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2010年01月10日(日)

『影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか』要約

『影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか』を読みながら要約してみました。

本書には、人の意思決定を支配している目に見えない「影響力」にはどんな種類があり、そういった力にはどのように対処すればよいかが詳細にまとめられています。


影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか
ロバート・B・チャルディーニ
信書
売り上げランキング: 247
おすすめ度の平均: 4.5
3 カチッ・サー
5 交渉術・意思決定の落とし穴に関する名著
5 人は何に影響されて行動するか
3 なぜ人は最後まで読まされるのか。
5 これぞ名著!

内容紹介

「ふとした隙につけこまれ、あれよあれよという間に欲しくもないものを買わされてしまった」「ひっかかるはずのない怪しい〈儲け話〉に乗せられてしまった」「人気商品なのに品薄なことが多い・・・・・・」などなど。本書の著者は、街頭や個別の訪問販売、怪しげな宗教の寄付などで苦い思いを味わった経験から、セールスマンや広告主の世界に入り込み、人がどのような心理的メカニズムで動かされるのか解明した。第二版では、世界各地の読者から寄せられたレポートを追加し、より身近に詳しく「影響力の武器」を描き出す。消費者心理のからくりをユーモラスに描いた、セールスマンにとっても消費者にとっても必読の一冊。


以下、要約です。全8章。


第1章 影響力の武器

全然売れなかった宝石を半額にするつもりが間違って2倍の値段をつけてしまったところ、不思議なことに数日の間にすべて売り切れた。


カチッ・サー

さまざまな種の動物に、何らかの要因が引き金となって本能的に発生する固定的行動パターンがある。

それは人間も例外ではない。

2倍の値段をつけた宝石が売り切れたのは、「高価なもの=良いもの」という価値判断が為されたから。


てっとり早い方法に賭ける

過去の経験の蓄積に基づいた本能的判断に従うのは、通常は合理的で効率的。

自分にとって危険性が高い問題に対処するときはよく考えた上で反応すべきだが、現代は問題が複雑化しており心理的な疲労感も強いので、そうできないことも多い。


利益を得るのは誰?

人間の自動的な行動パターン(=影響力の武器)を利用して利益を得ている人がいる。


柔道

影響力の武器を利用する人は自分の力をほとんど使わず利益を得、被害者に意図を悟らせない。

人間の知覚は、順番に提示されるものの差異に影響を受ける(コントラストの原理)。

例1:洋品店では高いスーツを買わせた後でセーターや小物類を見せる。

例2:不動産のセールスマンは最初に高い価格をつけたボロ屋を見せておいてから本当に売りたい物件を見せる。


まとめ

第2章 返報性――昔からある「ギブ・アンド・テーク」だが……

返報性のルール:他人がこちらに何らかの恩恵を施したら、似たような形でそのお返しをしなくてはならない。

返報性のルールは人間社会の文化に広く浸透していて、社会の進歩にとって不可欠なものである。


返報性のルールはどのように働くか

返報性のルールは、それを影響力の武器とみなしている人々に悪用される可能性がある。


返報性のルールの威力

返報性のルールは好意度とは無関係に威力を発揮する。

返報性のルールは政治の世界やビジネスの場で頻繁に利用される。


返報性のルールのために、知らぬ間に恩義を感じてしまう

返報性のルールによる恩義は、頼んでしてもらった訳ではない行為に対しても発生する。


返報性のルールは、不公平な交換を引き起こす

返報性のルールでは行為の受け手は似た種類の行為でお返しをしないといけないので、このルールを影響力の武器として使う人は恩を返してもらうための行為の性質を選択できる。


譲り合い

返報性は、譲歩してくれた相手に対して自分も譲歩するという形でも現れる。


拒否させた後に譲歩する

「拒否したら譲歩」テクニック(ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック):最初に大きな要求を出して相手に拒否させた後、譲歩する形でそれより小さい本命の要求を出し、相手も譲歩して承諾してくれるのを期待する。

ただし、最初に出した要求が大きすぎると、誠実な交渉の意思がないと判断されて逆効果。


譲歩のお返し、知覚のコントラスト、そしてウォーターゲート事件の怪

「拒否したら譲歩」は返報性のルールと知覚のコントラストの原理の合わせ技で、非常に強力。


承諾するも地獄、断るも地獄

「拒否したら譲歩」法を使っても、相手の心にはマイナス印象が残りにくい。


わたしの血をどうぞ。また必要でしたら、お電話ください

「拒否したら譲歩」法を使った場合の方がそうでない場合に比べて、相手に好印象を残しやすい。


うま味のある、秘密の効果

「拒否したら譲歩」法を使われた人は、最終的に相手を譲歩させて交渉を終える形になるので、責任感と満足感を抱きやすい。


防衛法

返報性のルールを無視すると、自分の公正感や義務感を傷つけることになる。

本当の敵は要請者ではなくルールそのもの。


ルールを退ける

世の中には善意で動いている人の方が多いので、要請者の最初の好意や犠牲の申し出を常に断る方法はよろしくない。

相手の申し出はありがたく受け入れておき、もし後になってその行為がより大きなお返しを要求するための策略だったと判明したら、そのときにそれなりの対応をすればよい。


敵をいぶり出す

セールスの戦術に好意で返す必要はない。


まとめ

第3章 コミットメントと一貫性――心に住む小鬼

人は一度何らかの決定を下したりある立場を取ったりすると、そのコミットメントと一貫した行動を取るように個人的にも対人的にも圧力がかかる。


一貫性のテープが回る

人は一貫性を保とうとする傾向によって、しばしば自分に不利益な行動を起こす。

そのため、一貫性は強力な影響力の武器となる。

通常、日常生活においては一貫していることは望ましい性格特性である。


一貫性を保つことの便利さ

人は一貫性を保つことで、日々の多くの問題に精神的労力を割くことなく対処することができる。


一貫性にしがみつくことの愚かさ

人は、自分で考えて間違った結論を出してしまうことを避けるために一貫性に頼る場合がある。


探す人と隠す人

ある玩具メーカーが、クリスマスに続く2ヶ月の売り上げ減少を回避するため、以下のような方略をとった。

クリスマス前に、ある特別なおもちゃの魅力的なコマーシャルをテレビで流し始める。

→子供たちはクリスマスプレゼントにそれを買ってもらう約束を親に取り付ける。

→メーカーはそのおもちゃを店には少ししか卸さない。

→大半の親はそのおもちゃを買えず、代わりに別のおもちゃを買う(メーカーはあらかじめ、このための代用品を十分に店に卸しておく)。

クリスマスが終わったら、また特別なおもちゃのコマーシャルを流し始める。

→その結果、子供たちは前以上にそのおもちゃがほしくなり、親にねだる。

→親は一度約束した手前、断り切れずしぶしぶそのおもちゃを店に買いに行く。


コミットメントが鍵

人はコミットメント(立場を明確にする、公言する)することで、一貫性の圧力を受けるようになる。

フット・イン・ザ・ドア・テクニック:小さな要請から始めて、関連する大きな要請を最終的に承諾させる。


頭で考えることと心で感じること

コミットメントが効果的に自己イメージに影響を及ぼすためには、「行動をふくむこと」「公衆の目にさらすこと」「努力を要すること」「自分の意思で選ぶこと」の条件がそろっている必要がある。


行動のもつ魔術的な力

人の本当の感情や信念は、言葉からではなく行動から分かる。

人は積極的コミットメントによって自己イメージを形成し、その自己イメージが将来の行動を起こさせ、その行動によって新しい自己イメージをさらに強固なものにする。

行動を含むコミットメントをすると、内側からは自己イメージを行動に合わせようとする圧力がかかり、外側からは密かに、他者が自分に対して抱いているイメージに自己イメージを合わせようとする圧力がかかる。

コミットメントするための労力が大きければ大きいほど、自己に対する影響力が強くなる。


自分で決めたこと

自分の意思で行ったコミットメントであることが一番重要。


支えとなる脚をつくる

一度コミットメントがなされると、もし後で最初にコミットメントをしたときの理由(条件)がなくなっても、人は心の中で代わりの理由を新しく作り出す。


公共の利益のために

コミットメントを利用した承諾誘導のテクニックは、それを使いたいと思う人の気持ち次第で良いことにも悪いことにも利用できる。


防衛法

全般的に見れば一貫性は良いもので不可欠なものであるが、避けた方がよい種類の一貫性もあることを自覚する。


胃から送られるサイン

自分でやりたくないと分かっていることをやらせようとする要請を受け入れてしまいそうになっているのに気づくと、胃のあたりから合図が送られる。


心の奥底からのサイン

馬鹿げた一貫性に従おうとしているとき、心の奥底ではそのことに気がついている。


まとめ

第4章 社会的証明――真実は私たちに

テレビのお笑い番組で録音笑いを使用すると、ネタがつまらなかったときでも面白かったと認識されやすい。


社会的証明の原理

社会的証明の原理:人は他人が何を正しいと考えているかにもとづいて、物事が正しいかどうかを判断する。


他者がもたらす力

社会的証明は影響力の武器として様々な場面で利用されている。


大洪水の後に

ある教団では大預言がはずれて以来、それまでより信者の信仰心は強くなり、布教活動も活発になった(自分の信念の正しさを社会的証明によって支えようとしたため)。


死因は……不明(確なこと)

すべての影響力の武器には、その効果がよく発揮される条件とそうでない条件とがある。

人は自分自身に確信が持てないとき、社会的証明を利用しようとする。

社会的証明の原理はときに、集合的無知と呼ばれる現象を生じさせる。


科学的研究

人は自分の目撃している事件が緊急事態なのかどうか分からないとき、傍観者が一人でいるときの方が集団でいるときよりも被災者をよく助ける。

集団でいるときには、他の人が助けないということは緊急事態ではないのだろう、という判断をしてしまうため。


あなた自身が犠牲者にならないために

人が集団になると援助をしなくなるのは、彼らが不親切だからではなく確信が持てないからだということを認識するのが重要。


私のまねをしなさい……サルのように

社会的証明の原理は、参考にする他者が自分と似ていると思う場合に特に強くなる。


死に至るサルまね

新聞の一面記事に自殺報道があると、それを見て自殺をする人が増える。


サルが住む島

ガイアナのジョーンズ・タウンでの集団自殺には、社会的証明の原理が強く影響していた。


防衛法

人は大抵の場合、社会的証明が提供してくれる情報に対して、防衛態勢を取りたがらない。


自動的な行動に気をつける

社会的証拠が意図的に歪められて提供されていることが分かった場合は、それを無視すればよい。


よく見渡すこと

社会的証明は完全ではないので、過度に信用してはならない。


まとめ

第5章 好意――優しい泥棒

好意も影響力の武器となる。


友達になるのは、影響を及ぼすため

承諾誘導の実践家は好意のルールを利用している。


あなたを好きになるのはなぜ? その理由を考えてみよう

外見の魅力

人は、外見の良い人は才能、親切心、誠実さ、知性といった望ましい特徴を持っていると無意識のうちに考えてしまう傾向がある。

外見の良い人はそうでない人に比べて裁判で有罪になりにくく、雇用されやすく、高い給料を得やすい。


類似性

人は自分に似ている人を好む。

似ているのは外見に限らず、意見、パーソナリティー特性、経歴、ライフスタイルなど何でもよい。


お世辞

人を褒める言葉は、それがお世辞かもしれないと受け手が分かっていても、好意を生じさせやすい。


接触と協同

人はよく知っているものに対して好意を感じる。

人は自分と異なるグループに所属している人と、単に関わっただけでは好意を抱きにくいが、協力して何かを為した場合には好意を持ちやすい。


学校へ戻って

協同活動によって好意を生み出すことは学校での差別廃止に利用できるが、その影響範囲についてはまだ研究が必要。


条件づけと連合

人間には、不快な情報をもたらす人を嫌う傾向がある(たとえ、その人が悪い知らせの原因ではないとしても)。

この連合の原理は、悪い結びつきにも良い結びつきにも適用される。


パブロフの名前はベルを鳴らすか?

ランチョン・テクニック:人は食事中に関わりのあった人や物をより好きになる。


ニュース・天気予報からスポーツの世界へ

人がコンテストやスポーツの試合を見るときに自分と共通点のある人やチームを応援するのは、その人やチームの勝利が自分の優位性の証明になるため。


防衛法

ある状況で本来あるべき程度よりも余計に承諾誘導の専門家を好きになっていると感じたときは要注意。


まとめ

第6章 権威――導かれる服従

ある心理学の実験。

「教師」役の参加者は「生徒」役の参加者が単語を正しく覚えているか試し、間違えると電気ショックで罰を与える。

「生徒」役の参加者が間違うたび、電気ショックの電圧は高くなっていく。

実験が始まり、「生徒」役の参加者が電気ショックに苦しんで、もう実験をやめてくれと懇願しても、「教師」役の参加者は電気ショックを与えるのをやめなかった。


権威のもつ影響力の強さ

この実験の「生徒」役の参加者はサクラで、実際には電気ショックは与えられていなかった。

「教師」役の参加者は電気ショックを与えるのをやめたがったが、実験を担当している研究者が継続するよう指示したのでやめることができなかった。


盲目的な服従のもつ魅力と危険性

他の影響力の武器と同じで、権威に対して自動的に従うことは多くの場合価値がある。

だが、権威者が間違いを犯した場合にも疑問を持つことなく盲従してしまう可能性があるという問題がある。


内容よりも姿形が重要

本当の権威でなくとも、権威があるように見えさえすれば効果がある。


肩書き

肩書きは非常に強い影響力を持った権威のシンボル。

地位が高いと、実際より身長が高く見られやすい。


服装

服装も権威のシンボルとなる。

警備員の制服や仕立てのよいスーツなどは特に効果が高い。


装飾品

宝石のような装飾品や自動車なども、衣服と同様に効果がある。


防衛法

権威の力を十分に認識し、権威のシンボルを偽ることが簡単であることを理解する。


本当に権威のある権威

権威者が影響を及ぼしていると思われる状況に遭遇した場合、最初に「この権威者は本当に専門家なのだろうか」と自問する。


ウラのある誠実さ

その権威者が本当の専門家であると判断できたら、次に「この専門家は、どの程度誠実なのだろうか」と自問する。

承諾誘導の実践家は、自分が誠実であると思わせるために自分の利益に少し反したことを言うことがあるので気をつけねばならない。


まとめ

第7章 希少性――わずかなものについての法則

ある教会について著者は興味がなかったのに、その教会内に信者以外は入ることができない場所があると知ると、急にそこに行ってみたくなった。


少ないものがベスト 失うことはワースト

希少性の原理:手に入りにくくなるとその機会がより貴重なものに思えてくる。

人は、同じくらいの価値があるものなら、それを獲得することよりも失うことを考えるときの方が、強く刺激される。


数量を限定することの効果

希少性の原理が最も明瞭に使われているのは「数量限定」の戦術。


時間の制限

機会に「最終期限」を設けることで、希少性を生み出すことができる。


心理的リアクタンス

承諾誘導の実践家たちは、影響力の武器の一つとして希少性を利用している。

希少性の原理に威力がある理由の一つは、手に入れる機会が減少することは自由を失うことを意味するため。

心理的リアクタンス(反発)理論:自由な選択が制限されたり脅かされたりすると、自由を回復しようとする欲求によって、その自由(および、それに結びつく物やサービス)を以前よりずっと欲するようになる。

人の心理的リアクタンスの傾向は、自分自身を個人として認識するようになる二歳の頃に生じる。


大人が示すリアクタンス――愛、銃、そして洗剤

人の心理的リアクタンスの傾向は生涯を通じて見られる。


検閲

心理的リアクタンスの傾向は、商品だけではなく情報に対しても見られる。

ある情報を得ることが禁じられると、人は禁じられる以前よりもその情報を求めるようになり、また、その情報に高い価値を見出すようになる。


最適の条件

希少性が高ければ高いほど、価値が高いと判断されやすい。


新たに生じる希少性――貴重になったクッキーと市民の争い

最初から少なかった場合より、たくさんあったものが少なくなった場合の方が、価値が高いと判断されやすい。


希少なものを求める愚かな競争

ある物の数が少なくなったときにそれが一層欲しくなるだけでなく、それを求めて競争しているときに最も欲しくなる。


防衛法

希少なものについて思慮深い決定をしなければならない場合には、自分がそれを利用することを欲しているのか、所有することを欲しているのかをよく考えるとよい。


まとめ

第8章 手っとり早い影響力――自動化された時代の原始的な承諾

1960年代のあるアメリカのトーク番組での会話。

パイン「そんな長い髪をしてると、女になっちゃうよ」

ザッパ「そんな義足をつけてると、テーブルになっちゃうよ」


原始的な自動性

この会話は、人は何か決定を下すとき利用可能な関連情報をすべて利用するわけではなく、全体を代表するほんの一部の情報だけを使うという、この本で扱っている基本的なテーマをよく表している。


現代の自動性

科学技術の急激な発展により、現代は生み出される情報量、人が扱うことができる情報量ともに爆発的に増えている。

人々が重要だと考える問題は、ますます多様かつ短命になっている。


近道は神聖なもの

テクノロジーは人間よりもずっと早く進化するので、人間の情報処理能力が追いつかなくなってきている。

そのため、決定を下すときに状況全体を十分に考慮して分析することが少なくなっている。

簡便反応によって問題に対処するのは現代では必要なこと。

簡便反応のルールをフェアに使っている承諾誘導のプロを敵だと思ってはいけない。

本当の敵は、自然な状況では簡便反応の手がかりとなるはずの証拠を偽ったり捏造したり不正に提示したりする人々だけ。


まとめ

終わり。

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