きっかけ

この夏は、こういう知識を得ようとは全く思っていなかったにもかかわらず、結果的に1つの系統の連なる書籍を読んだりイベントに参加したことになった。
ということをまとめようと文章を書き始めたら当初とは意図の違う内容になってしまったけど、まぁ、これがなければ始まらなかった話のなのでもったいないから残しておく。続きはまた改めて書くかも知れない。

課題

前期終了前、学生たちの夏期休暇の課題として読書感想文が課されたようなのだが、どうも学生達が本のセレクト以前の段階で思考停止しているようなのだ。理工学系の本を読めといわれているらしいのだが、放っておくと家にある教科書の感想文を書いてしまいそうなのだ。
数名と話をしていると、どうやら本が探せない学生は以下の2つの問題を抱えている。

  1. サイエンスに関する読み物をよく知らない。
  2. 理工学系の書籍、といわれると教科書しか頭に浮かばない。

うちの場合、入学まではそんなに書籍を読んだり勉強してきたタイプは少ない。なので、ブルーバックスのようなサイエンス系の新書があることを知らない。ここ4〜5年前からはソフトバンククリエイティブからも同じような層を狙ったイラストや写真がふんだんに使われた新書がでているが、それも知らない。そのため『○○化学』のようなタイトルの教科書を読んで感想文を書かなくてはならない、という思考回路になるらしい。
『教科書の感想文』…、確かに数冊読み比べて、理解のしやすさなどを評価することはできるかも知れない。でも、課題の出題者側はそんなことは求めていない。単純に読解力の向上を求めている。自分たちは、ブルーバックス以外の書籍も知っているし、当然学生も知っていると思っている節がある。いや、その本を見つけるところからが課題だと思っているのかも知れない。
でも、レポートの最中に聞き取りをしてみると、結構学力の高いと感じる学生でも教科書的な本しか思い浮かんでいないようだ。なので、自分が今夏に読んでみたかった本を買ってきて、実際に見せてみることにした。その時の2冊がコレ。

鳥類学者 無謀にも恐竜を語る (生物ミステリー)

鳥類学者 無謀にも恐竜を語る (生物ミステリー)

池谷氏の本については昨年のJASIS2014での講演を聴いて、氏の研究内容に興味を持っていたから。川上氏の本についてはたまたま何かの書籍の広告欄で見かけた挿絵がおもしろかったからというもの。
レポートが早めに終わった学生には『興味があれば、中身みてもいいよー』と言って、その辺に置いておくと数名がぱらぱらと読み始める。数ページだが、読んでみて『こういう本なら感想書けそう』と前向きな発言が聞けるようになった。ついさっきまで『化学とか生物の本の感想なんて書けへんわー』と言った学生が、である。
たぶん、うちの学生達にはこんな感じでブルーバックスなどがあるよ、という『きっかけ』のサジェストは必要だったと思う。そこまで示せばあとの本のセレクトは学生の責任である。環境が好きなものは環境を、生物が好きなものは生物を取り上げた本を読めばいい。幸い学校の近くには大型の書店もあるので、帰り道にブルーバックスコーナーなどを覗いていることであろう。感想文の提出が楽しみである。

PS

教員も800〜1000字ぐらいの感想文を書いて、学生に提示してみせればよいのではないかと思ったりもした。