Hatena::ブログ(Diary)

Happiness is a Warm Car!

2015-05-13

ホンダS660やマツダロードスターじゃない! 次期フェアレディZにかなり期待!

  マクドナルドの凋落を見て思うのですが、日本人は外国人がトップに座る企業に対して冷ややか国民感情が多かれ少なかれあるように感じます。自動車業界でも長期政権のカルロス=ゴーンが未だに嫌われている節があります。冷静に考えると、この人が日産のトップにいたからこそ実現したのが「R35GT-R」であり、もしゴーンが居なければ日産はとっくの昔に倒産していたかもしれません。マツダにもフォード傘下時代に外国人のトップやエクゼクティブが入れ替わり立ち代わりやってきました。ヘンリー=ウォレス、マーティン=リーチ、ジェームズ=ミラー、マーク=フィールズといったフォードが誇る優秀な人材が、グループの基幹を担うマツダに優先的に配置されたこともあり、1998〜2003年頃のマツダの開発力は驚異的で、その後に欧州市場で大ヒットするクルマを次々と生み出しました。

  2000年代のマツダの復活劇の中でフォード出身のエンジニア&エクゼクティブの活躍はあまり知られておらず、今でもカーメディア等で彼らの名前を見る事はなく、マツダ最後の外国人トップであったマーク=フィールズは現在ではフォードのトップを務めるまでに出世しました。今でも外国人トップというだけで、日産の経営に「過度な合理化」の臭いを感じるせいか、安易に誹謗中傷をくりかえす人々が、評論家・素人問わず目立ちます。人それぞれに意見はあるので、それ自体は別に結構なんですが、どれもこれも「?」が付く内容のものが多く、読んですぐになんか矛盾してないか?と思ってしまうケースが多いです。たとえば、日本車で一番ポルシェのスポーツカーに近いクルマは?ランクルシリーズを除いた日本のSUVのなかで一番走破性の高いクルマは?ポルシェを本気にさせた日本のメーカーといえば?・・・これらの条件を満たす希有なメーカーが日産だったりするわけです。

  「マツダやスバルは偉い!日産はダメだ・・・そして輸入車は絶対・神!」みたいなことを、「ニューモデルマガジンX」「ベストカー」「ドライバー」(私的に三大"バカーメディア"に認定しました)はいまでも繰り返しやらかしてます。やたらとブッサイクなオッサンライター達が平気で誌面に登場する「暑苦しい系」のこれらのクルマ雑誌では、まるで「馬鹿の一つ覚え」のようなステレオタイプな論調なので、タイトルを読んだだけで結論がある程度は予想できてしまいます(私の書いたものも人の事は言えませんが)。書いている本人達もさすがにこれはやり過ぎだろうとおそらく感じているハズですし、もし感じていないならば正真正銘のクルマ音痴です。いくら評論家が叫んだところで、とりあえず上級車種に限定するならば日産の実力は圧倒的で、マツダやスバルではまず絶対に適わないレベルにありますし、これはクルマ好きならちょっと乗っただけでも十分にわかるはずなんですけどね・・・。

  日産がやたらと叩かれる理由をあれこれ想像するならば、400万円以上の価格帯のクルマはとても充実しているけど、200万円クラスでは全くやる気がなくなってしまうところなんでしょうね。せっかくこれだけ素晴らしいクルマ作りができるのだから、もっと手軽に日産車を楽しめる200万円くらいのプリメーラやシルビアみたいなモデルを復活させれば、ファンも大挙して戻ってくるとは思います。しかしもし現実に日産がこのクラスに本気で参入してきたならば、せっかく地道に地盤を築きつつある「トヨタ86/スバルBRZ」は大ダメージを避けられないでしょうし、競争の激化から開発凍結に追い込まれるかもしれないです。さらに中型車メインで「個性化・高級化」に針路をとって生き残りを図っているスバルやマツダも、日本では瞬く間に居場所を奪われて、最終的には日本の拠点を全て閉鎖して日本からの撤退を画策し、「アクセラ/アテンザ」や「インプレッサ/レガシィ」は、海外専門になった「ランサー/ギャラン」のような運命を辿ることになるかもしれません。

  ということで、日産には今後も「35GT−R」と「フェアレディZ」の2枚看板で日本のスポーツカーの屋台骨を支えるといいうか、「日本のポルシェ」と誰もが認めるくらいに長期間に渡ってこだわりの設計のままに開発・販売を継続してくれたらと思います。日産を牛耳っているのが「ルノー」というセコいフランスの半官半民メーカーなので、V8ツインターボが載ったGTカー仕様の「フェアレディZ」なんかは、なかなか期待できないみたいですけど、日産アメリカから世界(グローバル)へと拡大したインフィニティブランドからはさらなる大型ラグジュアリー・クーペ(インフィニティQ100)の発売が予定されているようなので、500psオーバーのモンスター日本車が復活してアラブ中国のお金持ちの御用達になる可能性は高いようです。

  さてフェアレディZも次世代モデルが開発中という噂ですが、気になるのは「BMWとトヨタ」が共同開発に踏み切っているスペシャリティカー市場で、まだまだ日産はこのクルマの開発を単独でやり続けるのでしょうか? 順当に考えるとCクラスとスカイラインが統合される話が事実だとすると、Cクラスをベースにした「メルセデスSLK」とスカイラインをベースにした「Z」が共通シャシーを使う設計になるのが自然に思います。しかしZの魅力といえば3.7Lまで拡大した日産が誇る世界最強の自然吸気6気筒です。言葉が悪いですが、メタルルーフで1500kgを越える車体を直4ターボで必死に引きずっているSLKとはコンセプトが全く違います。もちろんSLKにも6気筒モデルや8気筒の「AMG」も存在しますが、いずれも戦闘力の高いスポーツモデル(GTカー)として高い評価を得ているモデルではありません。このクラスの頂点に君臨するポルシェ・ケイマンの領域に近いのは、間違いなくSLKではなくZです。どのモデルにもスポーツの形容を使いたがらないメルセデスと比較することこそ、Zの開発者への冒涜だったりするわけですが、現行モデル同士を見比べても、パフォーマンス型のシャシーを使う日産に対して、ごくごく平凡なシャシーの旧式メルセデスは、サスペンションの性能からして大きく違います。

  幸いなことに次期SLKのベース車になると思われる新型Cクラスでは、サスペンションの変更が行われ、日産スカイライン、Zと同じレベルのパフォーマンスが発揮できるものであると報じられています。次期SLKにもこれをベースにした同じ機構が持ち込まれて、乗り味の設定の自由度が向上したことで、これまでには無かったウルトラフラットでBMWのMスポのようなやや「スパルタン」なグレード(どんなだ?)も出てきそうです。ラグジュアリーなお買い物車としての地位を築いているSLKにそんなものを期待する既存ユーザーは少ないかもしれないですが・・・。またV37スカイラインのクーペとともに開発が平行していると言われる次期Z(35型)には、メルセデスの直4ターボが新たに追加されるという報道もあり、SLKとの距離が思わぬ形で詰まることになりそうです。

  最後に次期Zにも追加されるであろう「ステアバイワイア」についても言及したいですが、かなりの短期間でアクティブ=ステアリング(パワステ)のシステムが変化し、油圧式から電動油圧式になりさらに電動式へと進んでいますが、ポルシェやメルセデスといった名門ブランドでもステアリングフィールの熟成に時間がかかっています。そんな中で日産だけが実用化したステアバイワイアは、新たに走る歓びを提供できるシステムとして、非常に高い商品力をもっていると思います。もっともその効果が発揮されるのは、ハイブリッド化されたスカイラインの1800kgに及ぶ車体を軽やかに回頭させるという設定なのでしょうが、1500kgのZに装備されれば王道GTカーの可能性を広げてくれるのでは?とかなり期待しています。ステアバイワイアを体験した感想は、1800kgのスカイラインが1400kgのアテンザみたいなハンドリングでしたから・・・。

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2014-12-22

マツダ・ロードスター は世代の壁を超えるのか?

  2012年にトヨタ86が発売されて、すぐに世界でも高い評価を受けたことで、まだまだ500万円以下で専用設計のスポーツカーは各メーカーから次々に発売されそうです。マツダは来年にも新型ロードスターの発売を予定していますし、ホンダも複数のスポーツモデルを投入すると言われています。トヨタ、ホンダ、マツダともに普通乗用車の販売は好調で、新しいファミリーカーの形となったSUVを中心に一般のラインナップを増やしています。それぞれにSUVの販売比率はとても高まっていて、ブランドの「重心」もその分かなり移動してしまっています。しかしやっぱりぶっちゃけて言ってしまうと「SUVは運転が・・・つまらない」です。

  トヨタもホンダもマツダも必死にバランスを取る為にというわけではないでしょうが、SUVと同時に専用設計のスポーツカーをグローバル戦略の柱と考えているようです。ハンドリングの良くないSUVに対して、スポーツカーの乗り味は絶対的に優位か?というと、意外に・・・なケースもあるようです。つまりSUV、ハッチバック、セダン、ミニバンはボディタイプによって乗り味がある程度は決まってきますが、スポーツカーに関してはその乗り味の仕上げ方は千差万別です。シャシーレイアウトからエンジンの排気量までそれぞれに大きな違いがあるので、一口にスポーツカーのハンドリングと言ってもクルマによって受ける印象は全然違うものになります。

  さらに影響が大きいのがタイヤ選択の幅広さです。ちなみにトヨタ86の純正タイヤは普通乗用車に使われるものと同じタイプです。そのせいもあってか旋回時のグリップ感はまさに普通乗用車のフィールに限りなく近かったりします。「専用設計のはずなのに・・・普通車のような雑味が」なんて辛口なことを言われることもあるようです。しかし軽量で重量バランスが良いので、トヨタのセダン(クラウンやマークX)の味を残しつつ、ハンドリングは狙ったようなクイックでダイレクト感があり、普通乗用車の乗り味を大きく改善されたと感じさせることには成功しています。俗に「スパルタン」というスポーツカー用の形容詞が使われたりしますが、現在ではスポーツカーの存在意義は「スパルタン」を単に追求することではなく、「スパルタン」でなくても「非日常」でさえあればよいのかも知れません。

  ひとたび評論家に「スパルタンではない」と評されてしまうと、これまではスポーツカーとして「実力不足」と解される向きがありました。国産の専用設計スポーツカーに関して言えばホンダのNSX-R以外はことごとくそういった論調によって貶されてきたように思います。もちろんMR-SもS2000もRX-7も現在でも愛好家はたくさんいますが、かつての歪みきった評価を真に受けたように輸入車スポーツカーのユーザーなどからはやたらと低い評価がされているようです。まあポルシェやロータスで1000万円とか費やしているユーザーにとっては、日本車のライトウエイトスポーツが同格なんていうことは是が非でも否定したい気持ちはよくわかりますが・・・。

  「専用設計スポーツカー」は、今後さらに需要を伸ばしていくのではないか?という予感があります。その一つの根拠として、多くのブランドで普通乗用車の基本設計を高める努力が、直近の10年で大きく停滞していることが挙げられます。メルセデスやBMWといった一流ブランドがシャシーなどの基本設計の底上げをこの10年余りに渡って放棄していることが徐々に明るみになってきました。一説によるとシャシー性能を向上させてもあまり商品力には反映されず、それよりもエンジンの出力を2〜4段階に分けるような電制装置を目立つように追加することの方が顧客に与えるエモーションとしては大きく効果的だと判断されているようです。

  プレミアムブランドから発売されるモデルをクオリティカーと表現されたりしますが、実際のところクルマの基本構造においてメルセデスCクラス、BMW3シリーズとトヨタのプレミオとの間に大きな差はなく、Cクラスや3シリーズがアドバンテージを稼いでいるのは、エンジンとミッションにより良い「オプション」を用意したり、電制装置を細かくオプション化して「課金」していくシステムを作り、価格相応に費用を負担させる販売へと変化してきました。そういったクルマ作りは安全面や快適性の向上に一定の効果があるので、安易に否定すべきではないですが、そういった制御装置を満載することで車重はどんどん膨れあがり、大容量のバッテリーが必要になります。結果的に全体のバランスを取る為に、トヨタを手本にした軽量化へと突き進まざるを得なくなります。評論家が何と言おうと乗用車の進化の先にはトヨタがいます。

  先進的なトヨタ車の乗り味を嫌う人々は一定割合存在します。私もそんな一人です。なぜトヨタの乗り味が嫌いなのか?ハッキリと説明はできませんが、そう感じさせてくれたのは間違いなくマツダです。某雑誌を読んでいたら、マツダ車のハンドリングは古臭さが残ると書かれていました。確かにデミオに乗ってもアテンザに乗ってもハンドルがやや重いです。レクサスに乗ってもBMWに乗ってもハンドルの重さはまず感じないですから、これが「古臭さが残る」という点なのかもしれません。もしマツダのハンドリングに古臭さが無くなったら・・・つまらないクルマになってしまうのではないかという予感がしますが、マツダ車といえども「乗用車」のトレンドに完全に逆らうわけにはいかないので、メルセデスやBMWと同じようにトヨタ的な乗用車へと近くなっていくはずです。

  マツダもスバルもいいクルマを作っていると騒がれていますが、間違いなくブランドの個性は薄れていっています。他のメーカーのクルマに近い乗り味だと感じる要素も増えています。やがて完全にトヨタと同化する前にメーカーも軌道修正するかもしれませんが、乗用車の乗り味に個性が見出せなくなったならば、ドライビングを楽しみたい層はさらに専用設計スポーツカーへと流れるはずです。そこで注目されるのが、手頃な価格のスポーツカーですが、国産車でもっとも個性的な乗り味を見せるスポーツカーとして知られるのがマツダ・ロードスターです。1989年にデビューして瞬く間に大ヒットした日本が誇るスポーツカーですが、いよいよ来年で4代目を迎えます。

  公開されているNDロードスターは、「原点回帰」を謳っていて1989年デビューのNAロードスターを手本に開発したというプレスリリースが出ています。マツダの歴代ロードスター開発者はやたらと本を出していたりしますが、その中で繰り返し語られるのが「エゴ」であり「ドグマ」であり、スポーツカー開発者たるもの絶対に一歩も引かないという姿勢が強調されています。マツダの経営陣を恫喝するくらいの気迫があったから、ロードスターをなんとか完成できた!と繰り返し言っています。その一方でアメリカなどで女性のお買い物用に使われることも多い現状の売れ行きに不満もあるようです。

  ロードスターに求められる乗り味は千差万別で、「スパルタン」から「非日常」までファンによってさまざまだと思います。果たして1989年当時の「スパルタン」にどれだけの説得力があるのでしょうか?という気もしなくないです。1.5Lにしろ2Lにしろ新しいマツダのエンジンは全てロングストローク化されていて、キレや高回転域での躍動よりも実用トルクを重視したものになっています。回していくと情けないくらいにショボくなるVWやメルセデスなどの小排気量ターボに近いガッカリ感がつきまといます。

  スポーツカーを十分にわきまえた一流メーカー・マツダに対して大変に失礼ですが、なぜこれだけ軽い車体にそんなエンジンを用意するのか?という疑念が正直あります。アルファ4Cのようにショートストロークのスポーツタイプ用エンジン(1.75Lターボ)を持ってくるくらいの気合いが欲しいと思います。マツダとしてもNDロードスターのエンジンの詳細を公表しておらず、まだまだエンジンに関して一波乱起こりそうな気配はあります。フォード(フュージョン・フォーカス)とジャガー(XJ、XF、XE)が使っているマツダ開発のLF-VEエンジンを投入!あるいは提携先のフィアットから1.75Lターボを供給してもらうという選択肢がもしかしたらあるのかもしれません。


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ロードスター開発者の貴島孝男氏と福野礼一朗氏の対談が傑作です!


2014-12-05

デミオXD これはまだまだ改良の余地があるのでは?

  各メディアで絶賛され、その勢いのままに日本カーオブザイヤーも獲得してしまった日本車期待の1台が新型デミオです。プロの評論家達が先行試乗会でただ絶賛するだけじゃなく、次々と予約注文を入れたというスゴい「伝説」をも作ったようです(マツダが特価で配った?)。マツダディーラーでは点検時に気軽に試乗させてくれるので、スタッドレス履き変えのタイミングでデミオXDに乗ってみました。もはやこれだけの評価がされているクルマですから、「新型は大丈夫だろうか?」といったヘンな老婆心もなかったです。まあそもそもコンパクトカーの良し悪しがいまいち良く解らないので、「これが彼ら(評論家)が狂乱して喜ぶクルマなんだな・・・」とやや上から目線でもありましたが・・・。

  ほとんど(特に日本車)のコンパクトカーに乗って「残念」に思うのが、加速していてまだまだこれからという段階で、パワーの頭打ち感が露になるところです。このデミオXDの動力性能上の最大にして唯一の長所が、このコンパクトカーのジレンマをとりあえず打ち破った点だと思います。見通しの良いやや登りの道路でアクセルを目一杯踏み切っても、普通のコンパクトカーならば物足りない加速をするだけで、中速域では早くも加速感が大きく鈍ります。まあごくごく当たり前の事ですが、デミオXDに関しては中速域からエンジンの本領が発揮されます。ディーゼルエンジンが過給されて力強く、底打ち感なく加速します。そして5ナンバーサイズのボディらしくじわじわとスピード感が全身から伝わります。このナイスな乗り味こそがデミオXDのシンプルな長所です。

  良い悪いで言うならば間違いなく「良い」クルマだと思います。ディーゼル搭載の段階で完全にクルマの方向性が決められてしまうので、結局のところ選ぶ人が長所も短所も全て理解した上で使わなければいけないという自己責任の意味合いが強いクルマです。日本車ではなかなかそういったライバル不在の設計をした大衆モデルというのは珍しい存在で、個性的という意味では日産フェアレディZみたいにユーザーにある種の決意を求める部分が多分にあります。そして困ったことに想像上でデミオXDの使用環境をリアルに考えたときに、「あれ?どこで使おうか?」という気になったりします。

  そもそもBセグにディーゼルを載せるのは、欧州メーカーからすれば常識外の発想です。マツダとしては世界的な「カーライフの転換」を見越したモデルとして、もっと堂々と売ればいいと思いますが、なぜVWやプジョーがBセグ&ディーゼルをやらないかというと、廉価車にそぐわないディーゼルエンジンの高コスト体質と、チョイ乗りに向かないエンジンの特性にあると言われています。欧州ではVWに「3Kカー」(up!のことです)という言葉があるように、3000ユーロ程度のコストで6000ユーロで販売するクルマが作られています。現在では円安が進んでいるためにそれほど割安ではないですが、1~2年前の1ユーロ=100円前後の時代には実質的に60万円程度の新車が欧州で販売されていました。

  マツダの日本流の厳しいコスト管理でもディーゼル化によって50万円程度の価格差が生じてしまいます。どう考えても60万円のクルマに50万円の「特別装備」はやはり現実的ではありません。ちなみに日本で人気のゴルフはドイツではガソリンNA(1.2L)でも販売されていて、9000ユーロ程度の価格が設定されています。ゴルフより小さいクラスとなるとガソリンターボこそありますが、ディーゼルはあまりにも贅沢すぎるという判断が一般的のようです。そんな欧州市場での「禁じ手」に打って出たマツダの戦略は、まさに「マツダしかやらないクレイジーな設計」です。そんなクルマをシレっと「欧州テイスト!」とドヤ顔で売り出すマツダの面の皮はなかなかのものではありますが・・・。

  それでもマツダなりに一生懸命にコンセプトを考えている痕は伺えます。従来の駅までお迎え&お買い物を任務としたコンパクトカーに要求される「ちょい乗」には適さないディーゼル搭載がコンセプトの起点ですから、従来の設計はとりあえず白紙です。ディーゼルのトルクではCVTの上限を超えてしまうので6ATに載せ変えますから「街乗り燃費」でコンパクトHVに勝負を挑むことはできません。じゃあ何に使うクルマなのか?結局は中長距離を走って、どこかに訪問するためのクルマに仕上げるしか道はないわけです。そうなると従来とはうって変わって「フォーマル」な風体を備えたクルマを目指し、内装もそれに相応しい高い水準のものが追求されたのだと思います。この辺は欧州車的な礼儀を取り入れているので、「欧州流!」ではありますが・・・。

  内装がよくなってディーゼルエンジンを載せても、通常グレードで178万円です。Lパケでも199万円に踏みとどまったのは、輸入車でも200万円を下回る特別仕様車(プジョー208など)が目立つようになったことが理由のようです。エンジンの特性から言うと、いわゆる「ホットハッチ」とはかなり乗り味が違うクルマで、それでいて軽油の安い日本では抜群の経済性を発揮します。しかしここがマツダにとっての泣き所で、やはり国内市場でブランド力が不十分で販売網における自信の低さが出てしまいます。どんなにいいクルマでも実感として消費者にそれが伝わらなければ何の意味もなく、本体価格を250万円にしてしまうともう見向きもされないでしょう。これはプリウスも通ってきた道ではありますが・・・。

  実際のところ、欧州車大好きな評論家が勝手なことを言ってデミオXDを祭り上げていますが、欧州メーカーでも最近になってミニにディーゼルが使われ始めたばかりです。「ディーゼル&コンパクト」というジャンルが今後出来たならば、デミオがそのパイオニアです。マツダの奇天烈な発想にBMWグループが追従してきた格好です。Bセグのタイトなエンジンフロアでは十分な防音・防振も出来ませんから、エンジン音はともかく微振動がなんとも不思議な緊張感を醸してくれます。がっかりするほど大人しい日本車のコンパクトカーとは一線を画した獰猛さで、操作を誤れば車体がバラバラになってエンジンがどこかに吹っ飛んでいくのでは?という気がします。ディーゼルの魅力ですね。個性もあれば欠点も多くある点がなんともマツダ車らしいと言うべきでしょうか?


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2014-11-19

ゴルフGTI  コンパクト・ツアラーはやはり伝統モデルがいいかも!

  アメリカ市場ではCセグメント(アクセラやインプレッサのクラス)でもスモールカーと呼ばれ、価格はかなり低く抑えられています。プレミアムブランドから発売されているメルセデスAクラスBMW1シリーズ・アウディA3といった日本ではおなじみのモデルはアメリカ市場では基本的には設定されていません。これまで一般にCセグカーはいかにアメリカで安く売って利益を出すかを念頭に置いたクルマという先入観があったので、どうもマイカー候補に上げる気になりませんでした。そして長らくスモールカーなんて一生乗らない!と粋がっていたわけですが、最近のCセグそしてBセグ(デミオやフィットのクラス)の「軽量」を上手く生かしたコンセプトは、とても魅力的であり興味が湧いてしまいます。

  特にBセグに多いのですが、最近のダウンサイジングそしてエコへとほとんどのクルマが流されている現実に失望しているユーザーを取込むかのように、逆に排気量がアップしているスポーティなモデルが目立ってきました。4mに満たないBセグのボディに直列4気筒の2Lターボを載せて200ps前後の出力を誇る・・・そんなワクワクさせてくれるモデルが今後は各メーカーから続々と登場するようです。その流れを当初に日本へ持ち込んだのは、アウディTTやプジョーRCZのようなスポーティなボディを持つスペシャルティカーでした。それがルノー・ルーテシアを皮切りに一般的なHBのボディに1.6Lターボで200psに達する高性能ユニットを仕込んだモデルが登場し、ルノーの新デザインも日本市場で高く評価され、昨年比でブランドの売上を2倍に押し上げています。

  もっとも本体価格で300万円を超える200psのモデルはそれほどたくさん売れているわけではなく、1.2Lターボのベースグレードが人気の中心なのですが、スポーティなイメージをトップグレードが牽引していて、同クラス(Bセグ)では非常に付加価値(ブランディング)が高いモデルといってもいいかもしれません。VWポロとルノー・ルーテシアのBセグ2台が並んでいたらどちらに惹かれますか? 自動車ライターは異口同音にポロの優越性を主張しているようですが、どちらがより高い金額を払ってもいいと思えるモデルとして考えると、多くの人はルーテシアを選ぶのではないかと思います。

  ワクワクのBセグ&200psですが、日本車メーカーの間ではどうやら御法度スペックのようで、トヨタが限定車として企画した「ヴィッツGRMNターボ」(152ps)や日産の「マーチ1.5NISMO-S」(112ps)などもやや控えめの100ps台前半の数値に留まっています。カタログモデルとしてはスズキ・スイフトスポーツが1.6Lの136psで用意されていますが、日本車でもっともスポーティなBセグがこれです。ちょっと大きめのボディを持つSUVタイプのジューク・ターボ(190ps)がありますが、このエンジンをBセグ(マーチやノート)のハッチバックに積んだモデルがあっても良い気がしますが、日産はその素振りすら見せていません。おそらく何らかの自主規制があるものと思われます。

  輸入車が200psの過激なモデルを用意して注目を浴びる一方で、それをただ指をくわえてみていなければいけない日本車メーカーは少々辛いですね。勘違いした自動車ライターが、ルノー、プジョー、アウディBMWの技術の前に日本車は手も足も出ない!なんて書いているのを何度か見た事がありますし、アホな輸入車好きは本気で欧州ガソリンターボエンジンが最高だと信じているようです。世界で最低とは言わないですが、日本車やアメリカ車で使われる一般的なエンジンに比べれば、決して良いものではないですけどね・・・。

  現在では、欧州ブランドが「生き残り」そして「新規開拓」を意図して、いろいろなモデルを乱発していますが、今も昔も特に欧州車には無茶な設計がチラホラと目に付きます。欧州ブランドのその手の暴走を止めることができるのは、実際のところはアメリカ連邦議会くらいでしょうか。米議会で袋叩きにでもされない限りなかなか考えを変えない(=判断力が無い)メーカーも問題ですが、逆にヘンに大人しくなって日本車の劣化版のようなクルマを作られても嫌ですね・・・。どれだけ「安全」という枠組みの中で、欧州流の「ホットハッチ」から、グローバルで将来有望な「コンパクト・ツアラー」へと正常進化できるか?そしてどのメーカーがそれを先導する存在になるのか?という点は非常に興味があります。

  クラスとしてはCセグになりますが、全長4265mmに収まっていて、日本のアクセラやインプレッサよりもひと回り小さいサイズの「VW・ゴルフ」に設定されている「GTI」は、この手のクルマを語る時に大きな指標になります。2Lターボを積んだ220psのFF車ですが、シャシーとボディの作り込みに定評があり、出力に負けない堅牢で剛性感あふれるボディゆえのキレのある乗り味は見事です。過剰気味のパワーを持て余すことなく、使い切ってしまう設計・・・これこそが、やたらと危なっかしいハイスペックな欧州車と、エコに奔り過ぎてる日本車の間のバランスを見事に取った「ゴキゲン」なモデルといっていいと思います。

  願わくば、ルノー・ルーテシア、ミニ・クーパーS、プジョー208GTi、アウディS1といったハイパワーBセグにも、ゴルフGTIの水準に近い走行安全性を感じられるモデルであってほしいです。欧州クルマ文化が、日本やアメリカよりも断然に「趣味性」を重視する土壌にあることも承知していますので、安易な批判は控えますが、国土交通省がマナーの悪いドライバーの無謀運転を誘発するような、安価で高出力なモデルの発売を控えるように国内メーカーに指針を出しているのは明確なので、欧州メーカーにもVWのようなしっかりとした「GTコンパクト・ツアラー」を作って日本に持ってきてほしいと思います。


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2014-10-29

ボルボS60/V60T6ポールスター まだまだ手段があるのでは?

  欧州の名門ブランドが新興国の資本によって次々と買収されていき、その結果めでたくアストンマーティン、ボルボ、ジャガー、ランドローバー、ロータスといったブランドのクルマが今でも日本で買えます。中には新興国に対する偏見からか、ブランドとは名ばかりでどんどんと中身の無い高級車が作られるようになる!みたいな露骨な批判もありましたが、フタを開けてみると・・・メルセデス、BMWアウディよりもむしろちゃんとしているくらいです。アストンマーティンはやや沈黙してますが、ボルボは果敢にプレミアムCセグに攻勢をかけてフォード謹製のエコブーストを日本に持ち込んでくれました。そしてジャガーはメルセデス、BMWに真っ向から喧嘩を売る新型Dセグセダンを開発し、エンジンまで新製してきました。

  ランドローバーは「イヴォーグ」で圧倒的なデザイン力を見せつけ、BMWのSUVの化けの皮を見事に剥がして、かつてノウハウだけを奪ってポイ捨て・・・という酷い仕打ちをした元・親会社(BMW)に見事に復讐を果たしました。ロータスは最近になってエキシージSにオープンモデルを設定し、ポルシェやフェラーリにも負けないリアルスポーツのモデルを注目の価格で出してきました。どうやらこれから開発されるハイパフォーマンスカーは、中国インドマレーシアといったバブルを迎えつつある国の主導でやってもらった方がずっと良いものが出来る時代になったようです。80年代後半の日本で、NSX、スープラ、RX7といった伝説となった「リアルスポーツ」が続々と登場したわけですから、現在バブルを迎えている国では、希望に溢れる若者の膨らんだ需要に応えるように今後も続々と魅力的なモデルが登場してくるでしょう。

  そんな中でバブル真っ盛りの中国資本の圧倒的な後押し?を受けて、ボルボが世界限定750台のハイパフォーマンスなセダン/ワゴンを発売しました。「S60/V60ポールスター」はS60/V60の上級グレード「T6」と同じフォードが何の為に作ったのかいまいちよく分らない、比較的新しい設計の3L直6エンジンを搭載したモデルです。フォード傘下だったボルボとランドローバーだけに提供されたもので、どちらもフォードグループの中で「対BMW」に位置付けられたブランドといったところでしょうか。BMWの代名詞と言える3L直列6気筒をそのままコピーした・・・と言いたいところですが、低速トルク重視のロングストロークになった4気筒とボア×ストロークを同一にしている現行のBMWの6気筒よりも、さらにロングになっている典型的な欧州型6気筒なので、日産がかつて作っていたRB26DETTのような鋭い噴け上がりをするタイプではないです。

  日本ではBMW3シリーズ・セダンの直6モデルがHV(738万円)しか選べないのに対し、ボルボS60はAWDの直6ターボ搭載モデルが本体価格565万円からあります。ただしBMWの直6にできるだけ新車でリーズナブルに乗りたいなら、M135iが566万円、M235iが615万円(いずれも本体価格)で買えるので、ボルボとしては「T6」をもう50万円ほど安い価格で出せれば、俄然このクルマがマニアの間でもっと注目される存在になりそうです。ちなみにアメリカでは羨ましいことにT6が400万円程度です(BMW335iは430万円!)。

  さて限定車として登場した「T6ポールスター」ですが、現在では公式ホームページ上には特にPRされていないので、日本発売予定の90台は見事に完売になったようです。S60で799万円という高額設定にも関わらず、この手のクルマは価値が下がりにくいとわかっているカーマニアによって予約が殺到したみたいです。現在でもスバルSTIによる歴代の限定コンプリートモデル(S402など)がかなりの高値で取引されていますが、STIのボルボ版がこの「ポールスター」ということになりそうです。クルマ雑誌にはBMWの「M」やメルセデス「AMG」のようなものと表現されていましたが、カタログモデルになっていていつでも買えるものとは意味合いがだいぶ違うという気がします。

  ある程度の高額車になると、国産・輸入問わず、買い急がせる意味を込めて100台限定の「◯◯エディション」といったモデルが頻繁に登場します。どうやらスタイリッシュな大径ホイールを履かせて、一回り大型のブレーキキャリパーを搭載する・・・というのが定番の仕様のようですが、このポールスターにもまさにその王道のパッケージが装備されます。ここで注意したいのが大径ホイール仕様の中には、大型化したキャリパーが収まらないのでインチダウンが不可というモデルも結構あります。18インチ仕様の特別限定車に17インチのスタッドレスタイヤが装備不可だったりします。せっかくのAWDなので・・・泣く泣く4輪で30万円払ってスタッドレスを買う羽目になったりします。ボルボは最新のコンセプトモデルでもやたらと大径ホイールを好む傾向があり、このポールスターも20インチ(T6が18インチ、T6-Rデザインが19インチ)を装備しています。

  またエンジンも大きく手が加えられています。輸入車にありがちなのが、タイヤの1インチアップとエンジン出力の10psアップで、50~100万円程度ベース車よりも高いというものです。ポールスターのベース車Rデザインは304psで636万円ですから、ポールスターはおよそ160万円高くなっていますが、その分350psまで大幅にチューンナップされています。もう今では新車で買えないので799万円という価格はあまり意味がないかもしれませんが・・・雑誌などではBMW M3(1104万円)と比較されることが多いようです。高性能DCTを装備してポルシェやGT-Rに対抗しようとするM3は、GTセダンとしての実力も申し分ないですが、サーキット使用を意識した軽量化(1500kg!)が最新モデルでは積極に図られていて、1800kgを超えるポールスターとは単純比較できるクルマではなく、むしろコンセプトや用途はお互いにかなり違ったもののようです。

  ボルボがこのクルマで目指したのは、M3進化の過程でほぼ失ってしまった「実用車としての価値に重点を置きつつ、非日常に近い領域で走れる」という、クルマ好きのハートをガッチリ掴むというコンセプトだと思います。残念ながら人気絶頂のE36の頃のM3に備わっていたような「さりげない魅力」を持つクルマは年々減っています。ポルシェ911やGT-Rの高性能化に先導されて、MもAMGもアウディRSも電子制御無しには真っ直ぐ進まないような、500psを誇るスーパースポーツ級のモデルが多くなりました。0-100km/hが5秒を切っていれば、かつてのスカイラインGT-Rよりも断然に速いわけです(ポールスターは4.9秒)。それが高性能DCTとAWDの進化によって3秒台が当たり前になってしまいましたが、これはもはや一般道では全く用を成さない性能です。

  ボルボが日本のユーザーに発信している「安全性」「北欧の乗り味」といったイメージが、ドイツのプレミアムブランドの「過剰広告」の前に年々風化しているように感じますが、この「ポールスター」を見ていると、たとえ中国資本になってもボルボはブランドのアイデンティティを保ち続けているのが分ります。日本メーカーでここ数年はとても好調のマツダが、2010年頃から「北欧の乗り味」を取り入れてから、プレミアムブランドに肩を並べるしっとりとしたクルマを作るようになりました。そしてこのポールスターもマツダが主体になって設計したフォード時代のシャシーを熟成し、そして強化しながら使い続けています。

  マツダは日本でレクサスや日産を蹴飛ばすほどの潤いを放つクルマを作っています。セダンもSUVも実によい出来映えです。そしてボルボもまたメルセデス、BMWアウディ相手に大いに健闘するクルマ作りが出来ています。ボルボが持つ「北欧」の上質な乗り味が、輸入車好きの間ではドイツ車のアイデンティティに書き換っていたりしますが、ボルボと乗り比べてしまえば・・・最近のドイツ車の乗り心地にはだいぶ瑕疵があることに気がつきます。ドイツ車に絶対のプライオリティを置いている人にはもう何を言っても無駄ですが、もし日産セダンに乗って心を揺さぶるような快感を感じられる人ならば、ボルボの良さにも比較的簡単に気がつくと思います。ボルボにはぜひこのポールスターだけで終わらずに、日本のドライブシーンを充実させるような、さらなる興味深いパッケージを期待したいです。


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