六時三十分起床。日の出前だろう。次元が上昇するだの人々の意識が変わるだの価値観が変わるだの、さまざまなことが言われている2012年がついにやって来た。そんな年の初日の出なのだから拝んだほうがいいのか、と少しは思ったものの、西荻の自宅では遠出しなければそんなことは叶わず、動物たちの世話もあることだし、無理やりなことはせず、いつも通りに朝を迎えた。若干寝坊した程度だ。日課の掃除もしっかりこなした。
十四時三十分、軽くおせちを食べ、雑煮を食べ、焼き餅も食べ、腹一杯になったところで初詣へ。家を出た直後に大きな地震があったようなのだが、まったく気づかず。正月のご祈祷を申し込んだところ、神主さんに「大きな地震でしたね」と言われ、カミサンと顔を見合わせて驚いた。
ついでに歴代の鳥たち、うりゃうりゃ、はち、きゅー、ポンの遺体が埋まっている(勝手に埋めた)公園にお墓参り。巣から落ちているのを保護したスズメのポン(本当はぽっとんという名前だが通称ポン)を除けば、みな最後は病気に苦しんだ。今飼っているぷちぷちが、いちばん体が弱そうなのに、どういうわけか一番長生きしている。
自宅に戻り、お札を置いてから善福寺川沿いを歩いて義父母宅へ。ハクセキレイ、キセキレイ、セグロセキレイ、オナガガモ、コガモ、キンクロハジロ、コサギ、キンクロハジロ、そしてどうやらオナガガモとキンクロハジロのハーフらしい、変なガラのカモ。
義父母宅で、義弟も参加して新年会。花子の娘である桃子が昨年亡くなったので、ちょっと喪中ムード。おせちではなく、すき焼きを食べた。持参した三ツ矢サイダーのプレミアムバージョンがあまりに美味くて驚いた。
二十時、帰宅。動物たちにゴハンを与え、二十一時、走り初めへ。桃井のはらっぱ広場から杉並農芸高校を抜け、スポーツセンターの前を通って上井草駅のガンダム像まで走り、そのまま折り返した。街は静かで、星がはっきりと見えた。空気は冷たいが、家々の団らんが漏れるのか、ほんのりと湿って心地よい。
夜は早めに寝た。
堀江敏幸「燃焼のための習作」読了
傑作『河岸忘日抄』の延長にある世界観だが、主人公はあのフランス語に長けた青年ではなく、ハゲでデブで人なつっこい、何でも屋的な働き方をする探偵。舞台はとある探偵事務所、隅田川沿いの古い雑居ビルの一室だ。ここに依頼人が現れるとやがて天気が大荒れになり、依頼人、探偵、助手の三人が会話する。ただそれだけの内容なのだが、異常なまでの情報量、何度も飛躍してはもとに戻る多層的な会話の流れ、そして登場人物たちの優しさや悲しみが複雑に入り乱れ、いつの間にか自分も探偵事務所で彼らの会話を聞き入っているような気分になる。『いつか王子駅で』『雪沼とその周辺』あたりが好きな方には絶対におすすめ。単行本化されたら、ぜひ読んでほしい。長いけどね。
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野間宏「暗い絵」
ちょい前に読みかけて、そのまま放置していたのを引っ張り出した。いままで未読だった作家。戦後日本文学に関心があるなら、いつかは読まなきゃ野間宏。
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