佐藤優氏、テレビ、初お目見え

25日の日曜日、大寒に入ってから朝起きるのが遅くなった父に合わせて朝のコーヒータイムがずれ込み、NHK日曜討論会を見ることに。オバマ大統領就任演説をめぐる討論だったよう。その後、珍しくサンデイプロジェクトに。すると、まあ、テレビは避けていると言っていた佐藤優氏が田原総一郎と録画インタビューでテレビ初登場! よくぞ見逃さなかったもの、ラッキー!でした。

佐藤優。「外務省のラスプーチン」とか、鈴木宗男事件で週刊誌上騒がれた外務省のお役人でした。私はこれまた2階の息子の部屋を通って洗濯物を干すときにみつけた本を2年ほど前から読みだしました。「獄中記」、「国家の罠」、「自壊する帝国」、など。今、手元にあるのは「国家と神とマルクス」という太陽企画出版のもの。

獄中記

獄中記

自壊する帝国はソ連崩壊当時の現場に居た人にしか書けない、それも筆者のように深く現地の当事者にかかわりを持った稀有な人物にしか分らない崩壊現場のドキュメンタリーで、ゴルバチョフエリツィンのあの当時のニュースで流された映像が蘇えって、まるで映画を見ているような臨場感あふれる書きっぷりです。
自壊する帝国

自壊する帝国

さて、オバマ演説について、印象に残った点でアフガニスタンへの言及を挙げていました。 
アフガニスタンでの対イスラム原理主義タリバン、アルカイーダに関しては国内に同じような問題を抱えているロシア、中国、インドが反対できないのでアメリカ一国の孤立した戦いにしないという戦略が見える。平和的な手段で解決できない場合は叩き潰す気だとも。確かに、この一週間オバマ演説の解説をいろいろ聞きましたが、初めての視点でした。

オバマ演説で私も聞いていて背筋が凍るというと一寸オーバーかもしれませんが、ヒャッと感じたのがこのあたり「共同防衛」についてからのクダリです。「米国にはキリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ教徒ヒンズー教徒、無宗教の人がいる。・・・・米国は新しい平和の時代をもたらすために役割を果たさなければ。」そして、「イスラム世界に言いたい」と始まって名指しはしないまでもかなり具体的に述べて、その「間違った側にいる」「指導者」へ「握りしめた拳を開けば、我々は手をさしのべる」と。

このあと、「今も世界中で警備に当たっている勇敢なアメリカ人、アーリントンに横たわる亡き英雄たち」とあって、私はブッシュさんの8年間を支持してきたアメリカ人や共和党支持者の人たちにも気を使った演説なんだな〜とぼんやり感じた程度でした。

佐藤氏の指摘のように「ブッシュと変わらない」という評価が当たっているかは分らないし、私としてはブッシュ否定の上に成立した新政権ということで「ブッシュとは違う方法」を期待していますが、でも、アメリカへの甘い期待を捨てて、アメリカが直面している現実はもっと厳しいと注意を喚起する鮮やかな読み取り方だったと思いました。

初めて聞いた声は優しい声でしたが、表情も話し方も変幻自在、計り知れない知の容量、これから表舞台での発言も増えるかなと期待しています。文庫本にもなったようなので、下に紹介しておきます。

国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)

国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)

自壊する帝国 (新潮文庫)

自壊する帝国 (新潮文庫)