わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

エイモス・チュツオーラ/土屋哲訳『やし酒飲み』

 アフリカの作家の名作。集中的に海外の作品を読んでみようかな、と思った次第。
 村一番の金持ちの息子である主人公の「わたし」は十歳のころから「やし酒」を飲みつづけている。ある日父が死に、しばらくすると父が雇ってくれた腕利きのやし酒造り(杜氏さんだね)も死んでしまった。主人公は、死んだ者はすぐにあの世に行かずにしばらくこの世に留まっているという話を聞き、ふたたびやし酒をつくってもらうために死んだやし酒造りを探し出すために旅に出る。
 とにかくストーリーの展開が早い。そして、起こることがすべて呪術的というかマジックリアリズム的というか。マルケスの傑作『百年の孤独』もかくや、というくらい意外性に富んでいる。文学=不幸の告白あるいは不幸からの脱却と恢復そして成長、という日本文学のひな形から大きくはずれた内容に打ちのめされっぱなし。小説とは自由な表現形式なのだ、ということを改めて思い知らされている。

やし酒飲み (晶文社クラシックス)

やし酒飲み (晶文社クラシックス)

アフリカの日々/やし酒飲み (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-8)

アフリカの日々/やし酒飲み (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-8)

百年の孤独 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1967))

百年の孤独 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1967))

百年の孤独

百年の孤独

↓これ、マルケスと関係あるのだろうか。[rakuten:syocyu:10000145:detail]