『エロマンガ島の三人』

エロマンガ島の三人 長嶋有異色作品集

エロマンガ島の三人 長嶋有異色作品集

 長嶋有はかなり前に『サイドカーに犬』と『猛スピードで母は』を読んだきり(しかも内容全く覚えていない)で、気になりつつも最近の作品は全く読んでいなかった。書店の新刊コーナーで見て興味を覚え、図書館で借りた。異色作品集というのが気に入って。表題作は「エロマンガ島でエロ漫画を読む」という企画で、バヌアツ共和国にある南の島、エロマンガ島に赴いたゲーム情報誌の記者たちの、実話を基にしたフィクション。エロマンガ島ってマジで実在するんだ!。もっと奇想天外なめちゃくちゃ面白い話を期待していたんだけど、意外に普通の「ちょっといい話」だったので、う〜ん・・。SFっぽい『女神の石』と『アルバトロスの夜』は面白かった。『女神〜』は、近未来の終末戦争後みたいな廃墟の中で生き残った数人の男たちが、ひとりの女を巡って・・って、なんか状況は違うけどカーシュの短篇で似たようなのがあったような・・。雰囲気がよかった。『アルバトロスの夜』は、ゴルフって全然興味がないんだけど、ありえないゴルフコース(モノリスに注意!とか)で主人公たちが淡々とゴルフをする様子が面白かった。不気味なキャディーさんもよい。『ケージ、アンプル、箱』は、ただ延々と女遍歴を自慢する男の話で、つまらなかった。全く官能的じゃない官能小説なんて意味がないと思う。『青色LED』は『エロマンガ島〜』に出てきた謎めいた行動をする日置という男の秘密が明かされて、カタルシスが得られる。でも、「ノゾミさん」って誰??あ、夢に出てきた「ロボ美さん」の聞き間違えか??