ソニー、UNDP、JICA、W杯のパブリックビューイングをカメルーンとガーナで実施−サッカーの感動を届け、HIV/エイズの蔓延防止対策を促進



 ソニー株式会社(以下、ソニー)、国連開発計画(以下、UNDP)、国際協力機構(以下、JICA)は、国連が掲げる国際社会の目標「ミレニアム開発目標MDGs)」(注1)の達成、特にHIV/エイズの蔓延防止を目的とした官民連携のプロジェクト「Public Viewing in Africa(パブリック ビューイング イン アフリカ)」を、今年世界最大のスポーツイベントである2010 FIFA ワールドカップの開催期間中にアフリカ地域代表国のカメルーン共和国ガーナ共和国で実施しました。

 両国では、サッカーへの国民の注目・人気度は高いものの、貧困などにより、テレビの普及率(約20%(注2))が低く一部地域では電気も引かれておらず、FIFA ワールドカップ出場国でありながらも、多くの人々はテレビでサッカー観戦ができず、自国チームの応援さえもできません。

 この共同プロジェクトは、UNDP、JICAによる国際協力とソニーの社会貢献活動(注3)を組み合わせ、その相乗効果によって、より多くの人々へのHIV/エイズ啓発・教育の普及を狙ったものです。カメルーン(4地域、5会場)ではソニーとUNDP、ガーナ(15地域、18会場)ではソニーとJICAがそれぞれ行っているHIV/エイズ蔓延防止の啓発・教育活動の現場に、200インチのスクリーン、ソニーのプロジェクター、ブルーレイディスクプレーヤー、防水スピーカーなどから構成される大型映像装置(注4)を設置。FIFA ワールドカップ26試合をHDクオリティで中継上映(無料)しました。



 ソニーはオフィシャルFIFAパートナーとして、FIFA ワールドカップパブリックビューイングを行い、サッカーの感動を届けることで人々の集客増加を図りました。UNDPとJICAは試合前後やハーフタイムに、HIV/エイズに関する劇やクイズ大会、歌・ポエム選考会、コンドームの無料配布などのイベントを行い、参加者のHIV/エイズに対する認識向上を図るほか、HIV/エイズのカウンセリングと検査会場も設置し、蔓延対策の促進を図りました。このプロジェクトの結果、当初目標としていた集客の約2倍の約 24,000人(カメルーン: 約5,350人、ガーナ: 約18,650人)が参加、HIV受診者は約2.5倍の約4,800人(カメルーン: 約1,800人、ガーナ: 約3,000人)となり、HIV/エイズの蔓延対策に貢献しました。

 また、現地にて、ソニーが独自開発したサッカーボール「Join the Team!」も両国各地域で寄贈されました。このボールには、耐久性に優れ環境に配慮した植物原料プラスチックが使用されています。アフリカの多くの国々では、グラウンドの整備が行き届かず、ボールが長持ちし難い実情を背景に、ソニー製品の素材研究を行う部署が研究を重ね開発をしました。また、ソニーは、世界中の人々が賛同したEarth F.C.のプロジェクトにより集められた3,372個の「Join the Team!」ボールを、UNDPやJICAなどの国際協力機関やNGOを通して、アフリカの子どもたちに順次寄贈する予定です。



 さらに、ガーナでの一部パブリックビューイングにおいて、太陽光発電とリチウムイオン蓄電池を組み合わせ、自然エネルギーを活用した電源システム試作機「GEOシステム」(注5)で、パブリックビューイング機材一式の発電の実証実験を行いました。日中、総電力500ワットの太陽光パネル約4時間の充電で、夜間のパブリックビューイングのイベント時に2時間強分の試合を上映しました。今後、電力が整備されていない開発途上国などでの活用を目指します。

 UNDPとJICAは、2015年までにMDGsを達成すべく、開発途上国の社会および経済開発を推進しており、特に民間企業との連携の強化を重視しています。ソニーの社会貢献活動は、こうした方針と合致しており、今後、国際協力活動での連携をさらに強化し、国際社会が抱える課題の解決とMDGsの達成を目指します。