2012-02-07
CINRA.NETに『未知との遭遇』書評掲載
http://www.cinra.net/review/20120206_book_michi.php
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2012-01-24
青山ミチとの遭遇(タイトルと本文は関係ありません)
- 作者: 佐々木敦
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2011/12/08
- メディア: 単行本
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佐々木敦に昨年末会ったさい「『未知との遭遇』は自己啓発本だから。そういうの好きでしょ?」というようなことを冗談めかして言われた。
私はビジネス書の書評もしているライターだが、自己啓発本はとくべつ好きでもないし、そもそも必ずしもビジネス書=自己啓発本ではないので佐々木の発言はまったくの誤解である。
しかし著者が「自己啓発本」だと言うなら、そういう観点から読んでみよう。
そもそも自己啓発の本質とは何か。くだらないものの大半は、読んだ人間を「いいきもち」にさせることばかり追求しているので見誤っている人間が多いが、キモは、問題解決フレームワークがベースにある、という点だ。つまり、読者が生活や仕事に対して目標を見つけて達成していくために、いまある現状の姿(be)とそうありたい理想状態(what to be)の「差」(GAP)を認識し、差を埋めて理想に近づいていくためには、どこが問題なのか(where)、その問題に対していかなる手を打つべきか(how)というオプションを考え、具体的かつ測定可能な行動目標に落とし込み、実行させることにある。読者に自分の頭で考えさせ、自分の志や課題を発見させるからこそself-enlightenment(自己―啓蒙/啓発)と言えるのであり、読者に思考を強いず、著者が一方的に主張する本は本来「自己啓発本」と呼ぶに値しない。
では『未知との遭遇』はどうだろうか。この本は、人生をどう捉えたらよいか、どういう価値観や考え方をもって生きたらいいかということについて著者が読者に対して説いた「人生論」の本ではあるが、読者に自分で考えさせ、課題を見つけさせる自己啓発本、ではない(読者に記入させるワークシートが一枚もないのが象徴的である)。
よって、うたい文句にいつわりあり。
2011-12-30
r.i.p
内藤陳さんが亡くなられたそうだ。ぼくは世代的に日本の冒険小説が隆盛した時代を経験していない。ジャンル的にもそれほど思い入れもない。深夜プラスワンに行ったこともない。しかしエンタメ小説の批評家のはしくれとして、内藤さんや北上次郎氏の仕事は尊敬の対象であった。ムーブメントの一翼を担い、精神的支柱となり、なによりむちゃくちゃおもしろそうに(おもしろく)作品を評すること。ムーブメントが波を引いても矜持をもって寄り添い続けること。これはなかなかできるものではない。
SF界、というか読書界?で、ことし話題になった『ジェノサイド』や『機龍警察』シリーズを考えるさい、冒険小説文脈を抜きにしては語れないわけであって、いまこそ内藤さんの仕事、日本の冒険小説のヒストリー、批評的営為をリファーして引き継ぐ作業をだれかしたほうがいいよな、と思う。
2011-10-19
2011-10-06 壁と卵

- 作者: 宇野常寛
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2011/07/28
- メディア: 単行本
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この本では村上春樹のイスラエルでの講演にいちゃもんをつけている。しかし、講演に登場する「壁と卵」ということばの解釈がズレている。
彼の地で「壁」と言えばイスラエル軍が建設したアパルトヘイトウォールのことであり、「卵」といえばパレスチナ人によるイスラエル軍への投石(インティファーダ)ないし自爆攻撃の比喩でしょう。
※このあたりのサイトを参照のこと。
http://isshu-sekai.com/2009/01/159th.html
http://kattak.exblog.jp/9128734/
大学んときお世話になった先生が言ってたけど、イスラエルってバスのなかにかばんの忘れ物があったら爆弾テロかと疑われる(爆弾処理班が出動する)ような土地らしいよ?
そこで「壁と卵」とかいって俺は卵のほうに付くぜ、っていうことがどんだけ危険なことかわかっていてハルキは言ってるのに、この解釈はないよ。と思った。
いや、仮面ライダー論はおもしろかったんだけど、本の冒頭でギョっとしたので(すでに多数の指摘があろうかと思うのだが)パッチをあてるつもりで書いておくことにした。



