキッシンジャー著作対照的に、経済や保健・テロなどといったグローバルな交流事象にもしっかり光を当てていたのがやはり印象的でしたね。まあそこは前者が物語的であり、後者が教科書として書かれているという相違の反映でもあるわけで須賀、ナイ流に言えばパワーポリティクスという一つのチェス盤に特化して語り進めるなら物語風にするのが、経済や脱国家課題も加えた三つを網羅して語るなら教科書風にするのが、それぞれ好ましいという側面は多分にあると思います。手に汗握って読み進められるのは、自身が関与した時期を除いた(笑)キッシンジャー著作でしょうし、二つの大戦を同じ道具立てから解きほぐしてみせるなど、方法論として分析的なのはナイ・コヘインの著作ということになるのだろうと思います。

2回目とはいえ、キッシンジャーとナイの月並みな対比だけで終わってもしゃあないので追加で一言だけ。この本では、北朝鮮について「行動の予測が難しく、核やミサイルの開発活動が活発である点が危険」としているので須賀、『北朝鮮 瀬戸際外交の歴史: 1966〜2012年』(道下徳成)のような研究もあって、それが一定以上成功していると言ってよさそうであるということは付け加えてもいいのかなと思います。まあ、代替わり後はそれがさらに難しくなっていて、しかもその最も重要な相手方にもその傾向が見られる、というのがここ1カ月くらいの騒ぎの原因なんですけどね(笑)

2017-04-13

[]親子の2017年3月読書「月間賞」 12:14

私はこれ。他の国際政治の概説書を読むと、やはりパワーポリティクス(バランスオブパワー)一辺倒な印象はぬぐえませんが、そういうものとして挑むべき本なのかもしれません。

長男はこれです。母親が幼い妹にかかりきりになっていることに怒った女の子が、雪のなか家出を試みる話なので須賀、どの辺が本人的に引っかかったのか、正直言ってよく分かりませんでした。兄弟はいませんし、あまり雪にもなじみがないはずです。逆に雪が珍しかったのかもしれませんね。

最近は本を読んであげる時間より、本人希望で一緒にパズルをやる時間の方が長い気がします。アンパンマン機関車トーマスの絵柄のやつで、それぞれ60ピースぐらいあるとはいえ、何度も遊んでいるのでどれがどこにはまるのか大体覚えてしまっているようです。それでも面白いんですかねえ?(笑)

[]行間からにじみ出る父親への苛立ち/長男言行録(2歳9カ月) 12:31

本人がアンパンマンおむつがいいというので、袋を開けて履かせてあげようとしたら、あろうことかこのように指弾されてしまいました。(そのおむつを買ってきた)母親に報告していたようなので、開ける前に彼女の許可を求めるべきだったということなのでしょうか。

最近このように、副詞や文末の助詞などを上手く用いてニュアンスや含意を表現することができるようになりました。「まって、っていってるじゃん」とか平気で言いますw 父親おむつの袋を空けるのを見たのでそれを言語化した、ということだけではなく、「父親おむつの袋を空けるというすべきでないことをしたのを見た」という価値判断も含めて表現しているようです。そういうことができるようになってくると、こちらの話し掛け甲斐も増しますね。

2017-03-30

[]『北朝鮮難民』(石丸次郎) 01:44

北朝鮮難民 (講談社現代新書)

北朝鮮難民 (講談社現代新書)

北朝鮮取材を続けるジャーナリストが、世に言う「脱北者」についてまとめた本です。『リムジンガン』なども読ませていただいていました。

もちろん、これだけ時差のある話ですし、今これを読んだ動機も、取材手法モチベーションについて関心があったからでした。「北朝鮮の珍奇に見える面だけを追うのでなく、むしろそこに住む人たちも自分たちと変わらない人間である*1ということを知ってほしい」という見解には 非常に共感します、というかそれは、私が北朝鮮を旅行した時 、感じたことでもありました。

そんな事情ですので、今すぐこの本を誰かに薦めるとか、そういう趣旨ではないので須賀、構成としてもとても洗練されていましたよ。

*1:彼らは我々のようになりうるし、我々も彼のようになりうる

2017-03-28

[]「トランプ指南役」の外交思想/『外交』(ヘンリー・キッシンジャー) 11:20

外交〈上〉

外交〈上〉

外交〈下〉

外交〈下〉

ニクソン政権による米中和解の立役者ともされる著者が、17世紀30年戦争から冷戦終結後までの国際政治の展開を、米国外交政策を軸に論じた本です。上下巻で1000ページを超える大著であり、大まかにであってもあらすじをここで説明することは避けたいところで須賀、極めて乱暴に言えば、リシュリューや小ピットビスマルクスターリンらが体現し、米大統領で言えばセオドア・ルーズベルトニクソンが重視したバランスオブパワー概念の展開を追いながら、「理想主義米国にあっても、それを実現する前提条件としてバランスオブパワー理解は欠かせない」と論じています。一般論としてはその通りでしょう。

では、それをベトナム戦争に即して言うならどうなるでしょうか。著者は、当時の米国問題に直面した際、ある対応をとることが道徳的に正しいかだけを考え、それをやり遂げる能力があるのか、そもそも、やり遂げるべき具体的目標は何なのかについて考慮していなかったことが悲惨な結末を招いた、としています。その結果、当時恐れられていた「共産化ドミノ倒し」が起きた国*1もあったものの、「倒れた最大のドミノ米国内の分断が激化したことだった」。要するにこれは、カンボジアラオス地政学的重要性*2より、米国内が一定程度以上結束して外交政策を構築する環境を失ったことの方が重大であるという著者の判断なので須賀、ベトナム戦争によって米国バランスオブパワー上の威信が失われたことに触れはしても、自由人権を掲げる理想主義の国がベトナムで引き起こした人道上破局については良くてもおざなり程度というのは一体どういうことなのか、私にはよくわかりませんでした。冷徹パワーポリティクス分析には度々唸らされましたが、ジョセフ・ナイ流に言えば米国史上最もそのソフトパワーを失った事件の一つだったわけで、それこそ「道徳的非難はともかく、外交史の叙述としてやや深みを欠いた印象を受けたのもそのためだったかもしれません。

ケチをつけてはしまいましたが、先述したように国民国家誕生以降の国際関係について極めて論理的説明がなされていて、とても興味深かったです。各国の戦略ぷよぷよ連鎖のように繋がっていって、奇妙なタイミングに突如として第一次世界大戦に至ったあたりの話も明晰でしたね。ただ、これも重複しますけれども、ベトナム戦争のみならず、著者自身が関わった時期の話だけがどうも面白みに欠ける気がしました。プレイヤーであった以上、自分から述べてはいけないことの多さに足を取られてしまったのでしょうか。

 

ちなみに著者は、最近また俄に注目を集めているようです。

「外交指南役」はキッシンジャー氏:トランプ氏の「親ロシア」への転換を実現へ--春名幹男 | 新潮社フォーサイト

例えばこの記事のように、「著者がトランプ大統領外交指南役を買って出たのではないか」という趣旨観測が出ているのです。実際に著者がどのくらい「やる気」なのか、そしてまたトランプ大統領の側がどのくらいそれを真に受けるのかについては判断材料がありませんが、この本の内容の延長線上で考えれば、記事が指摘するように、伸長著しい中国とバランスするためにロシアと何らかの手を打つという、まさに40年以上前に自分がやったことと真逆外交政策提言する可能性は確かにありそうです。また恐らくそれは、ギリギリまで局外中立(栄光ある孤立)を保つイギリス流よりは、各アクターへの関与を通じて環境をコントロールしていくことを目指すビスマルク流であるでしょう*3

そしてもし、著者がその時々の外交戦略だけでなく、アメリカ外交のあるべき姿についてまで論を進めるなら、こう言うのではないのでしょうか。「アメリカ理想主義の国だ。ベトナム戦争のように目標や自らの能力をわきまえず、理想だけを追いかけて手を伸ばし過ぎるのはもちろん良くない。しかし、『米国第一』を盾に孤立主義の殻に引きこもることも、最早できない。あなたのちょうど100年前のウィルソン大統領時代から、アメリカ国民はそう信じ続けて来たのですよ」

*1カンボジアラオス

*2:著者は、マレーシアタイの手前が効果的&効率的なラインだったと考えています

*3冷戦後の世界19世紀欧州地球大に複雑化したものになるだろう、ということも述べられています

2017-03-14

[]子の2017年2月読書「月間賞」 11:27

タイトルでお察しの通り、先月の私の該当はありませんでした。読み切れなかったので…。

長男はこちら。おばあちゃんからもらった本です。仕掛け絵本になっているので須賀、どこまで仕掛けの意味が分かっているのかはちょっと怪しいです。ただ、聞くと保育園でも(主に上級生の間で)「ちちんぷいぷい」的な魔法をかけて遊ぶのが流行っていたそうなので、そのイメージの中で捉えられたのかもしれません。

[]結婚式、猫も参列?/長男言行録(2歳8カ月) 11:37

  • 「けっこんしきには、ねこもくるの?」

先月、彼の叔母の結婚式があったので須賀*1、父方の家族が参加するんだということを説明すると、実家で飼っている猫のことが気になったのか、こう聞いてきました。実際に猫に出くわすと怖がる割には、ちゃんと父方の家族の一員としてカウントしているんですね。残念ながら、彼の期待(?)に沿うことはできませんでしたけれども。

*1:今月もある

2017-02-14

[]俺たちの正男暗殺されたか 20:34

金正男氏が暗殺されたとの一報が。親子のように親しかったという張成沢処刑後もしばらく動きがなかったので、中国が殺させないのだろうと思っていたので須賀…。これで中国もただではおかないで生姜、まさお…。

http://japanese.yonhapnews.co.kr/northkorea/2017/02/14/0300000000AJP20170214005700882.HTML

********* 01:42

一報で投稿しましたように、北朝鮮の故・金正日総書記長男金正男氏がマレーシアで亡くなりました。現時点で断定すべき証拠があるわけではないようで須賀、ほぼ間違いなく、異母弟の金正恩委員長意向に基づく暗殺でしょう。

金正恩氏としては、殺す動機は十分あったと思います。帰国命令に応じなかったなどとの報道もあるようで須賀、そもそも「王位」を狙いうる立場人間を(本人が狙っているか否かに関わらず)葬り去るというのは歴史の常ですし、この兄弟の場合には、具体的な「リスク」もありました。彼らの叔父でナンバー2とみなされていた張成沢が処刑されたのは衝撃的でしたが、張成沢金敬姫金正日総書記いもうと夫婦が実子のように可愛がったのが金正男氏だったとされます。そしてまた、中国改革開放的な路線を模索すべきと考えていた点も共通していたそうです。

そうなれば異母兄は危険な存在になります。逆に彼が拠点を持っていた中国も、より「穏健」で「開明的」に見える兄を北朝鮮ソフト・ランディングを為すためのカードとして暗殺から守ってきたと言われています*1。そこを殺してしまったとすれば、殺害現場となったマレーシアはもちろん、中国北朝鮮との関係にもヒビを入れることになる。その意味では、これは「金王朝」を巡る宮廷内のゴタゴタとしてだけ捉えていてはいけない問題だと言えます。

それはともかくですけど、個人的にも思うところの多い事件でありました。もう16年前だったでしょうか、「北朝鮮王子様がディズニーランドに行くために日本に来た」というへんてこりん事件がなければ、私はこの国にどのくらい興味を持ったかなあと思います。その後、 『父・金正日と私 金正男独占告白』(五味洋治)などを読んで、まさに私が北朝鮮に行って感じたことーへんてこりんに見える国の人たちも、案外自分と似たところもあるじゃないかーを再度思い起こさせてくれたのも彼でした。この文章は一人で酒を飲みながら書いていま須賀、そう考えると悲しいというか(表現としては確実に不穏当で須賀)感慨深いというか、ちょっと気持ちの整理がつかないです。

しかし、殺害方法は言うまでもなく、やっぱりすごい国だなあ。

2017-02-13

[]親子の2017年1月読書「月間賞」 01:00

まず私はこれ。

次へ次へと一心不乱にページをめくり続けたのも久しぶりでした。

長男はこちら。

どんどこ ももんちゃん (ももんちゃん あそぼう)

どんどこ ももんちゃん (ももんちゃん あそぼう)

すみません、実は今回は完全に細君の推薦で選びました。時間に追われながら接するだけではなく、ちゃんと腰を据えて向き合っていないと、こういう時に答えられないんですね。気をつけます…。

[]新聞記者、2歳児に日本語を直される/長男言行録(2歳7カ月) 01:13

  • おむつはきないんだよ。はくんだよ」

これはまさに、朝の支度で時間に追われまくっていた時の一幕です。「ほら、シャツを着て。おむつもね!早く着て!」とまくし立てる父親に、冷静なカウンターを浴びせた長男。さすがに驚いて聞いたら、保育園で教わったそうです。こういう「物の種類によって対応する動詞や助数詞が違う」パターンは必ずしも分かりやすい論理的関係によって結ばれているとは限らないので、外国語とかだと使いこなすのが難しい部分ではありますよね。多少そういう使い分けがあることも認識しつつあるようです。

2017-02-02

[]戦争プロパガンダ10の法則(アンヌ・モレリ) 08:22

戦争プロパガンダ10の法則

戦争プロパガンダ10の法則

戦争に際して繰り広げられるプロパガンダについての10法則を、第一次・第二次世界大戦NATOによるユーゴ空爆などの例から説明した本です。⑴われわれは戦争をしたくはない⑵しかし敵側が一方的戦争を望んだ⑶敵の指導者悪魔のような人間だ⑷われわれは領土覇権のためではなく、偉大な使命のために戦う⑸われわれも意図せざる犠牲を出すことがある。だが敵はわざと残虐行為におよんでいる⑹敵は卑劣兵器戦略を用いている⑺われわれの受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大⑻芸術家知識人正義の戦いを支持している⑼われわれの大義神聖なものである⑽この正義に疑問を投げかける者は裏切り者であるーです。それぞれさもありなんと思うものでありながらも、それに尽きる感じも強い本ですので、ここはひとつ、ちょっとしたお遊びをしてみましょうか。

米英両国ニ対スル宣戦ノ詔書

天佑ヲ保有シ萬世一系ノ皇祚ヲ踐メル大日本帝國天皇ハ昭ニ忠誠勇武ナル汝有衆ニ示ス

朕茲ニ米國英國ニ対シテ戰ヲ宣ス

⑽朕カ陸海將兵ハ全力ヲ奮テ交戰ニ從事シ朕カ百僚有司ハ勵精職務奉行シ朕カ衆庶ハ各々其ノ本分ヲ盡シ億兆一心國家ノ總力ヲ擧ケテ征戰ノ目的ヲ達成スルニ遺算ナカラムコトヲ期セヨ

⑴⑷抑々東亞ノ安定ヲ確保シ以テ世界平和ニ寄與スルハ丕顕ナル皇祖考丕承ナル皇考ノ作述セル遠猷ニシテ朕カ拳々措カサル所而シテ列國トノ交誼ヲ篤クシ萬邦共榮ノ樂ヲ偕ニスルハ之亦帝國カ常ニ國交ノ要義ト爲ス所ナリ

⑴今ヤ不幸ニシテ米英両國ト釁端ヲ開クニ至ル

⑴洵ニ已ムヲ得サルモノアリ豈朕カ志ナラムヤ

中華民國政府曩ニ帝國ノ眞意ヲ解セス濫ニ事ヲ構ヘテ東亞ノ平和ヲ攪亂シ遂ニ帝國ヲシテ干戈ヲ執ルニ至ラシメ茲ニ四年有餘ヲ經タリ

幸ニ國民政府更新スルアリ

帝國ハ之ト善隣ノ誼ヲ結ヒ相提携スルニ至レルモ⑵重慶ニ殘存スル政權ハ米英ノ庇蔭ヲ恃ミテ兄弟尚未タ牆ニ相鬩クヲ悛メス

⑵米英両國ハ殘存政權ヲ支援シテ東亞ノ禍亂ヲ助長平和美名ニ匿レテ東洋制覇ノ非望ヲ逞ウセムト

⑵剰ヘ與國ヲ誘ヒ帝國ノ周邊ニ於テ武備ヲ甼シテ我ニ挑戰シ⑹更ニ帝國ノ平和通商ニ有ラユル妨害ヲ與ヘ遂ニ經濟斷交ヲ敢テシ帝國ノ生存ニ重大ナル脅威ヲ加フ

⑴朕ハ政府ヲシテ事態ヲ平和ノ裡ニ囘復セシメムトシ隠忍久シキニ彌リタルモ⑵彼ハ毫モ交讓ノ精神ナク徒ニ時局解決遷延セシメテ此ノ間却ツテ益々經濟上軍事上ノ脅威ヲ畭腑薫淵堂罐魘從セシメムト

⑷斯ノ如クニシテ推移セムカ東亞安定ニ關スル帝國積年ノ努力ハ悉ク水泡ニ帰シ帝國ノ存立亦正ニ危殆ニ瀕セリ

⑷事既ニ此ニ至ル帝國ハ今ヤ自存自衞ノ爲蹶然起ツテ一切ノ障礙ヲ破碎スルノ外ナキナリ

⑷⑼皇祖皇宗ノ神靈上ニ在リ朕ハ汝有衆ノ忠誠勇武ニ信倚シ祖宗ノ遺業ヲ恢弘シ速ニ禍根ヲ芟除シテ東亞永遠平和確立シ以テ帝國ノ光榮ヲ保全セムコトヲ期ス

御名御璽

平成十六年十二月八日


大東亞戰爭終結ニ關スル詔書

朕深ク世界ノ大勢ト帝國ノ現状トニ鑑ミ非常ノ措置ヲ以テ時局ヲ收拾セムト欲シ茲ニ忠良ナル爾臣民ニ告ク

朕ハ帝國政府ヲシテ米英支蘇四國ニ對シ其ノ共同宣言ヲ受諾スル旨通告セシメタリ

⑴抑々帝國臣民ノ康寧ヲ圖リ萬邦共榮ノ樂ヲ偕ニスルハ皇祖皇宗ノ遺範ニシテ朕ノ拳々措カサル所曩ニ⑷米英二國ニ宣戰セル所以モ亦實ニ帝國ノ自存ト東亞ノ安定トヲ庶幾スルニ出テ他國ノ主權ヲ排シ領土ヲ侵スカ如キハ固ヨリ朕カ志ニアラス

然ルニ交戰已ニ四歳ヲ閲シ朕カ陸海將兵ノ勇戰朕カ百僚有司ノ勵精朕カ一億衆庶奉公各々最善ヲ盡セルニ拘ラス戰局必スシモ好轉セス

世界ノ大勢亦我ニ利アラス

⑹加之敵ハ新ニ殘虐ナル爆彈ヲ使用シテ頻ニ無辜殺傷シ慘害ノ及フ所眞ニ測ルヘカラサルニ至ル

而モ尚交戰ヲ繼續セムカ終ニ我カ民族ノ滅亡ヲ招來スルノミナラス延テ人類文明ヲモ破却スヘシ

斯ノ如クムハ朕何ヲ以テカ億兆ノ赤子ヲ保シ皇祖皇宗ノ神靈ニ謝セムヤ

是レ朕カ帝國政府ヲシテ共同宣言ニ應セシムルニ至レル所以ナリ

⑷朕ハ帝國ト共ニ終始東亞ノ解放ニ協力セル盟邦ニ對シ遺憾ノ意ヲ表セサルヲ得ス

帝國臣民ニシテ戰陣ニ死シ職域ニ殉シ非命ニ斃レタル者及其ノ遺族ニ想ヲ致セハ五内爲ニ裂ク

且戰傷ヲ負ヒ災禍ヲ蒙リ家業ヲ失ヒタル者ノ厚生ニ至リテハ朕ノ深ク軫念スル所ナリ

惟フニ今後帝國ノ受クヘキ苦難ハ固ヨリ尋常ニアラス

臣民ノ衷情モ朕善ク之ヲ知ル

レトモ朕ハ時運ノ趨ク所堪ヘ難キヲ堪ヘ忍ヒ難キヲ忍ヒ以テ萬世ノ爲ニ太平ヲ開カムト欲ス

朕ハ茲ニ國體ヲ護持シ得テ忠良ナル爾臣民ノ赤誠ニ信倚シ常ニ爾臣民ト共ニ在リ

若シ夫レ情ノ激スル所濫ニ事端ヲ滋クシ或ハ同胞排擠互ニ時局ヲ亂リ爲ニ大道ヲ誤リ信義ヲ世界ニ失フカ如キハ朕最モ之ヲ戒ム

宜シク擧國一家子孫相傳ヘ確ク神州ノ不滅ヲ信シ任重クシテ道遠キヲ念ヒ總力ヲ將来ノ建設ニ傾ケ道義ヲ篤クシ志操ヲ鞏クシ誓テ國體精華ヲ發揚シ世界ノ進運ニ後レサラムコトヲ期スヘシ

臣民其レ克ク朕カ意ヲ體セヨ

御名御璽

昭和二十年八月十四日

ちょっと牽強付会に見えるところもあったかもしれません。出て来なかった中で⑶⑻はそれぞれ権威の源泉たる天皇の言うことではなさそうですし、⑺はその代名詞とも呼ぶべき大本営がその役を担いました。⑸は…今の首相取り巻きがよく言ってますね(笑)

2017-01-28

[]『小僧の神様城の崎にて』(志賀直哉21:28

小僧の神様・城の崎にて (新潮文庫)

小僧の神様・城の崎にて (新潮文庫)

実は先日城崎温泉に行ってきまして、その「予習」と言いますか、せっかくだから読んでみようと初めて志賀直哉を手に取りました。

18の短編が収録されており、当然受ける印象もそれぞれでした。それでも何か、ちょっとした偶然やボタンの掛け違いのようなことが地割れが開くように急展開していって、彼我の間に後戻りできない運命的な断絶が生まれてしまうさまを非常に鮮明に描写している作品がいくつかあり、つい引き込まれるようにして読んでしまいました。『佐々木の場合』は確かに筆者が言うような批評は当たっていると思う半面、佐々木の思いの純粋さを信じてもいい気がしますし、『赤西蠣太』はまさに思惑の違いによる裂け目がみるみる大きくなって最後まで目が離せません。『雨蛙』では夫婦間に生じた問題の展開にドギマギさせられますし、同様に夫婦テーマにコミカルに書かれたものに『転生』があります。偶然が生死を支配する、という意味では『城の崎にて』もその範疇でしょうか。

夏目漱石志賀直哉を評して「文章を書こうと思わずに、思うまま書くからああいう風に書けるんだろう。俺もああいうのは書けない」と言ったそうで須賀、そういうある意味ドラスティックな展開を短編で克明に描けるというのは本当にすごいことなんだろうと思いましたし、恐らく多分、漱石の言う通りに思うまま書いているからそれが出来るんだろうという気がします。三島由紀夫の『金閣寺』を読んだ時の印象とは真逆ですかね。

2017-01-17

[]『ヨーロッパ政治』(篠原一00:11

ヨーロッパの政治―歴史政治学試論

ヨーロッパの政治―歴史政治学試論

実に10年ぶりに再読しました。ただのヨーロッパ政治史ではなく、政治学視点からそれを再構成していくという説明の仕方は、やはり純粋に読んでいて面白かったです。

それはダールポリアーキーはもちろん、政治発展における危機政治変動についてなど、再構成のための「道具立て」がしっかりしていればこそだと思いま須賀、一方で図式的すぎるという批判もあり得るでしょう*1。その意味では、肉を切ってみてそのナイフの方の切れ味を確かめるような営為を重ねていく必要があるのだと思います。その点この本では、時代的にも地理的にも「食材」が豊富なので、そこも含めて楽しめました。

最後に一つだけ言うなら、この本で示された「食器」で和食中華料理も食べることができるのか、その点も興味が湧きましたね。

*1:例えば「権力真空状態はともかく、「権力喪失」が段階論としてでなくそれそのもの意味として何を指すのか、ちょっとはっきりしない用法もあるように感じました

2017-01-14

[]親子の2016年12月読書「月間賞」 12:20

前月の流れでいけば『二つのコリア』(ドン・オーバードーファー) を挙げるのが穏当な気もしますし、その価値も十分ある本なので須賀、あえて『草枕』(夏目漱石)にします。

理由は何と申しましょうか、年末にわたって結構精神的にささくれ立っていたんで須賀、この本を読んでいるうちに何となく気持ちが落ち着いてきたというか、元気が出てきた気がするので、たまにはそういう基準で選んでみました。

おさるのジョージ アイスクリームだいすき

おさるのジョージ アイスクリームだいすき

長男はこれ。実はこの月はあまり本を読んであげられなくて、細君の推薦で決めたので須賀、確かにこの本は私でも読んであげたことがありました。

今年もこんな調子で書いていこうかと思います。

[]PPAPP/長男言行録(2歳6カ月) 12:35

  • りんごはね、アポーペンっていうんだよ」

こちらもたまには流行りもので。

D

たまたま何かの機会にyoutubeで見せたことがあるので須賀、それ以来テレビで見る度に「アポーペンだよ!」と嬉しそうに言うようになりました。リンゴと結び付けて理解できたのは、恐らく保育園英語コーナーで聞きかじったからなのでしょう。ただ、リンゴが「アポーペン」だと最後にくっつけた時に「P」が一個多くなってしまいますけどねww

そう言えば最近はトランプ次期米大統領にも興味があるようで、彼が映ると「だいとうりょうだよ!」と母親に教えてあげるのだそうです。彼のモノマネにも反応したそうで須賀、まだあと一週間弱はあるわけで、ちょっとオバマさんが気の毒です。

2016-12-31

[]『草枕』(夏目漱石23:59

草枕 (1950年) (新潮文庫)

草枕 (1950年) (新潮文庫)

冒頭部の「智に働けば角が立つ」で有名な漱石初期の作品です。その文学論的な意味合いや、非常にゆっくりとした、というかあってないようなストーリー展開*1に著者が込めたろう意図については巻末にある江藤淳柄谷行人先生解説に譲るとして、やはりこの作品の最大の特徴は、和漢洋の教養裏付けられた絢爛たる語彙だろうと思います。柄谷行人曰く「過剰に言葉を持っていた」漱石が、『楚辞』を読み返した後に書いたものだそうで、その都度「こんな日本語があるのか」と感心させられながら読み進めました。

でも個人的にはそういうある種の言葉遊び的なところとか、嫌味かも知れないけれどもペダンなところは嫌いではないです。これはこの作品に限らず、私が断片的に受容した漱石から受けている印象なので須賀、大抵そうした漱石主人公たちは今で言うニートだったり、社会的うだつの上がらない地位だったりしながらも、それでも気位は失わずに、かつ偉ぶるわけでなく知的に誠実に悩み抜こうとしているように見えます。それを自分に重ねているつもりはあまりありませんし、あまりそういうことをする意味も感じないんですけれども、気位、あるいは精神的向上心を失わずにいればまだまだ楽しく頑張っていけるんじゃないかと思わせてくれます。

漱石没後100年の年が暮れる直前に、酒に酔って書いてしまいましたが、少なくとも私はこの『草枕』から元気をもらった気がします。

*1主人公が「非人情」と称して英語文学作品デタラメなページから読み始める一節などは象徴的です