cas-supportの日記は、CAS-UBと同じクラウド上に引っ越します。
ワンソース・マルチユース。iPadと印刷で同一の画像を使う方法を検討中・・・
先日の第3回CAS-UB紹介セミナーでもお話しましたが、CAS-UBを使った電子出版の第2弾として「魔性のプレゼンテーション」をEPUB版とPDF版で制作しています。
本文のテキストの仕上げもさることながら、現在、イラストにはまっています。
従来の電子出版のワークフローでは多くの場合、DTPで制作した完成データを元にEPUBを作ることになります。それに対して、CAS-UBによる電子出版では、両方を同時に作り出すことを目標としています。
これについては次のWebページの図を参照してください。
http://www.antenna.co.jp/epub/
これにより電子版を先に出して、後で印刷版を出したりすることもスムースにできます。また、なによりも両方を同時に出すことにより、出版物制作の生産性を高めたいと考えています。
「魔性のプレゼンテーション」の制作はそのひとつの実践です。第1作ではすべての図版をSVGで制作したのですが、今回はイラスト(PNG形式)が入ります。また、縦書きの新書版のサイズを想定してPDFを作っています。電子書籍PDFを作るのに新書版にこだわることもないとは思いますが・・・あわよくば、ベストセラーにして、印刷版も出したいということで・・・(本音は、CAS-UBで縦書きの新書版を作ってみたいという、ただそれだけです)。
で困ったのがイラストのサイズです。
1.印刷するためにはイラストのドット密度(DPI)は大きいほうが良いのですが、大きくするとファイルサイズが大きくなります。電子版ということでファイルサイズは小さい方が望ましい。で小さくして試してみたところ、CSSやFormatterのデフォルトである96DPIでは、印刷すると線がぼやけてしまいます。どうしても200DPI〜300DPIは欲しいところです。
2.一方、同じイラストをiPadに出してみますと、iBooks(iOS5版)はドット密度(DPI)を無視してドット数により表示サイズを決めているようです。
※ここの話は、すべてiPad上のiBooks(2011/10版)で調べたものです。
PDF(印刷時)のイラストの大きさとiBooks(iPad)の画面上の大きさは、それぞれ次の式になります。
1)PDF
印刷(表示)寸法(cm)=(図のドット数÷ドット密度(DPI))×2.54
※最大幅:基本版面の幅、1インチ=2.54cm
印刷(表示)寸法(cm)=(図のドット数÷132)×2.54
※最大幅:10.5cm、iPadは132ppi(ppi:1インチあたりのピクセル数)
《この図の見方:例》
a. 400ドットの図は、96PDIでは10.5cm、iPad(132ppi)では7.7cm。
b. 546ドットの図は、iPadでは10.5cm(全幅)、200DPIでは6.9cm、300DPIでは4.6cmになる
c.iBooks(iPad)は10.5cmよりも大きい図を10.5cmに縮小して表示している。
132DPIで図を作ればiBooks(iPad)上の大きさと印刷したときの大きさが一致しますが132DPIではPDFを印刷したときの精度が足りません。
仕方ないので、次のようにしようと思っています。
「イラストの大きさを(印刷)5.5cm、ドット密度は200DPIとする。このためにはドット数を433とする。」(イラストは正方形。5.5cmの大きさにするとキャプションを含めて新書の1頁に上下2枚入るので丁度良い)。
5.5÷2.54×200=433
そうするとiPad上では少し大きくなり8.3cmとなります。
433÷132×2.54=8.3
このやり方ではデバイスのDPIが変わるとイラストの表示サイズが変わってしまうという難点があります。ですので、本当はこういう図自体の物理特性と絶対寸法をベースに考えるよりも、図を配置する参照領域に対する相対寸法の考え方を駆使する方が良いとは思います。しかし、以前に書いたとおり、iBooksでは相対寸法の指定の仕方に少し難癖があること、またCSSの制約のため、今回は絶対寸法にしようかと思っています。相対指定の方法は別途追及したいと思っていますが。また、できればiBooksが図のDPIを見てくれると話が簡単になります。
○iBooks(iPad)で433ドット(200DPI)のイラストを表示
(ご注意:この図はイラストの大きさを確認するためのものです。テキストは「魔性のプレゼンテーション」とは関係ありません。)
iBooksでは200DPIを無視して433ドットの図を132ppiのデバイス上で表示するので、サイズ(正方形)が8.3cmとなります。
○PDFでは次のようになります。イラストの余白が大きいのがきになりますが。
◎参考資料
1.http://d.hatena.ne.jp/cassupport/20110424/1303617075
2.http://d.hatena.ne.jp/cassupport/20110426/1303775762
3.http://d.hatena.ne.jp/cassupport/20110427/1303857033
◎CAS-UB
http://www.cas-ub.com
12月7日開催予定の「AH Formatter」事例紹介セミナーにて、CAS-UBのご紹介
アンテナハウスは来る12月7日にAH Formatter事例紹介セミナーを開催します。本セミナーでは自動組版を有効に使いこなしている5つの事例を紹介するものです。
CAS-UBは、クラウドでPDFとEPUBを同時に作成するサービスですが、PDF作成には自動組版エンジン「AH Formatter」を使っています。12月7日のセミナーではPDF出力に関わる部分を中心にご説明いたします。
◎事例
1)アメリカ合衆国内国歳入庁(IRS):税金出版物配布の新“ページ組版システム”に採用
2)株式会社ベネッセコーポレーション:XML+XSL-FOを使った教材・問題集作成の効率化
3)株式会社エヌ・エヌ・エー:CSSレイアウトよる日刊情報誌「The Daily NNA」18 紙の制作費削減
4)株式会社クレステック:大量ドキュメントの作成支援システムの効率化
5)株式会社ナビックス:ハイブリッド翻訳システム「XTM」と多言語出力
○セミナー詳細情報とお申し込み
http://www.antenna.co.jp/notice/2011/formatter-workshop01.html
○AH Formatter Webページ
http://www.antenna.co.jp/AHF/
先週末から、CAS-UB関係のWebをいろいろ更新しました。
一番
http://www.antenna.co.jp/epub/
少し図を追加
お知らせページ
http://www.antenna.co.jp/epub/info.html
10/26のセミナーの資料を公開
EPUB関連情報も
http://www.antenna.co.jp/epub/epub-info.html
http://www.antenna.co.jp/epub/reference/epub-201110.html
EPUBと電子書籍の最近の動き(2011年10月)
CAS-UBのPRサイト
http://www.cas-ub.com/
http://www.cas-ub.com/project/index.html
出版物紹介に追加
http://www.cas-ub.com/info/salesInfo.html
販売サイト
☆販売サイトがまだ少ないのが問題。
出版社が電子書籍制作をどこまで面倒を見るか?
先日開催された「eBP Meetup 2011〜電子出版2年目の課題と3年目への展望」についてのレポート記事(http://gihyo.jp/news/report/2011/10/2701?page=2)で少し理解に苦しむところがあります。
後半の電子書籍制作についてのセッションで、(ここから引用開始)モデレータの馮氏は,出版社がそこまで面倒を見る必要があるのかと疑問を提示した。「『電子で読めるようにしろ』と指示するだけで良いのでは?」と制作フローで考える意見」を出す…「知識としては必要。ただ,直接手を出すべきではない」と,あくまで体制による解決を提案した。(引用終了)
ちょっと分からないのは、馮氏は、GDP(「Gihyo Digital Publishing」)を立ち上げ,技術評論社の電子書籍事業の拡大を目指している中心人物。GDPは社内で開発しているようだし、先日(2011年9月22日)のGDPの紹介イベントでの説明では、ノウハウを蓄積するためにやっているとのことでした。
ノウハウといっても販売やマーケティングのことなら、制作とは少し違う話ですが、あのときは、確か、EPUBのタグコーディングも自前でやっているという説明があったと記憶しています。そうしますと、「直接手を出すべきではない」という発言と完全に矛盾するのですが。もしかしたらそうではなくて、タグの設計は技術評論社で行なって、コーディングは外注したのかなあ。まあ、なにか誤解があるのかもしれませんが、このあたり、ぜひ、ご本人に聞いてみたいところです。
いづれにせよ、ここで問題になっているのは次のことではないだろうか。
ここ25年位流行っているDTPによる本作りにおいては、画面の上でレイアウトを指定して、ボタンを押せば本(PDF)ができた。これを出版社で行なうにせよ、外注するにせよ、出版社の中でPDFの内部を知る必要はなかった。
これに対してEPUBによる本作りでは、内部的にHTMLタグを使うのですが、このHTMLタグを誰がどうやって作るかという、そのワークフローがまだ確立していないのではないだろうか。HTMLタグを完全に使いこなすには、XMLという技術を理解する必要があり、さらにいえば、技術だけではなくXMLの思想の背景まで良く知っていないとタグの使いかたを最適化できないとも言えます。
このあたりに対する考え方がいろいろと議論の分かれ目になると思います。
ところで、CAS-UBではHTMLタグ自体はCAS-UBのユーザーには隠蔽しています。つまり、ユーザーは特にHTMLタグを意識する必要がありません。HTMLはシステムの内部でプログラムで操作しています。
○CAS-UB
http://www.cas-ub.com/
「魔性のプレゼンテーション」制作中 CAS-UBの生産性の高さを伝えたい
CAS電子出版シリーズの2冊目として、加藤哲義氏著「魔性のプレゼンテーション」を制作中です。
1昨日の第3回CAS-UB紹介セミナーでは、「魔性のプレゼンテーション」の制作実演デモを行ないました。著者から原稿を文章はMicrosoft Word形式、図はパワーポイント、イラストの制作指示を入手。イラストはイラストレータにお願いしてイラストを起こしています。
原稿を整理してCAS-UBにインポート。画像をアップロードして、PDF版とEPUB版を作るまでの所要時間は5,6時間です。あとはイラストの完成、PDFレイアウトの調整など、著者のチェックや修正を完了すれば完成です。いそげば数日でできるでしょう。
PDF版だけなら原稿をInDesignに流しこみしても同じ位の時間でできるかもしれないと思いますが、EPUB版まで同時に作ることはInDesignでは無理だろうと思います。
そう思っていましたら、先日(25日)開催された「eBP Meetup 2011〜電子出版2年目の課題と3年目への展望」の後半のテクニカルセッション「当事者が語る,“実用書”電子コンテンツの作り方・増やし方〜執筆者・制作者・出版社・ツールベンダ,それぞれの思惑とこれから〜」で次のような発言があったようです。
「(ソフトバンク・クリエイティブ 梅屋文彦は)比較的新しいInDesignで制作された書籍をタグテキスト化して電子書籍に変換する場合も問題があるとし,実際にInDesignから.book形式にするために『7校,8校までかかり,校正だけで3人くらい必要になる』と衝撃の事実を発表。
実際,印刷のみを考えたDTPデータを単純に電子化すると,ルビ,行,段落が抜けるといった細かい修正が必要となる。『電子化を考えるならDTP組版の段階で意識する必要がある』(梅屋氏)。」(以上、http://gihyo.jp/news/report/2011/10/2701?page=2 より引用)
いづれにしてもCAS-UBは現在のワークフローと比べて数倍の生産性を実現できるはずです。このあたりのCAS-UBの優位性を実証すると同時に、うまく伝えていくことが課題と考えています。