日米関係「沖縄と原発」(ハムレ氏発言)と「従属と謝罪」(内田樹氏)

福島第一原発事故現場では3号機の原子炉建屋1階の床に今も高濃度(2400万ベクレル)放射能汚染水が漏れ続けています。(「shuueiのメモ」さん:http://d.hatena.ne.jp/shuuei/20140121/1390250785
○昨夜のニュース番組で、広瀬隆さんをはじめ事故以来脱原発を発信し続けた方たちのグループで代表の鎌田慧さんが、都知事選で脱原発一本化を断念、細川支持を表明というのを見ました。一方、昨日、名護市長選再選・南相馬市長再選の嬉しいニュースのついでに、三宅洋平氏の細川・小泉批判、一本化不可能の発言を知りました。「若いな〜青いな〜」と感想を口にすると、きっと沖縄に行ってしまった息子から「なに、その上から目線」と言われそうですが、背は小さくても年は大分上ですからお許しください。
○三宅くん! 清く正しく美しく運動すること、仲間づくりすることが目的ではないでしょう? 相手は政治です。脱原発という方向に国の舵を切り替えさせるという大仕事でしょう? 同じ考え方の人たちだけで出来ることではないでしょう? 脱原発で儲けようという人がいてもいいではない? 原発推進で儲けようという人よりマシだし歓迎すべきじゃない? 大勢の方たちが何のために金曜ごとの再稼働反対デモを続けてこられたの? 「かたよらない心、こだわらない心、とらわれない心、ひろくひろく、 空(くう)の心」 薬師寺高田好胤管主の般若心経の言葉)で、何のためかを思い出してください!  

◎名護市長に再選された稲嶺市長は国が辺野古移設に向けた協議や調査を求めてきた場合、『市長としての権限を行使する』と協力に応じない考えを改めて明言一夜明けた朝も日課の交通指導で近くの交差点に立った。小学生を笑顔で見送った後、『子供たちの未来を支えていくのが今の大人の責任だ』と新たな決意を語った。」(日経20日朝刊)

●ところで、「青空学園だより」さんの名護市長選を受けての記事の中に、日米関係について書かれている部分があります。(全文はコチラで:http://d.hatena.ne.jp/nankai/20140119

辺野古基地建設について,オバマアメリカ政府自体が,経済が行きづまるなかで国外に展開する米軍は,できる限りアメリカの直接支配の及ぶところに集約する,沖縄の米軍はグアムに引き上げる,この方針をもっている.琉球新報社の社説「ハムレ氏発言 在沖海兵隊撤退の提起を参照.
それを,今もって思いやり予算をつけ,巨大な基地を建設して無償で提供して,必死に沖縄に米軍を引き留めようとしているのが,日本の旧体制=原子力村,そして安倍政権である.その後ろには,今も戦争で儲けるしかないアメリカの産軍複合体がいる.

◎「青空」さんが記事の中で紹介されている「ハムレ氏の在沖海兵隊撤退」の発言琉球新聞18日の社説です。

ハムレ氏発言 在沖海兵隊撤退の提起を


・ 画期的な発言だ。米戦略国際問題研究所CSIS)のジョン・ハムレ所長が、米国外での米軍の長期大規模駐留は住民との摩擦を招くとして「違う方向性がないか再考の必要がある」と述べた。「常時駐留なき安保」の発想と言える。日本政府は重く受け止めるべきだ。すると在日米軍駐留見直しは論理的必然であるはずで、在沖海兵隊の駐留廃止を大胆に提起すべきだ。沖縄にとっては追い風だ。基地撤去を求める県民世論の根強さをあらためて米国へ発信し、抜本的な駐留見直し論形成へつなげたい。

日米関係はごく少数の「知日派」が大きな発言権を持つ。ハムレ氏はアーミテージ元国務副長官やナイ元国防次官補らと並ぶ知日派の重鎮であり、国防副長官なども歴任した国防・外交の専門家だ。 しかも保守系シンクタンクの代表格で対日政策に強い影響力を持つCSISのトップである。昨年2月、政権復帰後初めて米国を訪問した安倍晋三首相が「日本は戻ってきた」と演説した場所がCSISだった。

 
アーミテージ氏もかつて「プランB(代替案)を持つべきだ」と述べ、キャンベル前国務次官補らも「異なる方向の模索が必要」などと述べている。米財政が逼迫(ひっぱく)している以上、駐留見直しはむしろ米国内でも主流の意見なのだ。

・映画監督のストーン氏ら識者が辺野古移設反対の声明を発し、「世界最高の論客」チョムスキー氏は「沖縄の未来は県民が決めるべきだ」と述べた。沖縄の世論には国際的後押しがある。その点も銘記しておきたい。
 
(全文はコチラで:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-218011-storytopic-11.html

●そのハムレ氏、昨日(20日)の日経夕刊によりますと日本に居て国際シンポジウムに参加しています。
日本経済新聞社日本経済研究センターの主催で開かれた原子力と安全保障を考える」というシンポジウムです。小泉元首相が脱原発宣言し原子力推進の国策を都政から変えていくと話した直後のアメリカの産軍複合の意思の表明と取れます。記事によりますと:

「核不拡散 日本主導で」
原子力安保で国際シンポ


 20日の「原子力と安全保障を考える」で講演したロバート・ウィラード米原子力発電運転教会理事長(前米太平洋軍司令官)はエネルギー安全保障や核不拡散の観点から「安全な原発の再稼働が日本にとって重要だ」と指摘した。日米の専門家からは、原子力技術の平和利用に徹している日本が世界の核不拡散を主導すべきだとの意見が相次いだ。 ウィラード氏はまた「原発を開発した日本はエネルギーの海外依存度の低下に成功した」と強調した。
 パネル討論では、ジョン・ハムレ米戦略国際問題研究所CSIS)所長が「原発を日本が放棄したら、世界での核不拡散への影響力はなくなる」と語った。 
 その後に講演した磯崎陽輔首相補佐官集団的自衛権の行使をめぐる憲法解釈について「集団的自衛権は必要最小限を超えるから行使できないとの解釈については議論していかなければならない」と変更に前向きな考えを示した。

◎沖縄に関しては、ハムレ氏は「米軍の長期大規模駐留は住民との摩擦を招く」として「撤退もあり得る」。しかし、原子力に関しては「脱原発は困る」という立場です。どんな問題もアメリカの意思と向かわざるを得ません。さて、アメリカと日本の関係はどうなってるの?を考えるヒントは・・・

内田樹先生のブログ「従属と謝罪について」がおススメです。内田先生らしい鮮やかな読み解きです。朝日新聞に「安倍首相の靖国参拝」について書かれたもので、すでに読んだ方もいらっしゃるでしょう。以下に端折ってコピー、箇条書き風にしてみます。

従属と謝罪について


・「東京裁判は戦後日本に対して二つの義務を課した。
一つは、敗戦国として戦勝国アメリカに対して半永久的に「従属」の構えをとること。
一つは侵略国としてアジアの隣国(とりわけ中国と韓国)に対して半永久的に「謝罪」の姿勢を示し続けること。
従属と謝罪、それが、東京裁判が戦後日本人に課した国民的義務であった。
けれども、日本人はそれを「あまりに過大な責務」だと感じた。二つのうちせめて一つに絞って欲しいと(口には出さなかったが)願ってきた。」

・ 伝統的に、従属を求めるなら謝罪義務を免除せよと主張するのが右派であり、独自の善隣外交を展開したいので、アメリカへの従属義務を免除して欲しいと主張するのが左派である。
その結果、戦後の日本外交は「対米従属」に針が振れるとアジア諸国との関係が悪化し、アジア隣国と接近すると「対米自立」機運が高まるという「ゼロサムゲーム」の様相を呈してきた。

・このようにして、戦後70年、従属義務をてきぱき履行する政権はアジア隣国への謝罪意欲が希薄で(中曽根康弘小泉純一郎安倍晋三)、対米自立機運の強い政権は善隣外交を選好する(田中角栄村山富市鳩山由紀夫)という「ゼロサムゲーム」が繰り返されてきた。
(全文はコチラ:http://blog.tatsuru.com/2014/01/18_1002.php


戦勝国アメリカに、敗戦国日本の歪んだ屈辱感と自尊心のメンタルな綾とか襞は説明できないし、内田先生のように上手に説明したところで、「日本人の側のねじくれた理屈に同意してくれる人はホワイトハウスにはたぶん一人もいない」んでしょうね。
どうせアメリカに解ってもらえないのなら、日本は「従属と謝罪」を「対等と反省」に変えて、日本の国益に従ってアメリカに自己主張する分かり易い国に変えていけないでしょうか? そんなリーダーが現れないでしょうか? これが私の今年の初夢ですね。

(写真は生け垣の花たちです。透明感のある黄色の花は蝋梅。次は花ではなくてナニワノイバラの赤い実、下二つは椿のツボミ)
PS:脱原発一本化について今朝の「生き生き箕面通信」さんも「宇都宮氏は分かっているはず――候補1本化の必要・喫緊性」:http://blog.goo.ne.jp/ikiikimt/e/f704922fb3a969504c8a65825fef1378