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2018-01-10

[]「おざわあ」とマック赤坂にみる選挙の原点/『小沢一郎権力論』(小塚かおる) 11:56

小沢一郎の権力論 (朝日新書)

小沢一郎の権力論 (朝日新書)

桃鉄選挙イベントでおなじみの*1二度の政権交代立役者となった「政界の壊し屋」「剛腕」こと小沢一郎さんが、田中角栄との思い出話から希望の党結成を巡る一連の騒動安倍政権批判、さらには自身政策論まで、しゃべりたいことをしゃべった内容を収録した本です。

政権批判政策の部分はあまり新味がありません*2。かなり乱暴に言ってしまえば「古き良き自民党政治価値を生かせ」という主張なので生姜右肩上がり時代のような再分配政策や、中選挙区時代政治家のありようがそのまま今に通用するとはあまり思えない分、さすがに今の現実政治(とそれをどう改めていくか)という問題からはややずれた「昔話」になりつつあるのかなという気がしました。もちろん「再分配政策をないがしろにする安倍政権けしからん」とか「自民党議員安倍一強に逆らえないのは選挙区をちゃんと回っていない(=いざとなれば無所属で勝ち抜く力がない)からだ」という主張はよく分かるので須賀、今であれば2018年に即した議論をする必要があると思います。

昔話と言えば、いわゆる「小沢面接」など、過去に立ち会った出来事を回顧する本当の意味での昔話は面白かったです。ただ、「小池にはまった」前原さんの話をするのも結構だけど、それなら自分が関わってわずか1カ月で瓦解した日本未来の党の時の経過について、ちゃんと自分の主張を述べるべきだったと思いますけどね…。著者が「忖度」したのかは知りませんが、彼の「信用できない」イメージの一因はこういうところにもあるのではないでしょうか。

最後に、一点興味深かったことを。彼はこの本の最後の部分で、こう言っています。

国民がやっぱり分かっていない。だから僕はいつも言うんだ。最終的にあなた方が選ぶんだと。あなた方が政治家を作るんだと。政治文句を言うんだったら、立派な人物を選ばなければならないと。誰もいなかったらあなた自身が出ろっていうことなんだ。

それなのに、漠然と投票しておいて、その後文句ばかり言ったってダメだ。

最近どこかで似たような話を聞いたことがあるなあと思ったら、『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』(畠山理仁)においてでした。選択肢の中から、一番マシなものを選ぶのが代議制民主主義における選挙である。よいと思う選択肢がないなら、自分が出るしかない―。マック赤坂らの「無頼系独立候補」たちは、まさにその原理を地で行っているのです。「おざわあ」ならずとも、今の日本で最も選挙に強いとされる一人と、残念ながら勝敗という意味では弱すぎる人たち*3。その双方が言葉や行動で同じことを表現しているというのは、恐らく偶然ではないのでしょう。

*1:一応解説しておくと、桃鉄選挙イベントには当時の有名政治家をパロった人物たちが登場します。プレイヤー一定パラメーター(能力)を割り振って候補者となり、戦うミニゲームがあるので須賀、少なくとも私が一番長く遊んだ桃鉄HAPPYでは、「おざわあ」なる候補だけがパラメーターの合計値が元から1.5倍になっていました。要するに、チートキャラの「おざわあ」が相手に出てくるとほぼ勝てないという設定になっているわけです。関係ないことを縷々書き連ねたように見えるかもしれませんが、この設定自体が世の中における小沢一郎という政治家イメージを示しているように思えます。あと、最早全く関係ないけど、あのゲーム阪神に対する扱いは好きだったなあ

*2:著者に言わせれば「そこがぶれないすごさ」ということになるようです

*3:実はこの2冊は珍しく借りた本でして、選挙に「強い」「弱い」という対比もその時の貸主の示唆です。そのことも含めて、この場で感謝申し上げます