わたしが猫に蹴っとばされる理由 〜雑食系中年男子の加齢なる読書日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2009-12-01

[]エイモス・チュツオーラ/土屋哲訳『やし酒飲み』読了

 アフリカ文学の巨匠の代表作。読んでいると心地よくなりすぎてしまうのかアフリカ精霊たちの世界に呼び込まれてしまうのかよくわからないが、すぐに眠くなる。作品世界は強くぼくを引き込み魅了し、そのままどこかに連れ去ろうとしているらしい。困ったもんだ。

 呪術的かつ非現実的なできごとに主人公は最初から最後まで延々と翻弄されっぱなしなのだが、それはぼくたち現代人の目の前に突然妖怪が現れて非現実的な体験に驚きっぱなし、というのとはまったく違う。逆に、主人公は自分に降りかかるすべての非現実的なアクシデントを現実としてすんなりと受け止めてしまう。そして時には、自ら非現実な呪術などを用いてそれに立ち向かう。読みすすめるほどに、現代の科学至上的な価値観にいかに自分が毒されているのかがわかってしまい、少々つらくもある……。

 既存のモノの見方なんぞ捨てなければ、作品の本質は見えてこないのだと思う。世界は知る方法は決してひとつだけではない。そして、世界を動かす方法も世界と対峙する方法も、ひとつしかないわけではない。ぼくらは、あらゆることを受け入れるべきなのだ。そのほうが、はるかに豊かになれる。そう痛感した一冊でした。

やし酒飲み (晶文社クラシックス)

やし酒飲み (晶文社クラシックス)

投稿したコメントは管理者が承認するまで公開されません。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/catkicker001/20091201/p2